自発的奴隷

 仕事は繁忙期に当り、今が1年で一番忙しい時期だ。他の時期だと週末は暇になるのだけど、今は1週間それなりに仕事があり忙しい。そんな中、本来は勤務日でないのに出勤するパートさんの姿が目立つようになってきた。

 例えば月、火、水の週3日勤務の人が金曜日や土曜日に出て来ていたりする。忙しい時期なのだから、こういうことがあっても一向にかまわないのだけど、問題はパートさんたちが自発的に出勤しているということなのだ。

 今週の木曜日は忙しそうだから、勤務日じゃないけど出勤した方がいいかしらと自分で考え出勤しているのである。会社側から「この日は忙しくなりそうだから、出勤してくれる?」と訊かれ、都合がつくから出勤するというのならわかる。しかし、パートという勤務形態で働いているのに自分で会社の事情まで考えて自主的に出勤するというのは行き過ぎのような気がする。

 また、中には「今週の週末は忙しくなりそうだから、休めない」と言う人までいる。「休めない」という科白は正社員時代によく聞いたが、僕には何故「休めない」のか全くわからなかった。仕事がどんなに忙しかろうが、「休めない」などということがあるのだろうか?

 会社の事情や仕事の状況を最優先に考える日本人の性癖と思えるが、彼らは自ら会社の奴隷に成り下がっているように思えてならない。正社員なら会社の事情や仕事の状況といったものもある程度考える必要もあるだろうが、安い給料で使われている非正規社員はそこまでコミットすることはないし、またするべきでもないと思う。

 会社を退職したら何をしていいかわからないという50代の人が前の会社にいた。会社というのはどんなに美辞麗句を並べても結局は時間をかけて人をすり潰していく。すり潰されないためには精神だけでも自由を保つことだと思う。その心までも会社に委ね奴隷のようになってしまったら…。

 前に書いた勤務時間前から作業にかかる人やこのような状況は職場をますます息苦しいものにしている。普通にしている人が怠け者のように見えてしまう。みんなもっともっと仕事から、会社から解き離れた方がいいと思う。あなたが最後に信じられるのは会社ではないはずなのだ。(2006.11.28)




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