Leela - Game of Snakes and Arrows
NeilがS&Aのエッセイにてあの、ファンには賛否分かれたあのジャケットになった理由に、"Snakes and Arrows"というタイトルを決めてからGoogleで検索してみたら、同名のHarish Johari氏の本と、インド古来のすごろくゲームLeelaの存在を知った、と記していました。
私もamazonにてHarish Johari氏の本を入手し、読んでみて、なんとなくLeelaの概要がわかったような気がしたので(気だけだったりして(^^;;)、簡単にご紹介します。
ちなみに、本にはフルカラーのゲームボード(と言っても、カレンダーサイズの紙)が入っていまして、一部紹介します。
本当に、まんまS&Aのジャケットです。ただ違うのは、各桝目に番号とそれに対応する言葉が入っていることで、この番号と言葉は、Leelaを遊ぶ上で重要なコンセプトと役目を果たしています。
Leelaというのは一種のすごろくゲームで、これがイギリスに渡ってSnakes and Laddersとなり、さらにアメリカではClutes and Laddersとなったようです。
(どちらも子供のすごろく遊びです。アメリカ版では、蛇も矢もなくなってますが)
Leelaはしかし、ただのすごろくゲームというよりはもう少し奥が深く、インド哲学とも言うべき人生論に根ざしたコンセプトの上に成り立っています。それは、究極の意識体としてのConmic Consceiousness(宇宙意識)があり、人の魂はそこから落ちた一滴であり、それが人の身体に宿り、さまざまな人生を経験することで魂を鍛錬し、そして再びもとの宇宙意識へと帰っていく。おのおのの人生は魂の修行の場であり、昇華したり堕落したりしながら、最後に帰るべき高みを目指す、そんな考え方です。
(まったくの余談ですが、私も若いころこの手のコンセプトをちょこっと知って、それをテーマに今の小説書いていますんで、完全に知らない考えではないです)
アルバムジャケットでは桝目がはっきり見えづらいと思いますが、実際のLeela Boardは緑の線で9×8、全部で72の桝目があり、↓のような感じに並んでいます。
72 | 71 |
70 | 69 |
68 | 67 |
66 | 65 |
64 |
55 | 56 |
57 | 58 |
59 | 60 |
61 | 62 |
63 |
54 | 53 |
52 | 51 |
50 | 49 |
48 | 47 |
46 |
37 | 38 |
39 | 40 |
41 | 42 |
43 | 44 |
45 |
36 | 35 |
34 | 33 |
32 | 31 |
30 | 29 |
28 |
19 | 20 |
21 | 22 |
23 | 24 |
25 | 26 |
27 |
18 | 17 |
16 | 15 |
14 | 13 |
12 | 11 |
10 |
1 | 2 |
3 | 4 |
5 | 6 |
7 | 8 |
9 |
数字の並び、階層にも意味があって、上に行くほど魂のランクは高くなり、下に行くほど俗が増していきます。
最上段の真ん中、68番のマスがCosmic Consciousnessで、ちょうど位置的に仏様の頭の上、光がさしているところに当たります。ここがゲームのスタート地点であり、ゴールでもあります。
Leelaに必要なものは、ゲーム盤、サイコロ1個、そして各人を象徴するコマ−指輪とか小物を使うことが多いそうです。
ゲーム開始に当たって、プレイヤーは68番のCosmic Consciousnessのマスに自分のコマを置き、サイコロを振ります。ここでは6以外、プレイヤーはまだ「生まれていない」とみなされ、動けません。6が出ると、1番、Genesisにコマが移ります。ここで初めて宇宙意識から人間として生まれ、人生を歩みだすわけです。
それ以降は、サイコロを振って出た目の数だけ進むのですが、6が出ると、サイコロは振りなおしになります。3回続けて6が出ると、さらにその前に止まっていたマスから出直しになります。ヘビの頭があるマスに止まると、そのヘビに飲み込まれて、ヘビの尻尾のマスに移動させられます。矢羽のあるマスに止まると、その矢に乗って、矢の先端のマスに移動します。
ヘビは全部で10匹いて、矢も10本あります。各ヘビと矢の位置関係は、次のようになります。
Snakes |
Head | Tail |
72(Inertia 惰性) | →51(Earth 地上) |
63(Darkness 暗黒) | →2(Illusion 幻想) |
61(Negative intellect 負の知性) | →13(Nullity 無価値) |
55(Egotism エゴイズム) | →3(Anger 怒り) |
52(Plane of Violence 暴力の平原) | →35(Purgatory 煉獄) |
44(Ignorance 無知) | →9(Sensual Plane 官能の平原) |
