POWER WINDOWS

Released 10/1985


THE BIG MONEY
GRAND DESIGNS
MANHATTAN PROJECT
MARATHON

TERRITORIES
MIDDLETOWN DREAMS
EMOTION DEDECTOR
MYTIC RHYTIMS




ザ・ビッグ・マネー

偉大な金は、世界中を歩き回り、
偉大な金は、地下にももぐる
偉大な金は、絶大な発言力を持つが
偉大な金は、何の音も立てない
偉大な金は、無数の糸を引っ張り
偉大な金は、称賛を浴びる
偉大な金は、強力な(クモの)網をつむぎ
偉大な金は、ハエたちを引き寄せる

時には、人々をこき使い
時には、大風呂敷を広げ
時には、すべてのボタンを押し
時には、プラグを引き抜く
それは、力と栄光
それは、楽園の中の戦争
それは、ダイスのひと転がりで作られる
シンデレラストーリー

偉大な金は、世界中を歩き回る
偉大な金は、流して歩く
偉大な金は、巨大な航跡をあとに残し
偉大な金は、傷も残していく
偉大な金は、無数の夢を生み出し
偉大な金は、大物たちをきりきりまいさせる
偉大な金は、強大な指導者を生み出し
偉大な金は、大きな輪をくるくる回す

時には、象牙の塔を建て
時には、城を打ち壊す
時には、君のために階段を築き──
君を地下に閉じ込める
それは、古くからの信仰
それは、彼らが支配するであろう王国
それは、愚かな役を演じて金をもらう
テレビに出てくる愚者たち

偉大な金は、世界中を歩き回り
偉大な金は、対等の取引をする
偉大な金は、善き業を成し遂げ
偉大な金は、間違いを犯す
偉大な金は、強圧的に振るまい
偉大な金は、制御を握る
偉大な金は、意地が悪い
偉大な金には、魂がない‥‥




グランド・デザインズ

AからBへ──
異なる角度で‥‥

本質のない様式が、あまりに多く
様式のない素材も、あまりに多い
本物を見極めるのは、難しい
それは時たま、出てくるけれど
  まるで何トンもの岩の下に埋もれた
  珍しく、貴重な金属のように
  その中から選り分け、取り出すには
  時間も手間もかかる
  多くの実りのない話にも
  時には耳を傾けなければならないように

形状と形式──
規範に逆らった──

月並みの日常を破り
流れに逆らって泳ぐ
二次元の人生なんて
大量生産の計略なのだから


権力には、あまりに多くの毒があって
原理は置き去りにされてしまう
物にばかり気をとられすぎて
精神のことは忘れ去られている
  忙しさの中で見逃されてしまう
  正しい霊感のように
  海に落ちた一滴の涙や
  ゴミの中のダイアモンドのように
  広大な世界観もあれば
  中身のないスカスカなものある

月並みな日常を打ち破って
まるで変化がないように見えても
僕らは自由な生き生きとした夢を持って
この閉ざされた水面を突き抜けよう

曲線と直線──
この壮大な計画の‥‥

 


マンハッタン・プロジェクト

想像してみよう
すべてが始まった、その時を
今は昔となった戦争の時代に
(作られた)ある武器──
それが報復に向かうかもしれない
発見したのが誰であれ
それは最悪の結果をもたらすだろう
以前からずっと、そうだったように

想像してみよう
すべてが始まったあの場所で
一人の科学者が床を歩いている姿を
どんな国でも──
いつも、熱心に研究を重ねる
もっとも効果的な道具を作るために
勝利の戦略をひっくり返すために
でも、それは思っていた以上のものになった

大爆発(ビッグバン)──
激しく世界を揺るがせ
上りゆく太陽を叩き落とした
終焉は始まってしまった──
連鎖反応が起こってしまったら
すべての人を巻きこんでいくだろう
政治家たちは──くい止めようとする
そんなものは消えて欲しいと
愚か者たちは願いたがる
望みを持つものたちは
終わりのない世界を当てにしている
絶望した人たちが、なんと言おうと

