9月号の記事より

(以下「 」内はNewtonからの引用です)

9月号に、「超音速で飛ぶパルサーが生む衝撃波」という記事がありました。そのことからの疑問です。

1 相対性原理への疑問

相対性原理は、物の動きは、相対的でどちらが動いているか決めることはできない、ということでした。

2 問題1

 「この中性子星は,画像の左に向かって時速200万キロメートルという超音速で動いている。そのため,円すい状の衝撃波が発生しているのが見える」と、チャンドラX線衛星が写した写真の説明がありました。写真にそれがはっきり写っていました。

(1)疑問

 この時速200万キロメートルというのはなんに対する速度なのでしょう。

ア ニュートン力学

 ニュートン力学は絶対静止空間に対しての速度です。したがって、この速度は絶対速度と考えます。

イ 相対性原理

 相対性原理では、観測者に対する速度だから、ここでは観察者であるチャンドラX線衛星に対する速度になるはずです。

(2)「円錐状の衝撃波」はどこに発生するか

ア ニュートン力学

絶対速度だから、動いているのは中性子星だけです。したがって、円錐状の衝撃波は、中性子星だけに発生します。

イ 相対性原理

 相対性原理は、観測者Aから見ると観測者Bが動き、観測者Bから見ると、観測者Aが動くということでした。これは、特殊相対性理論の時間の遅れはおたがいさまということの説明にも出てきました。宇宙船から見ると、月が動いている。月から見ると、宇宙船が動いている。ということでした。

 (このことから、この中性子星の動きを考えてみます)

 この本の写真は、チャンドラから見た中性子星なので、中性子星が時速200万キロで動いています。「そのため,円すい状の衝撃波が発生しているのが見える」ということです。写真に写っています。

 ここまではニュートン力学と、外見はほぼ同じです。(決定的な違いがあります。※補足1

 しかし、相対性原理は、そこにはとどまりません。観測者が変わります。今度は中性子星からチャンドラX線衛星を見ます。(月と、宇宙船で観測者が変わったのと同じ方法です)すると、今度は、中性子星が止まり、チャンドラX線衛星が時速200万キロメートルで動きます。するとどうなるでしょう。今度はチャンドラに円錐状の衝撃波が発生するはずです。これは、ニュートン力学と完全に違うところです。

 しかし、現在チャンドラX線衛星にこの衝撃波は観測されていません。理由は簡単です。人間の観測者は、中性子星にはいけないからです。チャンドラX線衛星や、地球から写真を撮る限り、チャンドラの衝撃波は消えてしまいます。

 では、中性子星から写真を撮ると、チャンドラの衝撃波は写るのでしょうか。そして中性子星の衝撃波は消えるのでしょうか。

 この中性子星の衝撃波の大きさや強さはどれくらいなのでしょう。おそらく、太陽系より大きく広がっているのではないでしょうか。そのエネルギーは太陽に匹敵するのじゃないでしょうか。それが、観測者の立場によってついたり消えたりするというのです。たんに人間の目がどちらに有るかないかということだけで、です。※補足2

※補足1 

( 車Aと車Bを考えます。Aは道路に対して50キロメートル、Bは反対向きに50キロメートルで走っているとします。AからBを見ると、Bは時速100キロメートルで走っているように見えます。

また。どちらの車も同じ向きに走っているとします。するとAから見たBは時速0キロメートルになり止ってしまいます。

 見掛けだけではなくそれが本当の速度なのが相対性原理です。ニュートン力学はどちらの車も50キロメートルになります。

 したがって、チャンドラX線衛星から見た中性子星の速度は、相対性原理では、チャンドラX線衛星の速度が中性子星の速度に加算されます。何万光年離れていても、何万年も昔(何万年も前にその星から出た光が届いたのですから)の星までも、チャンドラは、一瞬で時空を遡ってその星の速度を変えることができるのです。ニュートン力学はそんなことはできません。見かけだけというなら、ニュートンと変わりません。しかし、それでは現実に衝撃波としては現れません。)

※補足2

( 中性子星が動くときは、周りの星間物質が動いていないので、その星間物質に中性子星がぶつかるので、衝撃波が発生する。しかし、中性子星から見ると、チャンドラX線衛星が動くときは宇宙全体が動くので、チャンドラの周りの星間物質も同じ速度で動くことになり、衝突の衝撃波は起こらない、ということも考えられます。

 しかしこのときはさらに不思議な現象が起こります。宇宙全体が動くエネルギーはどこから供給されたかという問題です。

 この中性子星が動く原因は「超新星爆発が起きたとき,まわりの物質をはじきだすとともに,星自体も爆発の反作用で飛ばされたからではないかと考えられている」と書かれてあります。これはありえることです。また、ニュートン力学です。しかし、宇宙全体が時速200万キロで動くためには、超新星の爆発エネルギーではとても間に合いません。エネルギー不変の法則に当てはまりません。エネルギー不変の法則はニュートン力学だから相対性理論とは関係ないというのなら別ですが。) 

