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≪オススメ度【2:苦痛】≫


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PS2 真・女神転生3 ノクターン セブン モールモースの騎兵隊 ティル・ナ・ノーグ 悠久の仁
.hack vol.1〜4 リーヴェルファンタジア ロマサガ ミンストレルソング
PS (ウィズ)エンパイア 古の王女 ウィザードリィ ディンギル 英雄伝説3 白き魔女
サガ フロンティア サガ フロンティア 2 玉繭物語
女神異聞録 ペルソナ ルナティックドーン オデッセイ  
GBA 黄金の太陽 開かれし封印 デビルチルドレン 氷の書  
GBC ウィザードリィ エンパイア ザ・ブラックオニキス  


真・女神転生3 ノクターン (PS2/アトラス/2003年)
 バランスさえまともであれば間違いなく名作、しかし実際にはライトユーザーお断りのうえに、ファンでさえ欠点に目をつぶってプレイしている。そんな過去の作品の評価を開発者が自覚した上で作っていなければならないこの作品ですが、RPGとしての魅力が大きく損なわれており、バランスは丁寧なのに非常に悪いという、単なるイロモノRPGになっています。

 RPGとしての魅力、それは「主人公となってその世界で生きていくことに魅力を感じられるかどうか」でほぼ決まります。
 しかしゲームの舞台が、理解しがたい妄想的な世界であれば、それだけで感情移入することは困難です。しかも主人公の設定が、描写することさえためらうような、生理的に受け付けない人が多いものとなれば、感情移入しにくいどころではありません。しかも「それでも生きていこう」と思えるだけの、はっきりした目的はありません。

 「普通の人なら発狂しかねない状態で、理解不能な世界でわけも分からず、それでも目的を探して生きていく。でも最後までわけが分からない。」
 こんな設定に魅力を感じるという人は、一体どれだけいるのでしょうか。しかしシナリオ等を無視してゲーム部分だけを楽しむというのも、以前の作品ならばともかく、今回は困難になっています。

 ゲーム部分の特徴は、弱点をつけば行動回数が限定的に増えるという戦闘システムです。しかしこのシステムは現実的な戦闘からかけ離れた、極端にパズル的な作りになっています。弱点をつかなければ厳しく、逆に弱点をつかれたら簡単に戦闘不能になり、それは大抵の場合ゲームオーバーに直結します。そのため、常に完璧なプレイが要求されます。

 しかし弱点を持つことは、システム及び設定の上では個性であるはずなのに、バランス上は不可となるため、完璧なプレイをするために攻略情報を頼りにするか、何度もゲームオーバーを経験するしかありません。
 また相手の弱点を常につくためには、どんな状況にも対応できる完璧なパーティを維持する必要がありますが、それを実現するために必要なのは、工夫や計画や努力ではなく、運と根気です。
 しかも苦労して会得した魔法や特技を、全く別の種類にランダムで変化させ、プレイヤーに苦痛を与えるシステムさえ存在します(本来は成長システムの一種)。これは避けることも可能ですが、利用しようとすればリセットは不可欠であり、これでは存在する意味がありません。

 更に問題なのが、ゲームバランスのとり方です。
 「敵は倒されるために登場する」という状態でなければまともに遊べないため、慣れると簡単すぎて非常に退屈なゲームになります。しかし敵のみに存在する奇襲攻撃や強力な特技、そして必要以上に賢い敵の行動パターンにより、無敵状態なのに何もできずにゲームオーバーになることは珍しくありません。しかもマップが広大なため、理不尽なゲームオーバーが理不尽な確率で発生します。
 つまりこの作品で緊張感をもたらすのは、敵ではなく不運。その緊張感にはストレスが伴います。

 この作品全体を見ると、「プレイヤーは都合の悪いことがあればリセットする」「プレイヤーは都合の良いことが起こるまで何度もやり直す」という前提で作られているとしか思えません。しかしリセットに代表されるやり直しというのは、ゲーム世界の外で行われるものです。RPGとはゲーム世界の中で生きることを楽しむ娯楽ですから、これは根本的な部分から間違っているといえます。