思い浮かべてごらん
すべてが始まったあの場所を
彼らは国を超えて集まってきた
砂漠の砂の中で、秘密の開発をするために
将来有望な少年たちがみんな
一番大きなおもちゃで遊ぼうと──
それは期待以上のものになってしまった

思い浮かべてみよう
すべてが始まった時の、ある男の姿を
あの八月の日
衝撃波の中から飛び出してきた
「エノラ・ゲイ」号のパイロットを
あらゆる国家権力
そして歴史の進路は
その時、永久に変えられてしまったのかもしれない



マラソン

どれほど速く走れるかということではなく
流れに入っていく力なんだ
リズムを取り戻すことができたら
熱くなった心も少し落ち着くだろう
  ただ生き残るということだけでなく
  ただ一瞬のひらめきだけでなく
  ただ点線をつなぐことだけでなく
  ただ、突進するよりもっと

それは究極の意思を試すもの
苦闘しながら登る心臓破りの坂
ペースを取り戻さなければ
もしレースに残りたいのなら
  やみくもな野心よりもっと
  単純な欲望だけでなく
  ゴールラインがあるそれ以上に
  激しい要求を満たさなければ
結局、最後には‥‥

始まりから終わりまで
決してピークを過ぎることはない
何かがいつも君に火をつけ
その光を目の中に燃え立たせる
一瞬の高まり
ひととき、浴びせられる賞賛
夏の空にひらめいて消える
一筋の稲妻のように

君のメーターは過負荷になっているかもしれない
(そんな時は)ロードサイドで休んでもいい
調子が出ないことだって、あるだろう
でも、誰もただ乗りはできない
  よい成績を残すこと以上に
  ただ一つのひらめきよりもっと
  最終結果だけということではなく
  暗闇の中で運良く的を当てる、ただそれだけではなく──
結局、長い目で見れば──

人生、いろいろなことができるだろう
あまりに早く燃え尽きたりしなければ 
きっと最後まで、やりぬくことが出きる
まず、忍耐を身につけること
そして、たゆまず続けること‥‥




テリトリーズ

天と地の間に、「中央の王国」が見える
中国人たちが祖国をそう呼ぶように
みんな、自分の故郷を一段高いところ
自分が愛したり、知っている人たちとは違う
よそ者たちより上に置きたがる
  名のある場所ならどこででも
  昔から変わらぬ領土争奪ゲームが繰り広げられている
  前線の後ろに隠れて
  警告サインを出しながら

この広い世界全体が
終わりのない宇宙
それでも僕たちは、逆さに眼鏡をかけて (見当違いな偏見を持って)見続けている
すべての人々に食料を与えることは出来ないけれど
機械に燃料を与えて動かすことはできるなんて
国際的ということの意味が
本当には理解できないのだろう
  それぞれに独立した輪の中で
  僕らは自分の領分を守り続けている
  他のことには無関心な、その輪の中で
  僕らはくるくると回り続けている

征服され、蹂躙された多くの民族
侵略者たちはその一方で、
あとに残してきた祖国の夢を見る
そこには、もっと良い人たち、もっと良い食べ物、そしてもっと上等なビールがあると
それなら、なぜ世界中を動き回るのだろう
エデンの園は、それほど近くにあるというのに
 指導者たちは強気の発言を繰り返す
 もしそれが、それほど邪悪なものだと思えない限りは
 僕たちは、その尻馬に乗る
 酔っ払いながら、市民としての情熱的なプライドをもって

ほんのちっぽけな理由のもとに
彼らは何も恥じることなく、銃を撃つ
アクセントの違いや
着ているシャツの色だけで。
世界をさまざまな色に塗り分け、
(我が領土として)分断しようとする、その誇りより
世界市民の一人として、その心に宿る
(この世界に生きているという)誇りの方が素晴らしい




ミドルタウン・ドリームス

オフィスのドアを早々と閉ざし
隠してあった酒瓶を取り出すと
セールスマンは振りかえり
少しゆっくりと、そして、少しだけ決然とした動作で
ブラインドを引きおろした
 だが彼はあの道に踏み出していけるだろう
 そうさ、いつだって好きな時に
 今日ほど惨めな日がまた来たら
 どんな人間だって、耐えられはしないだろう

