仕事を終え、家に帰り、ポストの中を見たら、以前ここで取り上げた工場から、‘近隣の皆様へ’と題された葉書が来ていた。
この葉書を読んだ時、始めに思ったのは、どのくらいの人たちが出席するのだろうということだった。わざわざ工場まで出向く人たちがそれほど多くいるとは思えなかった。親睦会の催される日は土曜日になっていたが、この日はたまたま出勤日に当たっていた。しかし、仮に何の用事がなくても僕は出席するつもりはなかった。親睦会及び意見交換会と書面ではなっているが、実質的には工場の稼働に伴う苦情がないかどうかの聞き取りだろう。 特に騒音も悪臭も、また従業員の不始末もなく、新しく出来た工場に何の問題も僕は感じていない。強いてあげるなら工場の建物が大きすぎるため、西側の見通しが多少悪くなったことだが、これはどうしようもないことである。工場内を見学してみたいという好奇心が多少はあったが、特に気にすることもなく、この葉書のことは忘れていた。 数日して、仕事を終え、回覧板を隣の家に持っていったとき、奥さんとばったりと会った。その時、「Hさん、工場の意見交換会は行くんですか?」と隣の奥さんに訊かれ、葉書のことを思い出した。「土曜日は仕事なものですから、行けません」というと、「私は行きますから、何か苦情があったら言ってください。工場の方に伝えておきますから」と言われた。彼女の話しぶりからすると、出席する人はかなり多いようで、意外な感じがした。 苦情といわれても、特に思い当らなかったが、明け方、車の音が気になることがあったので、そのことをいうと、「ああ、それは工場内のゴミを出しているんですよ。大型トラックで運ぶから、結構うるさいでしょ。以前は真夜中に、出入りしてうるさかったから、苦情を言ったんで、それはなくなったけどね。3時、4時なんて、熟睡してるから気づかなかったでしょ?」と奥さんはいった。前にも苦情を言いに行ったことがあるということだから、今度の意見交換会はそれが伏線となっているのかもしれない。
ただ、朝の車の出入りの音はそれほど僕は気にしていないので
身に覚えのあるときもあったが、そうでもないことも多く、妻の気のせいだと思っていたが、工場からの臭いだったのだろうか?とにかく、僕の疑いを晴らすにはいい情報だと思い、早速、妻にこのことを伝えた。 それにしても、後になって工場の意見交換会に行けなかったのが、とても残念に思えてきた。行く人数が少ないと気後れしてしまうが、大勢なら心強い。最近では工場見学がブームになっているようだし、今度、機会があったら参加しようと思った。(2010.6.23) |