 それ以外にも、画面が見づらいという理由で解けないパズルなど、ゲームとしておかしな部分はいくつもあります。また独特の設定やシステムの影響で、一般的なRPGには存在する、そして以前の作品には存在した楽しさの多くが失われています。

 この作品をプレイして初めに感じることは、表面的な自由度の高さと難易度の高さ。だからこそやりがいはありますし、工夫し、努力し、自分の方針を貫いて難関を乗り越えたときには、大きな満足感が得られるかもしれません。
 しかし実際の自由度は低く、難易度も低く、ただ理不尽な部分が多いだけ。よく考えると求められるプレイスタイルは、工夫ではなくごり押しです。それに気付けば虚しさを感じる作品だと思います。

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7(セブン) モールモースの騎兵隊 (PS2/ナムコ/2000年)
 この作品を “RPGとして” 評価するならば、“問題外” です。さらに言えば、売上が期待できない内容の別ジャンルの作品を、目先の利益を考えてRPGとして発売したとしか思えない、法的に問題がありそうな作品です。
 このゲームは、クリア後にプレイできるシミュレーションゲームが本当の作品であり、前半部分(RPG風味のミニゲームつき物語)は、後半部分の設定を紹介しルールを学んでもらうための、チュートリアルモードというような気がします。

 前半部分は、チュートリアルモードとしてはかなり良くできています。説明しきれていない、あるいは説明のまずい部分が少しありますが、普通に始めれば戸惑う人が多そうな後半部分に、無理なく入れるようになっています。特に前半と後半のつなぎの部分は、非常にうまくできていると感じました。

 しかしRPGらしい楽しさはほとんど存在せず、会話しながら場所を移動し、イベント的な戦闘を時々行うだけという、退屈な内容は誉められません。戦略重視の戦闘は面白いものの、これはRPGの戦闘ではなく、明らかにパズルです。
 RPGとしての特徴といえば、童話的な雰囲気くらいのもの。しかしこれは嗜好の問題であり、童話としての出来は平凡だと思います。ボリュームもチュートリアルとしては超大作でも、RPGとしては少なく感じます。
 結局、RPGとしては失格、娯楽としてはそこそこ、値段を考えればやはり失格、というのが私の感想です。

 なおここからは、後半のシミュレーションゲームについてですが・・・
 こちらは批評というよりも、少しプレイしての感想ですが、良い出来だとは思いませんでした。
 全滅やゲームオーバー、初めからのやり直しがゲーム内容の一部になっているとはいえ、非常に難しく、RPGやほとんどのシミュレーションゲームのような「クリアできるのが当たり前」という感覚ではプレイできません。もしそういった感覚でプレイするのならば、状況を見ながらのリセット、そしてリセット必須の状況が突然やってくることを考えながらのプレイが求められると思います。

 また一般的なゲームでは、レベルアップやシナリオ進行のように、ゲームが進んでいくという感覚を味わえることが重要ですが、この作品はうまくやれば(リセットなしでも)すぐに強くなり、後は現状維持を延々と目指す(これが難しい)という、充実感を感じにくい内容になっています。
 さらに前半から引き継いでいる童話的なイラストが、硬派なゲーム内容とまったく合っていません。しかもジャンルを偽ってまで(?)販売した品質重視の作品であるはずなのに、兵種ごとの使い勝手に大きな差があるなど、シミュレーションゲームとしての完成度にも疑問を感じます。

