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簡易課税が得? それとも原則課税が得?

平成15年度の税制改正により、今まで免税事業者(課税売上高が3000万円以下の事業者)だった個人事業者のうち、かなりの数の方が課税事業者に該当するといわれています。
個人事業者の場合、平成15年1月1日から平成15年12月31日迄(基準期間)の課税売上高が1000万円を超えていれば、平成17年の1月1日から課税期間がスタートする訳です。
そこで問題となるのが、簡易課税と原則課税のどちらが得になるかということです。
簡易課税の適用上限も2億円から5000万円に引き下げられましたが、今回の改正により課税事業者に該当する個人事業者の方は、ほとんど簡易課税制度を選択できるわけです。

簡易課税制度を簡単に説明しますと、まず、事業の種類により五つ業種区分に分け、課税売上高にかかる消費税額から、それぞれの業種区分に応じたみなし仕入率を適応して計算した金額を、仕入に係る消費税額とみなして、控除して計算する方法です。

業種区分とみなし仕入率
事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第一主事業 90% 卸売業
第二種事業 80% 小売業
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、建設業、製造業他
第四種事業 60% 飲食店業、金融・保険業他
第五種事業 50% 不動産業、運輸通信業、サービス業他


ラーメン屋さんを例にして大雑把に計算してみます。
ラーメン屋さんは飲食店業ですので、第四業種となり、みなし仕入率は60%です。売上が年間で2000万円として、その消費税額は100万円となりますが、そこからみなし仕入率分の消費税額60万円を控除します。結局、ラーメン屋さんは100万円から60万円を控除した40万円が、簡易課税制度を選択した場合の納める消費税の額となるわけですが、実際の計算はもっと複雑です。今は簡易課税と原則課税のどちらが有利になるかの判定ですから、この程度の計算でいいと思います。
次に原則課税の計算をしますが、こちらの計算は決算資料等がないとできませんので、ここでは売上総利益(粗利)で簡単に判定します。売上総利益が65%以下であれば、即原則課税が有利といえますが、粗利が75%、80%ある場合はもう少し複雑な計算をしなければなりません。当事務所で計算した飲食店の場合、ほとんど原則課税が有利と判定されましたが、事業用の固定資産の購入予定があるとか、テイクアウトや出前をやっているとかそれぞれの事情により、当然判定は変わってきます。又、ひとつの業種区分に収まらない事業者が多々ありますし、二つ三つの業種区分に跨ることもあるのです。
上記のラーメン屋さんでも、テイクアウトの売上は製造販売ですから第三種事業に区分されるという具合です。出前の場合は、本来の飲食店業と同じ第四種事業ですが、飲食設備を持たない出前専門店は第三種事業となります。


当事務所では、平成14年度、平成15年度の資料を基に、簡易課税の有利不利の判定を行っています。しかし、それは過去の資料による予測ですから、最新の資料、事業計画に基づいた予測のほうが正確であるのは云うまでもありません。『簡易課税制度選択届出書』の提出期限は、今回の改正により課税事業者になった方については、平成17年12月31日ですのでまだ間がありますが、平成17年の夏ごろまでには有利不利の判定をされて、10月には提出できるようにお勧めいたします。
12月は何かと忙しない時期ですし、もし簡易課税が有利な場合、提出を失念いたしますと大変な損失になることもあります。また、簡易課税制度を選択しますと、2年間継続適用しなければなりません。


消費税は、慎重に、早目の対応心掛けてください。