Sheer Heart Attack

Released 11/1974


Brighton Rock
Killer Queen
Tenament Funster
Flick Of The Wrist
Lily Of The Valley
Now I'm Here

In The Lap Of The God
Stone Cold Crazy
Dear Friends
Misfire
Bring Back That Leroy Brown
She Makes Me
In The Lap Of The God (Revisited)



ブライトン・ロック

ジミーは出かけた
うきうきするような上天気に
祭日のその日、彼は小さなジェニーに出会った
二人はたちまち意気投合し、優雅に横たわった
プロムナードを照らす派手なイルミネーションの下で。
ごらんよ、あたりは魔法に満ちている
僕が呪文を唱えるよ

ジェニー、ここにいておくれよ
僕のそばにいておくれよ、お願いだから
僕らの間には、何もいらない
ねえ、かわいい子、なにか言っておくれ
だめよ、わたしは行かなきゃ
わたしがこんなふうにお休みをすごしたなんて知ったら
ママはきっと大騒ぎするわ
魔法の雰囲気のこと話すのは、ちょっと楽しかったわ
でも、さよならしなくちゃ

ああ、千歳の岩よ、崩れないでおくれ
愛は、まだ息づいているから
月の女神が優しく照らす
望むなら、妖精たちが魔法をかけてくれる

ジェニーは恋やつれ、毎日手紙を書いている
わたしたちは、ずっと一緒にいなくてはいけないのよ
わたしの愛を消せるものは、何もないわ
なんてことだ、弱ったなぁ
僕の休暇のことを恋人に知られたら
謝らなくちゃ、ならないな


この詞の日本後訳を一読して、妹は「ひどい男!」と言いました。まあ、現実にはよくある話ですが。(逆もあると思う)
 「ブライトン」はイギリスの地名で、イングランドはEast Sussex州の南部にあり、海沿いの 保養地だそうです。有名な観光地なのでしょうね。
「ブライトン・ロック」という同名の小説がありますが、関連があるのでしょうか。著者、内容 ともに未確認のため、わかりませんが。(またまた、不勉強ですみません)
 男性と女性のパートを使い分けたヴォーカリゼーションや、津軽三味線のようなBrianの ソロパートなど、音楽的には異色な曲です。




キラー・クイーン

きれいな飾り棚の中には、モエ・ド・シャンドン
「ケーキを食べれば良いのに」と、彼女は言う
まるで、マリー・アントワネットのように
フルシチョフとケネディには
うってつけの救済者だ
どんな時だって、その誘いを断るなど、できはしない
キャビアとシガレット
洗練された振る舞い
とびきり素敵

彼女は男殺しの女王様
火薬とゼラチン、ダイナマイトとレーザービーム
(を一緒に合わせたような破壊力で)
貴方はいちころ、絶対保証付き
お値段は時価でお勧め
飽くことを知らない欲望――試してごらんあれ

面倒なごたごたを嫌い
彼女は住まいを転々と変える
会話をさせれば
まるで男爵婦人のような話し振り
中国からきた男に会い
ゲイシャ・マイナに身を落とし
そして、また貴方のお気に召すままに
さりげなく姿を変える
香水は当然、本場パリから
車に、彼女は本当にご執心
好みにはうるさく、几帳面

彼女はとんでもない女王様
火薬とゼラチン、ダイナマイトとレーザービーム
(を一緒に合わせたような破壊力で)
貴方はいちころ、絶対保証付き
お値段は時価でお勧め
飽くことを知らない欲望――試してごらんあれ

さりげなく帽子を落とす
子猫のようにじゃれつく
それから一瞬、動きを止めて
ほんのひととき、空気に溶けて消える
貴方を夢中にさせるために
彼女は貴方にご執心

彼女はとびきりの女王様
火薬とゼラチン、ダイナマイトとレーザービーム
(を一緒に合わせたような破壊力で)
貴方はいちころ、絶対保証付き
お値段は時価でお勧め
飽くことを知らない欲望――試してごらんあれ