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ティル・ナ・ノーグ 〜悠久の仁〜 (PS2/システムソフト/2009年)  
   ゲームスタート時にシナリオやマップ、人名などがランダムで作成されるため、すべてのプレイヤーが異なるゲームをプレイすることになるという、「自分だけのRPG」が楽しめる作品です。またこのシステムにより、何度プレイしても新鮮な気持ちで楽しめるという利点もあります。
 しかし基本的なシステムやバランスは非常に雑なため、何度もプレイするどころか、1度目のプレイ途中で投げ出す人も多いのではないかと思います。これではランダム作成の意味がありません。それどころかランダム要素が強いせいで開発者がシステムを扱いきれなくなり、それが快適さを損ねる原因の1つになっているようにも思えます。

 この作品には欠点が山のようにあります。
 セーブやコマンド入力等、あらゆる処理が遅いこと。文字が小さくて読みづらいこと。難易度設定があるとはいえ、ノーマル(3段階中の真ん中)でもかなり難しいこと。店の品ぞろえが悪い上にランダムなため、長期間武器を装備できずに戦わなければならないキャラクターも珍しくないこと。・・・などなど。
 細部へのこだわりを感じる部分もあるのですが、それらは全て、快適さや総合的な楽しさを犠牲にして行われています。これでは何のプラスにもなりません。
 例えば移動速度が遅い(設定変更可能)のは、1歩1歩慎重に探険する雰囲気を出そうとしているためだと思われますが、見づらい画面で慎重にプレイするのは非常に疲れます。この見づらさの原因は常識やアイデアの問題であり、技術的な問題だとは思えません。また攻撃命中率が異常に低いのは、移動時間と攻撃時間のバランスを、そして近接攻撃と遠距離攻撃のバランスをとるためだと思われますが、1回の攻撃と1マスの移動に必要な時間に差をつければ、命中率をもっと高くすることだってできたはずです。近接攻撃用武器と遠距離攻撃武器の命中率や威力に差をつければ、現状よりもずっと快適かつバランスの良い戦闘になったはずです。

 いずれも目の付けどころは間違っているとは思いません。「一歩一歩慎重に探険してほしい」、「ザコ戦の1つ1つの行動にも真剣になってほしい」。そんな開発者の思惑がプレイヤーに伝わりさえすれば、それらは魅力的な個性となるはずなのですから。
 しかし実際にプレイしていると、とてもそんな気持ちにはなれません。「快適に遊ばせてほしい。そうすれば何周でもプレイできるのに。」そう思わずにはいられないのです。

 結局この作品は、素晴らしい可能性と魅力を兼ね備えながらも、気力が有り余っているレトロRPGマニアくらいしか楽しめない作品であり、その原因は出来の悪さにあります。決して方向性の問題ではありません。パソコン用ソフトとしてシリーズ化されている作品の移植なのですから、もっと快適に遊べるようにしてほしかったと思います。

(バグ)
 一部のテキストに誤りがある(目的地が存在する地名が間違っている、など)。
 マップ画面の3ページ目(最終ページ)でカーソルをループさせるとフリーズする(正確な条件は不明)。

.hack vol.1〜4 (PS2/バンダイ/2002年)
【vol.1のみをクリアした時に掲載していた批評文】
 オススメ度【3】

 プレイヤーが主人公になったつもりでプレイするのがRPGの基本ですが、この作品はプレイヤーはプレイヤーのままで、オンラインゲーム感覚で遊ぶという特殊な構成になっています。そして(ゲーム内の)ゲーム世界で出会った人とメールのやり取りができるなど、(ゲーム内の)現実世界もシナリオの一部になっています。
 このように斬新で、しかも快適にプレイできる作品でありながら、満足感は今ひとつ。その原因はゲーム的な楽しさに乏しいからでしょう。敵に近付いてボタンを連打するだけで勝ててしまう戦闘や、工夫や探険をすることに魅力が感じられない(ゲーム内の)ゲーム世界など、作りこみの甘さが目立ちます。

