トップページに戻る ゲームの話に戻る 前のページへ 次のページへ

≪2年目 秋の月 1日 (金) 晴れ≫

 朝食はマヨネーズMサイズだった。・・・LサイズやPサイズじゃないので良しとしよう。サラダを作って丸呑みすると、私は仕事をするため家を出る。
 家を出ると、カイが待っていた。夏が終わったので、また遠くの町へ行くらしい。あわただしい奴だ。さっさとポプリと結婚して、ここに落ち着けばいいのに。
 もしかして、青い羽根(1000G)を買うお金がないのだろうか。そのくらいなら、雑貨屋にコネができた私が何とかしてあげられるのだが。
 ・・・いや、これくらい自分で購入できなければ、幸せな結婚生活など送れるはずがない。カイ、頑張れよ。私は応援しているぞ。

 月初め恒例の仕事である種まきをする。雑貨屋で売っている種は、月が変わるまで品揃えが変わらないのだが、私は去年のうちに秋用の種を購入していたのだ。もっとも畑をここまで広げる(54面)とは思わなかったので少し足りず、後で買いに行かなければならないのだが。

 種をまくと、待ち構えていたようにコロボックル達が水をまき始める。その動きの速いこと。とろくさい上に仕事と休憩が半々だった以前とは、比較にならない身のこなしだ。なにせアクアグリーディティミットの3人だけで、54面もの畑を楽にこなすのだ。もちろん他のコロボックル達も一人前になっている。チョッカクボルドーは動物の世話、ナッピーシェフネンは収穫の専門家だ。彼らがいてくれるからこそ、私は牧場以外の仕事(笑)に全力を注ぐことができるのだ。

 読者の中には、私がコロボックル達をこき使っているように感じている人がいるかもしれないが、決してそんなことはない。彼らの待遇は1月あたり、休日が6日ほどで給料は小麦粉(50G)6袋ほど。一日の労働時間は、朝の6時から夜の9時までの15時間。
 ・・・いや、表面的な数字だけを見るとこき使っているようにしか思えないが、給料のことは以前に書いたはず1年目、秋の月、15日。長すぎる労働時間だが、これは拘束時間。実際にはいつでも休憩でき、家畜担当者は朝の10時には仕事が終わり、収穫担当者は仕事がない日も多い。水やり担当者だけは大変な気もするが、家畜担当者のどちらかが応援にくる日も多く、また月初めは収穫担当者も応援にくるので、実際の仕事量はさほど多くはないはずだ。
 もちろん雨の日は仕事がないし、いざという時には私も手伝っている。また役割に関係なく、仕事が終われば牧場で遊び放題だ。あと特例として、台風と大雪の日は休みだし、私がうっかり仕事の段取りを間違えて、臨時休暇になる日もある。
 ほら、決して悪い待遇ではないでしょ?

 言い訳が終わったところで街へ散歩に行き、その途中で教会に立ち寄る。ここはいつの頃からか、裏口の鍵が外れたままになっており、教会の裏にある小さな林に行けるようになっていたのだ。この林には夏には何もなかったのだが、季節が変わったので、何か珍しいものが採取できるかもしれない。
 そして林の中を探険していると・・・こ、これは!?
 うひひひひ・・・ま・つ・た・け! しかも2つ! 他にきのこ毒きのこも生えていた。
 そうか、裏口の鍵が外れていたのは、神父のカーターさんがきのこ狩りをするためだったんだ。カーターさんが収入のない仕事でも暮らしていけるのは、秋にきのこを出荷して稼いでいたからなんだ。
 ・・・でも全部出荷しても1日で1170G。やっぱり贅沢はできないから、食べ物イベントには必ず参加しているんだな。今度まつたけごはんを作って、差し入れしてあげよう。カーターさんには色々とお世話になっているんだし。
 ・・・まてよ、なんでまつたけが取れない夏にも鍵が開いていたんだ? 夏には私の知らない超高額出荷物が生えており、私が教会を訪れるまでに全部採取していたのか? そして秋にはまつたけが3本以上生えるのだが、私の目を欺くために2本だけ残しているのか?(注)
 ・・・聖職者の風上にも置けんな。まつたけごはんの差し入れの話はなしだ。それから、毎日まつたけのおこぼれを貰いに来ることにしよう。
 ・・・いつか証拠が見つかるかもしれないし。