さあ、どうぞ、試してごらんあれ


 これは、高級娼婦を歌ったものらしいです。お客さんはお偉い方ばかりのような。 そんな高貴で、それでも娼婦な女性って、男性は好きなのでしょうか。そんな彼女が 自分を気にとめてくれるとなると、自分自身もほかの偉いお客さんと同じような、 特別な気になってしまうような、そんな感じなのではないかと想像します。
 そう言えば、フルシチョフとケネディというフレーズに、少々時代を感じますね。'60年代後半、 キューバ危機で東西冷戦が一触即発状態になったころの、二大巨頭ですから。第一今、 ソ連ってないですし。




テニメント・ファンスター

俺の新しい紫の靴を見て
隣の奴らはぶっ飛んだ
俺のロックのレコードに
階下の奴らは我慢ならないらしい

俺は近所の女の子達を連れてのし歩き
本当の俺自身でいようと、ベストを尽くした
タバコをふかしながら、ロックを演ると
連中はまるで儀式みたいに、列を作って並んだ

ああ、俺にイカしたギターをくれよ
そしたら、俺の髪がみっともないって、言っていいぜ
そうだな、オープンカーでもいいな
そしたら、こんなところなんて、即効でおさらばさ

生きてりゃ、当然いいめにあいたい
でも最高のものは、ただじゃ手に入らない
まったくやりきれない、あいも変わらない最悪さだ
若くて、ビンボーで、イカれてる奴には
ああ、まったくイカれちまうよ

ああ、俺にイカしたギターをくれよ
そしたら、俺の髪をこき下ろしてくれてもいいさ
そうだな、オープンカーでもいいな
そしたら、こんなところなんて、即効でおさらばさ


 Rogerの曲は時に私小説的ですが、これなども典型的なものかもしれません。いかにも 彼らしいな、と思ってしまいます。「生涯、ロックンローラーでいたい。僕が死んだ時、 『ロジャー・テイラー ロックン・ローラー』と墓に刻まれたら、最高だよ」などと 言っていたそうですし、QUEENの中でも、もっとも『ロックンローラー』というイメージの 持ち主だと思いますから、Rogerって。




フリック・オヴ・ザ・リスト

サインをしなければ、お前の背骨をばらばらにしてやる
奴は言う、何もかも、ダブって見えるようになりたいか
奴が押し黙り、その目でにらみを聞かせるだけで
君は催眠術にかけられたようになってしまう
君の心は、完全に同調してしまう
見てごらん、奴の中の獣が、頭をもたげる

躊躇するな
ためらうな
それは、搾取以外なにものでもない

小手先で軽くひねるだけで、君はもう終わりさ、ベイビー
奴にキスをお見舞いしてごらん、君は気が狂うだろうよ
指先で軽くひねるだけで――奴は君を悲嘆に暮れさせる
わき腹を一突きし、それから頭を一蹴り
奴は君の腕を封じ、足を封じてきた
いままでずっと
ベイビー、君はいっぱい食わされてきたんだよ

僕が言っていることを、よくよく考えてごらん
さもなければ、君は厄介な状況に、どっぷりと浸ってしまうだろう
奴は言う、金のために身を売れと
人間としてのプライドなど、去勢してしまえと
休暇など、すべて犠牲にしろ
おまえがからからに干からびるまで、搾り取らせろと

躊躇するな
ためらうな
それは、搾取だ

僕は骨身を削って働かされ
苦痛のあまり、叫びをあげる
それでも、何の印象も感じられない
君は、奴の金儲けの道具として、たぶらかされているだけだ
雑多な担保として(金、金は絶好調だ)
まがい物の音楽を生みたす機械に君を貶め
しまいには、放り出される運命だ
それは、搾取以外のなにものでもないさ

小手先で軽くひねるだけで、君はもう終わりさ、ベイビー
奴にキスをお見舞いしてごらん、君は気が狂うだろうよ
指先で軽くひねるだけで――奴は君を悲嘆に暮れさせる
わき腹を一突きし、それから頭を一蹴り
奴は君の腕を封じ、足を封じてきた
いままでずっと
ベイビー、君はだまされてきたんだよ


