加速と重力は同じか2  落下するエレベータの中の光  メッセージ



「アインシュタインが考えたこと」について9

(「アインシュタインが考えたこと」佐藤文隆、岩波ジュニア新書31)

著者 高田敞

 

(以下{ }内は上記本からの引用です)

問題 (P99)

{重力のはたらかない系、もっと正確に言えば、ほかに力がはたらかなければボールが静止している無重力系を、それに対して加速度運動をしている系すなわち地面に固定した座標系から見れば、重力のもとで、ボールが落下するように見えるのです。}

考察

{重力のはたらかない系}は、ロープの切れたエレベーターのことでしょうか。これが静止しているということになります。{それに対して加速度運動をしている系すなわち地面に固定した座標系}は動いているということのようです。

(1) 問題文

 文の意味をつかむのが非常に困難な文である。子供向けならもっと分かりやすく書くべきである。

(2) 地面を加速させるエネルギーは何か。

落下しているエレベーターを静止しているとすると、地面が、それに向かって加速運動をしているということになるということのようです。

{それに対して加速度運動をしている系すなわち地面に固定した座標系}ということですから。

ではこの地面を加速させているエネルギーはなになのでしょう。この本ではそれは明示されていません。

私が考えるに、それは万有引力ではないといえます。引き合う相手がエレベーターでは、エレベーターの方がはるかに動きます。エレベーターの万有引力では地球は動かないでしょう。地球上で動いている、他の物質による動きの方が大きいでしょうから、その中に紛れてエレベーターに引きつき得られている地球のかすかな動きは観測されないでしょう。

ほかにエレベーターに向かって地球を加速させているエネルギー源は見当たりません。

私が考えるに、そんなものはありません。エネルギーが加わっていないのに地球が加速されていルトいうのは間違いです。エネルギー不変測に反します。

したがって、この前提は間違っているといえます。

(3)座標系を変えたら何が動くか

 {ボールが静止している無重力系を、それに対して加速度運動をしている系}は地球だけではなく全宇宙が加速運動をしている系になってしまいます。太陽系の一部の地球は単独運動はできません。また、エレベーターに固定した座標系から見ると、全宇宙が動くことになります。

 エレベーターのロープが切れたら、全宇宙がエレベーターの運動方向と反対方向に加速運動をする仕組みはどのようになっているのでしょうか。太陽がエレベーターの逆向きに加速運動をする。このとき太陽を加速させるエネルギーはどこから湧いたのでしょうか。それは太陽のどこに作用しているのでしょうか。エレベーターから、どのような伝達方法で、太陽に、伝わったのでしょうか。

 すべて説明がありません。

また太陽だけではなく、500光年離れた恒星も、100億光年離れた銀河も、同じように、エレベーターと反対向きに加速運動することになります。100億光年先の恒星に一瞬でどのように、情報を伝えたのでしょう。

 

 エレベーターのロープが切れたときエレベーターに向かって地球が加速運動するという現象は観測されていません。もちろん宇宙が加速運動するという現象も観測されていません。しかし、ロープが切れたとき、エレベーターが地球の万有引力と引き合い加速しながら動くのと同じ現象は観測されています。昔イタリアだったか、ロープーウェーのロープに飛行機が衝突しました。そのとき、ロープーウェーは落下して、多くの死者が出ました。このとき、地球がロープーウェーに向かって加速して落下したのではありません。死者が出たのはロープーウェーに乗っていた人たちで、地上にいた人ではありません。

 もし、地球の方が落下して、ロープウェーに衝突したとします。すると、地球はそのまま突っ走っていくでしょう。ロープーウェーの質量では、衝突しても地球を止めることはできないからです。

同じように、地球がロープの切れたエレベーターに落下するとすると、地球は止まることができません。エレベーターを壊して突き進んでいくでしょう。

 ニュートンの運動法則では、質量に比例して、動かすエネルギーがいることになっています。引き合った時、質量の小さなエレベーターの方が動きます。エレベーターから見て地球が動いているように見えたからといって、地球が動いているわけではありません。

アインシュタインでは、どちらが動くということは決められないということですが、そんなことはありません。質量の小さなものが質量の大きな物を引きつけて動かすということはありません。

もしそれが可能なら、それを応用したら、クレーンなどいらなくなるでしょう。小さな石を落としてその石の座標系から見れば、反対に、巨大な岩が上に上がるはずですから。

(4) 座標系1

{ほかに力がはたらかなければボールが静止している無重力系}は、エレベーターの落下前にエレベーターと接触していて同じ速度で動いていた物質にしか通用しません。手から離れたボールも、中の人も、エレベーターそのものも、同じ初速度で、落下を始めるから、同じ加速度で並んで落下できます。手から離れたボールも、人も、エレベーターも、{ほかに力がはたらかなければ}相対距離が変わらないので静止しているように見えるのです。もちろん見えるだけです。静止しているわけではありません。

しかし、落下の途中で窓から飛び込んできたボールは、初速度が異なるので、同じ加速度で落下できませんから、離れていきます。静止しては見えません。エレベーターの中でも、同じ座標系とはいかないのです。

座標系で言うなら、エレベーターに固定した座標系は、エレベーターと共に動いている物質、速度を共有している物質にしか適用できないということになります。エレベーターの運動エネルギーをもらっていない物質には適用できません。それを無理やり、エレベーターの座標系に地球まで含ませるから、地球が動き出すのです。

(5)座標系2

{地面に固定した座標系から見れば、重力のもとで、ボールが落下するように見えるのです。}

エレベーターから見れば{ボールが静止している無重力系}というのはエレベーターという限られた空間にしか通用しない座標系でした。エレベーターの中のボールが、中の人から見ると、同じ加速度で動いているから、位置関係が変わらないから静止しているように見えたのです。見えただけです。

 地上から見ると、エレベーターも中の人も、ボールも一緒に落下しています。見えただけではなく、実際に、地球に向かってエレベーターは落下しています。これは地球の引力の中に、3つとも含まれているからです。地球の自転や公転などの速度をもらっているからです。だから地球の座標系に含まれます。同じ運動エネルギーの中にあるからです。

しかし、これが実際の運動であることではありません。太陽の座標から見ると、エレベーターは、自転し公転している地球に向かって、螺旋を描いて近づいています。これは太陽の引力の中に、地球が含まれるからです。太陽の引力によって、地球の動きが決められているからです。

 銀河系の座標から見るとまた違う動きをしています。銀河系の引力の中に太陽が含まれるからです。

 座標系は大きくなります。大きな座標系に小さな座標系は含まれるけれど、小さな座表系に大きな座標系を含むことはできません。

 

結論

 小さな座標系に大きな座標系を含ませたから、地球が飛び上がったりするのです。座標系には優劣があります。蚤が象の鼻をつかんで振り回すことができないように、エレベーターは地球を振り回すことはできません。

エレベーターに落下するアインシュタインの運動の法則より、ニュートンの運動の法則の方が正しいと考えます。