(3)中性子星のX腺のメカニズムから、相対性原理を考える

 そのメカニズムは「高エネルギー粒子が磁場に絡まって回転している際に放射されるX線を観測している」と書かれてあります。

ア ニュートン力学

 動きは絶対的だから、動いているのは高エネルギー粒子だけです。問題ありません。

イ 相対性原理

 動きは相対的です。

 観測者を粒子に移します。止まっているのは粒子です。止まっている粒子からはX線は出ません。粒子が磁場で曲がるときにその接線方向にX線が出るということですから、動いていないときはX線は出ません。

 また、そのとき、動いているのは地球のほうになります。X線は出ているのでしょうか。地球は高エネルギー粒子ではないのでX線は出ていないかも知れませんね。

 視点が変わると、全ての現象が反対になるとは限らないのかもしれません。

 粒子は小さいから、観測者は乗れないからだめだとか。言ったりして。

 嘘でしょう。

3 その他の記事より

(1)銀河系内で始めて観測できたガンマー線バーストの跡?(P82)

 超新星残骸「W49B」の写真がが紹介されています。星が爆発して飛び散っている写真です。

「中央付近の左右に青いジェットがのびており,周囲をかこむちりにぶつかっている」と解説されています。

これも、絶対座標です。周囲のちりが左右からジェットにむかってぶつかっていっているのではありません。もしそうなら、左右のちりは、中央で激しくぶつかってしまいます。これは正面衝突だから、ジェットとの衝突の倍の激しい現象が観測されるはずです。しかしその減少は、この写真にはありません。

 したがって、動いているのはジェットのほうだけだといえます。どちらが動いているのかは無意味ではありません。相対性原理はここには現れていません。

(2)超新星残骸「カシオペアA」

 「太陽の8倍以上の質量を持つ重い星は,最後に大爆発(超新星爆発)をおこす。このとき星から吹き飛ばされた物質が星の周りにあった物質にぶつかって加熱されX線が放射される」と解説され、そのX線の写真が載っている。

 これも、動きは決まっています。「星から吹き飛ばされたれた物質が」動いています。「星から吹き飛ばされたれた物質」から見ると「星の周りにあった物質」がぶつかってきているといえるのでしょうが、そうするとその物質は、爆発の中心でぶつかってしまいます。超新星爆発に匹敵する爆発が連続しておこってしまいます。しかし、この写真にはそのようすは写っていません。

 ここでも動きは一方的としか考えられません。相対的ではありません。

(3)観測された最もはげしい巨大爆発構造(P86)

 銀河団「MS0735」の巨大ジェットの写真です。銀河系の10倍の大きさだそうです。これも、動いているのはジェットのほうだけです。周りの銀河間物質がジェットに向かって動いているためにおこった現象ではありません。

やはり動きは一方的です。相対的ではありません。

(4)赤色巨星から白色矮星に流れる物質(P88)

 「ミラA]から「ミラB」に流れ込む、物質の写真です。この物質から見ると、二つの星が、動いているように見えます。しかし実際はそんなことはありません。動いているのは、「ミラA]から「ミラB」に流れ込む、物質のほうだけです。

 

 

4 結論

 この「チャンドラがとらえた高エネルギーの宇宙」の記事は、ニュートン力学、すなわち絶対座標があるとして書かれてあります。相対性原理、すなわち、絶対静止はなく、動きは相対的であるという立場では書かれていません。これを書いた人の頭には相対性原理は爪のかけらほどもありません。なぜならここでは相対性原理は適用できないからです。いや、そんなことはない、というなら、相対性理論家はこの現象を相対性原理で説明してほしいものです。

 このように、相対性理論は、現実の宇宙の現象を解析するときには使われません。

 なぜなら、相対性原理はあまりにも高尚すぎるからです。事実などという、常識的で、ありふれたことを解析するにはもったいなさすぎるからです。常識を打ち破った、すばらしい理論なのですから。

 しかし、相対性理論は、実際に観測された宇宙の動きを解析するのにはひとつも役に立たなくても、高邁な宇宙の原理を説き明かすためにはすばらしい力を発揮しています。宇宙の誕生や、宇宙の膨張や、宇宙の未来や、宇宙に満ちている見える物質よりはるかに多いといわれているダークマターや、とにかく観測されていない宇宙のことを解き明かすことでは、猛威を振るっています。いや、すばらしい威力を発揮しています。

 何ひとつ現実には観測されていない机上の空論ですからね。言ったもん勝ちですから。まあ、ここしばらくは否定の現象は観測されないでしょうから、ビッグバン宇宙も安泰です。本当は観測されているのですがね。見ないだけです。

2005年9月7日 並刻記

雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 目次

Newton9月号相対性理論Q&Aへの反論3

Newton9月号への反論5