メッセージ  宇宙は曲がっているか   座標系の返還に関して力学の法則は変わらないか



「アインシュタインが考えたこと」について5

著者 高田敞

 

(以下{ }内は上記本からの引用です)

{ニュートン力学の破綻}

問題

{そうなると、エーテルに静止している座標系が特別な地位を占めることになり、あれが動いている、これが動いていないということを、相対的ではなく絶対的に言えるようになります。ニュートン力学はそういうエーテルを必要としていたのです。静止しているエーテルに対するわれわれの運動を探ろうとして実験をしてみましたが、それは見つかりませんでした。ここにニュートン力学の破綻があったのです。}

考察

 ニュートン力学はエーテルを必要としていたのでしょうか。ニュートンはエーテルの存在を前提として、ニュートン力学を考えたのでしょうか。エーテルを必要としていたのは、ニュートン力学の絶対静止空間を否定したい相対論者ではないのでしょうか。

問題1

{エーテルに対するわれわれの運動を探ろうとして実験をしてみましたが、それは見つかりませんでした。}

考察

 エーテルはないのだから、見つからないのは当たり前のことです。これはニュートン力学が間違っているのではなく、エーテルがある、と考えたことが間違っているということにしかすぎないことです。

問題2

 {ニュートン力学はそういうエーテルを必要としていたのです。}

考察

ニュートンがエーテルが必要だと言ったのでしょうか。そうではありません。相対論者が、ニュートンの絶対静止空間を否定し、相対論の相対性を正しいとするためにエーテルを必要としているではないのでしょうか。当時(マイケルソンと、モーリーの実験)の科学者は、ニュートンの力学の証明のためにエーテルを考えたのではありません。当時の科学者の中に、光が伝播するには、それを伝える媒質がいると考えた人が多くいたのが発端ではないのでしょうか。光も音も波だからということです。でも光と音はまるで違うものですから、伝わり方もまるで違っていたのです。音は媒質の振動ですが、光は電磁波そのものが伝わっていくということがわかりました。光には媒質(エーテル)はいらなかったのです。引力や磁力が媒質がなくても伝わるように。エーテルはそれだけの話です。ニュートン力学とは関係がありません。ニュートン力学は光とは関係ないからです。

 ニュートンは絶対空間を基準にしています。アインシュタインは、物を計るのは棒でなければならないと言っています。基準を物質でなければならないと決めているのは、ニュートンではなくアインシュタインです。棒でなければ測れないというのはアインシュタインの仮説です。この場合、ニュートンの考えに、無理やりエーテルという物質を持ち込んだのは相対論が基準は物でなければならないという考えだからです。

 ないのが分かっているものを、自分たちの理論を正当化するために持ち出したのです。

エーテルがないと、絶対静止がないとは言い切れません。この本でもその証明はありません。

問題3

{エーテルに静止している座標系が特別な地位を占めることになり、}

考察

 エーテルがなければ、絶対静止は存在しないということを暗黙に述べているのでしょうか。

 先に述べたように、動いているものから見ると、必ず全宇宙が動きます。それが人であっても、列車であっても、地球であっても、太陽であっても、銀河系であっても、銀河団であっても、その他動いているどのようなものであっても、それを座標系にして静止させると、それに対応して必ず全宇宙が動きます。

すべての他の動いているものを静止座標系にすると、必ず全宇宙の{座標系が特別な地位を占めることになり}ます。ニュートンの絶対静止空間と同じものです。

全宇宙を静止座標系にすると、すべての動きは、矛盾なく表せます。たとえば、地球上の列車です。これは、銀河系はおとめ座銀河団に向かって動き、太陽はその銀河系の中を回転し、地球は太陽を公転し、そして自転し、列車はその地表を走っています。列車はそのすべての運動を待っています。これがニュートンの絶対静止空間の考え方です。力学的にも問題は生じません。

反対に列車を静止と考えてみます。すると、地球が動きます。1日たつと、列車を中心に地球が回転します。列車を中心に太陽が回転します。この時点で、太陽は光速を越える動きをします。星が回転します。これは、銀河系が列車を中心に回転しているということです。アンドロメダも、列車を中心に1日1回転します。その1日の走行距離は、230万×2×3.14光年です。

