がらにもなく横浜美術館
2009年07月17日


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 美術に無関心な夫婦が今年は美術館を3つ回った。6月14日(日)には温泉めぐりの帰りに安曇野市にある碌山美術館に立ち寄り、今月4日(土)にそごう美術館でレオナール・フジタ(藤田嗣治)展を中元セールのおまけで見物した。碌山こと萩原守衛はロダンに師事した彫刻家で「愛は芸術なり、相克は美なり」という言葉を残したそうだ。藤田は20世紀前半にパリで活躍し、太平洋戦争前に日本へ帰国してからフランスに帰化した画家で「パリを魅了した異邦人」という。2006年には生誕120年を記念した展覧会が国立近代美術館ほかで行われわたしも出かけた。ちなみに君代夫人は今年亡くなったそうだ。

 そして17日(金)は免許更新の帰りに妻を連れて横浜美術館に立ち寄った。6月12日から8月31日まで横浜開港150周年記念・横浜美術館開館20周年記念展の「美をめぐる100年のドラマ フランス絵画の19世紀」が開催されている。ポスターはアングルの「パフォスのビーナス」(1852年頃)とマネの「カルメンに扮したエミリー・アンブルの肖像」(1880年頃)が使われている。アングルといえば「トルコ風呂」を期待したが展示はなかった。

 19世紀のフランス絵画といっても素人にはわからないが次の4つに区分されるようだ。
 1アカデミズムの基盤 新古典主義の確立
 2アカデミズム第一世代とロマン主義の台頭
 3アカデミズム第二世代とレアリズムの広がり
 4アカデミズム第三世代と印象派以後の展開

 それにしてもアカデミズムがこんなに飛び出すのも権威主義が鼻につく。カタログからわたしが知っている画家を並べれば次のとおりだ。
 1に含まれる画家はダヴィット、アングル
 2に含まれるのはドラクロア、シェフール
 3に含まれるのはミレー、クールベ
 4に含まれるのはルノアール、マネ、ドガ、モネ、セザンヌ 
 でも、展示されている作品は上記の画家の作品はほんのわずかだ。今回の展示は日本人になじみの少ない作家の作品を紹介するのだろう。

 水墨画より写実画になじむわたしにはひまつぶしになったが妻は終始きょとんとしていた。宗教画を眺めてもさっぱりわからないのはわたしも同様だった。それはフジタ展も同様である。文化と歴史に加えて発想法の異なりがつきまとう。ヴィーナス像があるたびに立ち止まり食い入って眺めれば妻は呆れる。胸のふくらみだけでなく目尻や腹のしわ、手足の細部まで正確に描く絵画を説明すれば自分に対する当てつけと思うのも困ったものだ。

 平日というのに美術館は年輩者とアベックが多数来館していたのも意外だった。美に無縁な夫婦には煙たい場所だけど物見遊山に丁度いいのかもしれない。ちなみに、横浜美術館は開港130年の20年前に開館している。みなとみらい地区でその当時あった施設は、桜木町駅とランドマークタワーを結ぶ「動く歩道」とコスモワールドにある「大観覧車」(移設している)それに帆船「日本丸」ぐらいである。開港150年で横浜を訪れる方は赤レンガ倉庫だけでなく美術館にも立ち寄っていただきたいものだ。

 せっかくだから展示されている作品で気に入ったものを記録しておきます。
 ・レフカス島のサッフォー:アントワーヌ=ジャン・グロ・・・断崖に立つ乙女の後ろの岩がいわくありげ
 ・パフォスのヴィーナス:アングル・・・ちょっと胸がいびつで不自然だ
 ・糸巻きのマルガレーテ:アリ・シェフール・・・哀愁を含む涙がやるせない
 ・ヴィーナスの誕生:アレクサンドル・カバネル・・・ヴィーナス特集の定番だ
 ・ヴィーナス誕生:アモリー・デュヴァル・・・これも定番だ

【補記】
 美術に関心がなくてもみなとみらい地区でのんびり過ごす場所には美術館前が最適です。
 館内で撮影ができませんでしたので外観だけでごめんなさい。

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