議会活動

■2000年(平成12年)3月議会 代表質問

<ダイオキシン問題への取り組み>

木村  先月、区民の方から「バケツの水面に煤煙のようなスス状のものが多々不着する。ダイオキシン汚染は大丈夫なのか」という不安の声が寄せられた。スス状の物質を特定するには、もちろん、科学的分析が必要だが、このような不安の声が身近な区民の間から出てくることの原因の一つは、区の行政レベルにおけるダイオキシン対策が決して十分なものではないことにもあるのではないか。

 こうしたスス状の物質の問題においては、排気ガスなども大きな原因の一つであろう。排気ガスの問題など大気を媒介とする環境問題は、一地方自治体だけではどうしようもない、都レベル・国レベルでより積極的に取り組むべき問題である。しかし、ダイオキシン問題に関して国レベルでその対策法ができた今、今度は私たち自治体のレベルにおいて積極的に取り組まなければならない。
1月15日、ダイオキシン対策法、すなわちダイオキシン類対策特別措置法が施行された。同法において規定されたダイオキシン濃度の環境基準に、平成10年度、11年度に区内で測定されたダイオキシン濃度の結果を照らし合わせてみると、幸いなことにいずれも基準値を下回っている。この点はよいことだ。しかし、ダイオキシン問題において重要なのは、環境基準値もさることながら、人体への摂取量だ。環境庁と厚生省の合同専門家会議が採用した、人間が生涯にわたって摂取しても問題ないとされるダイオキシン類の耐容一日摂取量は、体重1キロあたり4ピコグラムである。ところが、この値は世界保健機構(WHO)の提案する目標値の最低レベルであり、国際的に見て決して高いダイオキシン対策目標値を国が設定したとは言えない。そのことを考えれば、最近の観測結果が環境基準を満たしていたとしても、一概に喜べない。

ダイオキシン対策法の施行によって、1時間あたりの燃焼能力が50キログラム以上200キログラム未満の小型焼却炉から出るダイオキシンの排出基準は1立法メートルあたり5-10ナノグラム(ナノは10億分の1)と法的に定められた。

区は1月から、区内の全事業所約2万2千カ所を対象に小型焼却炉の実態調査を開始した。職員や調査員が各事業所に対し事前通告した上で、焼却炉や焼却物の種類、焼却頻度、時間、煙突の高さなどについて調査していると聞く。同調査は3月中旬に完了予定であると伺っているが、調査結果はいつごろ、どのような形で公表されるのか。

区長 ダイオキシンの問題は最重要課題の一つだと思っている。今年の1月からダイオキシンの実態調査を始め、年度内の期間で、委託訪問方式で実施している。これからの対策を組み立てる上での前提調査ということだが、焼却炉を使っている人への使用抑制と自粛の啓発をあわせて行っていく。結果がまとまり次第、集約し、公表する。区内の小型焼却炉の実態というものを区民に明らかにしていきたいと思っている。

木村 ダイオキシンについて現在、調査中なので、その結果を待ってからという区長のお言葉だ。それはそれで結構だが、逆に一つの提案をしたい。結果の公表には広報を使われてはどうか。紙面は限られるかもしれないが、広報の頒布数はかなりのものであり、周知するには一番効果的だろうと思う。

次に、調査の目的は小型焼却炉の実態調査もさることながら、小規模焼却炉がダイオキシン発生の元凶であるということの認識を事業所に持ってもらうことにあろうかと思われる。今回の調査にあたって公害対策課のほうで用意した資料中の「調査目的」には「焼却炉の使用抑制乃至中止の協力を要請する」とある。実際に、現場で調査にあたる職員や調査員はどのような姿勢で「焼却炉の使用抑制乃至中止の協力を要請」しているのか。

調査にあたって、中には極めて非協力的な事業所、あるいは焼却炉の使用方法や管理方法がずさんな事業所があるだろうと推察する。ダイオキシン対策法が施行された今、そうしたダイオキシン類を撒き散らしている疑いが強い悪質な事業所や非協力的な事業所に対して、区はどのように対処していくのか。

区長 調査を進めていく過程の中で、非協力的な事業者に対しては、粘り強く説得をし、理解と協力をしてもらわなければならない。

木村 非協力的な人に対して今現在では協力をお願いするしかない、という答えしか出ないのは仕方ないことかもしれない。しかし、だからこそ条例を整備し、例えばそこに罰則規定なりを設け、そこで区が指導をしていく。あるいは非協力的な事業者の名前を公表するとか、そういった手段もとれるように法を整備してはどうか。

 区長自身、今定例会の「招集のあいさつ」の中で、「ダイオキシン対策」についても「強化してまいります」と述べていた。また、以前も指摘したが、ダイオキシンは青酸カリやサリンよりも危険な物質だ。これほど危険な物質に対し、十分な法的規制を持たない自治体行政はやはり問題だ。区内の産業振興は、まず区民の健康あってのものだ。改めて、ダイオキシン問題に対する条例整備に全力であたって頂きたいと思うが、区の考えはいかがか。

区長 条例化する、しないについては、今はっきりしたことは言えない。しかし、今の指摘を参考にし、対策を講じていきたいと思う。

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