リンダ・ハワード作品ピックアップ&あくまで私的な感想 Page 1
二度殺せるなら
二見文庫ザ・ミステリコレクション (二見書房)加藤洋子訳
ストーリー
アメリカ・オハイオ州にひとり住む看護婦のカレン。
遠く離れた南部ニューオーリンズで、長年行方不明だったカレンの父、
デクスターが道で射殺されたことから物語は始まります。
ニューオーリンズ地元警察官のマークがカレンの留守番電話を通じて
彼女の父親の死を告げ、遺体の確認をしてほしいと連絡するのが
二人の最初の接点。
ニューオーリンズに飛んだカレンとマークとは出会い、父の死の謎に
せまるうちに、次の黒い魔手はカレンに迫ってきます。
なぜ父が、そしてカレンが狙われるのか。
サスペンスとラブロマンスが楽しめる作品です。
みどころ&感想
カレンが最初に、マークの声を聞くのが留守番電話。
もちろん用件は警察官として仕事上の連絡なんですけど、
彼のとろりとした蜜のような声に、無意識にカレンが惹かれるという
設定が私には、とってもGOODでした。
顔は知らないのに、魅力的な声にからめとられていく・・・
そう、某「オペラ座の怪人」がダブリますよね。
マークは歌は歌いませんけど(笑)
アメリカ南部のものうい雰囲気、南部出身のヒーローを
描かせたら、リンダの右に出る作家はいないと思いますわ。
カレンとマークが結ばれる夜の情景が最高!
カレンの父、デクスターにからむ大きな謎。タイトルとも関わる真相が
なかなか読ませてくれます。
脇役で登場するジョン・マディーナも要チェック!
私にとっての、リンダ作品ベスト3に入る作品。
ハーレクイン本は手に入りにくいですが、二見はいつでも買えるのが
良いところ。リンダ初心者にはこれをお勧めします。
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青い瞳の狼
二見文庫ザ・ミステリコレクション (二見書房)加藤洋子訳
ストーリー
物語の始まりは5年前。
CIA職員のニエマは電子工学の専門知識をかわれて、新婚の夫
ダラスとともに、危険な任務に参加します。
しかしこの仕事でダラスは命を落とし、ニエマは最前線を離れます。
時は流れ、若い未亡人として静かな生活を送るニエマに、
また新たな任務への誘いが。
相棒として現れたのは、5年前にグループのリーダーを務めていた、
CIA伝説の諜報員ジョン・マディーナ。
二人の任務はフランスの武器商人の屋敷にもぐりこみ、盗聴器を
しかけてコンピューターのデータを手に入れること。
ニエマとジョンは別人になりすまして、パリへ乗り込みます。
ラブストーリーとともに、スパイものらしいハラハラするような駆け引き、
アクションも盛りだくさんです。
みどころ&感想
この作品で、一番面白かったのは
人妻としてニエマに出会って以来5年もの間、ヒーローがずっと密かに恋心を秘めていたという点。
同僚の死後、ジョンは姿をあらわさない守護天使となってニエマの無事と幸せを祈りつつも、彼女への燃える想いを抑えつけてきました。
自分の力不足のせいで彼女の夫は死んだ。ニエマに憎まれていると信じることで救われてきた・・・なーんて、いじらしいヤツなんだ(笑)
「任務のためには、自分の妻を殺すことさえいとわない男」というウワサが絶えない冷徹な一匹狼タイプのジョン。
その青い瞳が秘めた、胸のうちの狂おしさが徐々に解き放たれていく過程も、ぜひ楽しんでいただきたいところ。
それから、もうひとつのみどころは悪役として登場する、フランス人の武器商人ルイ・ロンサール。
切れ長のダークブルーの瞳に肩まで伸ばした黒髪が、タキシード姿で野性味を帯びて、これまたとびきりゴージャスで魅力的な男なのです。
次第にニエマを友人として大切にするようになり、彼女だけに明かされるロンサールの秘密とは?
重大な秘密ゆえに苦しみ、悪の道を歩まざるを得なくなったロンサールの人間味も、この小説の味わいを深くしていると思います。
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夢の中の騎士
二見文庫ザ・ミステリコレクション (二見書房)林 啓恵訳
ストーリー
14世紀のスコットランドに関する古文書を研究しているのが、
現代に生きるヒロインのグレース・セントジョン。
ヒーローは、古文書に出てくる伝説の騎士、ブラック・ナイル。
夫フォードと共に幸せに暮らしていたグレースですが、突如フォードと
グレースの兄ブライアンが殺され、グレース自身も追われる身に。
一体なぜ? 彼女が持つ古文書に書かれた重大な「何か」が
深く関わっている様子。
この謎を解き明かし、犯人に復讐するため、逃避行を続けながら
翻訳を進めるグレースは、不思議なものを見るようになります。
それは、騎士ブラック・ナイルに愛される夢。
やがて、熱っぽく黒い瞳で彼女を射抜くように見つめ、
夢の中で、彼は言うのです。
「こちらへ来るがよい」
現代と中世の両方を舞台に、サスペンスと歴史ロマンが味わえる
リンダとしてはちょっと珍しい雰囲気の作品です。
みどころ&感想
とにかく作品が長い(笑)
執筆に1年を費やしたそうですが、読む方もかなり根気が必要。
ナイルが属した「テンプル騎士団」と中世スコットランドについての
描写はちょっと冗長な部分もあるかな。
でも、ナイルが大切な秘密を守る「守護者」としての使命を帯びている
ことが、彼の性格づけと大きく関わってきているんですね。
精悍で神秘的、そして孤独な伝説の騎士。
ごく普通のワーキングウーマンだったグレースが、
信頼できる仲間の力を借りて自分を守る術を身につけ
成長する過程もじっくり読ませてくれます。
ようやくめぐり会い、お互いに強く惹かれながらも、
愛する人を亡くした思い出を捨てられないグレースと
そのことを理解し、辛抱づよく接するナイル。
こういう大人の余裕というか、愛情と思いやりの表現が
リンダの持ち味のひとつですね。
しかし、そういうたががはずれた時のラブシーンの激しさもまた
リンダのスゴイところ(笑)
結構好みの分かれる作品ではありますが、
読みごたえは保証いたしマス。
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