≪３年目　春の月　１７日　（木）　晴れ≫

　夜の７時１０分に帰宅。これはいつも通りだが、今日はこの後、出かけるつもりはない。久しぶりに２人で夜を過ごせそうだ。
　この所、呪いの道具やぬし釣りの関係で忙しい日が続いた。どちらもまだ、完全に片がついたわけではない。でもしばらくはこれらを忘れて、以前の穏やかな生活に戻りたいと思う。きっとカレンも、それを望んでいるはずだから。

≪３年目　春の月　１８日　（金）　晴れ≫

　なるか無敗の三冠馬！　ルドルフよ、元ネタに並ぶのだ！
　というわけで、今日は草競馬の日。しかしその前に、動物たちを放牧することにする。雨が怖くて、なかなか決断ができなかったのだ。

　牛と羊用の放牧地は柵で囲っているのだが、家畜小屋の正面にある入り口だけは石で作っている。この石を取り除き、家畜たちをまとめて放牧地へ押し込み、すかさず石で入り口をふさぐというのが私の計画だ。
　私は家畜小屋に入って出入口に立ち、ベルを鳴らして動物たちを呼び寄せる。その時、私は大きな過ちに気付いた。なんと動物たちが、私のところに押し寄せてきたのだ。全てが一斉に！
　たちまちもみくちゃにされる私。動物に好かれるのは嬉しいのだが、周りを囲まれて身動きが取れない。これは、少しずつでも外に出していかなければ･･･。
　自分よりも外側にいるものから押し出していく。同じことを何度か繰り返し、ようやく全ての動物を外に出すことができた。本当はＧの出荷物を入手するために、次回の品評会に出場させるものだけは小屋に残しておきたかったのだが、とても選別できるような状況じゃない。そのうちヒマを見つけて、小屋に連れ戻すことにしよう。
　外に出ると、思った通り動物たちが一箇所に集まっていた。散らばらないうちにまとめて放牧地へ押し込み、石で入り口をふさぐ。おお、うまくいったじゃないか。

　放牧がうまくできたので、気分よく草競馬の会場へ向かう。
　な、なんだ、この熱気は！？　知人に挨拶しながら会場を一周したのだが、ミネラルタウンの人たちが異様に盛り上がっている。参加人数は、全てのイベントを通じて最多と思われる１６人（私を含む）。なんと過半数だ。ルドルフの３連覇がかかっていることを、みんな知っているのだろう。
　期待には、それ以上の形で応えたい。カレンも見に来ていることだし、たまにはいいところを見せたいものだ。だから今回の目標は優勝ではない。大差をつけての圧勝だ。
　･･･でもその前にチケットを購入（笑）。もちろんルドルフのみを９９枚だ。ちなみに今回のオッズは１７倍。なんと２番人気だ。ミネラルタウン以外の住人の中にも、ルドルフのファンが増えてきたのだろうか。それとも草競馬で小遣い稼ぎができるということに、みんなが気付いてしまったのだろうか。

　レースはもちろん先行策。あっという間に先頭にたち、どんどん差を広げていく。よし、ルドルフその調子だ。強気に超ハイペースで走るんだ。
　ところが、コース半ばにしてルドルフがバテてしまった。差を詰められることはないものの、広げることもできない。結局そのままゴールし、前回と同じ２着に３馬身半差をつける、普通の圧勝（？）に終わった。ああ、これは騎手の責任だ。やはり欲を出してはいけないか。

　私の乗り方は失敗だったものの、ルドルフはよく頑張ってくれた。おかげで今回も、気分よく帰宅することができた。
　夕食は恒例のまつたけごはんだ。でも私が作るとカレンがいい顔をしないので、まつたけを渡して作ってもらう。こんな時は、１部屋しかない我が家も悪くない。私は料理を作る妻を、いとおしく思いながら見つめていた。
　･･･でもいいんだろうか。出産間近の妊婦を働かせたりして。

≪３年目　春の月　２２日　（火）　晴れ≫

　明日は雨らしい。な、なぜ！？　昨日苦労して、品評会用の牛と羊だけを家畜小屋に入れたばかりなのに･･･。
　だ、誰か、この町に週間天気予報を！

　昼前に広場へ行く。今日は料理祭の日だからだ。
　そう、今年もやるぞ料理祭！　やっぱりカレンも出場だ！
　･･･ふぅ。

　さて、今年はパン料理の腕を競うことになった。なんでもホッペが落ちそうなパンがいいらしい。ホッペが落ちそうなパンというと･･･コッペパン？
　どこかで北風が吹いたような気もするが、構わず私は自宅に戻り、すぐさま料理に取り掛かる。秘蔵のレシピを確認すると、６種類のパン料理が書かれていた。しかしトーストやぶどうパンで優勝できるとは思えない。この料理祭では、味だけでなく豪華さも重要になるからだ。すると･･･サンドウィッチくらいしか良さそうなものがないな。よし、これにしよう。レシピ通りでは優勝できそうにないから、具にはゆで卵やきゅうりも加えて･･･よし、完成！
　心配になってカレンの様子を覗いてみると、おいしそうな黒糖パンが焼けていた。やはり毎日料理をしていると、カレンでも上達するのだろう。今年は彼女の笑顔が見られそうだ。

