NPO法人とは何か
NPOとは、Non Profit Organization(非営利組織)の略です。
平成10年3月25日に公布され、同年12月1日より施行された「特定非営利活動促進法」によって設立された「特定非営利活動法人」のことをNPO法人といいます。
NPO法人は、様々の非営利活動を行う非政府、民間の組織であり、株式会社など営利企業とは違い、利益を関係者に分配することができません。
これはNPO法人が収入や利益を得てはいけないということでなく、利益を組織外部に分配してはいけないということです。
利益が生じればそれを組織内部に留保し、組織活動へ再投資しなければなりません。
NPO法人は、17分野に限定された特定非営利活動を行う組織であり、不特定多数のものの利益の増進に寄与することとされています。
NPO法人には、様々な制約があり、NPO法人になるためには次の要件を満たすことが必要です。
営利を目的としないこと |
正会員(社員)の資格の得喪に関して、不当な条件をつけないこと |
役員のうち報酬を受けるものの数が、役員総数の三分の一以下 |
宗教や政治活動を主な目的にしないこと |
十人以上の正会員を有すること 等 |
メリット |
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団体で財産の所有ができる |
契約などの法律行為の主体となり、法人名義での資産保有等の財産管理ができる |
介護保険制度において、都道府県の指定を受ければ、市町村を超えて活動できる |
助成金等を受ける場合の信用となる |
デメリット |
原則として住民税が課税される(均等割で最低7万円) |
収益事業には、利益に対して法人税が課税される |
毎年の会計や事業報告書を所轄庁に提出し、一般に公開しなければならない |
解散時に財産が戻ってこない |
まず、定款等設立に必要な書類を作成し、設立総会を開き、承認を受けます。その後、申請に必要な書類を作成し、所轄庁(都道府県知事、事務所が二つ以上の都道府県にまたがるときは内閣総理大臣)に認証の申請をします。受理されますと2ヶ月間、一般の人に縦覧されます。申請の受理後4ヶ月以内に認証・不認証の決定がなされ、認証されたら登記をすることになります。以上のことを図で示すと次のようになります。
提出書類は、東京都等のホームぺージに載せてあり、ダウンロードして作成することもできます。また、所轄庁が設立のための相談会を開いていますから煩雑な書類作成を除けば、株式会社や有限会社に比べ、簡単にしかも費用もかからずに設立できます。
- NPO法人の収入には、会員からの会費や企業等からの寄付金がありますが、それだけでNPO法人を運営して行くことは無理があるようです。多くのNPO法人が設立され、立ち行かなくなっているのは、運営面での失敗があるからだと思われます。NPOはすべてボランティアと思っている人が多いのですが、ボランティアのマンパワーだけでは安定した組織活動を行うことは難しいのです。
NPO法人は、一定の収入を得て、給料を支払い優秀な人材を確保し、その人材により利益を生み、その利益を更なる活動の資金として、組織を安定させることが理想です。 - 特定非営利活動促進法は、第五条で『特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を目的とする事業(収益事業)を行うことができる。』とし、収益事業を認めているのです。会費や寄付金の他収益事業からの収入も考慮に入れて、安定した収入を確保することがNPO法人を運営していく上で一番大事なことです。
- NPO法人を設立し、活動を始めれば思わぬ出費があるはずです。事務所を借りれば、家賃の他に事務所経費もかかります。人材を雇用すれば、給与の支払いが生じ、所得税の源泉徴収義務、社会保険や労働保険の加入義務も生じます。NPO法人といえども、株式会社等の法人と変わらぬ労務管理、財務管理が要求されるのです。
収益事業を行えば、法人税や消費税の申告をしなければなりませんし、8千万円の収入を超えれば、収益事業の有無にかかわらず収支計算書を税務署に提出しなければならず、年次事業報告書の開示義務もあります。 - NPO法人は、ボランティア、公益性、地方自治体からの優遇、税制面の優遇等のイメージばかり先行していますが、実際の運営には別の側面もあるのです。
- NPO法人には、様々な優遇措置がありますが、それを利用して本来の目的を果たすには、一般企業と変わらぬ管理体制を構築していかなければならないでしょう。
当事務所では、NPO法人の設立から運営まで、サポートさせていただきます。 設立時のご相談は勿論、計画書の作成までお手伝いいたします。
特に運営面では、日常の瑣末な経理処理から、財務管理に至るまでご指導しながら管理体制を整え、NPO法人が、その本来の目的を達成できる基礎固めを一緒にしていきたいと思います。