有明山荘で入浴
2009年06月14日


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 安曇野(あずみの)市にある有明荘(ありあけそう)は中部山岳国立公園にある国民保養温泉地と国民宿舎だ。長野自動車道豊科(とよしな)ICから27km、大糸線有明駅前から20km先にある。中房川(なかふさがわ)に沿ったヘアピンカーブをたどり時折すれ違い困難な場所がある観音峠に至る頃には妻も絶句する。案内標識はどういうわけか中房温泉しかない。途中には有明神社や有明山(2,268m)もあるのにまったく無視されている。
1975年の燕岳
 何でそんな場所に出向いたといえば、わたしが初めて北アルプスを縦走した出発点だからだ。34年前に燕岳(つばくろたけ)から大天井岳を経て槍ヶ岳に向かった出発点だ。わたしが知っている温泉は北アルプスや八ヶ岳、それに丹沢や奥多摩の麓しか思いつかない。今さら山歩きをする気はないけれど塩気の多い海辺の温泉より肌にやさしい。それにカーブの連なる山道を走行するのが心地よい。

 というわけで山奥の温泉に出向くたびに妻のボヤキは増すものの奥飛騨や奥多摩の温泉には十分満足している。食い意地が張っている妻はイワナの塩焼きを食べるために上高地から1時間も歩く山小屋まで黙って歩く。妻には温泉も似たようなものかもしれない。近所の日帰り温泉とは違う湯上がり後の爽快感があるという。

 有明荘には浴室は内風呂と露天風呂の二つしかない。浴槽には湯の花が浮いている。でも、そのシンプルさが心地よい。湯船の数やブレンドを自慢する温浴施設とは変わっっている。サービスも押しつけがましいものはない。アカスリとか美容などは無縁だ。山から降りてきて汗を流し、くつろぐにはそれで十分だろう。
 単純硫黄泉だからやや臭いものの肌にやさしい。桧の内風呂は風格があるけれど露天風呂はホースも丸見えの無骨な作りだ。糸魚川街道に新しく作られた温浴施設が温泉を付け足しにしているのと違っている。湯上がり後のすっきり感は有明荘のほうが勝る。タバコは外で吸うしかないけれど喫煙室を望むのが間違っている。川のせせらぎや小鳥のさえずりを聞くのも味がある。

 山奥で都会と同じサービスを望むのも思い上がりだろう。金さえ払えば何でもできると思う疑似登山家が増えたけど、山は自然に歩かせていただく場所に変わりない。とはいえ有明荘は客を迎えるという姿勢が徹底している。どこの山小屋も不愛想だったけど「いらっしゃいませ」を客に媚びることなく自然に口にしていた。
 入浴後に足を延ばした老舗の旅館では客を値踏みするような受付が胡散臭そうな目つきをして不快にさせられた。クルマを置いて軽装で歩いたためだったかもしれないが、出てきた言葉が「ここは私有地ですよ」や「登山コースじゃありません」というのに呆れた。「あんな場所に二度と行かない」と妻が言い出す始末だ。気分を直すために禄山美術館やわさび田まで寄り道した。

【参考】ETC休日割引で片道1,000円で走行しました。
 横浜と八王子間は国道16号使用、6/13(土)23:40八王子IC、双葉SAで仮眠、有明荘で入浴・付近散策、碌山美術館、ワサビ田見物、渋滞35km、600km走行

【おわび】
 この日はデジタルビデオカメラで撮影したのでデジカメ写真はありません。デジタルビデオは手ぶれが多くてとても見せる状態ではありません。写真は1975年夏に出向いた時の燕岳です。燕岳は1975年7月の槍ヶ岳・穂高縦走と1977年4月の常念岳・蝶ケ岳縦走で通過しました。いずれも有明から上高地へ抜けています。
 わたしの山歩きの思い出写真集もごらんください。
 温泉ほかの詳しいことは有明荘のホームページで確かめてください。
  
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