 この曲、次の「A Night At The Opera」の、「Death On Two Legs」と同じテーマなのでしょうね。 罵倒の度合いは「Death On 〜」のほうがひどいですが、まだTridentの傘下にあった「Sheer〜」の時代に、 これだけ書いてしまうとは、よっぽど腹に据えかねていたのでしょうか。
はっきり、「搾取だ」「だまされているんだ」と書いていますものね。とは言え、一応二人称で、相手へ呼びかける形で、 「だまされるな」と書いている点、ワンクッション置いて、抽象化しようとしているような印象は受けます。
離れたあとの「Opera」は、容赦ないですが。




谷間のゆり

私は永遠に探しつづける、あらゆる場所を
しかし、なぜに皆、否と答えるのだろう
海の神よ、どうか私に答えてください
すずらんは、それを知ることはない

私は大きく目を見開いたまま、ここに横たわり待っている
私は嵐のくぐりぬけてきた
馬の背にある私の王国の行くところ
どこでも追って行った
しかし、そのたびに私は年老いた
ナイルの大蛇よ、私にしばしの安らぎを与えたまえ
貴方の呪文から解き放ち、解放しておくれ

七つの海からの使者たちが、飛び来り
ライの王は、王位を追われたと告げた
戦は決して絶えることはない
平和な時は、ないのだろうか
すずらんには、わからない


「Black Side」の延長線上にあるような、ファンタジックな詞です。抽象的ですが、 「Seven Seas Of Rhye」の続編だと思えます。前アルバムで『いざ行かん、ライの七つの海へ』 と歌われたライの王は、王座を追われた。戦いは繰り返される。栄華は続かない。そんな感じ ではないかと。
 ちなみにこの邦題、原題をそのまま訳したようですが、Lily Of The Valleyは、 『すずらん』ですね。しかし、『すずらん』というタイトルにすると、なんだか昔やっていた朝の連ドラ風で (このころは、もちろん違うドラマでしたが)、いまいちニュアンスが伝わらない。誤訳のようで、結構 はまった邦題だと思います。(バルザックの小説を思い出す)




ナウ・アイム・ヒア

僕はここに立って
あたりを見回している
でも、あなたは僕を見ようとしない
今、僕はここにいる
今、僕はあそこにいる
僕はたった今、生まれ変わったばかり
そう、あなたが僕に命を与えてくれた

あなたが僕の手を取った時
僕はまだ、ほんの赤ん坊だった
そして夜の光は輝くように燃え盛り
それを見つめる人々には、
それが何なのかが、わからなかった
でもあなたは一目で、僕の名前を知った
あなたと僕の間に何があろうとも
それが、アメリカからの新しい花嫁であっても
心配しないで、愛しい人よ、僕は大丈夫
地下室の中には、ピーチ(かわいこちゃん)たちと僕だけ
彼女のことを憎からず思っているかって?
もちろん、だって彼女が僕に命を与えてくれたのだから

僕は煙に曇ったスクリーンのような空に浮かぶ、細い月
あなたの愛の光を、追いかける
動かないで、何も言わないで、苦痛も感じないで
雨が僕の顔を濡らす
あなたのマッチは、まだ空に明かりをともし
僕の目からは、涙が流れ落ちる
街には、フープルと僕だけ
彼のことが好きかって?
そうさ、僕が彼のことが好きかって?

あなたと僕の間に何が起きようと
ともに過ごした思い出は忘れない

僕は今、ここにいる
ずっとこの辺にいると思う

街には、あなたと僕の二人だけ
あなたのことが好きかって?

  行け、行け! かわいいクイーニー!


 これは、「モット・ザ・フープルとローリング・ストーンズとザ・フーへの賛辞」だと、 以前読んだことがあります。ということは、曲中に出てくる「You」は、これらのバンドのことで しょうか。そして彼らから、バトンを渡されたのがQUEENだと。そんな風にも解釈できますが。 同時にこれは、QUEENとファンとの関係にも、取れるような気がします。




神々の業

ああ
神のみ手にゆだねよう

僕は君に人生をささげ
考えることはただ、君のことばかり
君が望むなら、どんな事だってしよう
僕は君の唇に触れる
でも、それで終わり、あとは神にゆだねよう
神のみ手にゆだねよう
それ以上、何ができる?