 夢は炎に煽られながら
 心の国を流れていく
 夢は願いをのせ
 沈んだ気分を昂めてくれる
  街を出なければならない人を
  夢は外の世界に連れていく

五月初めの野原を
一人の少年が親友と一緒に歩いている
彼らはしばらく、無言で歩みを進める
一人は親しい気分で──
もう一人の心は遠くをさまよって──
  ギターだけを手にして
  あのバスに乗りこめたら
  まばゆく光る流れ星のように
  天上に燦然と輝く、流れ星のようなスターになるために

中年の聖婦人(マドンナ)は
電話で隣人を呼び出している
日ごとに過ぎ行く季節に
彼女の人生は独り、置き去りにされていく
 だが、ある晴れた日の午後
 彼女はドアを開けて出ていくだろう
 この寂しい屋根裏部屋から出て
 都会を華やかに彩るために

もしできるものなら
ここではない、ほかのどこかへ行きたい
その思いは良くわかる
今いる小さな近隣での暮らしが
決して不快なものではなく
そこそこ上手くやってはいても

  彼らは地方都市(ミドルタウン)で夢を見る──




エモーション・ディテクター

感情を覆い隠している見せかけや取り繕いを
取り去ってしまったら
不安な部分をさらけ出すことになる
信頼は献身と同じくらい、めったにお目にかかれない
皮肉な考えを許して欲しい
クールでいることに満足できなくて
もし過大な注目を集めたいなら
自分自身を思いきり全部さらけ出し
愚か者のように振舞うしかない
もし認めてもらうことを要求しすぎるなら
批判は残酷すぎると、感じてしまうことになるだろう

物事の核心を求めて
美しい部分を求めて
何かに気づいたその瞬間に
幻想は痛みとともに砕け散る
心の奥深くに埋もれた
隠された感情の泉の中で


愛は人を変えることができる、それは真実だけれど
決してそれだけで十分なわけじゃない
優しくなりすぎる時もあれば
きつく当たりすぎる時もある
もし過大な注目を集めすぎてしまったら
振り捨てることは難くなる
自らの力に自信のもてない奴ほど
人を嘲り、愚弄する
僕らにとっては大きな水飛沫でも
実は水溜りの中のさざなみにすぎないこともある

 思いは高みに駆け上がる



ミスティック・リズムス

遠くを見つめている時
とても多くのことが、心に浮かんでくる
僕が知っていること
不思議に思うこと
言いたいことを
いろいろなことを知っている
そう思えば思うほど
未知なるものは、より大きくなっていく
不信感を消しがたく引きずりながら
そう思うのは、みんな同じ──

  神秘のリズム──僕の思いを捉え
  遠くへ運び去ってくれ
  夜の神秘が
  昼の光の向こうから忍び寄る
  神秘のリズム──北極光の下で
  アフリカの太陽の下で
  原始の何かが
  人々の心を掻き立てる

一瞬、開いた(霊感の)窓を通して
彼方の世界を垣間見ることもある
僕らを操る何かがある
それはただの想像に過ぎないのだろうか
夢にさえもみないほど多くのことが
目には見えず、説明もできない
不信感を消しがたく引きずりながら
それでも僕らは楽しんでいる──

  神秘のリズム──僕の思いを捉え
  遠くへ運び去ってくれ
  自然はぐるぐる回っているようだ
  超自然的な方法で
  神秘のリズム──都会のネオンの下で
  星の天蓋の下で
  僕らは力を感じ
  それがいったいなんなのかと不思議に思う

  彼方から絶え間ないリズムで
  押したり引いたりするのを感じている

 


あくまで私的解説


THE BIG MONEY

 タイトル通り、お金の力を主題にした歌です。
『Mystic Rhythms』で指摘されていましたが、曲中、聖書からの引用があります。
『汝の支配する王国、その力と栄光が永遠に続きますように、アーメン』
 神とマンモン(金の神)と、両方に使えることはできない、と聖書にはあります。 が、上の引用は、現代ではマンモン──お金が、神になっているということでしょうか。
 お金はたしかに大きな力をもち、様々なことができます。しかし、基本的にお金自身には魂はない。 つまり、何の意図も性格ももたない。持ち主次第ということでしょうか。
主の祈り