注:まつたけを全部収穫していると、何もないのになぜ裏口から外に出ている形跡があるんだ? という疑いをもたれてしまう。また単純な人ならば、まつたけを見つけたことだけで満足してしまい、他のことにまで考えが及ばなくなってしまう。・・・なんとなくヘリクツに思えるのは気のせいである。


≪2年目 秋の月 2日 (土) 晴れ≫

 カーターさんが、明日の音楽祭に参加しないかと言ってきた。もちろん参加だ。去年は吹けなかったオカリナを、今日一日練習して吹けるようになってやる。

 カーター「オカリナは明日わたすから。」

 それじゃあ、ダメなんだってば!

 アンナさんの家で、料理教室の2回目が行われた。今日教えてもらったのはクッキーチョコレートを入れるとチョコクッキーになるらしい。
 ・・・それ、以前に誰かから教えてもらったんだけど。
 あれ? 教えてもらったのはチョコクッキーだったかな? それからチョコレートを抜いて、自力でクッキーを作ったような気も・・・。
 どっちにしろ、今回は意味がなかったな。ま、楽しいから構わないんだけど。


≪2年目 秋の月 3日 (日) 晴れ≫

 音楽祭は、夕方の6時から教会で行われる。私は10分前に教会に到着して、中に入ろうとする。おや、鍵がかかっているぞ? なんで?
 ・・・と不思議がっていると6時になり、扉が開くと中からカーターさんが現れた。扉の陰になって私が見えなかったらしく、表に出て人が来るのを待っている。
 結局、訪れた人が教会側から話しかけ、待っていた人が道路側から返事をするという、奇妙な挨拶が行われた。

 今年の参加者も去年と同じ。カレンが歌い、マリーがオルガンを弾き、エリィランが笛を吹き、そして私がオカリナを吹くマネをする。聴衆はサーシャさんジェフさんユウくんメイちゃんの4人。もちろん主催者のカーターさんもいる。
 ふと気付いたのだが、なんとなく明後日の結婚式と同じ顔ぶれという気がする。同年代の女性3人はどうか分からないが、カレンの両親とカーターさんは間違いないし、小さな子供を呼ぶとしたら、この村にはユウくんメイちゃんしかいないのだから。
 ・・・まずい、これで吹きマネがばれたりしたら、結婚式が気まずい雰囲気になる。いや、それ以前に婚約破棄などということもありえる。
 えーい、こうなったらやってやる! 動物の世話をしている関係で指笛は得意なんだ。オカリナも似たようなものさ!

 ・・・結論。やれば何とかなるものである。


≪2年目 秋の月 4日 (月) 晴れ≫

 秋の月は、春の月と並んで雨が多い。だからといって、明日の結婚式に降らなくてもいいじゃないか!
 一体、私が何をしたというのだろう。去年の冬には記録的な大雪に苦しめられ、今年は牛祭りで冷や汗をかき、婚約したら台風が直撃。そして結婚式の日は一日中雨。私は天候に苦しめられてばかりだ。雨男というのは聞いた事があるが、私の場合は天災男なのだろうか。
 ・・・ま、雪男と呼ばれるよりはマシだろうが。

 教会裏の林へきのこ狩りに行くと、先客がいた。
 ・・・カーターさん、嬉しそうにまつたけを採ってるよ。まさか、3日前の日記に書いた冗談が本当だったとは・・・。
 ま、いいけどね。形になる仕事をしなければ収入を得られないミネラルタウンにおいて、カーターさんが不利な立場にいることは事実なんだ。ここでまつたけが採取できることも、そのことをカーターさんが隠そうとしたことも、2人だけの秘密にしておこう。
 ・・・口止め料は、毎日まつたけ2本ずつね。


