重力によって光は曲がる!の2(P96〜P97)

(「 」内はNewtonからの引用です)

1 問題1 

 「落下する箱の中の光」の動きについて検討します。

一般相対性理論では、落下する箱の中の光は、つぎの二通りの動きをするそうです。

(1) 「落下する箱の中から見た場合」

 ア 状態

 「光は直進する」

 イ 理由

 「重力の影響は消え去り,無重力状態に」なり「重力の影響のない慣性系とみなせる」

(2) 「落下する箱を地上から見た場合」

ア 状態

 光は「曲がって見える」

イ 理由

@ 「落下する箱から見てまっすぐ進む玉は,地上から見ると放物線を描いて見えました。落下する箱から見て真っ直ぐな軌跡は,地上から見ると曲がって見える」から「地上から見ると光も曲がることになります」

A 「重力の影響で光が曲がる」

2 考察1

(1)「光は直進する」か?

「重力の影響は消え去り,無重力状態に」なり「重力の影響のない慣性系とみなせる」というのが理由でした。

ア 慣性系では、光は直進するということが相対性原理でした。

 この理由が曖昧であることは先に書きました。もう一度書きますと。

 秒速10キロで等速直線運動している宇宙船の中の光時計(宇宙船の進路に対して光は直行する)を考えると、光はまっすぐ進みます。この動きは、光源の速度10キロと同じ速度で、光は宇宙船とともに、真横に進んでいることです。

 また、秒速、1000キロで進んでいる宇宙船の中の光時計の光は、秒速1000キロで、宇宙船といっしょに横に進んで行きます。宇宙船の速度が1万キロなら1万キロ、100万キロなら100万キロという具合に、光は光源の速度に必ず連動しています。

 このようになる理由をアインシュタインは、原理だから理由を問う必要はないといっています。

 しかし、ニュートン力学では、ボールはこのように動くけれど、質量のない光はこのように動くことはないといえます。

 また、光速度普遍の原理でも,光は光源の動きに影響されないといっているので、このような動きはできないことになっています。

イ 三段論法

「落下する箱(加速運動)の中」=「重力の影響のない慣性系(等速運動)」=「重力を受けていない宇宙船の中」といっています。

そして、「重力の影響のない宇宙船の中」で、光はどうして直進するのでしょう。ひょっとして、宇宙船が静止しているので光は直進するといいたいのでしょうか。静止はないと相対性原理でいっておきながらです。

そして、イコールを逆にたどります。

 {「重力を受けていない宇宙船(静止)の中では光はもちろん直進」=「重力の影響のない慣性系(等速運動)でも直進」=「落下する箱(加速運動)の中でも直進」}、となるというのです。

 こじつけもいいところです。こんなイコールが成立しますか。これが科学ですか?これは、言いくるめ、にすぎないでしょう。

ウ 「光は直進する」

 これは中の人が見たらそのように見えるということでした。(直進して見える=直進している)といえるか。

 (例)走っている列車に並んで座っている二人の人を考えます。列車の中の人から見ると、二人は止まっているように見えます。したがって二人は止まっているといえる。これは正しいでしょうか。

 見え方と、事実は違うことがよくあります。見えたから、それが事実であるとは断定できません。

 この場合、外から見ると、光は曲がって見える、といっているのだから、どちらかが、錯覚です。あるいは両方が錯覚です。両方とも物理的に事実の動きであるということだけはありえません。

(2)落下する箱の中のボールと、光を比べる

ア 落下する箱の中のボール

 94ページに書いてあるとおりに、人とともに同じ加速度で落下します。

これは箱の速度がどのようなのときに放しても同じです。人が、秒速5メートルのとき、手からボールを真横に投げると、ボールは初速度秒速5メートルで落下します。秒速50キロのときに真横に投げると、ボールは初速度秒速50キロで落下を始めます。これは、ボールが、放たれた瞬間に人と同じ速度で落下しているからです。ボールは質量があるので、この速度を、運動エネルギーとして保存します。だから、どんな速度のときでも、ボールは人と同じ初速度と加速度で落ちていくのです。

イ 落下する箱の中の光

 @ 相対性理論の考え

「落下する箱の中では,すべての物理法則が重力の影響のない慣性系と同じように成り立つ」とあるので、光は、ボールと同じように落下するというのでしょう。「 『重力を受けていない宇宙船の中』とまったく同じことが起きるはずです。この宇宙船の中では光はもちろん直進しますから,落下する箱の中でも光は直進するはずです」とあることから上のことがいえます。

 光がボールと同じように落下するというのは変な話だと私は思うので考えてみます。

 秒速5メートルで箱が落下しているとき、真横に光を放ちます。すると光は、中の人から見て真横に進みます。ボールと同じです。まっすぐに見えるためには、光は、初速度5メートルで落下を始めなければなりません。そうしないと中の人にはまっすぐに見えないのです。