GRAND DESIGNS

 『Subdivisions』などのテーマにもあったように、現代は大量生産、画一化の時代です。 人と違うことは好まれません。巨大な風潮に乗り、物事の本質とか、真に貴重なこととかはほとんど省みられない。 しかし、それではいけない、ということでしょう。

 最後のフレーズはほとんど意訳になってしまいましたが、原文では“static(静的な)”と、 “kinetic(動的な)”は対語となっています。“surface tension”は「表面張力」です。
直訳すると、こうなります。
 月並みに逆らって
 静的に見えても
 表面張力を破ろう
 僕たちの野生の動的な夢で
原語のニュアンスは、この方が出るかな‥‥



MANHATTAN PROJECT

 「マンハッタン計画」とは、第二次世界大戦当時、原爆を開発していたプロジェクトだ そうです。そしてタイトル通り、これは「核の脅威」と、「そしてそれを生み出したのは、ほかならぬ人間自身である」 ということを訴えているようです。

 戦争に勝つため、より強い武器を──太古の時代から、その願いのもとにより強力な兵器が開発されてきたわけですが、 それはとうとう「核兵器」という、一つ間違えば地球から人類を一掃してしまいかねない、恐ろしい武器を誕生させてしまいました。 脅しのために持っているが、実際には怖くて使えない──では、なぜそんな愚かなことが生まれてしまったのかといえば、 「戦い」があるからなのでしょう。これは、「TERRITORIES」にも相通ずるテーマなのではないかと思います。

 ご存知かと思いますが、エノラ・ゲイ号というのは、1945年8月6日に、 広島に原爆を投下した戦闘機の名前です。ビッグ・バンは宇宙の始まりの大爆発、と言う意味で有名ですが、 広島と長崎で炸裂した原爆も、それと同じくらい衝撃的な爆発だったのでしょう。少なくとも、地球人類にとっては。



MARATHON

 主題そのものはわかりやすい。タイトル通り、ずばり「マラソン」ですね。そして、これもわかりやすい、「人生」の比喩でしょう。
ただ、歌詞の細かいニュアンスは案外出しにくくて、ちょっと悩んだところもありました。
 “in the long run”は「最後には、結局は」と言う熟語ですが、文字通り「長い走行の果てには」と言う直訳も「マラソン」 という主題に引っ掛けて、意味を持っていると思います。サビの部分、"glory rolls on by“というのは、直訳すれば、 「栄光がそばを通りすぎていく」ですが、わたしのイメージでは、ランナーが走っている時、沿道の観衆たちが「ガンバレー!」とか、 「わー!!」と声援を浴びせるような感じに取れたので、こんな訳になりました。



TERRITORIES

 これも主題はわかりやすい。領土意識、国家意識、民族意識──自分たちが特別で、異なるものは認めない、 それでいて領土は拡大したがる。その意識が、終わりのない戦いの歴史を生み出してきている。 そんな境界線なんて取り払って、みんな仲良く、世界市民として生きればいいのに、と言うところでしょうか。

 詞自体さして難しくはないのですが、最後の一文だけ、少し引っかかりました。
“When a colourful rag is unfurled”──「華やかな旗がひるがえる時」と言うのが原対訳です。“rag”にはたしかに 旗の意味もあるのですが、どちらかといえば「ボロ布」的なニュアンスが強い感じの言葉です。 もし「旗」の意味ならば、もっと一般的な言葉の“flag”を使わなかったのは、“colourful”と“rag”の言葉の落差が、 自分は正しいと思ってやっている領土争いの虚しさのようなものを象徴しているのかな、とも思えます。(深読みしすぎ?)
ただ、“unfurl”は一般的には「広げる」と言う意味なので、一枚の大きな、いろいろな色に塗り分けられた(ボロ)布を広げたという意味にも取れなくはないです。 つまりそれが、各国家の領土として、固有の色に塗り分けられた世界地図の比喩なのかも──