それだけではありません。1億光年離れた銀河団も、100億光年離れた銀河団も、列車を中心に1日1回転することになります。巨大な質量をもつ銀河団が、小さな列車を中心に、1日に100億×2×3,14光年動くのです。

これが相対論の言う相対性です。星や太陽が、地球のまわりを1日1回転しているように見えるが、本当は地球が自転しているからだと言った、ガリレオやケプラーやニュートンの考えとは相いれません。

動きは絶対的であるとしたニュートン力学は、この相対論のように、全宇宙が地球を中心に回転するなどという、力学としてあり得ない現象は生じません。もちろん現実でも、宇宙が列車を中心にして回転しているということはありません。

 

問題4

全宇宙を満たすもの

考察

 今宇宙は、エーテルではなく、ヒッグス粒子に満たされていると言われています。それはどのように考えますか。ヒッグス粒子は動いているのでしょうか。それとも相対的な動きをするのでしょうか。

問題5

相対性

考察

相対論は、相対性を基本としています。どちらが動いているか決められないということです。

では、太陽と地球はどちらが動いているのでしょうか。見た目は太陽です。でもニュートンは、双方の質量の重心を中心に楕円運動をしていると考えました。動きは決められるということです。相対論は、太陽と地球はどのように動いていると考えるのでしょうか。見方によってはどちらも動いていると言っています。そんなバカな。太陽が動いているように見えるから太陽が動いているなんて、ガリレオ以前の考え方に逆戻りしています。

この本には加速器が出てきます。{「加速器」という装置を用いると、質量をどんどん大きくすることができます。}と述べています。このとき大きくなるのは、中で加速されている粒子です。ところが、相対論では、加速されている粒子から見ると加速器が光速で回転しているように見えるはずです。すると、質量が増えるのは、加速器であるはずです。

{現在の加速器では、1万倍も大きくすることもできるようになっています。}

加速器の質量が1万倍も大きくなっているということです。加速器が元1万トンあったとしたら、1億トンになるということです。ほんとですか。

ニュートン力学では動いている方は決まっています。だから、加速器が光速で回転したり、質量が増えたりすることはありません。相対論は何事も相対性だから、加速器が光速回転したり、質量が1万倍にも増えたりするということです。どちらが事実に合っているでしょう。

この地球上で、動いている方が決められないという現象は存在するのでしょか。人にしろ、車にしろ、飛行機にしろ、動いている方は決まっています。心臓の動きにしろ、ミクロの微生物の動きにしろ、マクロから、ミクロまで、すべての現象は、動いている方が決まっています。

この宇宙で観測されている現象で動きが特定されないものはあるのでしょうか。すべての動きは動いている方が決まっています。太陽や、月や、星が動いているように見えるけど、それは人間の感覚の錯覚で、実際は、地球が自転しているからそう見えるだけで、動いているのは地球だということになっています。「それでも地球は動いている」とこの本でもそれを認めています。

佐藤氏は、天動説と、地動説は決められないと思いますか? 私は地動説と思います。

 

結論

 ニュートン力学がエーテルに合わないのは、エーテルとニュートン力学は関係ないからです。

 宇宙のすべての現象は、何がどのように動いているか、決まっています。立場によって、どちらでも動くということはありません。それをやると必ずどちらかで、全宇宙が動きださなくてはならなくなります。止めると、全宇宙が動き出す方が動いているのです。

 宇宙のすべての星や星間雲や銀河や銀河団はニュートン力学どおりに動いています。相対論の相対性では動いていません。見た目がすべてという相対性は、ガリレオ以前の宇宙論です。もちろんどちらが動いているか決められないという考えに力学的な裏付けはありません。

 

 おまけ

 今宇宙に満ちているのはヒッグス粒子(ヒッグス場)だという考えが主流です。宇宙はエーテルに満ちているという否定された考えを持ち出さずに、今宇宙を満たしていると言われているヒッグス粒子で考えるべきでしょう。といってもヒッグス粒子は、光とは反応しないことになっていますから、光を伝播することはできないかもしれません。

 もちろん、エーテルがなくても、ヒッグス粒子が宇宙に満ちていても、ニュートン力学は関係しません。現在の宇宙では、宇宙にびっしり満ちているはずのヒッグス粒子にぶつかっているはずなのに、物質は等速直線運動をするようです。

エーテルがなくても光は伝播する、というのが今の定説です。