The Works




Radio Ga Ga
Tear It Up
It's A Hard Life
Man On The Prowl

Machines (Or "Back To Humans')
I Want To Break Free
Keep Passing The Open Windows
Hammer To Fall
Is This The World We Created




Radio Ga Ga

ただ一人で座り、君の光を見ていた
10代の夜を共に過ごした、ただ一人の友さ
知る必要のあることはすべて
ラジオから聞いていた

君がみんな、知らせてくれた
古き時代のスターたちのことも
世界の戦争も、火星からの侵略も
君は皆を笑わせ、泣かせてきた
空を飛べる、そんな気分にもさせてくれた――ラジオよ

だから、ただのバックグラウンドノイズになり下がらないでくれ
君がそこにいない時、ただ知りもせず、
気にかけもせず、文句だけを言うような
少年少女たちの、単なる背景に成り下がらないでくれ
君には、素晴らしい時代があった、君は力を持っていた
そして今もなお、飛びきりの時間を提供してくれる――ラジオよ

聞こえるのは、ただわめきたてるラジオ
品のないラジオ、いかしたラジオ
聞こえるのは、ただうるさいだけのラジオ
退屈なラジオ
ラジオよ、何か目新しいことはないかい?
ラジオよ、まだ君を愛している人がいるのだから

いくつものショウを、何人ものスターを
ビデオを通して、見つめつづける
何時間も、何時間も果てしなく
耳を使うことなんて、ほとんど必要なくなってしまった
時と共に、音楽はどれほど変わってしまったことか

古い友達を、決して見捨てないでいよう
君には、本当に良いところがたくさんあるのだから
そばにいつづけてくれ、
こういったヴィジュアルに飽きた時
君がいなければ、寂しいかもしれないから
君には、素晴らしい時代があった、君は力を持っていた
そして今もなお、飛びきりの時間を提供してくれる――ラジオよ

聞こえるのは、ただわめきたてるラジオ
品のないラジオ、いかしたラジオ
聞こえるのは、ただうるさいだけのラジオ
退屈なラジオ
ラジオよ、何か目新しいことはないかい?
ラジオよ、まだ君を愛している人がいるのだから

君には、素晴らしい時代があった、君は力を持っていた
そして今もなお、飛びきりの時間を提供してくれる――ラジオよ


QUEEN流ラジオ賛歌、という感じでしょうか。ちょうどこの頃、MTVの全盛期で、音楽がビデオ時代に 本格的に突入した時代でした。それよりちょっと前にヒットした、バグルスの『ラジオスターの悲劇』という曲は、 ビデオに食われて、ラジオが廃れることを危惧した内容でしたが、現実には、ヴィジュアル化はたしかに進んだものの、 ビデオはビデオ、ラジオはラジオで、それぞれの役割があり、今もラジオは決して廃れていません。 それがマスメディアのすべてであった時代は、とうの昔に過ぎ去りましたが、テレビにはない良さが、 ラジオにはある。QUEENのこの曲の主張は、真実であったと言えるような気がします。

 ちなみに、Invaded by Mars というのは、50年代のアメリカで、『火星人の襲来』というラジオドラマがあって、 それを聞いた人たちが本気にして、パニックが起こった、という事件を指しているのだと思います。 ラジオ特有の事件だった、後で述解されているのを、聞いた覚えがありますので。




ティア・イット・アップ

用意はいいかい、さあ、覚悟はいいかい
すっかりメチャクチャにしてやろうぜ
はめをはずさせてくれよ

へい、おまえの心を俺にくれ、おまえの身体を俺にくれよ
そうさ、時間をくれよ ―― パーティをしようぜ
寝てる暇なんかないぜ、ベイビー
おまえの通り道に、忍び寄って行くからさ
覚悟しといた方がいいぜ

ハチャメチャにやろうぜ、面倒を起こして、
ぐちゃぐちゃにしてやろうぜ、ベイビー
ハチャメチャにやりなよ、大急ぎでさ、上手くやろうぜ――
おまえも一緒にだ
メチャメチャにやろうぜ、そうさ、けりをつけようぜ、
揺り起こそうぜ、ベイビー
メチャメチャにやろうぜ、ごたごたを起こして、わめきたてるんだ――
間違ってやしないさ

さあ、聞きなよ
おまえは可愛いから、愛してるぜ
いたずらっ子だから、愛してるんだ
おまえの心を、俺は愛してる――その身体をくれよ
そうだな、おまえの誕生日パーティーを、引っ掻き回したい
その気にさせてくれよ――その気にさせてくれ――
興奮させてくれ――俺を行かせてくれ