 「アイデアは面白いのにゲームとしてはイマイチ」というRPGは珍しくなく、この作品もその1つと言えます。ただし他のRPGが「アイデアそのものは面白いが、RPGを面白くするためのアイデアとしては方向性から間違っている」ということが多いのに対し、この作品は「面白くするためのアイデアとしても素晴らしい」と思います。もっと作りこんでいれば素晴らしいRPGになっていた可能性があるだけに、もったいないと思わずにはいられません。もっともパロディモードというおまけがついている事を考えると、開発者は十分に作りこんだつもりなのかもしれませんが。

 この作品はvol.4までで1つのゲームとなっており、このvol.1のエンディングは「第一部:完」といったところです。ボリューム的に物足りなく、物語もこれからというところで終わってしまうため、このvol.1をクリアしても満足感は得られないでしょう。でも高いお金と貴重な時間を費やしてまで続きがしたくなるほどの魅力はありません。ゲーム部分の物足りなさが全てを台無しにしている、本当にもったいない作品です。


【vol.4までクリアしての批評文】

 vol.1をプレイした時には「凄そうな作品だけど、完成度の低さゆえに損をしている」という印象を持ったのですが、ゲームが進むにつれて、大きな問題がボロボロと目に付くようになります。特にバランスは酷いものです。

 バランスが悪いゲームというのは、大抵は戦闘に関わる数値の大小や確率的な部分が目に付くものですが、この作品はそれ以前の問題である「RPGの基本と常識」がなっていないように思います。
 例えば、やりこんでもいないのに簡単に上限に達してしまう能力値。耐性が最大でも絶対に(?)避けられない状態変化魔法を全体にかけてくる一部のボス。簡単にHPが0になるダメージ。それでもクリアできるようにするための回復アイテム全種99個持ち。などなど・・・。

 シナリオも楽しめません。ストーリーそのものは悪くないと思いますが、長編シナリオにするため無理やり水増ししているように感じます。そしてこれはテキスト部分だけの問題ではなく、構成上の問題(ゲーム全体のバランスや方向性)も響いているように思います。

 ゲームのバランスというのは、「適度に苦労しながらもクリアできるのが良い」という単純なものではありません。プレイヤーにどこでどんな形でどれだけ苦労させるか、それを克服するための手段をどこでどんな形でどれだけ用意するのか、そして見返りがどこでどんな形でどれだけ得られるかなど、考えるべき部分はいくらでもあります。
 またストーリーとシナリオは別物であり、どんなに素晴らしいストーリーでも、うまく加工してきちんとしたゲームシナリオにしなければ、面白いゲームにはつながりません。
 このような構成のバランスは、どんなプレイヤーにも感覚的に強い影響を与える重要な要素であり、ライトユーザーにとってのドラゴンクエストや、マニアにとってのウィザードリィのように、この部分の良さで人気を獲得したRPGはすでにいくつも存在します。またこの部分の重要性に気付いている人はいくらでも存在します。それなのに初歩的な問題がこれだけ目立つと、開発者の勉強不足を疑いたくなってしまいます。

 ゲーム部分以外にも問題があります。演出に生かしているとはいえ、4本に分けて発売するような分量ではありませんし、付属のDVDアニメは不自然な演出と展開が目立つメチャクチャな内容です。価格に見合う内容だとはとても思えません。

 というわけでこの作品は、開発者の自己満足だけが目立つ低レベルRPG。あるいは壮大な企画に能力がついていかず、無理やり完成させてしまった駄作。そう表現しても過言ではないと思います。

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リーヴェルファンタジア マリエルの妖精物語 
 (PS2/ビクターインタラクティブソフトウェア(現マーベラスエンターテイメント)/2002年)
 クリアしていません。操作性が極悪で進めない場所があり、泣く泣く中断しました。

