光速度普遍の原理は正しいか(P60)

 (以下「 」内は[Newton」からの引用です)


「光は観測する場所の速さや,光源の運動に関係なく,つねに秒速30万キロで一定」というのが、光速度普遍の原理です。

 これには二つの現象が入っています。「光は光源の運動に関係なく」つねに一定の速度で進むということと、「観測する場所がどんな速さで動いても,光はつねに一定の速さで進む」という二つです。この二つはまるで違う現象です。一からげにしていえる問題ではないことは後半で述べます。なぜ、一からげにして、あわただしく通り過ぎようとしているのでしょう。

 そして、「このことは実験的にも確かめられており」と、実験の存在も書いています。60ページに「マイケルソンとモーリーの実験は『光の速さは地球の運動に影響を受けない』ということを明らかにしました。」とあることから、この実験が光速度普遍の原理を証明する実験ということでしょう。なぜか、このことも、はっきり書いてはいません。
 そこで、最初に、この実験が光速度普遍の原理を科学的に証明している実験であるのかを検証します。

 

1 問題

 マイケルソンとモーリーの実験の問題点(P46〜51の実験参照)

 

2 検証

1)実験の背景の問題点

ア 実験目的が違う

 この実験はエーテルが有るかないかを検出しようとして行われています。光速度普遍の原理を証明するために行われてはいません。したがって、光速度普遍の原理を証明するためには目的を光速度普遍に変えて、もう一度やるべきです。世の中や科学の常識を根底から覆す問題です。違う実験からの借り物で済ましているわけにはいかないでしょう。少なくともアインシュタインはその装置を作って実験するべきだったでしょう。どこかからの借り物で済ませてしまえるくらいに。科学は簡単なのでしょうか。それでは素人の私がやっていることとひとつも変わらないのではないですか。

イ 追試ができていない

 科学的に有意義であるためには、実験には必ず追試が必要です。追試のない実験は証拠にはならないのが科学の常識ときいています。先日も、名声にだまされて、追試のない実験を鵜呑みにしていた理論が結局いんちきだったことが大きく報道されていました。

 50ページに、「ところがどんなに実験を繰り返しても到着時間のずれは見つからず」と天下を取ったように書いてあります。しかし、これは同一人物の、同一装置による実験です。いくら繰り返しても追試にはなりません。ほかの人がほかの実験装置で行わなければ追試にはなりません。

 したがって、この実験を持って、科学的に証明できたとはいえません。

 一般的にはこれだけで、十分、科学的な根拠には足りないということが言えるのですがね。なんせ、かの有名な、20世紀最大の理論、常識を打ち破ったすばらしい相対性理論ですからね、追試などという常識を打ち破るくらい朝飯前でしょう。

ウ アインシュタインは違う理由を述べている

 アインシュタイン自身はマイケルソンとモーリーの実験からこの原理を考えたとは言っていない、とある本で見ました。そう言っているのはほかの科学者たちであるといっています。どうなんでしょうか。彼は、(そうだからそうなんだ。原理に理由は必要ない)というような趣旨のことを言っているということでした。「Newton」では、なんとなく、アインシュタインが、マイケルソン・モーリーの実験を土台にしたというように書いてありますが、本当のところはどうなんですか。

 

(2)マイケルソンとモーリーの実験そのものの問題点

 「Newton」7月号50ページと51ページのマイケルソンとモーリーの実験の図から考えます。

ア 真ん中のハーフミラーの問題点

 透過する光は鏡のガラスを通り抜けています。直角に反射する光はガラスの表面で反射しています。したがって、ガラスの中を通っていません。往復するので、透過するほうは、2回ガラスを通り抜けます。反射するほうは一度もガラスを通り抜けません。

 ところで、ガラスの中に入った光は速度を落とすことが実証されています。したがって、透過する光の方は2度速度を落としているはずです。反射するほうは、一度も速度を落としていません。このため、双方の光が元に戻ったとき、透過するほうが少し遅れているはずです。
 ところがこの装置はその違いを検出できていません。ということは、この装置には少なくともそれくらいの誤差があるということです。

 普通の鏡のように、光が一番奥まで行って反射するときも同じです。こんどは反射するほうが透過する光の2倍の距離ガラスの中を通ります。だから反射するほうが遅れます。どちらにしろ差が出るはずなのに、その差を検出できていません。

 光速度普遍でなく、光が観測する場所の速さによって相対的な速度を変えるとしたら、この装置ではどれくらいの違いが出るのでしょう。装置の大きさが分からないのでなんともいえませんが、反射するほうがほんの少し斜めに進む分だけ元に戻るのが遅くなるはずです。

 その遅れは、前述の、光が鏡の中を通ることによる違いより小さいのではないでしょうか。するとこの装置では検出できないことになります。特に、本にあるとおりに反射するとすると、反射するほうが速く元に帰るので、速度は相殺されて、よけいその差が小さくなるはずです。