　会場のテーブルに料理が並べられる。もちろん私とカレンのパンもある。しかし私に挑戦状を叩きつけていたアンナさん（３年目、春の月、５日）は不参加。会場には来ているのに、なぜ参加しないのだろう。もしかして、私がなにか勘違いをしているのか？

　審査が始まる。どうやら私の知らないルールがあるらしく、審査員のグルメマンが食べる順番は去年と同じ。つまり私の料理はカレンの後ということだ。しかし今年はカレンもまともな料理を作っているから、審査は公平に行われるだろう。つまり私の真の実力が試されるということだ。
　まず始めはダッドさんのカレーパン。私のレシピに載っていない料理を作るとは、さすがは料理のプロ。いきなり強敵の登場だ。
　続いてランのバターロール。おっと、これは審査基準を理解してないな。どんなにおいしくても、シンプルな料理で優勝するのは多分無理だぞ。
　次はリリアさん。ぶどうジャムのジャムパンらしい。やっぱりシンプルなので、かなり不利なはず。
　マナさんは、りんごジャムのジャムパンか。しかしリリアさんもマナさんも分かってないな。ジャムパンで優勝を狙うなら、ぶどうジャムとりんごジャムに加えていちごジャムとはちみつも入れた、スーパー・ウルトラ・グレート・スペシャル・ミックスジャムパンでも作らないと。でなければ、グルメマンを驚かせることなどできはしない。
　そして問題のカレン。シンプルな黒糖パンで優勝は難しいだろうが、やはり夫としては、少しでも良い評価になってほしい。それにカレンの料理に対する情熱は本物だ。彼女が隠れて努力しているのを、私はよく知っている。努力は報われてほしいと思うのだ。
　グルメマンが黒糖パンを食べる。･･･な、なぜだ。なぜマズそうな顔をする！？
　どうやら黒糖パンではなく、コゲたパンだったらしい。ああ･･･。

　結局、今年も公平な審査は行われず、私の優勝になってしまった。でもこれは、夫婦で勝ち取った優勝なんだと前向きに考えたい。
　･･･もしかして、カレンはこれを狙っていたのだろうか。余計な気遣いはさせたくなかったのだが。

　帰宅してすぐに、動物たちを小屋に入れる。ベルを鳴らすとぞろぞろと集まってきてくれるので、大して時間をかけずに仕事を終わらせることができた。
　あれ？　一匹足りないぞ？
　放牧地を見渡すと、モコモコ（羊）がポツンと取り残されていた。モコモコは、まだ私になついていないからなぁ。ま、家畜小屋から出てくれないので初めから放牧していなかった、マイペースのメメちゃんよりはマシだろう。

≪３年目　春の月　３０日　（水）　晴れ≫

　ずいぶん日付が飛んでいるが、私の日記の場合は平穏無事にすごせたという意味なので、これは喜ばしいことなのだ。

　月末ということで、収穫が終わった作物を刈り取らなければならない。そこで久しぶりに重労働を行い、久しぶりに力尽きて倒れてみる。ああ、この顔面を受け止めてくれる地面のやわらかいこと。いい畑になったなぁ。

　汗と泥を流すため温泉に入る。私はナマズイス（笑）に腰掛けると、フーッと、大きく息をつく。
　そういえば、温泉に入るのも久しぶりだ。仕事はほとんどコロボックル達がやってくれるうえ、私に体力がついたため、仕事中に疲労を感じることが少なくなったからだ。自宅に風呂ができたことや、お金を気にせず食堂で定食を食べられるようになったのも関係しているだろう。いずれも、私の生活の豊かさを証明するものだ。そういえば、今日あたり･･･。

　帰宅して、出荷伝票をもとに家計簿をつける。思った通り、所持金が１００万Ｇに到達していた。春の月の最後を飾るに相応しい、大台突破といえるだろう。しかし今月の出荷数を計算していたとき、いちごが飛び抜けて多いことに気が付いた。出荷額がわずか３０Ｇという、一番安い作物ばかり作ってどうするんだ（笑）。まあキャンディ牧場らしいといえばそうなんだけど。

　さあ、明日からは夏の月。動物がらみのお祭りが多い、とっても楽しい月だ。でも最大の関心は出産！　カレン、もうすぐなんだよね？

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　データは夏の月の１日に目を覚ました時点での、家計簿などから拾って計算しています。
　冷蔵庫や整理棚に入れている物は含まれていません。
　この他にもゴミを２６個（合計２１２個）釣っています。