ハチャメチャにやろうぜ、面倒を起こして、ぐちゃぐちゃにしてやろうぜ
――やらせてくれよ
ハチャメチャにやろうぜ、大急ぎでさ、上手くやろうぜ
――おまえも一緒にだ
メチャクチャにやろうぜ、ヴォリュームを上げて、燃え尽きようぜ
――ヘイ、ヘイ

用意はいいかい
イェイ、ベイビー、俺を受け入れる覚悟は出来てるかい――
愛してるぜ、ベイビー、ベイビー、愛を受け入れる覚悟は出来てるか
準備はいいか、覚悟はいいか、俺のために準備はできてるか
ヘイ、こんなに近くで、おまえを愛してる、
こんなに遠くからでも、おまえを愛してる
これだけは言っとかないとな、ベイビー、おまえは俺を夢中にさせるよ

ハチャメチャにしてやろうぜ――大急ぎで引き上げて
――さあ、行こう
わぉ、なんてことをしてくれるんだ
ああ、ベイビー、ハチャメチャにしてやろうぜ――


「Tie Your Mother Down」系かな。あれよりもっとデリカシーがない、感じかも。 まあこの曲は、解説コメント、要りませんね。(たぶん)




永遠の誓い

自由なんか、欲しくはない
傷ついた心には、生きる理由などありはしない

ややこしい状況だ
責められるべきは、ただ一人僕しかいない
それは素朴な、人生の真実
誰にだって起こり得るものさ

勝つこともある、負けることもある
愛には、そういうチャンスが付きまとう
そうさ、僕は恋に落ちたんだ
でも、終わってしまった
僕はばらばらに壊れたような気分だ

つらい人生だ
本物の恋人たちが、共にいられるためには
愛し合い、互いの心の中に永遠に住み続けるのは
長く苦しい戦いだ
互いにいたわり会うことを学ぶには
恋に落ちた、その瞬間から、互いを信頼するためには

ばらばらに壊れた欠片を、元通りにしようとした
涙をこぼすまいと、懸命に努めた
それはただ、気の持ちように過ぎないという
でも、それは誰にだって起こることなんだ

心の奥深くまで、どれほど傷ついたことか
その愛ゆえに、現実に引き戻された時には
生きていることは、それだけで大変なこと
今、僕はなにかが空から舞い降りてくるのを待っている
愛の訪れを待っているんだ

そうさ、つらい人生だ
互いに寄り添う恋人たちにとって
愛し合い、お互いの心の中に永遠に生きることは
長く、苦しい戦いだ
互いの思いやることを学び、
恋に落ちたその時から、互いを信頼することは

そうさ、つらい人生さ
悲しみに満ちた世界で
皆があらゆる方法で、愛を捜し求めている
長く苦しい戦いだ
でも、僕はいつも明日のために生きたい
自らを振り返って、こう言おう
僕は愛のために生きたと
そうさ、僕は愛を勝ち取った――愛のために
愛のために生きた


これはFreddie流、愛の賛歌かもしれません。恋に破れ、傷ついて、でも それは自分だけではない、つらいけれど、前向きに生きたい、愛そのものに 諦めたくない――単なる失恋の歌でない、肯定的な力を感じます。




マン・オン・ザ・プロール

荒れ果てた道を、ちょっと散歩してみよう
リラックスして、ガスを補給しよう
なにか行動を起こそう
追い越し車線を、むちゃくちゃに飛ばして行こう
恋人は僕を一人で置いて行った
汚い仕打ちをされて、僕はひどく寂しいんだ
だから、帰ってきてくれよ
僕の心を、傷つけたいんでないのなら

うろつく男がいる、用心しなよ
僕は野放しで、騒ぎを起こしてやろうとしているんだ
だから、気を付けなよ、気を付けな
僕はさまよえる男さ

ロックンロール・ステディには、なりたかない
下劣な人間のくずになりたいだけさ
ただ、腰を落ち着けていたい、それだけさ
だから恋人よ、帰っておいで
こんなに寂しい時に、一人で置いて行かないでくれよ
帰ってきてくれ、帰ってきてくれ
僕の心を、傷つけたいんでないのなら

