＜介護保険＞
木村 介護保険制度の経費の総額は年間４兆円。この保険制度導入は高齢化社会を迎えつつある我が国における厚生行政・福祉行政の転換を占う重要な試金石だ。国会周辺でくすぶっている介護保険の延期論は許されない。滞りのない介護保険導入を目指してこれまで多くの努力と準備を重ねてきた介護保険制度の保険者たる我が区として、＜予定通りの滞りない介護保険導入＞に対する断固たる決意というものを改めて述べていただきたい。
区長 全力をあげて実施できる体制をつくっていく。
木村 介護保険といえどもやはり保険者と被保険者の信頼関係の上に成り立っている保険契約である。ならば、保険料の概算だけでも被保険者に対して示されてしかるべき。なぜ被保険者、つまり区民にとって最も関心がある保険料の概算について、品川区が行ったように説明会において明示することができないのか。単刀直入におうかがいする。我が区の１号保険料の平均は概算でどれくらいなのか。品川区にできたことが江戸川区にできないとは思えない。
区長 保険料の明示については、暫時お待ちいただきたい。
木村 厚生省に対してはワークシートに基づいた保険料を通告していると聞く。しかし、保険料について最も知りたいのは厚生省ではなく、区民である。速やかに保険料を示していただきたい。
木村 特別養護老人ホーム入居者の６％、およそ１万７０００人の人たちは症状が軽く、５年以内に退去しなければならないと予測されている。問題は、そういったお年寄りの多くが介護してくれる身寄りがなかったり、住むアパートがなかったりし、帰るところのない「介護保険難民」になりかねないということだ。絶対にあってはならないそうした「介護保険難民」に対して、江戸川区としてはどのような予測をたて、またその対策を講じているのか。区として高齢者住宅の建設等は俎上に上っているのか。
区長 在宅介護、ふれあいホールなどの事業によってフォローしていく。
＜犯罪被害者に対する支援制度＞
木村 さる６月２７日は松本サリン事件発生からちょうど５年目にあたる。社会においては他にも、女性に対する性犯罪、幼児の誘拐事件、そして日々どこかで起こっている交通事故など様々な暴力や事件があり、そこには必ず被害者が存在する。区内においても犯罪や事件が多発している。しかしながら、現在の日本では「被害者」あるいは「犯罪被害者」に対する基本的権利や人権は忘れ去られ、何らの支援体制も整っていない。
国は８１年に犯罪被害給付制度を制定したが、その補償は決して十分とは言えない。それに対し、大阪摂津市では２４年前に先進的な「摂津市災害見舞金等支給条例」が制定された。これを参考に、９７年に場外舟券売り場に反対していた町議が襲われる事件のあった埼玉県嵐山町（らんざんまち）においては、９８年に、町民が犯罪被害に巻き込まれた場合、賠償能力がない加害者に代わって医療費や生活費の一部を補償する条例の制定が決定された。
何の落ち度もない被害者を支援するための条例を自治体として備えていてしかるべきである。また被害者の人権に対する法整備というものも時代の趨勢として整っていくと思われる。区のご所見をお伺いしたい。
地元の警察を中心に＜被害者援助ネットワーク＞をスタートさせた中野区野方の試みも大変参考になる。「野方被害者援助ネットワーク」は、犯罪被害者支援のため地域社会が協力して幅広い支援体制を整えるものである。これには中野区の４部課所が協力している。江戸川区としてもぜひ率先してこうした自治体における連携した取り組みを検討して頂きたい。
区長 現在、区は犯罪被害者の支援制度に関する情報を持っていない。調査の実績もない。しかし、貴重な提案なので、大いに関心を払って調査していきたい。
＜ダイオキシン規制条例＞
木村 我が区のダイオキシン問題に対する取り組みは決して十分ではない。ダイオキシンの中でも特に問題となっている2，3，7，8－ＴＣＤＤがその毒性において、致死量にして青酸カリの２万倍、サリンの数倍でありことを、改めて認識していただきたい。これほど危険なダイオキシンを法的に規制せず、なかば自主規制という、言ってみれば個々の道徳判断に任せている我が区の状況はやはり問題。ダイオキシン規制の法整備に全力であたっていただきたい。
区長 極めて深刻な問題ととらえ、対処していく。
木村 ダイオキシンは猛毒物質であることを再認識していただき、条例づくりに取り組んでいただきたい。