神のみ手にゆだねよう
僕は君の手にゆだねる
神のみ手にゆだねよう
君にもそうしてほしい
神のみ心のままに
先のことは、わからない


 繰り返しが多いので、ダイジェスト訳になってしまいました。愛しているけれど、 成就する勇気はない、そんなところでしょうか。
 「王様と私」の中の、「Something Wonderful」という曲にインスピレーションを得たとも、 されています。




ストーン・コールド・クレイジー

土曜の朝、思いっきりぐっすり眠って、
アル・カポネになった夢を見た。
噂は広まり、町から追い出されそうだ
俺には乾いた魚の骨のような匂いがする
法律のお出ましだ、ドアを叩き壊し、
俺はまた、何処かへやられるのだろう
二度とごめんだ、もう、絶対に二度とごめんだ
この冷たい石の床から出してくれ
きちがい沙汰だ
まったくの、きちがい沙汰だよ

雨の午後には、大騒ぎをやって、
スライドトロンボーンを吹き鳴らそう
これ以上、もうこれ以上、我慢できない
この冷たい石の床から出してくれ
きちがい沙汰だ
まったくの、きちがい沙汰だぜ

通りを歩いて、目に付いた奴を、片っ端から撃ってやる
ああ、ゴムでできた、おもちゃの水鉄砲でさ
ほら、保安官代理がやってきた
奴はやってきて、俺を捕まえる気だ
さあ、さっさと逃げなくちゃ
奴らはサイレンを鳴らし
俺は精魂尽き果てるまで、走った
奴らは俺を、独房に連れてくんだろう
天国へ行けないどころか
奴らは俺を、地獄へ行かせるんだ
きちがい沙汰だ
まったくの、きちがい沙汰だぜ


 よく言われている言葉ですが、この曲は、QUEEN流パンク、もしくはスラッシュの走りという感じです。
 第一印象――早い! ヴォーカルのスピートも、演奏スピードも速い。元祖スピードメタル。詞の内容的にも、まるでガンズの曲のようで(^^;)、QUEENの多彩さの一面を見る思いです。  のちに、Metallicaがカヴァーしたのも、うなずける気がします。
 ちなみにこの曲、クレジットがQUEEN全員になっているところが、また興味深いです。初期〜中期では、異例の共作ですが、 ジャム・セッションから発展した曲なのでしょうか。




ディア・フレンズ


親愛なる友よ、君の恋人は去ってしまい
ただ、涙に暮れる日々を送っている君に
そんなこともあるさ、とは、とても言えないけれど
破れる愛もあれば、勝利を得る愛もあるのさ

お眠りよ、そして、もう一度夢を見てごらん
また希望が芽生えてくるから
今はまったく憂鬱な日々だけれど
また、新しくはじめられるさ
すぐに涙は乾き、もう泣くこともなくなるさ


 ――「♪涙くん、さよなら。さよなら、涙くん――(古!)」
 すみません! 若い方はご存知ないかもしれませんが、思わずそんなフレーズが頭をよぎってしまいました。

 「wind must blows」は、「rain must fall」にも似ていて、晴れた日ばかりではない、という感じに解釈しました。もっとも、「風が吹く」には、「情勢を見極める」などの意味もあるわけですが、 この場合にはあまりフィットしないように思えましたので。
 落ちこんでいる時に慰めてくれる友達って、ありがたいです。




ミスファイアー

不発に終わらせないで。
続けていきたい、
その欲望で僕を満たしておくれ

わかるかい、恋はゲームなんだよ
それは、いつも、当たったりハズれたり
だから、しっかりと狙いをつけて
しっかりと掴んで
素晴らしい一撃で、僕を撃ちぬいておくれ

   不発はだめだよ
続けていきたいという
その欲望に満たされたいから

あなたの銃は装てんされ、私の行く手を狙っている
弾はたった一発だけだから、遅れてはダメよ
ちゃんとタイミングを見計らって
一晩中、私に火をつけて

おいで、撃ってごらん
僕を、もっと燃えたたせておくれ
今度は、失敗しないでおくれ
頼むから、不発はごめんだよ


 Johnが初めて書いた曲ですが、ポップなメロディメイカーとしての彼の片鱗が、 現れているようです。
 でも、この詞――ヴォーカリゼーションから見ても、男女の掛け合い風なのですが、読み方によっては、かなりきわどいような。 しょっぱなでこういう詞を出してくるJohnさんって、結構いい度胸かも、という気がします。(苦笑)




