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管理人S-1 06/10土18:14 #r371
《スレットマネージメント》について

 これはちょっと航空界の事故対策の流れを知った方がわかりやすいと思います。
航空界の事故の歴史を考えるとき機材や管制などの進歩・改善によって、70年
代までは事故率は毎年のように低下し航空輸送は信頼性を得てきました。ところ
が70年代以後、事故率の低下は横這いとなってしまいました。一方航空の輸送
量(発着回数)は増加、機材も大型化し、これからもますます需要は増えること
が予想されています。と、いうことは事故率をさらに下げなければ事故数は増え
続け「一週間に一度ジャンボ機が落ちる」状態になりかねないことが推定されま
した。
 事故を要因別に分析してみると、機材に問題が無いにもかかわらずに起きてし
まった事故。あるいは機材やその他に多少の問題があったにしろ、クルーが適切
に対処していれば・・・という、いわゆる人間の要因が60%以上をしめる結果と
なりました。そこで各航空会社は80年代の後半からCRMというトレーニングを
導入しました。さらに90年代の後半からは「スレット」(エラーを起こしやすく
する要因)という概念を導入し、それに対処するために「スレット&エラーマネ
ージメント」というあたらしい(エラーマネージメントをさらに広げたような?)
事故防止への取り組みを開始しはじめたのです(JAL,ANAは「導入予定」だそう
です)。
 TEMはLOSA(ラインオペレーションセイフテイオーデット)と組み合わせて利
用されるということです。今までProactiveな対策としては各種のsafety report
が行われていましたがそれに加えて「normal operationからデータを把握しよう」
というもののひとつです。
 Normal operationからデータ(危険要因)の把握をする方法としてはDFDR(デ
ジタルフライトデータレコーダー)を解析することによって(異常とはいえない、
しかしデータ上)正常からは逸脱したような運航を把握することは可能となってい
ました。しかしこれだけでは「逸脱したことはわかるが、何故か?はわからない
(かつ事故でもインシデントでもないのでほとんどはそのまま、となる)」という
ことから、LOSAという、(スレットやエラーをみつける?)トレーニングを受けた
専門家が正常運航をジャンプシートからauditする方法、が考えられました。そして
そこでは運航のどんなphaseでどんな事がクルーのスレットになっているのか(発
生しているのか)、それに対してクルーはうまく対処しているのかを観察していく
ようです。
 これはもちろん審査や訓練のフライトとは区別され匿名の記録になります。

 このLOSAで把握したスレットについての対処法のトレーニングがTEMということ
のようです。「エラーマネージメントは過去をmanageし、スレットマネージメント
は未来をmanageする。将来を見通す訓練」とも言われているようです。

詳しくは
日本航空ジャパンのサイト
  こちら
ICAOのサイト(pptファイルですが最初の二つをご覧になるとイメ―ジをつかむこ
とができると思います)
  こちら
テキサス大学のサイト 
 をご覧になると良いと思います。

テキサス大学のHelmreich教授は医療版も提案されていますが、僕自身はまだ
まだわからないことが多く判断できないでいます。ただ、印象としては「手術
室」のような時間的にも空間的にも限定されたような設定だとイメージできそ
うな気がしています。
 相変わらずの「聞きかじり」の「感想」ですみません。
 間違っているかもしれません。英語も弱いですし・・(笑)


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2006/06/14水00:32