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「アインシュタインが考えたこと」について15
(「アインシュタインが考えたこと」佐藤文隆、岩波ジュニア新書31)
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本からの引用です)
{光さえも出られない}(P170)
問題
ブラックホールから光も出られない仕組みについて、この本では、ブラックホールの{ちょうど、地平面のところで、無重力系はどういう速さで動いているのでしょうか。重力の弱い遠方から見ている人に対してどういう速さで動いているかというと、じつはちょうど光速でその座標系は中心に向かって落下しつつあるのです。中心に向かって落下している座標系の上で、反対方向に同じ速さで動けばちょうど光は静止して見えるのです。}
考察
1 座標系の落下
ア 座標系とは具体的に何を指すのか
座標系とはこの宇宙空間で具体的にどのようなものなのか。今まで観測されたことがあるか。
ないはずです。そんなものは具体的にこの宇宙には存在しません。座標系は、人間が考えた抽象的なものです。だからそんなものがこの宇宙に実際に存在することはありません。
イ 落下した座標系の後には何があるのか(座標系が落下するとして)
座標系が落下したら、その座標系がもとあった場所には次に何が来るのでしょうか。
また座標系ができるのでしょうか。光速で落下してなくなるのですから、目にもとまらぬ速さで次の座標系を作らなければなりません。大変ですね。
ウ 現代宇宙論から考える
今、宇宙空間はヒッグス粒子、あるいはヒッグス場に満たされているということになっています。光速で落下する座標系の中のヒッグス場はどうなるのでしょうか。光速で落下するのでしょうか。
エ 座標系は対等である、ということから。
ブラックホールの、地平面のところの座標系と、弱い重力のところの座標系は相対論では対等です。すると、弱い重力のところの座標系に対してもブラックホールの中の光は光速で進まなくてはなりません。弱い重力のところの座標系の中にさまざまな恒星や、銀河やブラックホールが入っているのですから。
すると、光は光速でブラックホールから抜けてきます。ブラックホールのところの座標系が優勢で、座標系と共に光は落下していて、弱い重力のところの座標系はそれを指をくわえてみているしかないというのでは、座標系は対等であるという、相対論の理屈が通らなくなります。光は何に対しても光速であるという理屈にも反します。
オ エスカレーターの説明
下っているエスカレーターを登る人が、下っていくという説明です。エスカレーターはそうなります。
@ では下っている座標系を登る光はどうなのでしょう。
エスカレーターは、ステップが下がっているので、そこに足を乗せると下がります。光はどうでしょう。座標系に乗せるところはあるのでしょうか。座標系の何が光を下に下げているのでしょうか。新幹線の座標系で、中のボールは、新幹線の速度をもらってそれを保存しているので、新幹線と共に前に進みます。新幹線の速度を何らかの形でもらっていない物質は、新幹線と共に動きません。たとえば外から打ち込まれた弾丸は、新幹線の中に入っても、新幹線の速度と関係なく動きます。真っすぐ入ったら、そのまま地球に対して真っすぐ出ていきます。新幹線はその間前に進んでいますが、その速度はもらいません。地球に対して真っすぐなのは、発射する前の銃が地表の速度をもらっているから、その中の弾丸も地表の速度で動いているのでその速度を保存しているため、地表に対して地表の速度プラス弾丸の発射速度になるから、地表に対して、まっすぐに進むことになります。ニュートンの慣性の法則です。
新幹線の慣性系に入るには、新幹線の速度をもらわなければなりません。
この場合の、落下する座標系は、どのように、光を、落下する座標系の一部とするのでしょうか。
A 座標系はどうなるのでしょう。
エスカレーターは無限軌道ですから、下に降りたステップは、下を通って、また上に上がって、新しいステップとして現われます。しかし、座標系は落ちたら落ちっぱなしで、戻ってはきません。座標系は落ちてなくなったのだから、次の光は、どこに対して光速になるのでしょう。
B 座標系の限界速度は
アインシュタインによると、光速より速いものはない、ということでした。すると、座標系も光速が上限速度と考えられます。
このことから、光速で落下する座標系の中で、光は光速で登るとすると、速度は相殺されます。外から見られるとしたら、光は停止しています。すると、外から落ち込んでくるガスや星などが、出す光は、溜まっていきます。その量は巨大になることでしょう。特に、銀河中心のブラックホールなどは、たくさんのガスや星を吸い込んでいることでしょうから、すごい光がたまっていると思われます。もちろん停止した光はそこから離れた人には、見ることができません。光が届かないのですから。でも、すごいでしょうね。
カ エスカレーターを下ったら
下りのエスカレーターを下る人もいます(本来こちらの人がほとんど)。その人はエスカレーターの速度プラス、自分の下る速度で降りていきます。
では、ブラックホールに向かう光はどうなるでしょう。光速で落下する座標系の中で、光は光速で落下するのです。弱い重力の遠いところから見ている人には、光は光速の2倍の速度で落下しているように見えるはずです。これは光速より速いものはないというアインシュタインの主張に反します。
キ 地球上空の座標系
重力で座標系が落下するというのですから、地球の重力でも地球上空の座標系は落下するはずです。その速度は、この本ではエレベーターの落下と共に光も落ちるという意見ですから、普通に物が落ちる落下の法則と同じと考えられます。
私たちの上には、ものすごい勢いで座標系が落ちてきているんですね。よく怪我
をしないこと。
落ちてきた座標系はどうなるのでしょう。雪のように降り積もるのでしょうか。降り積もった座標系は雪かきのように座標系かきをしなくちゃならないのでしょうか。困ったことになりますね。
地球上空の座標系は落ちてしまうのでその後はどうなるのでしょう。次々と新しい座標系が生まれるのでしょうか。
とてつもなく変な話ですね。
光は座標系に対して光速であり、座標系が動くとそれに対して一緒に動くというのですから。何らかの実質があるということです。
ク 宇宙全体の座標系
宇宙全体の座標系を考えてみます。すると光はその座標系に対して、光速になります。宇宙全体の座標系には、もうそれ以上の座標系はありません。それ以下の小さな座標系は、みんなその座標系に含まれてしまいます。すると、この宇宙全体の座標系が絶対静止空間になってしまいます。ニュートンの考えた絶対静止と似たものです。ニュートンは座標系で考えたのではありません。すべての動きは、決まっているとして考えたのですが。
結論
座標系は考えるときは便利なのですが、それが現実に存在するかのように考えるのはいかがなものでしょう。便利だからといって、勝手に落下させたりしたら、何でも人間の思いどおりに動いてしまいます。座標系は人間の考え出したものなのですから。それが宇宙の動きを支配しているとしたら、その座標系を考えだした人間が神様になってしまいかねません。まあ、今の物理学は人間が神様になっているようですけど。人間が観察したとき、初めて物事が決まるのだ!と声高です。人間が見てやらないと、猫の子1匹死ねないのですから。色も、人間が見て赤だと認識しなければ赤になれないのですから。
物理学者がとても偉いのはわかりますが、あまりおごり高ぶっても、仕方がないと思うのですが。