イ 実験の対象の問題点 

 もう一点は、この実験は地球の自転を対象に行われているところです。現在、地球の動きは、自転より、宇宙空間に対しての方がはるかに高速で動いていることが発見されています。それに対する実験がなされなくてはなりません。

 

(3)光速普遍と光速度普遍

ア 光速普遍

 光は光源の動きに関係なく真空中を30万キロで進むという理論です。これは、前にも説明したように、光が質量を持たないため、光源の運動エネルギーを保存できないために起こると思われます。これは音とよく似た現象です。音も音源の速度には影響されません。やはり音も波なので、質量がないからです。ただ音は媒質があるので、媒質の動きには連動します。地球の赤道付近は音速を超える速度で自転していますが、普通に音が聞こえるのは、空気が音速を超える速度で回っているために、音もそれに連動して動いているからです。質量のある空気が、運動エネルギーを保存していると考えられます。

 しかし、光には媒質がありません。したがって真空中では光源の動きに関係なくつねに一定の速度になります。これはニュートンの慣性の法則から類推できます。

イ 光速度普遍

 これは、光がぶつかるものに対する相対的な速度です。観測者がどのような速さで動いていようとも光との相対的な速度は30万キロだというのです。上の、マイケルソンとモーリーの実験では、地球が自転しているのに、自転方向と、直角方向ともに光は30万キロで地球にぶつかるということが分かったということです。光と観測者は相対的な速度を変えていないということです。この実験が科学的に証明になるかの疑問は上に書きました。少なくとも、下に書いてある、反対の現象より証明力は落ちると思います。


(4)光が観測者に対して相対的な速度を変えている現象

ア 星の光のドップラー効果

 星や、銀河の動きを光のドップラー効果で調べています。星が近づいていると、光が青色側に、遠ざかっていると、赤色側にずれるという現象です。

 なぜそのようなことが起こるのでしょう。これはよく救急車のサイレンを例えに説明されています。音のドップラー効果と同じ現象だというわけです。音がドップラー効果をおこすのは音源と、音の相対的な速度が変化しているか、音と観測者が相対的な速度を変えているためです。したがって、星の光がドップラー効果を起こすのは、星の光と星が相対的な速度を変えているからだと考えられます。

イ 宇宙背景放射のドップラー効果

 地球は、宇宙空間を飛んでいます。その速度を宇宙背景放射のドップラー効果から割り出したそうです。宇宙背景放射は、地球の進行方向では青側に、反対に後ろ側では赤側に変異しているそうです。

 なぜこのような現象が起こるのでしょう。それは背景放射と、地球の相対的な速度が変化しているからではないでのしょうか。

 進行方向では、光速より地球の進む分だけ速く光とぶつかるため、単位時間に地球にぶつかる光の波の数が多くなり、光は青側にずれてしまうのでしょう。反対に、後ろ側は、地球の進む分だけ光との相対速度が遅くなり、単位時間当たりの、地球にぶつかるの光の波の数が少なくなるのでしょう。そのため、光は赤色側に変異してしまうのでしょう。

 もし、相対性理論にいうように、前から来る光も後ろから来る光も、同じ速度ならば、ドップラー効果は現れないでしょう。前からも30万キロ、後ろからも30万キロの同じ速度で光が来るなら、どうやって光に対する地球の速度を測ることができるのでしょう。

 まとめると、{光は真空中を30万キロの一定の速さで進むが、光源や、観測者との相対的な速度が変わるために、ドップラー効果が起こるといえる}

 このことから光速度は普遍ではないといえます。

ウ 光行差

 宇宙から来る光が地球に対して斜めに降り注いでいる現象です。これは地球が動いていることから起こります。光時計のように光は真っ直ぐ上がって真っ直ぐ戻ったりしないのです。

 これは雨の日に、車で走ると、雨が斜め後ろに飛んでいるように見える現象と同じです。これは雨と車の相対的な速度が変わるためにおきる現象です。

 従って、光行差も光と地球の相対的な速度が変化しているため起こる現象といえます。 

 

3 結論

 光の干渉縞を作るのはかなり難しく、正確な実験が必要とのことです。現代の科学の粋を集めて、追試をする必要があると思いませんか。それとも、20世紀最大の頭脳、アインシュタインが原理だといっているのだから、追試どころか、証明のための実験も必要ないですか。

 こんなあやふやな実験や、そうだからそうだなどと、まるで非科学的なことを言っている言葉を根拠にしている光速度普遍は本当なのでしょうか。

 光のドップラー効果や地球に降り注ぐ光の光行差ははっきりと観測されています。もちろん何人もの人のさまざまな機器による観測でです。最大の頭脳ではなくても、たくさんの、一流の頭脳です。最新の人工衛星による観測もあります。これらは、明らかに、光が地球との相対速度を変化させている現象の観測です。

 したがって光速度は普遍ではありません。

2005年7月18日 並刻記
雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問 (目次)

 ガリレイと、アインシュタインの「相対性原理」(前)
 時間の流れは遅くなるか (P66)(次)