.個人事故-組織事故―社会事故(2) | 返信 |
管理人S-1 04/28木23:53 #r149 (すみませんまとまりのない「続き」です)よその業界の悪口ばかりでなく、同じようなことを我々の世界で振り返ると、 (政策としても経済的にも誘導されている)過剰な「入院日数の短縮化」志向 が気になります。「医療の質の向上」などと一緒に語られ、「うちは現在○○ 日だ」と自慢されます。確かに無駄な入院は減らさなければならないと思いま すし、出来るだけ早く返してあげたい気持ちはもちろんありますが、場合によ っては目標構造のとり違え、になってしまうおそれがあります。 また4月からの個人情報保護法実施による現場の混乱も(否、法律そのもの が)医療事故を誘発する恐れがあります。 もうひとつ、今回の事故に関連して、驚いたのは病院の職員の中にも「重大 な事故を起こしたのだから、運転士は逮捕されて当然」という考えがかなりあ ることです。 「じゃあ、患者さんのためにと思って急いでつい確認せずに輸血の取り違えを した、ような場合。自分が逮捕されて当然、と思う?」「同僚が忙しそうだっ たので仕事を換わってあげた。そこでエラーをした。それが事故に結びついた、 ような場合は?」「事故を結果の大きさから評価していいのだろうか?」「ま して、我々と違うのは車両の先頭にいる本人は何かあったら一番先に自分が死 んでしまうよね」と話すと、考え込んでしまうのですが・・・・ 「事をわがこと」と考えるだけでも「安全知識・意識」は醸成されると思う のですが、僕らの力が足りないせいか当院の安全文化もまだまだです。 幸いなのは、「犯人」の欲しいマスコミがJRが小出しにする運転士の情報 にとびつき、それとなく運転士の個人の問題を取り上げるのですが、失敗学の 畑村教授が今日「スピード違反はひとつの要因かもしれないが、ひとつの失敗 をが事故につながらないようにするのがシステムだ。小出しにされる運転士の 個人要因で決着をつけても何もならない」とマスコミやJR西を批判し、労災防 新書などの正田先生も(詳細は不明なので、と抑えながら初日に)「定時への 異常なプレッシャーが影響しているのでは」述べられ、航空・鉄道事故調査委 員会も最初から、「複合要因だ」と述べていることです。 「事故調査は再発防止のため」という原則に立った調査を期待したいです。 僕は事故の犠牲となったかたがたもお気の毒ですが、反論の機会も奪われた 「当事者」である運転士と人前で悲しむことすら憚られているであろう運転士 のご家族がお気の毒でなりません。 追伸:「10―20分の遅れは日常だった」という情報もあります。とすると ダイヤそのものが無理な設定だった、ということが証明されていること です。まさに「事故は会議室で用意され・・・・」です。 |