平成13年度各会計歳入歳出予算案審議の締め括りにあたり、生活者ネットワーク・民主党の総括意見を申し上げます。
新年度予算案のフレームを概観すると、いたるところで、昨今の経済状況や区民税減収に見る苦しい財政事情、その一方で人口の増加や高齢化の進展にともなう行政需要のアップ、あるいはIT(情報技術)化や行政のスリム化の必要性への認識が垣間見られます。それは、区の「予算編成基本方針」にもあるとおり、限られた財源の中で、いかに「区民生活を守り、安定した行財政基盤を確保するために新たに踏み出す予算」をつくるべきかが問われ、熟慮した結果であろうと推察いたします。
13年度予算案は新しい世紀を迎えた節目の予算案でもあり、行財政改革が喫緊の課題である我が区にとっては、今後の区政の方向性を決定づける、非常に大きな意味を持つ予算であると言えます。
当該予算案を総合的に見ると、数年後には一段と厳しさを増すことが予想される財政状況を鑑み、行政運営の効率化、受益者負担の適正化などが図られていると判断されます。我が会派としてはその基本的姿勢を評価し、賛意を表明いたします。
しかしながら、新たに迎えつつある時代状況を考えたとき、個々の課題への対処がまだ不十分であろうと思われる部分が散見されることも指摘しないわけにはいきません。私たちは、いかに経費をかけずに、時代の趨勢にあった意識改革を行っていくかを考えの起点としてまいりました。21世紀にふさわしい市民との対話型の行政、環境との共存を図る行政、そして性差別意識等を排除した基本的人権を守る行政を、よりいっそう徹底化させることを会派の姿勢としております。
新年度予算案のフレームワークを総合的に評価しつつも、以下、歳入歳出の各項目について数点ずつ要望の意を込めて、整理してまいりたいと思います。
まず、歳入について申し上げます。全体的な歳入不足の現実と税負担の公平性の原則からも、税の徴収事務のさらなる徹底化が望まれるところです。また各種施設使用料の改正については、聞き取り調査を実施するなど区民の声を常に反映させるよう要望いたします。
次に、歳出です。総務費について申し上げます。基本構想の策定にあたっては男女共同参画社会の推進を具体化させ、また情報公開制度を区民が利用しやすいものにしていくことを望みます。特に窓口の設置は必要です。ボランティアセンターの運営においては、今後、同センターがNPO活動推進の中心的な役割を果たしていくことを期待いたします。行政における各種文言は時代にあったものに改め、「広報えどがわ」のさらにわかりやすい紙面作りを求めます。また、バランスシートの作成を高く評価し、さらなる工夫を望みます。
区民生活費について申し上げます。新年度予算より計上された住民基本台帳予算については引き続き国庫負担を要請し、個人情報の管理を徹底化することを要望いたします。各種まつりや行事については、現在の財政状況あるいは環境にあったものでなければならず、その形態や予算規模の再検討を今後望みます。また各施設におけるバリアフリー化のさらなる推進を提案いたします。
産業振興費においては、女性起業家支援セミナーの推進とともに、区内の貴重な財産としての伝統産業の育成を希望いたします。
環境費について申し上げます。まず区が率先して洗剤使用から石鹸使用へと切り替え、雨水利用や太陽光発電等を推進し、環境行動計画を活用しながら、江戸川区独自のISOの取り組みを目指すことを提案します。ダイオキシン規制、容器リサイクル、家電リサイクルの実施においては地域にあった方法の検討を望みます。
健康費においては、区民にやさしく利用しやすい保健所運営を望むところです。
福祉費について申し上げます。生活支援事業を充実化させ、高齢者の抱える住宅問題の改善を要望いたします。また、新たにスタートするファミリーサポートセンター事業の実のある実施を期待いたします。児童虐待やドメスティック・バイオレンスは深刻な人権侵害であり、子どもや女性など弱者に対する施策を総合的に検討することを要望いたします。
都市開発費についてです。「水と緑の行動計画」やホームページ活用などを通して、市民参加型のまちづくりのあり方を推進していくことを要望いたします。その際、民間マンション建設、人口過密、住宅密集地、防災など諸観点からのまちづくりの検討作業が必要です。
土木費について申し上げます。現在取り組んでいる地下駐輪場政策を活かし、放置自転車問題の抜本的対策を要望いたします。またポニーランドにおいては時代にあった受益者負担の考え方を導入し、さらに障害者乗馬を充実化させることを求めます。
教育費においては、時代に即した名簿のあり方、ネットワーク授業の適切な活用、さらに学校評議員制度など地域に開かれた学校づくりを要望いたします。また健常者も障害を持った児童もともに通える地域の学校づくりを求めます。図書館行政においては貸し出し業務中心の運営ではなく、図書館が本来持つべき高度な情報技術の提供を果たせる司書中心の運営を望むものです。
公債費について申し上げます。公債費比率が10%を超えた場合、それをひとつの警戒ラインの目安と意識しながら、中長期的な財政運営を行うよう望みます。
最後に、特別会計予算です。介護保険事業特別会計について申し上げます。区は介護保険制度の保険者として、グループホーム建設、療養型病床群の設置推進、痴呆の認定、苦情処理などの諸課題について、今後の介護保険制度の見直し作業とあわせ、さらなる制度の整備と充実化に努力されるよう要望いたします。
以上、歳入歳出の各項目について数点ずつ要望や意見を申し上げました。前述のとおり諸課題に対する意見や要望はあるものの、今回提案されている平成13年度各会計予算案については、生活者ネットワーク・民主党として賛意を表明いたします。私たちから提案させていただいた各課題への要望は、過分な予算のかからないことを基本としております。積極的な検討を期待いたします。
なお、共産党から出されております予算修正案については、行財政改革の必要性、また受益者負担の適正な導入の必要性の認識から、あるいはスタートしたばかりの介護保険制度を守り、整備していく立場からも、反対を表明いたします。
以上、生活者ネットワーク・民主党の総括意見といたします。