リロイ・ブラウン

連れ戻せ、呼び戻せ
呼び戻せ、あのリロイ・ブラウンを――そうとも

連れ戻せ、呼び戻せ
思い出せ、あのリロイ・ブラウンを――戻って来い

無け無しの金まで、全部賭けなよ、プレイボーイ
90ドルの微笑を浮かべた、イカした親父(ダディ・クール)のように
感謝のしるしに、俺の金を持っていって良いから
それでもって、あいつはさっさと町を出ていっちまった

あいつに近づいて、狙いを定めて、撃ち倒してやる
いい頃合を狙って、撃つのさ

悪党のリロイ・ブラウンは、常識なんて持ってやしない――あるもんか
あいつの脳みそは空っぽだが、流儀はたんまり持ってるんだ
もう、こんな刑務所の中にいるのは、我慢できないぜ
お勤めからは、さっさと抜け出してやるんだ

警察(サツ)の追っ手をかわして、影に隠れてやる
俺は、生死を問わず、のお尋ね者になるのさ

ワォ、悪党のリロイ・ブラウン
わぉ、なんて悪党のリロイ・ブラウン――まったくさ

ルルベルおばさんは、ノイローゼになっちまった
(ビッグママはノイローゼ)
リロイが、おばさんのかわいい子を、連れていっちまったから
だが、彼女が駅で奴に会った時
拳銃を奴の頭につきつけながら、なんて言ったと思う?
俺の聞き間違いじゃなかったら、こう言ったんだ
「――悪い奴、悪い、悪い子ね、リロイ・ブラウン
 私は、あんたを手に入れてやるわ(恋人として)――」

あいつは、まったく結構な騒ぎを引き起こしたのさ
それでもって、なんと、大統領に選ばれちまった
(リロイを大統領に!)

この次には、あの悪党のお天気屋に出くわすだろう
今度は、ガタガタの薄いなめし皮みたいだろうさ
あいつは、悪い、悪党の、とんでもないリロイなんだ
あんたがあいつをどこから連れてこようと、かまいやしない

あの悪党のリロイ・ブラウンを連れ戻してくれ
奴に戻ってもらいたいのさ


 この曲はヴォードヴィル調、というか、ウェスタン風です。QUEEN Uまでの正統派ロックから一転して、さまざまな 音楽スタイルを盛り込んでみようという試みの一環なのでしょう。
 ――ところで、リロイ・ブラウンって、誰? 
 1973年の、ジム・クローチが全米で大ヒットさせた、「Bad Bad Leroy Brown」(邦題:リロイ・ブラウンは悪い奴)という曲がありますが、そのリロイ・ブラウンと、 同一主人公なのでしょうか。なので、「リロイ・ブラウンをもう一度」という感じなのかもしれません。
 ジム・クローチの曲は、リロイ・ブラウンというギャングのボスを歌ったもののようです。歌詞をよく知らないため、詳しい比較はできないのですが、 あい似かよるイメージを感じています。
 余談ですが、ジム・クローチは「リロイ・ブラウン」の大ヒット後、まもなく、不慮の飛行機事故で、世を去っています。 彼の才能を惜しむ声も多々聞かれた中での、若すぎる死でした。それゆえ、「リロイ・ブラウンを連れ戻せ」と言うフレーズには、 リロイだけでなく、ジム・クローチへの含みもあるのでは、という気もします。




シー・メイクス・ミー

愛している
彼女が僕に及ぼしたすべてを
彼女は、僕の心
彼女は、僕の愛
彼女は、僕の恋人

わかっているよ
君は妬いているんだろう
僕には彼女が必要
彼女は、僕の愛
彼女は、僕の恋人
彼女の繭の中に横たわる時
僕がどうなってしまうのか
決して、わからない
でも、その世界は確実に
僕の病を癒してくれる
暖かで、そして怖い
彼女が僕をそうさせる

