いらっしゃいませ♪


リンダ・ハワード著「青い瞳の狼」ネタバレOKのお部屋です。


「青い瞳の狼」は、個人的なベストスリーに入るお気に入り。
その理由のひとつが、表の「みどころ&感想」にも書いているように、ジョンが
長い間の激情を秘め隠して、ニエマと接する心情表現の巧みさです。


今回の任務のために、ニエマはロンサール主催のパーティで、
闇の世界の男、ジョゼフ・テンプルになりすましたジョンと、
初めて出会う(ように装う)ことになります。
ジョンは、ロンサールの目の前でニエマにひと目惚れしたと
言ってみせるのですが、彼女を見つめる目の奥には、この5年間の
鬱積した思いがちらついているんですね〜。


ロンサールを欺くため、わざと
花の香に包まれたほの暗い庭園でキスをする二人。
これは任務だと自分に言い聞かせるニエマですが、ジョンへの恋心を
自覚しはじめている彼女は、あまりに熱いキスに衝撃を受けつつ戸惑います。
そりゃそうだ、ジョンはずっと自分の本心を隠してるんですから。


これは任務なのか、本物の情熱なのか?
ウソとかけひきが渦巻く謀略の中で、せめぎあい、揺れる心情が
最大限に発揮されるのが、二人の初めてのベッドシーン。


これも普通じゃありませんよね、だって場所は忍び込んだロンサールのオフィス。
モニターのお陰で、ロンサールがまもなくこの部屋へ来ることがわかり、
二人は絶体絶命のピンチに。


ロンサールの疑惑をかわすための、とっさのジョンの命令は
なんと 「下着をとって、横になれ」
パーティから抜け出し、ソファでお楽しみの真っ最中、という
カムフラージュなんですね。


みせかけの演技のはずなのに、その激しいことったら(笑)
もうすぐ見物人がドアから入って来ようという異常な状況下。
心の準備もできないうちに始まったセクシュアルな行為に
ニエマが恐怖と喜悦でなすすべもなく震え、
ついにジョンの抑制のたががはずれる瞬間の描写は
この小説の山場のひとつだと思います。


その後無事に脱出した二人が、ようやく普通にベッドを共に
できるようになってからも、あまりにジョンが彼女を自分のものに
しようと急くので、ニエマから
世の中に「前戯」というものがあるのを知ってる?(笑)てな意味の
からかいを受けるのはご愛嬌というヤツでしょうか。


でも、ジョンの告白からわかるんです。
これも彼が5年前からいかに彼女を求め、焦がれてきたか、死と隣合わせの
中で、あらゆる感情と欲求を抑えているかのバロメーターだってことが。
ジョン、あなたはホントに可愛い男なのね♪


それから細かいことだけど、諜報活動のためにCIA側が揃えた
ニエマの衣装やアクセサリーの細かい描写も、女性らしい楽しみを
倍増させてくれると思います。
いかにもアメリカ人らしく、リンダは食へのこだわりが少ないとみえて
食事の内容描写はしごく簡単ですけどね☆


ラスト近くでもうひと騒動、ニエマの見せる大芝居の場面も好きです。
ジョンとニエマの信頼と愛情は本物かが試される瞬間。
最後に恋人に裏切られたのかと息をのみ、蒼白になるジョンが愛しくて。
伝説のスパイも、心底惚れた女性の前ではカタナシですな(笑)






さて、次回はムード変わって、歴史がからむ幻想的な長編
「夢の中の騎士」をご紹介します。
ヒロインも気丈だけど、このヒーローが、またスゴイんだ☆






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