なんで!?なんでぇぇぇ?

あっ君…信じられない…。みんなの前で抱きしめるなんて。
常識がある人だったら、あんなこっぱずかしい事を大勢の前では
しません!!

気付かなかった私も私だけどさ!

でもあんな事するなんて酷いよ…。
私だってずっとあっ君好きだったけどさぁ…。



「はぁ…。っゲホ!!」




まだ全然息が整わない…。

久しぶりに全速力で走った…。
喘息が来ちゃうじゃん。
あっ君だって私が体あんまり丈夫じゃないの知ってるくせに。

以前のあの無愛想なあっ君が嘘みたいにかわってた。

私がいない間に何があったの?
いったい誰があっ君の事を変えたの?




「っうぇ…。」




気持ちわるい…。ちょっとヤバいかな…?

喘息来ちゃったぽいなぁ…。

「っ…。ヒック。私馬鹿みたい…。」
うわぁ…。ヤバい涙があふれてくる。
このままだと息がしにくくなってくるよ…。



「あれ?なんかふわふわ?」


くらくらする。

駄目だ。心配かけちゃだめなのに…。


そのまま私は意識を手放した。











うわおぅ。すっげえ早さで逃げるなぁ…。
もう笑っちゃうって。
・・・そんなに逃げられたら追いかけたくなっちまう。


…さてと。
これぐらいにして「お姫さま」を迎えに行きますか。

俺はまだHR中の教室をでた。

「おい!!土屋ぁ!!」


遠くで担任の声が聞こえたようなきがしたが…。

可哀想だけどもシカトした。

…転校初日に呼び出しくらうかな?
母さんごめんよ☆いつもいい子だから許して。




でもまあいいけどね。その時は香澄も一緒だから。





俺も馬鹿だなぁ…。もっと優しくしてあげたいのに。

全てが裏目に出て来てしまう。なんでこんなに上手く行かないん
だろうか…?
今までいろんな奴と付き合って来たけどこんなに必死になった事
はなかった。
それはやっぱり香澄を忘れられなかった訳で、
それに気付いて無理いって親にわざわざ引っ越しの手続をさせた。


優しくしたいのに…。大好きだから宝物のように優しく扱いたい
のに…。



まあ「回想」はそれぐらいにして、はやく香澄を探さないと…。
その時脳天気な俺の思考回路にふととても嫌な予感がはしった。



「確かあいつ…。喘息だったよな…?」



…ヤバい!!あいつが体丈夫じゃないのすっかり忘れて た…。

あいつどこいったんだ?! 
どっかで倒れてるとかないよな…?
「…っ。どこいったんだよ」
必死で探した。
大好きでとても大切な女の子の事を。
いくつもの廊下を通り過ぎる。
まだ来たばかりで全然校内についてはよく分からない。
だけど探した。
そして次の廊下に差し掛かった時、俺は絶句した。




そこには顔を真っ青にした香澄が倒れていた。

「香澄!!!」
どうしよう。どうすればいい?
俺のせいだ…また「あの時」みたいな事になってしまう。
もうあんな思いは絶対にしたくはない。



「大丈夫だ。絶対大丈夫だ…。」
俺はあの時みたいな「ガキ」じゃない。

それなりに力はついている。



よし!!香澄を抱き上げた。
「よっ…と。」
うっわ軽くて柔らかい…。そんな事考えてるんじゃなくて!!
さっさと俺は保健室まで走って行った。



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