重力は、「空間の曲がり」を引き起こす力 U (P102〜103)

 

1 問題

 「太陽がつくる空間の曲がりに沿って回る地球」の動きを考えてみます。

 「すり鉢状のくぼみにビー玉を投げ入れたときにビー玉が斜面をまわりつづけるのに似ています。」と解説されています。どのように似ているのかも考えてみます。

1)地球の動きの原因を考える

ア 一般相対性理論による地球の動きの原因を考える

「太陽がつくる空間の曲がりに沿って回る」と書いてあります。では、なぜそのようになるかを考えてみます。

「球面と曲がった空間は似ている」に以下のように書いてあります。

「2機の飛行機は曲がった面をまっすぐ進むと自然に接近しました。」

から、りんごの潮汐力を

「曲がった空間をまっすぐ進むために自然に接近する」としています。

そして、

「リンゴは自分たちにとっての自然な直線に沿って進んだだけと考えるわけです。」とあります。

 このことから考えると、「太陽がつくる空間の曲がりに沿って回る」地球は、自然な「直線」に沿って進んでいるだけと考えられます。
 問題は、地球はなぜその曲がりに沿っているのかということです。地球の速度と、質量と、空間の曲がりの関係です。引力がなくて、うまく、方式化できるのでしょうか。

イ ニュートン力学による地球の動き

 太陽系ができるとき、散らばっていた星間ガスが、万有引力により、互いにひきつけあい、収縮していきます。収縮によりガスに動きができます。運動エネルギーの獲得です。それが引力の影響とあいまって回転ができます。地球の回転エネルギーはこのとき万有引力からもらっています。位置エネルギーと呼ばれているものです。

 回転方向には、遠心力が働き、垂直方向には遠心力が働かないので、ガスは垂直方向が大きく収縮し、ガス円盤ができます。引力による収縮が進むにつれ、引力による位置エネルギーが物質の速度を速めます。その速度が、中心への落下とつりあったところで回転は安定します。そのガス円盤の中心に太陽ができます。円盤の中に惑星ができます。惑星は、まっすぐ進もうとする力と、太陽との引力による引っ張る力がつりあったところで、回転をし続けます。

 このように、地球も、まっすぐ進もうとする運動エネルギー(星間ガスや、塵や、微惑星が引力により収縮するときに、引力から獲得した運動エネルギー)と、太陽と地球の質量による万有引力の引っ張る力がつりあったところで回転しています。

ウ まとめ

 空間が曲がるからといっても、引力がなければ、地球をどうやって円周上にとどめて置けるのでしょう。どうやって進ませるのでしょう。すり鉢の壁が空間にあるというのでしょうか。地球をそこに投げ入れた力はどこから出てきたのでしょうか。非常に疑問です。

 しかし、ニュートン力学でなら普通に説明できるようです。

 

(2)すり鉢上のくぼみの中のビー玉の動きを考える

ア 一般相対性理論で考える

 一般相対性理論で説明することは、私にはかなり難しいことです。

 曲がった空間の代わりのすり鉢状の壁はあります。しかし、ニュートン力学のように下に引っ張る力の引力はありません。

 この条件で、ビー玉の動きを考えてみます。

 投げ入れられたビー玉は慣性の法則で、まっすぐ進もうとします。しかし壁があるのでそれに沿って、曲げられて進んでいきます。しかし、引力がないので、それ以外にビーだまの進路を曲げるものはありません。したがって、下に引っ張る引力がなければ、ビー玉は、すり鉢から飛び出してどこかへいってしまいます。ぐるぐる回ったり、らせん状に落下したりしません。引力がなければ下はないのですから。回転することはありません。斜めに角度を持っているのですからいずれ飛び出していきます。