うろつく男がいる
用心した方が良い
僕は野放しで、騒ぎを起こしたいんだ
だから、気を付けなよ、気を付けな
だって、僕はさまよえる男なんだからね

僕は恋人のことを夢見つづけている
でも、だからって、どうにもなりゃしない
僕は恋人にダンスを教えようとしているが
僕は決してフレッド・アステアじゃない

だから、気を付けなよ――僕はうろつき屋の男さ
気を付けな――うろつく奴がいる
ベイビー、気をつけな、そうさ、うろつく奴がいるのさ

家に帰ってきてくれよ
僕は野放しで、厄介ごとを起こしたくて、うずうずしてるんだ
帰ってきてくれよ、
さもないと僕は、うろつき屋になってしまう
愛しい人、家に帰ってきてくれ、帰っておいでよ
うろつき屋がいる
一緒にいてくれ、リラックスして、そうさ


私見ですが、これは、たぶん恋人に捨てられたか、それとも一時的に何処かへ行ってしまわれた人が、 すねて、『帰ってきてくれよ、さもないと、グレちゃうぞ』と言っているような構図に 感じられます。Man on the prowlは『うろつき屋さん』と言う感じですが、まわりをうろつく、 いわゆるストーカーというより、『落ち着きがなくなって、じっとしていられなくなる』と言う感じでは ないかな、と思えます。

 ちなみに、フレッド・アステアというのは、往年のダンス・スターですね。




マシーン・ワールド

ここは機械の世界だ、魂がないなんて、言わないでくれ
機械が世界を支配したら、
ロックンロールの居場所なんて、なくなるさ

僕はなにも気にしていないという、
でも心の奥深くでは、僕はただの人間さ
奴らは僕を凍らせ、焼き上げ、搾り取って、引き伸ばす
煙で黒くなったスティールのピストンで、僕を圧縮する
でも誰も、誰一人、誰だって、僕なしではやって行けない
人間にもどれよ

病気もない、精神的トラブルもない
「僕らは平和のために戦う、時間なんて関係ない」
「僕らは決して泣かない、撤退することもない」
「愛だの敗北だのという概念は、僕らにはない」

機械たちがたてるノイズを聞いてみるといい
バイトやメガチップがお茶の時間代わりだ
それが機械って奴さ、みんな
ランダム・アクセス・メモリーつきのね
心配することも、くよくよすることもない
金のためでも、黄金のためでもない

そいつはソフトウェア、そしてハードウェア、その鼓動はタイム・シェア
そいつの助産婦はディスク・ドライヴ、そのセックスライフは量子化されて
そいつの自己不滅性はパラヒューマドイド化されている

人間にもどれよ ―― 人間の手に戻せ

「機械に立ち戻れ ―― 機械だ ―― 機械だ」
「機械、機械――」

新しい世界に生き、過去を考えて――人間たちよ
新しい世界に生き、おまえたちはかのように、最後の――人間となる
機械の世界、ここは機械の世界だ――人間たちよ
新しい世界に生き、過去に思いをはせて――人間に回帰せよ
新しい世界に行き、おまえたちはこのように生き長らえる――機械世界
ここは機械の世界、機械の世界なのだ――「変容せよ」

ここは機械の世界――そうさ、僕はここにやってきた
人間に返れ――そうさ――人間に立ち戻れ
人間に返せ
新しい世界に行き、こうやっておまえたちは存続して行く
機械世界、それは機械の世界


SFでは時々機械に支配された未来世界、というのが出てきますが、これもそれに近いもの、もしくは このまま行くとそうなるのでは、という危惧ともとれます。この当時はハイテク化が急激に進んだ 時代で、このコンセプトはPoliceの「Ghost In The Machine」や、Styxの「Mr. Robot」など、 他アーティストも結構取り上げていたものでも、あります。
ちなみに「Radio GaGa」のプロモヴィデオに映画「Metolopolice」のシーンが出てきたのは、 この曲とも連動するコンセプトなのかもしれません。機械化されていく世界で、人間らしさを 求めたい――それも、現代ロックミュージックの、一つのテーマなのかも、と思います。




ブレイク・フリー

自由になりたい、解放されたい
君の嘘から、逃げ出したいんだ
君の自己満足はひどすぎる――君なんて、要らない
自由にならなければ
誰も知らないことさ、自由になりたいなんて

僕は恋に落ちた、初めての恋に落ちたんだ
そして今わかった、これは現実のことだと
僕は恋に落ちていたんだ
神のみぞ知ることさ、恋に落ちるこということは

奇妙だけれど、真実なんだ
君のようには、終わらせられない
君が僕を愛するそのやり方を、乗り越えられない
でも、僕がドアを開けて歩み去るその時
僕は確信するだろう
どれほど僕が、自由になりたかったかを
どんなに、解放されたかったか
どれほど、解き放たれたかったかを

