落下する箱の中は重力の影響のない慣性系と同じか (一般相対性原理) (P94・95)
                     (「 」内は「Newton」からの引用です)

@ 「アインシュタインは,落下する箱の中では,すべての物理法則が重力の影響のない慣性系と同じように成り立つ,と考えました。」

 A 「ここでいう,すべての物理法則には,光の進み方を決める法則も入ります。これが等価原理の確信です。」

ということだそうです。ここでは@を考えます。


1 問題1

 なぜ箱がいるのか


2 考察

 このページでは、落下する箱の中や、宇宙船の中でボールやリンゴが、観測者と同じ加速度で落ちていくので、観測者に対して、同じ位置にとどまることが説明されています。

 これは「ガリレオ・ガリレイがピサの斜塔から質量(重さ)のことなる二つの玉を落としたら同時に地面にぶつかった,という実験が有名です」とあるとおり、既知のことです。

 このように質量(重さ)のあるものは同時に落下することが実験(月で、アームストロング氏が行った実験も有名です)や理論で証明されています。

 箱がなくても、リンゴも、人も、ボールも同時に地面に対して同じ初速度で落下を始めると、加速されて同時に地上に落ちることが証明されています。初速度が何であれ同じならば同時に地面に落ちるのは高校の物理で習いました。

 では、なぜ箱がいるのでしょう。それは、いっしょに落ちているりんごとボール以外のものが見えないようにするためです。もしこの箱に窓があって、リンゴもボールもない場合は、窓から、ぐんぐん加速度を上げて迫ってくる地面が見えます。とても重力の影響がないとは言えなくなります。

 リンゴと、ボールがあっても同じです。リンゴとボールが浮いているように見えても、窓の外に見える地面がぐんぐん迫ってくるのを見ると、自分も、リンゴも、ボールも落下していると思い込んでしまいます。それはたんに思い込みだから心配するなと言っても、やはり青ざめるでしょう。浮いているりんごやボールより、迫ってくる地面のほうが10億倍は人の興味をひきつけるからです。なんせ、そちらは命がかかっています。

 どちらが事実なのでしょう。

 重力が消えて、自分もボールも、リンゴも浮いているというのが真実で、落下しているというのが思い込みなのでしょうか。それとも、浮いているというのが思い込みで、本当は落下しているというのが事実でしょうか。ニュートンなら、浮いているのは思い込みで、みんな万有引力によって地球にひき寄せられている、と言うでしょう。

 このように、「落下する箱の中から見ると,重力の影響のない慣性系とかわりがない」ということを言うためには、リンゴと、ボール以外の物が見えては困るのです。

 相対性理論が得意とする、邪魔者は消せです。ようするに、くさい物に蓋をするわけです。箱の壁の一部が、鉄でできているか、銅でできているか、ガラスでできているかで中の物理量は変化するのでしょうか。ガラス窓がある箱の中の人が、目隠ししたら、りんごも、地面も見えません。物理量はどう変化するのでしょう。ニュートン力学では変化しません。高校レベルの常識的物理でも変化しません。そういう常識を打ち破った相対性理論では、重力は消えてしまうのでしょうか。


3 問題2

 「落下する箱の中は,重力の影響のない宇宙船の中とまったく同じ状況になります。つまり落下する箱の中は『重力の影響のない慣性系と同等』とみなせます。」とあります。

 本当に「まったく同じ状況」でしょうか。


4 考察

 あなたはどちらに乗りますか?

 アインシュタインにこの質問をしてみたいですね。この記事を書いた人にも聞いてみたいです。まったく同じなら、どちらに乗っても同じことになるからかまわないはずです。

 私なら箱には乗りません。箱に乗ったら、おそらく1分以内に死んでしまうからです。宇宙船がどこかの星に落下するには、(現実の宇宙船は、必ず、星や、星間物質の引力を受けて落下しています。落下する箱と同じ状態です。現実は宇宙空間に浮いているといっても決して無重力ではありません。相対性理論者がそのことを隠しているだけです)おそらく何十万年とか何十億年とかかかるでしょうから、まあ、寿命はまっとうできるでしょう。

 では、ぶつかる地面がなければどうなると思いますか。同じ加速度で速度が増加していくとすると、1年経つと、箱は光速を越える速度になっています。

 これが、問題1で蓋をされた邪魔者です。絶対静止があるかないかの問題です。以前述べたように、ここが絶対静止点です、と人間に読める文字で書いてある看板が見つからないから、絶対静止はないという特殊相対性理論の問題です。あきれているのでまた言いますが、絶対静止を否定する根拠はそれだけなんですよ。人間の五感だけが根拠なんです。ニュートンは、物理現象から絶対静止があると考えています。どちらが科学的でしょう。そして、ニュートンが、絶対静止の根拠とした現象を、相対性理論者は科学的に否定できていません。もちろん、蓋はしています。


5 結論

 それはおいといて、数秒後、箱の中の人もリンゴもぐちゃぐちゃにつぶれてしまう現実はどうするのでしょう。

 なぜ違うかといえば、重力のない宇宙船(そんなものがあったとしたら。ニュートンは万有引力は宇宙の果てまで届くと考えました。相対性理論では重力はついたり消えたりしています)の中の、人やリンゴの運動エネルギーは変化していません。一方、落下する箱の中の人やリンゴの運動エネルギーは加速的に増加しています。そのため、地面にぶつかってつぶれたり、1年後には光速を越える速度になったりするのです。なぜ、この二つが「まったく同じ状況になります。」と言い切れるのでしょう。運動エネルギーの増加を箱の中の人は感じないから、そんなものはないといえる、というのでしょうか。

 節穴の目を持った人にはそれが見えないだけです。その上、余計に見えなくするために箱で目隠ししています。自分のいいたい結論を引き出すために、邪魔物を一切排除するというのは科学の実験ですか、それとも、・・・・。

 

 むかし、地球は円盤状だと考えた人たちがいます。コロンブスの時代だって、海の端から船が落ちてしまうと考えていた人たちのほうが多かったかもしれません。太陽や星が地球を回っていると考えた人たちもいます。もっともです。本当にそのように見えるのですから。地球が動いているなんて誰が感じられるというのでしょうか。だから、地球が静止しているというのは彼らの常識でした。いまも、百人の人たちに訊いてみてください。かなりの人が、「太陽は東から上って西に沈む」と答えますから。それはそれでいいとおもいます。しかし、現代物理学まで、人間の感じたことがすべて、だとは思ってもいませんでした。まあ、特殊相対論では、ロケットが飛んでいったのか、月が飛んでいったのか区別できないんだから、地球が太陽を回っているのか、太陽が地球を回っているのか、決めることはできないのかもしれません。
 人間の五感に頼ると、そんなことになったりするんです。
  

6 一番肝心なこと
 ニュートンと、ア飲酒短の大きな違いのひとつは、光を入れるか入れないかです。

「ここでいう,すべての物理法則には,光の進み方を決める法則も入ります。これが等価原理の確信です。」
とあるとおり、アインシュタインは、光もりんごやボールと同じ動きをするということを言っています。このことが核心になります。これについては、「重力によって光は曲がる!」にありますので、そこで考えます。

雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 目次
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