 途中で、壁の抵抗が速度に打ち勝つと、ビー玉は斜面のどこででも停止してしまいます。落ちないし、飛び出しもしません。

 このように、下に引っ張る力(引力)がなければ、ビー玉は外に飛び出すか、斜面に止まるかしてしまいます。

 このことからでは、空間が、重力を生むということは考えにくいことです。まず重力があって、空間がそれによって曲がるなら、何とかビー玉は回転します。

 まとめると、

 @ (質量→空間が曲がる→重力)ではなく

 A (質量→重力→空間が曲がる)になるのではないでしょうか。

 しかし、相対性理論では、質量が空間を曲げ、その結果、重力が生まれるというようなことを言っています。すると、@になります。

イ ニュートン力学で考える

 すり鉢上の壁は、たんに物質の壁です。空間の曲がりではありません。下に引っ張る引力があります。

この条件で考えます。

 投げ入れられたビー玉は、慣性の法則で、投げられた方向へまっすぐ進もうとします。そして壁によって曲げられます。同時に地球の引力が、下へ引っ張るので、壁の斜面を落ちようとします。

 引力が強いと、ビー玉は飛び出さずに、すり鉢の中を動きます。落下すると引力のエネルギーを獲得し速度が速まります。この速度(遠心力)と、引力がつりあったところで、抵抗がなければ、ビー玉は回り続けます。普通、抵抗によりエネルギーが失われるので、らせん状に下に落ちていきます。

 引力より、球の速度が速いときは、くぼみから飛び出します。脱出速度といわれているものです。

 くぼみがなければ、ビー玉は放物線を描いて地表に落下し、まっすぐ転がります。くぼみの壁は、空間の曲がりではなく、たんに、物質です。

ウ まとめ

 このことから、くぼみに投げ入れたビー玉は、ニュートンの法則で簡単に説明できます。一般相対性理論で説明するにはかなり無理があります。

 曲がった空間の代わりのすり鉢状の壁があっても、上に書いたように、下に引っ張る力(引力)がなければ、ビー玉は外に飛び出したり、斜面に止まったりしてしまいます。
 また。ビーだまの動きと地球の動きを考えると、ビーだまを投げ入れる力に対応する、地球を進ませる力を考えなければなりません。ニュートン力学だと、太陽系ができるときの収縮による、位置エネルギー(万有引力の力)の獲得で説明できます。一方、相対性理論だと、曲がった空間をまっすぐ進むということですので、ちkっゆを進ませるエネルギーはどこからも出てきません。

 ニュートンのように、万有引力が原因と考えると、ことは丸く収まります。常識的すぎて、面白みはないですけれどね。


(3)光の動きを考える

 光が曲がるのは、空間の曲がりの最短距離を進むためだということです。なぜかというと、それが、曲がった空間の直線だということが書いてあります。

 上の、一般相対性理論の「太陽がつくる空間の曲がりに沿って回る」地球は、自然な「直線」に沿って進んでいるだけと考えられます。すると、光も、地球の公転軌道と同じ軌道を回転しなければなりません。このような、光は検出されていません。

 このことから、地球の公転軌道は空間の曲がりとは違っているか、光は、空間の曲がりに沿って動かないかのどちらかか、どちらも間違っているかということがいえます。私はどちらも間違っていると思います。


2 結論

 今、宇宙を研究している人たちは、太陽系ができた仕組みを、ニュートンの万有引力によって考えています。空間の曲がりから、太陽系ができるとは考えていません。

 普通の速度や、重力の場合は、ニュートン力学で考えても間違いではないなどというのは、あまりにも手前味噌です。相対性理論はニュートン力学とは完全に対立する考え方なのですから、そんなことが許されるわけはありません。つごうのいい事は全部自分取りなんてかなりずるいです。

 相対性理論者は、太陽系ができた仕組みを、一般相対性理論だけで考えて、標準モデルを作る必要があります。そうすれば、空間の曲がりなどという考え方が、何の役にも立たないことが分かるでしょう。重力だけで太陽系ができることに気がつくでしょう。いわゆる、ニュートンの万有引力だけで十分だということです。普通の速度や、引力の場合、既成の考え方で十分なのです。(もちろん、普通でない速度や、引力の場合も、既成の考え方で十分なのですが。普通でないものがあればですが。光の速度だって、いわゆるブラックホールだって、普通の出来事なのですから。とくに、光なんて、子どもだって作り出せるのですから、何一つ特殊なものではないのです)相対性理論の出番はありません。出てきても、ひとつも役に立たないことが分かるでしょう。というより、じゃまなだけです。

 2005年8月13日 並刻記

 雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 目次

 重力は,「空間の曲がり」が引き起こす力 (P102〜103)

重力は、「空間の曲がり」を引き起こす力 V(P102〜103)