 ハートウォーミングRPG。
 このジャンル名に偽りはなく、心温まる世界と物語が待っています。戦闘が存在しないのにRPGらしさはあり、退屈さを感じることもありません。でも退屈しない理由はとんでもないものです。なにしろ視点が極悪で町を歩くのも一苦労、そのうえ微妙な操作をしなければならない場面さえあるため、戦闘があったらやっていられないのです。操作そのものが戦闘の代わりになっているような状態なのです。またそんな作品であるため、3D酔いしやすい人は、慣れるまでは非常に辛いと思います。
 もっとも快適にプレイできたとしたら、私はゲーム部分を単調に感じ、「これはRPGではなくデジタル人形劇だ」として減点したかもしれません。それでも現状よりはずっと楽しくプレイできたはずです。

 そんなこの作品をネットで検索し、他の人のレビューや感想などを読んでみると、面白い現象が見られます。ほとんどの人がこの操作性の悪さを酷評し、苦痛に耐えながらプレイしているのに、怒りを感じる文章が少ないのです。そして私の印象よりもずっと多くの人がクリアしているようなのです。それくらい “ハートウォーミング” の部分が高く評価され、物語の先が見たいという一心でクリアし、満足した人が多いのでしょう。・・・もしかしたら、私が不器用なだけかもしれませんが。

 このように、極悪な操作性を除くと、決して悪い作品ではありません。特に可愛らしいイラストをもとにした、人形劇のような雰囲気のイベントは良くできています。笑いあり、洗練された物語ありで、中にはRPG至上屈指の名(迷)場面だと思えるくらい素晴らしいものもあります。童話的な雰囲気が嫌いな人でないかぎり、ヒマつぶしのためではなく、ヒマを作ってでも見る価値のある物語だと思います。それだけに、まともにプレイできないことが悔やまれるのです。
 そもそも「RPGってなに?」と言いますと、疑似体験ゲームです。何らかの理由で実際には体験できないことを、気分だけ味わおうというゲームです。それなのに、実際に苦しさまで味わわなければならないなんて・・・。

 この作品の開発に関わった人は、これだけの物語を多くの人に見てもらいたいとは思わなかったのでしょうか。心温まる物語を心無いゲームとして発売することに、良心が痛むことはなかったのでしょうか。物語の中心要素ともいえる愛情は、セリフのみでプレイヤーの心に届くものなのでしょうか。きちんと作っていれば企業の大幅なイメージアップに繋がったはずの作品を、目先の利益を優先して手抜きで発売し、トータルでの利益を損ねることは、会社員として問題があるのではないでしょうか。
 ゲーマー向けではないだけに、クレームレベルの出来の悪さが特に大きく響きます。もし他の業種で同じレベルの仕事をしたら、営業停止さえありえるかもしれません。実際に食品業界では、「すごく美味しかったけど、不衛生のために食中毒を起こした」という場合には、営業停止になるのですから。

 「大好きだけど、2度とプレイする気にはなれない。」「大好きだけど、とても他人には勧められない。」「この作品は大好きだけど、これを作った人は大嫌い。」
 そう思う人が多そうなこの作品、話のタネにプレイしてみる勇気はありますか?

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ロマンシングサガ ミンストレルソング (PS2/スクウェア・エニックス/2005年)
 スーパーファミコンで発売された “ロマンシング サガ” のリメイク作品で、イベントが追加されているだけでなく、システムがほぼ一新されています。戦闘バランスは悪いものの、サガシリーズとしては非常に良いといえます。
 8人いる主人公候補の中から1人を選んでプレイする、非常に自由度の高い作品・・・というのが表向きの構成です。

 しかし「最も好きなキャラクターを選んで普通のRPGのように遊ぶ」という遊び方では、この作品につまっている楽しさの半分も味わうことができませんし、「遊びつくす」という遊び方では作業的になる部分がほとんどで、ゲーム世界に浸ることは困難です。
 つまりこの作品は、プレイヤーの嗜好にあわせて様々な遊び方ができる一方で、どんな遊び方をしても十分な楽しさは得られません。さらにどんな遊び方をしても、強い苦痛を感じるという問題さえあります。

