カー・ナビゲーション・システムは相対性理論の実証例になるか T (P36〜37)

(「 」内はNewtonからの引用です)

 エピローグに、「相対性理論には、数多くの実証例がある」とあって、4つの例が載っています。そのうち「太陽の近くでの光の曲がり」については反論を書きました。多分、そのことを否定する根拠はないでしょう。

 ここでは、カー・ナビについて書きます。


1 疑問1(これは、特殊相対性理論の問題です)

 「GPS衛星は地上に対して秒速約4キロメートルで飛ぶので,・・・特殊相対性理論の効果による時間の遅れも無視できません」と、36ページに書いてあります。

 P66に特殊相対性理論による時間の遅れを「宇宙船の速さが光速に近づくほど,(この書き方では、光速という絶対速度があることになります。すなわちそれに対する、絶対座標が存在するということです。相対性理論ではありません。書くなら、月に対する相対的な速度が、30万キロに近づくと、としなければなりません)時間の流れはどんどん遅くなっていきます。」と、上のことを補足しています。 

しかし、P68には次のように書いてあります。

 「しかし相対性理論はさらに驚くべきことを予言します。」

 「今度は逆に宇宙船から月面を観測すると,月面の時間の進み方が遅くなるというのです!つまり時間の遅れは“おたがいさま”ということになります。」こうなる理由も書いてあります。


2 考察

ア 同じ本の中の矛盾。

 36ページでは,GPS衛星だけが時間が遅れるように書いてあります。しかし66から、69ページにかけては、時間の遅れはおたがいさまということが書いてあります。「おたがいさま」ということは、どちらも遅れて、結局同じ時刻を指すということらしいです。明らかな矛盾です。(もちろん、どちらも遅れるなどという時間が存在するとしたらですが。相対性理論では時間をどんなものと考えているのでしょうね。まるっきり禅問答です。※注1)

 {注1 68ページにその説明があります。宇宙船から見ると宇宙船が1秒かかったとき、月は1秒未満。月から見ると、宇宙船が1秒かかったとき、月は1秒以上ということらしいです。

 100メートル走を考えます。A、B二人が走ります。Aから見ると、Aがゴールしたとき、Bはまだゴールしていない。Bから見ると、Aがゴールしたとき、Bはゴール地点を越えている。とまあ、こんな具合です。どちらが勝った?どちらも同じ?
なんとまあ、「驚くべき」ことです

イ 相対性理論者どうしの矛

 この本にも出てきた、ガモフという人の書いた、“トムキンスの冒険”(特殊相対性理論の入門書として有名です)という本には、特殊相対性理論では速度が速くなると時間が遅れると書いてあります。この本では「おたがいさま」ということはでてきません。動いたほうが遅れるとはっきりいっています。

 また、2機のジェット機を地球を互いに反対回りに飛行させて、地上との時間の差を計った有名な実験があります。この実験では、速度に比例して時間が遅れるという結果がでたとあります。ガモフと言う人の意見と同じです。


3 まとめ

 これはささやかな問題です。しかし、相対性理論の根幹にかかわる問題だと私は思います。

 それは、相対性理論は、同じ本の中にも矛盾する考えがあったり、人によってさまざまな解釈があったりするということです。

 なぜそのようなことがおこるのかを、相対性理論者は、相対性理論は難しいからだと解釈しています。

 本当にそうでしょうか。私は、相対性理論が間違っているからじゃないかと思います。間違った理論を現実に当てはめようとしたとき、いろいろ無理が生じて矛盾だらけになってしまっているのではないでしょうか。そのつじつま合わせが、説明したいことがらによって違ったり、人によって違ったりしているという気がします。

 普通の速度や、重力のときは、ニュートン力学でも大差ないなどというのも、その現れでしょう。これは、相対性理論が現実に対応できないことの証でもあるのです。計算式がほとんど同じになると必ず書いてあるけれど、それは言い訳にすぎません。

 たとえば、太陽系の動きは、絶対速度、絶対時間(※注2)を基準にして考えています。これはニュートンの考え方の根本原理です。考え方の出発点が違うのです。

 {注2: 一般相対性理論では、重力で時間が遅れるという考えです。すると、先に書いたように、太陽は、紀元前5600年にあります。その考えだと、紀元前5600年に太陽を出た光は、未来空間(地球と太陽の間は重力が少ないので、地球より未来にある)に一気に飛び出て、その後、時間を遡り、現在、2005年の地球にやってきます。

 また、同じ光は2006年の月に降り注ぎ、反射して、夜2005年の地球にやってくる。となります。

 引力も光速と同じ速度だというのですから、紀元前5000年の太陽が、西暦2005年の地球を引っ張っている。となります。もちろん、2005年の地球が、2006年にある月を引っ張っているとなります。

 ケプラーはそうは考えません。2005年の太陽から出た光は8分かけて地球にやってくると考えます。2005年の太陽の周りを2005年の地球が回り、その地球の周りをやはり2005年の月が回っていると考えます。

 相対性理論が正しいのならば、どんな速度の場合でも、原理が説明できるはずです。せめて、太陽系の動きだけでも相対性理論だけで考えてみてください。

 何一つ検証されていない矛盾だらけのビッグバンさえ説明できるのですから、検証できる、身近な太陽系の動きなど簡単に説明できるはずです。ニュートンなど借りずに。

 測定できない、実験もできない、誤差の方が大きい、そんなところは相対性理論の世界で、観測や実験でよく分かる世界は、ニュートン力学では、何をかいわんやです}

 

 ある相対性理論者は、見かけと本当を区別するのが間違いである。見かけは本当、本当は見かけである、とまで言い切っています。こうなると、何が本当か、と問うことじたいが間違いになりそうです。

 

 それでもあえてききます。36ページと、68ページとどちらが本当なのでしょう。私は、ともに間違いだと思います。

 2005年8月16日 並刻記

雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 目次

重力は、「空間の曲がり」を引き起こす力 V (P102〜103)前へ

カー・ナビゲーション・システムは相対性理論の実証例になるか U