でも人生は、まだ続いていく
君が僕の側にいない、そんな人生に
そんな人生に慣れることができない
僕はたった一人では、生きたくはないんだ
誰も知りはしない、自分だけの力で上手くやっていかなければ
君にはわからないかい、僕は自由にならなければ

僕は自由にならなければ、自由になりたいんだ
そうしたい、解放されたい


女装ビデオで有名な曲ですが、見たところ普通のラブソングです。わがままな女性に愛想を尽かし、 それでも完全には振り切れない、と、ジョンの歌にはよくあるパターンのようですが、南米では 「圧政から自由になりたい」という願いを込めた、アンセムとなったという話も聞きます。 Break Freeですから、そう読めないこともないですね。で、そのあたりの事情をよくわかっていなかった Freddieはブラジル公演のとき、女装のままこの曲をやろうとして、石を投げられた、というエピソード もあるそうです。「炎」誌の記事いわく、「解放を熱く語るはずのヒーローが、『変なオジさん』じゃあ・・」 いろいろな意味で、話題を呼んだ曲です。




愛こそすべて

これが、僕にとってたった一つの人生さ
自分で作り出したファンタシーに囲まれた
君は強くなって、君自身を信じなければね
悲しいことなんて、みんな忘れてしまいなよ
君に必要なものは、愛、それがすべてなのだから
君が必要とするものは愛、それがすべて

この世界にたった一人ぼっち、
それがどんなものか、君は知っているかい
落ちこんだり、運に見放されたり、失敗してしまった時
夜中に叫び声を上げて飛び起きた時
こんなことはみな、時間の無駄だって思うだろう
ひどい1年だったね
すべてが上手く行くと思いはじめた、その次の瞬間には
気がめいり、ぺしゃんこに落ちこんでしまう
まっさらの、新しい1日が始まっている
陽の光が一杯にさしこんだような、そんな感じさ
(その中で)君は君の道を行くといい

信じることさ、開いている窓に目を向けないで
信じることさ、開いている窓は通り過ぎるんだ

一人も友達がいない、それがどんな感じなのか、わからないかい
仕事もなく、使えるお金もなく、周りから浮いていて
考えることといったら、ただ自殺することだけ
いつかは、戦いに負けることもあるだろう
危険からは、遠ざかることだね
昔から変わらないその思いは、君の内側から焼き焦がしつづける
これで終わりにしようと、君はそう自分に言い聞かせつづける
気をしっかり持ちなよ、
物事は毎日だんだん良くなっていそうじゃないか

信じることさ、開いている窓には目を向けないで
信じることさ、開いている窓はそのままにしておくことだよ

これは僕にとって、たった一つの人生
自分自身のファンタシーに取り囲まれた
君はただ強くなって、自分自身を信じることさ
悲しいことなんて、みんな忘れるんだ
君に必要なのは愛、それがすべてなのだから

信じることさ、開いている窓を抜けておいき
信じることさ、開いている窓は通り過ぎることさ

ただ強くおなり、自分を信じるんだ
悲しみなんて、みんな忘れてしまうといい
君に必要なのは愛、それがすべてなのだから
君に必要なのは愛、それがすべて

信じることさ、開いている窓を通り過ぎるんだ
信じることさ、開いている窓はそのままにしておくことだよ
ただ、開いている窓を抜ければ良いんだ


わざわざ閉まっている窓を通ろうとしないで、開いている窓から行けば良い、つまり 気楽に行こう、わざわざ物事を難しくするな、そう言うメッセージなのかな、と思います。 もう一つ、「自分から窓を閉めるな」というのも、あるかもしれません。

すみません、これに関しては解釈ミスをしてしたかもしれません。この場合のpassは、トランプゲームのパスと同じで、何もしないでそのままにしておく、ということのようです。窓が開いていてもそのままにしておく、つまり、閉めないでそのままにしておくことと、もう一つ、重要な意味がありそうです。「そこから飛び降りちゃいけない!」――この曲は"Don't Try Suicide Part2"ではないか、という解釈も成り立つような気がします。(2005年1月27日修正)