 この作品には大きな特徴があります。それは物語にあわせてゲーム内時間が流れるのではなく、ゲーム内時間にあわせて物語が進むことです。これ自体は決しておかしな考え方ではありません。むしろ現実的かつ自然な考え方であるといえます。
 しかしRPGは娯楽であり、重要なのは見せかけのリアリティよりも楽しさです。ですから自然なアイデアをお手軽な方法でゲームに導入しても、プレイヤーが満足するとは限りません。そしてこの作品の場合には、このことが最大の問題を生み出す原因にもなっています。

 この作品の場合、時間の流れに影響を与えるのは戦闘した回数ですが、それが出現する敵のレベルにも影響を与えています。その結果、「戦闘を繰り返していると、こちらの成長を無視して敵がどんどん強くなる」「戦闘しすぎるとイベント失敗になることがある」ために、敵と戦うのが嫌になります。
 しかし戦闘を避けるためには、用意されている様々な楽しみを諦める必要があります。
 そこまでしても画面の異常なまでの見づらさが原因で、戦闘になってしまうことが頻繁にあります。さらにチェーン(連戦システム)などの関係で、周囲の敵すべてと戦うはめに・・・ますます敵と戦うのが嫌になり、やがて冒険、探険することすら嫌になってきます。自由を演出するためのシステムのせいで、プレイヤーは自由に遊ぶことができません。

 ゲームの中には様々なシステムが含まれているものですが、この作品には特に多くのシステムが存在します。しかし膨大な数の「無くても良いシステム」と「方法に問題があるシステム」が、(前述のように)偶然とは思えないほど見事に絡み合い、プレイヤーイジメとしか思えない現象を生み出しています。もちろん偶然(?)良い結果になっている部分もありますが、印象の強さは比較になりません。

 この作品はこれほど酷い内容ですが、ある程度の運と根気があれば、初めから最後まで文句を言い続けながらも十分に遊べることは確かです。なぜなら音楽が素晴らしく、映像も背景の見た目だけなら良い出来のため、それだけで「この世界を冒険してみたい」と思えるほど雰囲気が良いからです。
 ゲーム性に関しても、成長や偶然性が生み出す “嬉しさ” には優れています。
 しかしRPGとしての洗練された “楽しさ” は、あまり感じられません。

 サガシリーズを料理に例えるならば、良質の食材と最高の器を使った黒コゲの料理です。お客は器に驚かされ、料理の食べられる部分を探して口に入れ、「焦げてさえいなければ」と料理人の成長に期待し、一部の人が店に足を運ぶから繁盛します。
 しかし料理人の正体は素人で、本人はそのことに気付いていないからいつまでも焦がし続け、農家や漁師の努力を無駄にし続けたうえに、客の期待を裏切り続けます。

 決して完成しないことが明らかな未完の大器。それがサガシリーズだと思います。この作品はサガシリーズとしては良い出来なのでしょうが、「サガとはこんなゲーム」と理解しているファンが攻略本を片手にプレイするのならばともかく、心地よい楽しさを求める一般的なRPGファンにとっては、娯楽とよべない代物でしょう。

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ウィザードリィ エンパイア 古の王女 (PS/スターフィッシュ/2001年)
 前作(オススメ度【3】のページ)が存在しますが、係わりは全くというほどありません。

 基本はウィザードリィですが、システムが数多く追加されています。その理由も理解はできます。しかしバランスに大きな問題があるため、かえって楽しさを損ねています。ウィザードリィの楽しさには完成度が大きく関わっているのですから、バランス調整には特に力を入れてほしいものです。
 もっともバランスは、努力だけで良くできるほど単純な要素ではないのですが。

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ウィザードリィ ディンギル (PS/アスキー/2000年)
 ウィザードリィ外伝(3,4)の流れを汲む作品ですが、プレイヤー視点を完全に無視した、おかしな部分が目立ちます。

 戦闘バランスは、ゲーム開始直後はプレイスタイルによって「楽すぎ〜難しすぎ」まで変化しますが、序盤から大量の経験値が入手できるためすぐに敵が弱く感じられるようになり、することはマップを埋めることだけになってしまいます。