わかっている
彼女のもとを去る日が来ても
僕はなお、彼女を愛するだろう
彼女は、僕の愛
彼女は、僕の恋人

僕の夢がどこで終わるのか
誰にも、わからない
夢が続く限り、僕は追いつづける
でも、みな知ることになるだろう
それはとても、長い時がかかると
僕の歩みがゆっくりだとすれば
そうさせたのは、彼女

彼女は、僕の愛
彼女は、僕の恋人


 思わせぶりな副題とラストの効果音(息絶えてしまう)が、ちょっとひっかかるのですが、個人的には やっぱりこれはラヴソングなのではないか、と思ってしまいます。(クリスティーヌさんを思い出してしまった。もうとっくに別れたそうですが)
 最後に「夢」が出てくるところから、「彼女」を「音楽」なり「ライフワーク」なりに置き換えても、 意味が通るような気もします。
 副題は、「シティレットゥを装備した突撃隊」という意味です。シティレットゥとは、その昔 暗殺者が使った、ごく細身の剣で、あまりに細いために刺されてもすぐには死なず、気づきもしない けれど、ある程度時間がたつと、ばったり倒れて死ぬ、その間に犯人は遠くに逃げている、と いうものだそうです。
 「彼女の魅力」(人間でなくとも)がシティレットゥのようなものなのか、そこに致命的な含みが あるのか、深読みすると、たしかに考えさせられる曲です。




神々の業 (リプライズ)

とても簡単なことさ
でも、僕にはできない
とてもおかしいよ
笑うようなことなんて、何もないのに
君が話すことは、僕の持っている金のことばかり
君が僕に何を望んでいるのか、わかるさ
でも、僕は馬鹿じゃない

それは、神々の手中にあるのさ
君が僕に何を望んでいるのか、わかる
でも、僕は馬鹿じゃない

始まりもない、終わりもない
見せ掛けには、何の意味もない
僕を信じてくれ
人生は果てしなく続いていく
僕を許してくれ
僕は本来の自分に戻りたい
君は言う (ああ、できるとも)
僕が君を手放すはずがないと
(できるさ)
そんなこと、できるはずがないと
(ああ、できるとも)

それは神々の手中にあるのさ
君が僕に何を望んでいるのかは、わかっている
でも、僕は愚か者じゃない
人間の力では、及ばないことさ
でも、それは真実じゃない
人知を超えたものなんだ
でも、僕は馬鹿じゃない
どうなるか、神ののみぞ知る、だ
僕らには、わからない
でも、僕は愚か者じゃない
どうなるのか、神のみがご存知だ


 不実な恋人に悩み、別れてやると思いながら、実行に移せない。自分の中に相手に対する思いが 残っているのか、それとも単に優柔不断なのかわからないけれど、恋の行方という奴は、人間の手に余る代物だ。神の領域だ、という感じ のラヴソングだと思っていたのですが、どうやらこの曲は不実なマネージメントを歌ったものだとか。不実の裁きは、 神のみ手にゆだねる、という感じなのでしょうか。
 いかにもQUEENらしい大仰さ(悪い意味では、決してありません)で、この当時ならではの面白さがあると、個人的には思っています。 そう言えば、'75年か'76年か失念しましたが、どちらかの来日公演のブート盤のラストが、この曲 だったような記憶があります。





個人的レビュー

 私にとって、クイーンとの出会いとなったアルバムです。
 ハードロックからポップな佳曲、ゴスペルっぽいものからラグタイムまで、これほどバラエティに富んで、なおかつそれぞれの曲のクオリティが高いアルバムに、今までであったことがありませんでした。まさに、音のカレイドスコープ。
 音楽的には、前二作でブリティッシュロックの様式美を極めた彼らが、今度は音楽的なレンジを広げようという試みに出た、初めての作品かもしれません。
 曲もメンバー四人がそれぞれ提供していて、個々人のカラーが反映されています。

個人的ベスト3

  1. BRIGHTON ROCK  
  2. KILLER QUEEN
  3. MISFIRE





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