この最後の4行に関して、8月の初めに、Kamiya Tosirou様よりメールをいただき、詳しい解説と共に、 「世界地図を広げたときに、庶民が抱く「この世界に住む一人なんだなあ」という感慨と、権力者が抱く「その領土(territory)を分断して統治するのだ」という高慢さを対比させているのではないか」 というご意見をいただきました。最後の4行、Kamiyaさんが訳された行がとても的確と思えましたので、ほんの少し 改定(注釈)を加えて、訳に取り入れさせていただきました。ありがとうございました。




MIDDLETOWN DREAMS

 この曲も「Mystic Rhythms」に解説が載っていましたが、歌詞を読んでも、ある程度主題はわかると思います。
 MIDDLETOWNを地方都市と訳してしまいましたが、大都会のベッドタウンなども含まれるわけで、要するに大都会ではなく、 田舎でもない小都市、町と言う感じでしょうか。彼らは都会に憧れ、そこでの成功を夢見ているわけです。
 たとえ現実の暮らしが自分で思うほど超みじめなわけでないとしても、夢は現実を耐えやすくする妙薬というわけでしょうか。 夢を見すぎて現実を見ないのも、多少困るでしょうが。

 ところで、冒頭のセールスマンの夢というのが、訳していてはっきりわからなかったのですが、 “But he still heading down〜”のくだりが、そうでしょうか。とすると、「仮想のドライブを楽しむ」と言う感じかな。
 ちなみに、“heartland”は「中心部、中央地帯」と言う意味ですが、この場合ストレート訳の「心の国」と両方かかっている 言葉のような気がします。

この曲を「叶わない夢を見ながら暮らす小市民を描いている」と見るか、「今は街で冴えない暮らしをしていても、いつか夢が叶うと信じている人たちを応援している」と見るかは、聞き手がどのくらい自分の夢を信じているかのリトマス試験紙のようなものだ、とNeilが語っているインタビュー記事がありました。(リンクを失ったので、出自は不明です。すみません。たぶんPower Windowsサイトにあるかもしれません) そしてNeil自身は「この詩は人性の半ばを過ぎてもなお夢を失わず、その夢を開花させた人たちへの賛歌として書いた」と言っていました。(2005年11月13日追記)



EMOTION DETECTOR

 タイトルを直訳すると、「感情の発見者」もしくは「感情探知機」となります。少々抽象的な歌詞ではありますが、 表面的なこだわりとか面子、欲望などではなく、もっと感情の本質を見つめてみては、と言うようなことではないかと思うのですが。
 サビは意訳です。“right to〜”は、直訳すると、それこそ「〜に正しく」で、辞書では「〜は正しい」とか、 「〜の権利がある」と出ているのです。最初は「〜に忠実に」と訳したのですが、それもちょっと抽象的かな、と思えて、 「〜を求めて」としてしまいました。結局そういう意味ではないか、と思えたので。



MYSTIC RHYTHMS

 何度も言及されている、歌詞解説本のタイトルではなく、その元となった曲のほうです。って、あたりまえか。  神秘のリズム。それはたぶん宇宙のリズムとか、地球のリズムなのでしょう。地球の自転、 公転、宇宙の星の動き、それはまるで一定のリズムを刻んでいるように見えます。では、 そのリズムを作り出すものは、いったいなんなのでしょうか──
 偉大な自然のリズムの中で、私たち人間の存在は、なんだか小さく感じられます。

 この曲の直接的なインスピレーションは、Neilがアフリカに旅した時、テントに寝ていたら、遠くから原住民の太鼓の ような音が聞こえてきたことからだそうです。
 ところでこの曲、本のタイトルになっていながら、解説本には解説、ありませんね。



アルバム全体について

 前作から一転して、ポップになったアルバムです。さらに多用されるシーケンサーやシンセサイザーが、非常にモダンで きらびやかな印象を与えます。(今となっては、逆に多少古いかもしれないけれど)
 聞きやすさやメロディックな方向性はますます増していき、昔の『一見、とっつきづらい印象』から抜けた感じもあります。でも、 でも――やっぱり独特なんです。ユニークなんです。いわゆる第三期、シンセポップ期のRUSHの個性の形が、完成された、そんな 印象です。



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