 探索しているとあちこちで見つかる古代文字を、それが書かれている場所から想像して解読していくという謎解きは非常に面白いのですが、その成果を実際に生かす時というのは、意味不明な単語を片っ端から当てはめていくだけ。しかも実際には文字の解読をする必要がなく、下手に挑戦して間違いがあると、逆に行き詰まる原因になってしまいます。また何が重要で何がそうでないのか、そして何がどこに関係しているのか分かり難いのも問題です。

 退屈に感じることが多い戦闘と不親切なイベント、かなり人を選ぶ世界観やモンスターイラストを相手に延々と作業を繰り返してクリアしても、待っているのは、隠しマップへ行くためにはもう1度初めからやり直さないといけないという非常識な罠。それに耐え抜いて隠しマップに到着すると、ラスボスよりはるかに強いモンスターが群をなして出現し、最弱キャラに集中攻撃・・・。

 問題だらけのこの作品ですが、最大の問題である戦闘バランス崩壊の原因は想像できます。
 戦闘の難易度がウィザードリィにしては低いのは、このシリーズの難しさに不満を持つ人が多いからでしょう。しかしウィザードリィのシステムは現代風のRPGを作るのには向いていないのですから、数値だけをいじって普通のRPGに近づけようとしたら、おかしくなって当然です。
 また隠しマップの敵が異常に強い理由は、外伝シリーズを1からプレイしているとよく分かります。ようは「前作よりも凄いもの」を目指した結果、「前作より敵が強い(HPなどの数値が大きい)」などとなったのでしょう。

 他のシリーズ物でも、続編が出るたびにHPなどの数値が大きくなっていくことはよくあります。これも「前作よりも凄いものを」ということを意識しているからでしょうが、数値が大きくなってもHPとダメージの割合はほとんど変わらない(変えられない)のですから、数値「1」の価値が下がり、深みのないゲームになっていくだけです。HPの場合なら終盤で100程度でも問題ないのですから、それ以上の数値にすることはデメリットの方が大きくなるのは明らかです。特にウィザードリィのシステムは大きな数値を扱うのに向いておらず、20レベルを超えると後はやりこみの領域となるのですからなおさらです。

 RPGは娯楽なのですから、「前作よりも凄い」というのは、「前作よりも面白い」とか、「前作よりも快適」という方向性でなければならないはずです。しかしこれらを重視するのは難しいからなのか、それとも重要だと思われていないからなのか、簡単な作業で見た目だけを変えてごまかしているのが、現在でも変わらない、RPGの特徴だと思います。

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英雄伝説3 白き魔女 (PS/GMF/1998年)
 背景となるストーリーは非常に良いのですが、シナリオにはさほど魅力を感じません。しかもゲームとしての楽しさに乏しく、退屈な作品です。

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サガ フロンティア (PS/スクウェア/1997年)
 複数の主人公候補から一人を選んでプレイする作品ですが、主人公ごとの専用シナリオが多数用意されており、その出来も悪くないため、繰り返し遊ぶことが苦になりません。しかしバランスがあまりにも雑なため、プレイすること自体が苦になると思います。

 これほどひどいバランスの作品がなぜ大企業から発売されるのか、私には不思議でなりません。以前、小学校レベルの算数もできない大学生がいるということが話題になりましたが、そういった人がシステムを担当しているとしか思えません。真実はどうなんでしょうか?