 秒速50キロで箱が落下しているときに、光を真横に放ちます。すると、やはり光は中の人から見て、真横にまっすぐ進みます。ボールと同じです。まっすぐに見えるためには、光は、初速度50キロメートルで落下を始めなければなりません。

A このことへの疑問

 ボールは、慣性質量を持っているので、箱の落下速度と同じ初速度で落下を始めます。エネルギー保存の法則です。

 しかし、光は、慣性質量を持っていません。箱の速度を保存できません。光速度普遍の原理でもいわれている、光は光源の動きに影響されないというのもそのためです。

 では、どのような理由で、光は、放たれたときの箱の速度と同じ初速度で落下を始めるのでしょう。

「『重力を受けていない宇宙船の中と』まったく同じことが起きるはずです」というのは理由にはなりません。これはアインシュタインの仮説にしかすぎません。実証されていません。上にも書いたように、これはたんに言いくるめという手法によって、人をだましているに過ぎないのです。科学ではありません。 

 ひょっとして、アインシュタインは、無重力状態=無重力と思っていたのではないですか。そういう論理で進んでいるように思えます。無重力状態は無重力ではありません。人工衛星の中は、無重力状態だけど、重力はあります。見えないけれどね。    

(3)「落下する箱の中」は「重力の影響のない慣性系とみなせる」か?

ア 落下する箱の中を外から見る

 「落下する箱の中」は、加速運動をしているのが見えます。「慣性系」は外から見ると、等速直線運動に見えます。外から見ると明らかな違いが分かります。

 94ページに、箱の中の人とリンゴと、横に動くボールの絵があります。この3つの相対的な位置が変わらないので、等速直線運動のときと同じというけれど。それは、密閉された箱の中で、他の世界の物質と比較しないときだけの話です。この状態を外から見た場合、箱も中の人もリンゴもボールもいっしょに落下しているのが分かります。これは明らかに加速運動と見えます。したがって外から見ると、加速運動と、等速運動は、はっきり区別できます。中から見たのと、外から見たのとでは、見え方が違うのは、それに頼って論理を進めている相対性理論の得意とするところでしょう。

(例)駅のホームで椅子に座っている人の、人と椅子との位置関係はいつも同じです。新幹線の椅子に座っている人の、人と椅子との位置関係も変わりません。

 椅子と人の位置関係だけ見ると、駅のホームの人も、新幹線に乗っている人も同じといえます。では、同じかというと、違います。駅の人は、京都にいつまでたっても着きません。新幹線に乗っている人は、京都に着きます。

 これを、駅員が見ているとします。駅に座っている人は椅子とともにいつまでもそこにいます。しかし、新幹線に乗っている人は、椅子とともに、京都に向かって遠ざかって行きます。これを同じ状態とはとても見えません。

 もちろん、どちらも椅子に座っているという状態は同じです。しかし、それだけで、すべての物理状態が同一ということはいえません。

 外から見ると、加速運動と等速運動はまるで違って見えます。

 

イ 箱の中の光を外から見ると

「光は曲がって見える」ということです。その理由が「落下する箱の中から見てまっすぐ進む玉は,地上から見ると放物線を描いて見えました。落下する箱から見てまっすぐな軌跡は、地上から見ると曲がって見えるのです。つまり地上から見ると光も曲がることになります」

 見事に曲がりました。すばらしいことです。

 では、この曲がり方を見て見ましょう。この光は、中の人にまっすぐに見えているので、中の人と同じ加速度で落下していることが分かります。すると、光は、物体の落下の法則と同じ法則で落下するということがいえます。

 これだけの加速度があれば、現在の観測機器で光が地球の重力で落下していることが観測できます。太陽近傍の光の曲がりの観測などといわずに、地球上で確定的な実験ができます。なぜ、相対性論者はその実験をしないのでしょう。あやふやな、ミュー粒子や、水星のふらつきや、重力波に現を抜かしていないで、そうすればいいのです。重力波の実験の数十分の1の実験費用でできるのではないですか。

 なぜやらないかというと、そんなことは実際には起こらないことを知っているからではないのですか。本音を聞いてみたいです。

 

3 考察2

(1) 重力の点滅はなぜ起こる

 上の光(落下する箱の中の光)は同じ光です。違うのは見ている人が、箱の中か外かだけです。

ところが、(1)の中の人が見た光は「重力の影響は消え去り,無重力状態」です。(2)の外の人から見た光は、同じ光なのに、「重力の影響で光が曲がる」となっていて、重力の影響を受けています。

 なぜ、同じ光が同時に、重力の影響を受けたり、受けていなかったりするのでしょう。観測者がいる場所が変わるだけで、どうして光が受ける力が変わるのでしょう。光は観測者と関係がない場所にあります。なぜ観測者の立場が、光に影響するのでしょう。念力ですか。それとも、気ですか。

4 まとめ

 見た目がすべてで科学はいいのですか。見た目だけで状態がころころ変わるのは、本当なのですか。

 

2005年8月4日 並刻記

雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 目次

重力によって光は曲がる

重力によって光は曲がる の3