ハマー・トゥ・フォール

僕らはここに立つ、それとも倒れる、
どっちにしても、歴史はまったく気に留めやしない
ベッドを整え、灯りをつけて、慈悲深きレディ、今夜は不在

一時も、時間を無駄にはしない
ベルは聞こえないが、呼び出しには応えている
それは僕らみんなと同じように、君にもやってくる
僕らはハンマーが打ち下ろされる時を、ただ待っているだけ

来る夜も、来る日も
君は少しずつ崩壊して行く
でも西洋人らしく、しっかり顔を上げなよ、ベイビー
肉体は衰えても、筋肉を鍛えるんだ

つま先だってラインをたどり、奴らのゲームをやるといい
そのすべてを麻酔下において
奴らが君を悪し様に言い出すまで
その時が、ハンマーが振り下ろされる時なのさ

金持ちにも貧乏人にも、有名人にも
君の真実、それは皆同じ
ドアを閉めきっても、雨は窓から降りこんでくる
君の苦闘は、すべて無に帰するのさ

きのこ雲の傘の下
丈高く、誇り高く育った僕らの
その声が届くことはない、そう思い知らされる
ただ僕らは叫びたいだけ、激しく、もっと激しく

僕らはいったい何を相手に、戦っているのか
ああ、屈服すれば、なにも傷つかずにすむのに
ハンマーが打ち下ろされる、その瞬間を待つ間には
ただ、祈りを捧げる時間が残されているだけ
そのハンマーは、もう振り下ろされ始めている
ハンマーが打ち下ろされる
打ち下ろされるハンマーを、待っている
もう一度やりなおさせてくれ


 軽快な曲調とは裏腹に、歌詞だけ読むと結構シリアスな感じです。この当時(84、85年)は ノストラダムスの影響か、ジョージ・オウェルの同名小説の影響か、結構終末思想が漂いがちな ところもあったと思いますが、これもその影響下にあるものかもしれません。『打ち下ろされるハンマー』は 致命的な一撃であり、また、裁判で閉廷の時使われるものでもあるので、「最後の裁き」的な ニュアンスも感じます。
 しかし、最近(2003年4月現在)の世相を見ていると、今の時代に書かれたとしても、決して違和感が ないところが、怖かったりします。




悲しい世界

食べ物を求めている、飢えた人々を見てごらん
僕らが流した血の犠牲を、よく見てごらん
あらゆる場所に追い散らされ
必要なものを捜し求めている
あまりに多くの孤独な人々、その表情を

これが僕らが作り上げた世界なのだろうか
僕らが心を傾け、成し遂げたことなのだろうか
これは僕らが法に背き、侵略を犯した世界なのだろうか
だから終わりに近づいているように
今、僕らが人生のよりどころとしているのは、これなのか
僕らが作り上げた世界

毎日、望みのないまま生まれる子供たちがいる
その子達は慈しみある世話と、幸福な家庭に迎え入れられることが必要なのに
他の何処かでは、裕福な人間が栄華を欲しいままにしながら
ただ日々が過ぎ去るのを待っているだけ

おお、これが僕らが生み出した世界なのだろうか
自らの力で成し遂げた
これが骨のずいまで僕らが荒廃させてしまった、世界なのだろうか
もし空にまします神が地上を見下ろされたならば
僕らが成した事を、なんとお考えになるだろう
かの人が作りたまいし、この世界を


Freddieにしては珍しい、というと大変失礼ですが(すみません)、世界の荒廃とそれに対して 人類がなした罪をまともに取り上げた、とてもシリアステイストな歌詞です。これもたぶん、 この当時の世相のようなものが反映していたのかもしれません。しかし、これが決してこの時代 だけでなく、今にもあい通じるところも、「Hammer To Fall」の事情と同じという気がします。 反省するだけ、まだ救いがある。世界のすべての人々が「傲慢だった。罪を犯した」という 同じ思いを感じれば、世界はまだ救いがあるのかもしれません。




個人的レビュー

 前作の失敗(?)で反省したのか、オーソドックスなクイーンサウンドに戻りました。初期のきらびやかさは薄れたものの、 ソリッドさと力強さをまし、骨太とさえ言える音像です。
 このアルバムのリリース後、85年5月の来日公演でも、「ブレイク・フリー」でFreddieは女装を披露し、ステージには、『メトロポリス』の 巨大な歯車が回っていました。いつも通り、盛りあがったコンサートでした。これが最後の来日だとは、その時には思いませんでした。

 

個人的ベスト3

  1. IT'S A HARD LIFE  
  2. HAMMER TO FALL
  3. IS THIS THE WORLD WE CREATED

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