同時性の不一致 (P64〜65)

(「 」内は[Newton」からの引用です)


1 問題

 「宇宙船内の観測者Aにとって同時だった発光弾の発射が、(月面の)観測者Bにとっては同時ではないのです!」についての疑問です。※(月面の)は、私が書き加えました。

(1) 舞台設定

 「宇宙船が月面から見て右方向に光速に近い一定の速さで飛んでいます。宇宙船のちょうど真ん中には光源があり,左右には光検出器が設置してあります。光検出器に光が入ると,それぞれ連動している発光弾の発射装置に信号を伝えます。」これを宇宙船内の観測者Aと月の上にいる観測者Bが見るという設定です。

(2) 観測結果

 観測者A

 「相対性原理」と「光速度普遍の原理」から,「光は左右にまったく同じ速さで進むので,光は等距離にある左右の光検出器に同時に到着します。結果として、観測者Aから見ると,発光弾は左右同時に発射されます。」と書いてあります。

観測者B

 「『光速度普遍の原理』から,宇宙船(光源)の運動に関係なく,月面から見て左右の光の速さは同じです。さて,宇宙船が右に光速に近い速さで飛んでいるため,左の光検出器は光に接近していき,右の光検出器は光から逃げていきます。結局,月面の観測者Bから見ると左の光検出器に先に光が入るため,発光弾は左が先に発射され,右の発光弾は遅れて発射されることになります。」


2 考察

(1)月も宇宙船も「慣性系」でないというのは前項で述べたのでおいておきます。本当はこれだけで十分すぎるくらい、同時性の不一致は間違っていることがいえると思うのですが、「光速度普遍の原理」は正しいと言い張るのですからそのことも考えてみます。

(2)光はなんに対して30万キロで進むのか

 アインシュタインの「光速度普遍の原理」を確認します。「光は誰に対しても秒速30万キロで進む」でした。

(3)観測者Bを考える

「宇宙船が右に光速に近い速さで飛んでいるため,左の光検出器は光に接近していき,右の光検出器は光から逃げていきます。」

について考えます。

ア 「誰に対しても」は人間だけを指すのか

「光速度普遍の原理」からこのことが起こると書いてあります。しかしこの観測者Bから見た現象は、光検出器と光が相対的な速度を変化させています。光に接近している左の光検出器は光との相対速度が速まっています。反対に右の検出器は、光との相対的な速度が遅くなっています。光が、観測者Bに対して光速度普遍であるのと同滋養に、光と光検知器も、光速度普遍であるはずです。

 光速度普遍が正しければ、光は左右の光検出器に対しても、光速度普遍になり、光速で進むはずです。したがって、光はやはり左右の光検出器に同時に入り、発光弾は同時に発射され,Bは同時に光る発光弾を見ます。Bは、同時に光る発光弾と、遅れて光る発光弾の両方を同時に見ることでしょう(注 光速度普遍の原理が「誰に対しても」とあるので人間以外のもの、犬とか、観測機器とかに対してはこの限りではないというのなら話は別ですが。でもそのときはもっと変な話になってしまいます。光はどのような方法で人間と犬とを区別するのでしょう) 

イ 何を基準に光速度普遍か

 月面から見ている観測者Bは、はるか上空を飛ぶ宇宙船の中の左右に分かれて飛ぶ光を見ていることになります。このことを考えてみます。

@この光は、観測者Bに向かっていないので,観測者Bには見えません。見えたとしたら、と仮定の話になります。

Aこの光は観測者Bから離れたところを左右に飛んでいます。この光は誰に対して30万キロになっているのでしょうか。光は、観測者から常に斜め方向に飛んでいます。観測者Bに対する光の速さは、観測者に真っ直ぐ近づく光の速さと計算が違ってくるはずです。常識的には、宇宙船が遠ければ遠いほど、光が観測者から遠ざかる速度は小さくなっていきます。常識的には見かけ上もそうなります。観測者Bに対する光の離れていく速度が、「光速度普遍の原理」から、光速になるには、実質的な光の速度は光速をはるかに越えなければなりません。まあ、光は、光速で飛ぶ宇宙船にも光速で追いつくのですから、それくらいは朝飯前ですか。


3 結論

(1)「光速度普遍」が正しいとしても、

 観測者Aに対しては発光弾は同時に出ます。光検出器に対しては、やはり光は同時に入るのだから発光弾は同時に出ます。観測者Bから見るときだけ、光検出器に違って入るので、発光弾は違って出ます。となりませんか。

 光検出器には同時に入っているのに外部から見ると違っているという矛盾をごまかすために、時間を伸び縮みさせたり、空間を伸び縮みさせるのだから、まあ大変だと思います。

(2)「相対性原理」と「光速度普遍」が間違っているとすると

 観測者Aに対しては宇宙船の動きのため、光は後ろに早く到着し、後ろの発光弾が早く発射されます。光検知器にも光は後ろの方に早く到達するため、発光弾は後ろが早く発射されます。月の観測者Bも同じです。後ろの方が早く発射されるのを見ることでしょう。そしてその時間差はみんな同じです。もちろん観測者AもBも宇宙船の中の光は横からなので見えません。見えるのは発光弾からの光だけです。

(3)まとめ

 (2)は常識的な考えです。(1)はぐちゃぐちゃです。相対性理論で物事を考えると必ず矛盾だらけになってしまいます。これは私が素人であるからという理由だけではないとおもいます。学者の人たちも、矛盾を埋めるために、時間や空間を伸び縮みさせています。もちろん「特殊相対性理論」が常識を打ち破ったことですばらしいのですから、矛盾すればするほど箔がつくというものです。でも、光検出器には同時に入っているのに、外から見ると同時に入っていないという手品は素人の私には理解できません。同じ現象が、見るところによって違う物理量をあらわすというのは、おそらくニュートンにも難しいことじゃないでしょうか。しかし、既成の事実だけで(2)のように説明すれば非常に簡単にしかも矛盾なく説明できます。

 ここでも、(既成の事実だけで矛盾なく説明できるときは、それ以外の説明は要らない)という常識的科学は無視されています。しかもそれに変わる、相対性理論による説明が、まるで矛盾だらけなのですから、よくそんなほうを信じることと思います。そもそも、時間や空間が何なのかをアインシュタインは物理的にちゃんと説明できたのでしょうか。何も分かっていないものをよく勝手に伸び縮みさせられたことですね。誰もわからないから、先に言ったほうが真理だというわけですか。

 太陽の時間の遅れのところにも少し書きましたが、相対性理論者は、時間のことを非常に適当に考えています。子ども程度です。それについては項を改めて書きます。

05年7月21日  並刻記 

時間の流れは遅くなるか (P66)(前)
雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 (目次)
相対性理論の幼稚な時間 (P35〜37)(次)