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サガ フロンティア2 (PS/スクウェア/1999年)
 歴史を2つの視点から見ていくというアイデアは面白いのですが、実際には主人公のいない物語を “見物させられ”、探索と戦闘だけを “やらされる” という内容になっており、まったく楽しめません。またサガシリーズらしく、バランスはかなり雑です。

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玉繭物語 (PS/元気/1998)
 クリアしていません。なんだか退屈で、しばらくプレイを中断している間に道を忘れ、復帰後はみごと迷子に・・・。

 独特の世界観はいい雰囲気を出しています。しかし1対1が基本の戦闘を、ありきたりなシステムで行うのは単調すぎます。作品独自のシステムに力を入れても、根本的な部分を軽視してはなんの意味もありません。

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女神異聞録 ペルソナ (PS/アトラス/1996年)
 テンポもバランスも非常に悪い戦闘を頻繁に繰り返しながら、広大な3Dマップを探索させられ、中断したくなってもセーブポイントでしかセーブできないという、どうしようもない作品です。システム、シナリオともに決して悪くはないのですが、極悪なプレイ環境に耐えてまで遊ぶほどではありません。

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ルナティックドーン オデッセイ (PS/アートディンク/1999)
 クリアしていません。すべてが退屈であきました。

 ゲームらしさよりもリアリティが重視された世界で、ほとんど制約を受けることなく生きていける作品です。しかしシナリオ、システムともに作りこまれているとは言えず、最大の特徴である自由度が生かせていません。制約がなくてもやりたくなることがなければ、自由は魅力となりえないということは、ゲームに限った話ではないのですが。

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黄金の太陽 開かれし封印 (GBA/任天堂/2001年)
 単調な戦闘、粗さが目立つ独自のシステム、全体のバランスを無視した大量のパズル。でもそれ以上に問題なのが、退屈な上に無理がありすぎるシナリオと、それをさらにひどく見せる演出です。イベントが始まるたびに「早く終わってくれ!」と祈りたくなる作品など、滅多にあるものではないでしょう。

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真・女神転生 デビルチルドレン 氷の書 (GBA/アトラス/2003年)
 クリアしていません。続けるのは時間の無駄でしかないと確信したためです。

 質より量。子供向けではなく子供だまし。こういった表現が相応しい、退屈な作品です。

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ウィザードリィ エンパイア (GBC/スターフィッシュ/1999年)
   ウィザードリィの外伝的な作品です。ゲーム内容はほぼ同じですが、作品全体の構成が甘いため楽しさに欠けます。
 例えばマップの数は多いのですが、新しいマップに移っても変化に乏しい(変化に魅力がない)ことが多く、先へ進んだという達成感や、新しい発見をする喜びが感じられません。またバランスに関しても、甘さと理不尽さがまざった奇妙なもので、そこに楽しさはありません。

 一般的なRPGは表面的な部分は楽しめても、細部には目も当てられません。しかしウィズは表面的な部分の魅力が乏しい代わりに、それをプレイヤーの想像力で補いながら、構成と細部が生み出す楽しさを味わう作品です。つまりウィズには、一般的なRPGにはない魅力があるからこそ現在でも多くのファンがいるのであり、彼らが本当に求めているのは、やりこみ要素や新たなマップという “形だけのもの” ではないのです。

(バグ)
 現象:ヒーリング効果を持つアイテムを装備した状態(?)で毒を受けると即死する。
 対策:ヒーリング効果を避ける(?)。リセットする。このゲームを買わない。・・・など。

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ザ・ブラックオニキス (GBC/タイトー/2001年)
 日本初のコンピュータRPGである同名作品の、ほぼ完全移植版とアレンジ版がセットになっています。しかしどちらも問題が山のようにあり、ほとんどの人がすぐに投げ出すと思います。
 移植版のクリアデータを引き継がなければ、アレンジ版はまともに遊べないため、評価は両方を合わせて1つの作品と考えたものです。

 不親切な上にバランスはデタラメですが、それらを克服することができさえすれば、十分に楽しむことができます。しかしそれは、基本だけでもRPGは面白いからであり、また他のRPGと比べて無駄が少ないからでしかありません。

 ちなみにゲームボーイアドバンスでプレイすると、アレンジ版の地下迷宮が暗くて非常に見えにくいです。照明の方向や、画面を見る角度を調節したりすれば見えるようになりますが、お薦めはできません。

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