キャラメル
「あぁ…。それはな俺香澄のそばに行きたかったからだよ。好
きな
んだ。ガキの頃からお前が大好きだったよ。」
とあっ君が発した言葉。
その言葉にクラスの女子はニヤっとした笑いを私にいっせいに向け
た。
でも…その時私はその言葉の意味を深く考えなかった。
「うん!!私もあっ君大好きだよvvみんな大好き。」
こんなに仲のいいクラスは私のクラスぐらいだよ。
皆優しいし団結力もあるし私はクラスの皆がスキなんだ。
「…ちょっとまって香澄。とらえてる意味が違うわ
よ。」
どしたのかな鈴ちゃん?
なんだか心なしか固まっている様に見える。
何かあったのかなぁ?
「なんで?私み〜んな大好きだよ?」
みんながなんか呆れた顔で見てくる。そしてあっ君には同情の眼差
し。
…どうしたのかな?
またまたあっ君は少し考えたあと
「あのな香澄。俺の好きって言うのはこういう事!!」
と、言った。その時私の頭の中はもうハテナマークの嵐でいっぱい
だった。
そんな風に混乱している内にツカツカとこっちに来たあっ君は
『はぁ…』と溜め息
をつい
た後に腕を伸ばして来た。
「え?」
気が付いたら目の前にはあっ君で、もう何がなんなのか私にはさっぱ
り分からなかった。
「え゛?!えぇぇ?なになに!!どしたの恥ずかしいよぅ!!」
そう言ってじたばたと暴れるんだけどあっ君はビクともしない。
だけどやっと意味が分かった。
さっきのは皆がスキとかじゃなくて、あっ君が私を一人の女の子とし
てスキなのだ
と。
「分かってくれた?」
あっ君は余裕綽々な表情をしていて、なんだか慣れている様な感じ。
悔しい気持ちと一緒に沸き上がる嫌な気持ち。これが何なのか私は分からない。
とりあえずあっ君がいってる「好き」の本当の意
味がわかった。
でもとにかくあっ君に離して欲しくて…。
そして私はとりあえず首をコクコク縦に振った。
「あぁ…。それはな俺が香澄のそばに行きたかったからだよ。好きな
ん
だ。ガキの頃か
らお前が大好きだったよ。」
俺は心臓がバクバクになってた。壊れそうじゃないかってぐらい。
とにかく緊張しているのを悟られないように平然とした顔を装った。
そして香澄の発した言葉に俺は…体中の力が抜けていくよ
うな感覚に陥った。
クラスの皆から同情の眼差しが向けられた…。
「うん!!私もあっ君大好きだよvvみんな大好き。」
全身から力が抜けていく感じがした。
「…ちょっとまって香澄。とらえてる意味が違うわよ。」
なんだっけ名前?鈴だっけ?キミには後で俺がいっぱいおごってや
るよ。
感謝します。
この言葉でやっと香澄は気付いてくれただろうと思った。
が、しかし俺の読みはあまかった…。
「なんで?私みんな大好きだよ?」
ワタアメみたいに柔らかくフワッと笑う香澄。
可愛いなぁ…。
なんて見蕩れている場合じゃない!!
「あのな香澄。俺の好きって言うのはこういう事!!」
もうプッツリとキレた俺の思考。
「え?」
俺は香澄の小さい体をギュっと抱きしめた。
うわ…。抱き心地いいなぁ…。
「え゛?!えぇぇ?なになに!!どしたの恥ずかしいよぅ!!」
香澄は俺を見上げて来た。
そして真っ赤な顔で泣き出しそうな顔を作りじたばたと暴れ始めた。
嫌なのはよく分かった。
だからさぁ…そんな目で見ないでく
れ。このままつれてどこかに行きたくなる。
とりあえずこのままだとヤバいので、この状況を終わらせるために
俺は言った。
「分かってくれた?」
すると香澄はすこし恨みがましい目で俺を見た後に今の状況を思い出
した
らしく、とに
かく首をコクコク縦に振った。
そしてここで担任から一言。
「お前ら!!HRを潰すな!!」
うわ…。すっかり忘れてた。
ごめん先生…。
でも俺にとってそれよりも大事なのは「答え」を香澄に言ってもらう
事
だった。
「それで香澄は俺の事好き?付き合ってくれる?」
さてどうだ?もう緊張感なんかこれぽっちもなかった。
その言葉にさら真っ赤になってしまった彼女。
もう頭が混乱して何を言って良いのかわからなくなったらしい。
そして
「え・えぇ・あ、う?」
と意味不明の言葉を発した後素早い
動きで逃げて行った。
俺
にいったいこの後どうしろというのだろうか…。
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