2:プロット・ネーム
プロットとは、おおまかなストーリーの骨組みの事、ネームは、原稿の青写真(って今の人分かるのかな?)になる、いわば計画表、絵コンテってヤツね。
いろんなやり方をする人がいるらしいけど、自分の事だけ書きますので、一例として見てください。
私はだいたい、かなりキッチリとプロットを完結させないと、次の段階に進めない、と言うか、進みたく無いタイプ。
見切り発車で行くと、途中で投げ出したくなる事が多いし、結局前の方の不手際に気付いて戻ってやり直しになるから。で、まずプロットを書き出します。
最初は思い付いた事をバラバラに書き殴って行って、だいたい材料が出そろったな、と思ったら、構成に入ります。
項目別に順序を入れ替えたり、一つのシーンを分割して他のシーンを入れ込んだり、回想シーンにしたり、セリフ説明だけにしたり。
この作業で、大まかなページ数が見えて来るから、注文のページ数に合わせて削ったり付け足したり。私は殆ど、削る方です。思い付く限り材料を出してから引いていく。右図は、打ち合わせで編集さんに読んでもらうためにまとめた物で、B5サイズの紙<机5>を使ってます。
タイトル、登場人物、狙い(テーマになる部分)、大まかだが具体的なストーリーをまとめます。編集様のOKが出たら(この過程は飛ばす編集者もいますが)、同じサイズの紙にそれぞれのエピソ−ドをより具体的に書き、同時進行でペ−ジ割りも書き込みます。キメ台詞なんかは、この時点でできている事が多いので、書き入れておきます(細部の言い回しは変わる事も多い)。
最後の一行に、最終ページの数字が割り振られたら、プロットの出来上がり。
ここまで来ると、実は勝ったも同然!な気分になります。
次は、絵コンテの第一稿(左図)に入ります。
<机4> の小さいメモ用紙に、ものすご〜くおおざっぱに、コマ割と人物(私が分かればいいの)と台詞内容を描いて行きます。
プロットを横に置いて、なるべくズレないようにコマを配置しますが、絵を入れて動作をつけるうちに「やっぱりここはもう少し引っ張りたい」とか「あ、1コマですんじゃった」とか、ちょっとずつズレたりするので、そのへんを調整するために紙は片面だけ描いて、後から裏に修正版を描いたり、ボールペン<道具5>の色を換えて上から書き込んだりして、けっこうグチャグチャになる事も多いです。
第一稿ができたら、もう恐いモンは無い、気分。
比較的キレイにできていればそのまま使うけれど、そんな事は稀なので、見易い第2稿を作る事が多いです。
(正直、編集さんが細かい事を言わない方の場合、ネームのチェックはパス、なんて事もあり、その場合はこのまま下描きに入ったりもします。自分でも時々ワケ分からなくなって失敗するので、あまり時間の節約になりませんが。)人様に(かろうじて)理解していただけるように気を付けつつ、第2稿(右図)を描きます。
<机5>の紙を1枚使う事もありますが、ネームはミヒラキで作っておいた方がバランスが取り易いし、場所も取らないので、横にして真ん中に縦線を引いて、1枚を2ページ分にして使う事が多い。
出て来る人物が誰か分かり易いように、イニシャルを入れたりしてるけど、編集さんが本当に分かっているかは不明(笑)。動作や表情、人物配置もだいたい描き入れ、セリフも細かい言い回しまでキッチリ書き込みます。
コマ割線も、第2稿はちゃんと定規で引きます。コマとコマの間隔までは空けないし、ハミ出し部分も無いけど。ハミ出しが決まってる所は、紙の端に矢印描いて覚え書きにしたりしてます。
あ、字が読めるように書かなくちゃね。これがけっこう難しい(私には)。実は私、ネームは殆ど、お外でやります。
ストーリーの発想を待つ時は家で寝ながら、あるいは資料本を読み漁りながら、なんだけど、実際にプロットを紙に書き付ける段階から、ファミレスや喫茶店等、季節のいい時期には公園やデパートの屋上、なんて所まで出かけて行って、コ−ヒ−飲みながら描く事が圧倒的に多い。
理由は、ああ、恥ずかしい、家にいると寝ちゃうから。
ネーム中は鬱気味になるし、異常に眠く、異常に甘い物が食べたい。
家でネームを進めようとすると、気が付けば過眠と過食で時が過ぎてしまう。
第2稿に入ると「勝ったも同然」なので家でやりますが、そういう事情もあって、第1稿の小さいメモ帳は使い勝手がいいんですね。そして、めでたくもネームが完成!
この瞬間、私は世界で一番エライ。
ネ−ム中は鬱丸出しだし、作画に入れば入ったで、己の実力と向き合わねばならない。
ネ−ム描きで鬱屈した反動が来るのかも。
ネームが出来上がり、下描きを始めるまでの刹那だけが、唯一全能感を味わえる瞬間なんだよね。
※ネームの内容の作り方、構想については、
キーワード、キーパーソン
役者(キャラクター)制度
も合わせてご覧ください。