ガリレイと、アインシュタインの「相対性原理」の違い(P58.59)
(以下「 」内はNewtonよりの引用です)

1 問題
相対性原理と慣性の法則の関係が述べられています。このことの疑問を書きます。  
(1) 問題
  「慣性形では慣性の法則が成り立ちます。」から、「アインシュタインの相対性原理は次のように書き直せます。『どの慣性形でも、すべての物理法則は静止した場所と同じように成り立つ』」といっています。
 慣性の法則から相対性理論がいえるのかを考えてみます。
2 考察
 慣性の法則は,P58から59にかけて、ガリレイの相対性原理として説明されています。
 ガリレイの相対性原理
「等速直線運動をしている場所では,物体の運動の法則が静止した場所と同じように成り立つ」
 アインシュタインの相対性原理
「等速直線運動をしている場所では,すべての物理法則が静止した場所と同じように成り立つ」

 問題は「物体の運動の法則」が「すべての物理法則」に変わっていることです。
「物体の運動」についてはボールやりんごなどを使って、具体的説明がよくしてあります。そのくせ、残念ながら原理の説明はありません。なぜでしょう。時間の伸び縮みよりはよほど簡単な原理です。なぜ書かなかったのでしょう。書くと、光が同じ原理で動かないことが読者にわかってしまうから、ということはないでしょうね。
「すべての物理法則」、すなわち、光も静止した場所と同じように、どの慣性形でも、物と同じ動きをするということです。なぜ光も大丈夫なのか具体的な説明はありません。もちろん理由も書かれていません。
 これは「アインシュタインの相対性原理」について書かれた文章です。なぜ、「ガリレイの相対性理論」について58ページから59ページにわたって、4ページも書いてあるのに、「アインシュタインの相対性原理」について、何の説明もないのでしょう。一番肝心な、ガリレイの「物体」がアインシュタインの「すべての物理法則」に変えても大丈夫であるという根拠は一切触れられていません。ガリレイは、光を省きました。ニュートンも光を省きました。アインシュタインが、光をこれに加えたことこそ、相対性理論の常識を破ったすばらしさなのですから、このことこそ4ページを費やして書くべきことです。仕方がないので、代わりに根拠を私なりに考えてみます。
 
(1)根拠を考える
  列車でボールを投げ上げても「アインシュタインの相対性原理」の説明にはならない理由。
 ア ガリレイの相対性理論の根拠(慣性の法則)
 等速直線運動をしている列車の中でボールをまっすぐ投げ上げると、手元に戻る原理
 ボールが手にあるとき、人もボールも列車と同じスピードで前方へ移動しています。人もボールも、物体だから質量を持っています。この質量は、慣性質量といって、物体の運動エネルギーを保存します。ボールが投げ上げられた後も、この保存された運動エネルギーで前方へ今までどおりの速度で進みます。このエネルギーは何かにぶつかったりしない限り変化しないことになっています。エネルギー保存の法則です。
 「静止しているか等速直線運動をしている場所のことを慣性形と呼びますが、『慣性系』では慣性の法則が成り立ちます。」と[Newton」にはあります。これはアインシュタインではなくニュートンの解明した原理です。そして、これが成り立つのは、質量を持ったものだけと限定しています。光は含まれません。理由は光は質量を持たないからです。質量を持たないから、運動エネルギーを保存できないのです。光源の動きにかかわらず光速は常に一定(光速普遍の原理・光速度普遍の原理ではありません)になるのはこのためです。したがって、慣性の法則に光を付け加えることはできないはずです。もし同じような動きをするとしても、まるで違う理由のはずです。この理由を書かなくてはならないはずです。このことこそ、常識を超えられないニュートンの慣性の法則を打ち破ったすばらしさなのですから。

3 結論
  アインシュタインの相対性原理の根拠
「どの慣性形でも,すべての物理法則は静止した場所と同じように成り立つ」というのはいえるのでしょうか。
 先ほども書いたように、光が慣性の法則に従うとは考えられません。手の中のりんごをまっすぐ上に投げ上げると、また手に戻ります。しかし手の中の懐中電灯の光をまっすぐ上に照らしたら、まっすぐ上に上がるとは限りません。アインシュタインは上がると言っていますが、その根拠も、実験結果も提出していません。
 58ページの終わりに、「これは大事な原理なので,よくおぼえておいてください」とありますが、その根拠となる、理論も、実験も提示されていないものを科学の原理にすることはできないはずです。4ページにもわたって、ガリレイと、ニュートンの法則を説明できても、1字もアインシュタインの相対性原理の根拠を書くことができなかったのは、アインシュタイン自身がこの原理の根拠を提出できなかったからなのではないのですか。そして、いまだに、(原理だから理由はいらない))以上の根拠は見つかっていないのではないのですか。
 マイケルソンとモーリーの実験がその証拠だということが書いてある本を見ました。アインシュタインはそうだとは言っていないが、これが証拠だ、と書いてある本も見たことがあります。
 そこで、次項では、マイケルソンとモーリーの実験が証拠足りえるかを検討して見ます。
2005年7月16日   並刻記
 

光速度普遍の原理は正しいか(P60)

絶対静止の有無を調べるU
雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問