太陽のそばで光が曲がることが観測によって示されたP36・P90)

(以下4「 」内はNewtonからの引用です)
1 問題

 1929年アーサー・エディントンらによって太陽のそばで光が曲がることが確認された。「この観測結果は、ニュートンの万有引力の法則を覆し、一般相対性理論の正しさを証明するものとして新聞にも報じられた」このことから、アインシュタインの一般相対性理論にある「物体でない光が重力によって進路を曲げられる」という予言は証明された、とあります。


2 疑問1

 太陽のそばで光が曲がったというのは観測事実です。これには追試もあるそうです。しかし、この観測結果から、光が重力によって曲げられたといえるかどうかを考えてみます。

(1)考察1

 光が曲がったのは重力が原因であるという根拠は、アインシュタインが言ったという以外には存在しません。

(2)考察2

 地球上で考えてみます。地球のそばでは、地球の大気によって光が曲がっているのが観測されています。たとえば、蜃気楼、陽炎、星の瞬き、水平線の浮き上がり、太陽の浮き上がりなど枚挙にいとまがありません。一番最後に書いた、日没の太陽が、計算より実際の方が遅れるのは、地球大気の光の屈折現象です。現象だけはエディントンの観測と酷似しています。星(太陽)の光が他の星(地球)の近くで曲がっています。しかし、理由はまるで違います。

(3)考察3

 やはり地球上で考えてみます。地球のそばでは、重力によって、光が曲がる現象は観測されていません。もちろんこれには言い訳があって、地球の重力が小さすぎて、観測できないというのです。しかし、観測されないのですから、重力で光が曲がるということはいえません。

(4)考察4

 エディントンの観測を検討します。この本にはないのですが、この観測で写した写真では、観測した星は太陽コロナの真ん中に写っていました。コロナは太陽の大気です。すると、地球上の観測結果から考えると、この星の光は、太陽大気によって曲げられたとも考えられます。しかし、地球上では観測されなかったのですから、太陽の重力で曲がったとは断定できません。せいぜい、アインシュタインがいっているのだから可能性は捨てきれない、というぐらいが関の山です。

 なぜ、太陽のそばでは、大気の屈折は問題にされず、重力による曲がりが原因であると断定できるのでしょう。地球上の現象と正反対になる理由は述べられていません。

「この光の曲がりは真空中でもおきるので、水中でおきるような光の曲がりではない」と一応述べられてはいます。でも、「真空中でも起きる」というのは、どのような現象や、実験で確かめられたのかは述べられていません。もしそういう現象があるなら、そちらこそ書くべきです。エディントンの観測は、証明には使えないのですから。

(5)考察5

 ある現象(エディントンの観測)が既成の事実(光は大気で屈折する)だけで完全に説明できるときは、それが答えです。そのことを何の根拠もなく否定して、証明されていない理論(重力で光が曲がる)が理由であるということはできません。

 この考え方の方法は科学の一般常識といわれています。もちろん、アインシュタインは、常識を覆したところがすばらしいのですから、一般常識を持ち出すこと自体が間違いなのですが。

 

3 疑問2

 この観測結果について、「その光の曲がりの大きさは一般相対性理論の予想のとおりでした。」とあります。

(1)考察1

他の本には、誤差が大きかったと書いてありました。どちらが本当なのでしょう。   

(2)考察2 

上のことから、太陽コロナによっても必ず光は曲がっているはずです。

 もし、重力で光が曲がるとしても、重力で光が曲がった分と、コロナで光が屈折した分が足しあわされるはずです。これはどこへいったのでしょう。

 (重力で光が曲がるというすばらしい理由の前に、大気で光が屈折するなどという、あまりにもありふれた、常識的な理由は、恥ずかしくて顔を出せなくなったのでしょうか)

4 結論

 以上のことから、太陽のそばで光が曲がった現象は、コロナ(太陽の大気)が原因といえます。

 あるいは、百歩譲って、コロナと太陽の重力で曲がったともいえるかもしれません。

 しかし、重力だけで曲がったとは、この観測からはいうことはできません。それを言うためには、地球の大気は光を曲げるが、太陽の大気は光を曲げないということを理論と事実で証明しなければなりません。そして、地球重力では観測されないが、太陽重力は光を曲げるということも観測か実験で証明しなければなりません、しかしこの二つはまだできていません。(大気で光が曲がるということは、理論でも、実際の観測や実験でも証明されています)

 もし観測事実が一般相対性理論に一致するなら、とても変な話です。地球上の事実が太陽のそばでは反対になるということです。

 もし他の本にあるように、観測事実が、誤差が大きいのなら、それは誤差ではなく一般相対性理論の計算と一致しないということだけで、コロナによって屈折した場合と一致することになるのではないでしょうか。すなわち、観測誤差ではなく、どの理論を適用するかを間違ったのです。

 (不思議なことに、相対性理論と一致しない観測事実があると、それは観測の間違いになります。普通は、事実と理論が合わない場合は、理論を考えなおすのですがね)

 36ページに、「この光の曲がりは真空中でもおきる」とありますが、もしそういう事例があるならそちらをこそ出すべきです。それこそ光が重力で曲がる証拠になりえるのですから。そんなのがあればですが。

 もしそれが、銀河や銀河団による、アインシュタインリングを指すなら、考え直すべきです。銀河内には気体が存在しています。周りにもやはり銀河ハローといわれる気体の部分があります。直径二十万光年とかもある巨大な気体の塊です。

 銀河団も同じです。銀河団を大きく包んで気体のハローがあるのが観測されています。直径数百万光年とかの気体の塊です。宇宙に浮かんだ巨大な球体をした気体の塊です。遠くから見ると、まるで空に浮かんだレンズです。

 気体が薄いから無視していいというのは間違いです。薄くても、光はその中を、数十万光年とか、数百万光年とかの距離を飛ぶのです。地球の陽炎が通り抜けるときに通過する気体の分子や原子の数よりもっと多数の水素原子を通り抜けていることでしょう。光が影響を受けない理由はありません。

 したがって、アインシュタインリングも、気体による屈折現象だといえます。少なくとも否定はできません。したがって、これも重力で光が曲がる証拠とはなりえません。

 このことから、重力で光が曲がるということは、少なくともまだ証明されてはいないということがいえます。
もちろん、私は、重力で光が曲がるということと、この現象は関係がないと思っています。理由は、先に書いたように、蜃気楼と同じ理論で完全に説明できる現象なので、他の、証明されていない理論は必要ないということからです。

 
05年7月11日 並刻記
太陽の時計は地球と比べて時間が遅れる
雑誌「Newton」7月号「相対性理論」への疑問目次へ
絶対静止の有無を調べる(「ニュートン」P58)