≪2年目 秋の月 5日 (火) 雨・・・のはず≫

 私とカレンの結婚式。
 ウエディングドレスを着たカレンは、いつにも増してきれいだ。でも私は、カレンの容姿に引かれて結婚を望んだわけではない。ではどこに? と聞かれると、答えるのは難しいのだが。
 酒豪で、短気で、気が強く、料理はまるでダメ。同年代の女性の中では、一番欠点が多いかもしれない。思い出の女の子かもしれないということも、実はあまり気にしていない。思い出は思い出だ。私がミネラルタウンで暮らすきっかけの1つにはなっても、今のカレンや、これからの私には関係ない。思い出の女の子が別人で、その女性と再会していたとしても、私はカレンとの結婚を望んでいただろう。
 あえて言えば、放っておけなかったからかもしれない。自分の利益を省みず、人の幸せを自分の喜びとする彼女はきっと、いつまでもそんな生き方を続けるだろうから。
 でも誰よりも優しい彼女には、誰よりも幸せになってほしいと思う。答えにはなっていないかもしれないが、これが彼女に引かれた理由だろう。

 私がカレンの夫に相応しい男だとは思っていない。彼女を幸せにできるかどうかも分からない。しかし、これだけは誓うことができる。私はこれから、彼女の幸せのために生きていくのだと。彼女の幸せこそが、私の一番の喜びでもあるのだと。だから不安があっても、私は自信を持って答えることができる。

 カレン「ぜったい、幸せにしてよね。」

 ああ、もちろんさ!


≪2年目 秋の月 6日 (水) 晴れ≫

 なんだか昨日の日記は最終回のようになってしまったが、先月の最後に書いたように、この日記はまだ終わらない。昨日までが第一部、今日からが第二部だ。第三部の予定はないけれど(注1)

 いつも通り6時に目を覚ますと、カレンはもう起きていた。今日の朝食は、カレンの手作りだろうか。しかしプロポーズの時にあんなこと(注2)を言った以上、料理を拒否するわけにはいかない。もし何かあっても、冷蔵庫にはかなりちからでーるかなりつかれとーるが2本ずつ入っているから、ドクターのお世話になることはないだろう。
 ・・・別に、この時のために用意していたわけではないのだが。

 私は気合を入れて料理を食べる。
 ・・・ん? まずくないぞ!? これはどういうことだ? 婚約してから1週間、みっちりと料理の修行をしてきたのか? それともこの牧場の作物や台所が、カレンの感性にピッタリだったのか? それともそれとも、これが恋は盲目という奴なのか!?
 理由は分からないが、朝食時に倒れるのが日課になることはなさそうだ。

 結婚しても、私たちの生活は変わらない。私は牧場などの仕事があるし、カレンは実家の雑貨屋で働き続ける。変わったのは、夕方から翌日の朝までをキャンディ牧場で一緒に過ごすことだけだ。
 それでも私たちは夫婦だ。昨日までとは違う。心がつながっている限り、2人の生き方は関係ない。個人の幸せと夫婦としての幸せは、きっと両立できるはずだ。

 今日はコロボックル達に休みが多かった関係で、夜遅くまで畑仕事をしていた。
 おや? こっちに来るのは警官のハリスさんじゃないか。こんな時間に何の用だろう。

 ハリスさんは、恋の悩みで私に相談しにきたらしい。しかし私が恋愛結婚だったからって、「恋愛経験が豊富」ってのは買いかぶりすぎだ。私の経験が他人にとって何の参考にもならないことは、この日記を読みかえすと涙が出るほどよく分かる。
 結局、私はハリスさんに当たって砕けろ精神でいくことを勧めた。ハリスさんは間違いなく好青年だ。足りないのは決断力だけだ。勇気さえ持てばなんとかなるだろう。
 しかし結婚式の翌日に相談に来るなんて、相手はカレンじゃないだろうな。
 えっ、相手はアージュさん? アージュワイナリーから出て行ったっていう、あの? ほー。

注1:実際のゲームでは結婚式の後でスタッフロールが流れるが、その後も永遠にゲームを続けることができる(登場人物は年を取らない)。

注2:「カレン、これからずっと、私のために料理を作ってくれないか?」・・・このセリフには、彼女の料理を食べ続けるだけの覚悟があるという意味がこめられており、本人はいたって真面目であるが、真意を悟られたら断られていただろう。


トップページに戻る ゲームの話に戻る 前のページへ 次のページへ