29(Irreligiosity 不信心 ) | →6(Delusion 妄想) |
24(Bad Company 悪い仲間) | →7(Conceit 自惚れ) |
16(Jealousy 嫉妬) | →4(Greed 強欲) |
12(Envy 羨み) | →8(Avarice 貪欲)
|
Arrows |
Tail | Head |
10(Purification 純粋さ) | →23(Celestial Plane 天の平原) |
17(Mercy 慈愛) | →69(Absolute Plane 絶対の平原) |
20(Charity 慈善) | →32(Plane of Balance バランスの平原) |
22(Plane of Dharma ダーマ平原) | →60(Positive Intellect 正しい知性) |
27(Selfless Service 無私の奉仕) | →41(Human Plane 人間の場所) |
28(Apt Religion 適切な信仰) | →50(Plane of Austerity 質素の平原) |
37(Ture Awareness 真実の目覚め) | →66(Plane of Bliss 至福の平原) |
45(Right Knowledge 正しい知識) | →67(Plane of Cosmic Good 宇宙の善なる平原) |
46(Consceince 良心) | →62(Happiness 幸福) |
54(Spiritual Devotion 魂の献身) | →68(Cosmic Conciousness 宇宙意識) |
全体的に、ヘビはネガティヴな側面、矢はポジティヴな側面を担っています。10匹のヘビのうち、7匹までが、最下層の1から9までのマスに降りてきていることに注目。そしてその最下層から昇る矢は、一本もないのです。
平原というのは、安定した状態、その状態そのもの、という感じでしょうか。ダーマとは、インド哲学の肝っぽいですが、本には「地上のあらゆる事象の中に存在し、宇宙を束ねる法則」と書いてありました。(詳しくわかるように説明しろといわれても、少々勉強不足でして、なんとなく感じはわかるんだけれどな〜、程度にしかわかりません。すみません(^^;
このゲームのゴールは、68のCosmic Consiousnessのマスに、ぴったりで止まることです。そのためには54番の矢に乗って、ダイレクトに行くか、さもなければ、たとえば64番から4が出て68に止まる、そんな感じで68に到達すると、上がりになります。
ただし、オーバーしてしまって、68を越えてしまうと(たとえば64から5が出て、69に行ってしまったりすると)、今度はぴったり72に止まる数が出るまで、動けなくなります。(69に止まった場合だと、3) そしてなんとか72に止まって、惰性のヘビに飲み込まれて、51の「地上」に戻る。そこから再チャレンジです。
宇宙意識から生まれて、宇宙意識に帰る。その間にいろいろな出来事に出会い、カルマを増やしたり減らしたりしながら、己の魂の向上を目指し、最後に昇華する。そんなコンセプトの上に成り立ったゲームのようです。
本には72個のマス、それぞれの意味が解説されていて、とても興味深いのですが、少し広がりすぎるので、ここではLeelaというゲームの紹介のみに留めおきます。たぶんまだamazonで買えると思いますので、インド哲学を知る上でも、ご興味のある方は一読されてもいいかと思います。
ちなみにFaithlessは29のヘビではないか、という突っ込みはなしで。まったく信じるものを持たないという感じのirreligiosityとは、少しニュアンスが違うと思いますので。 でも基本的には、Leelaの元コンセプトはかなり宗教的な色彩があるので、なんとなくS&Aのコンセプトとは少〜しずれる部分もあるかもなぁ、とは個人的に思ってしまいますが、でも戻ってくるところはSelf――己、自己であることは共通かな、とも思えます。
S&Aツアーでは、Intermission Filmに、Alex演じるLeelaが見られます。大笑いです。(そしてその解釈はちょっと違うだろう、というのも多いですが、それはいつものAlexのおちゃらけということで) ただ、Envyにおける「私はあなたのようになりたい。美しくお金持ちに。誰かの体の上に頭が乗っているみたいだ」というフレーズ、Envyというものの核心を突いているようで興味深いです。そしてダーマの平原での"Livin' in accordance " 調和を持って生きる、というのはDhamaの本質かな、とも。(ま、あとはお笑いですが…見に行かれていない方は、Youtube等で一見されることをお勧めします。BBSのFar Cryのリンクにも少し映っています)
ところでふと思ったのですが、達磨大師のダルマって、Dhama――!?
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