メッセージ  ニュートン力学は破綻したか   綱の切れたエレベーターの実験


「アインシュタインが考えたこと」について6

著者 高田敞

 

(以下{ }内は上記本からの引用です)

{ニュートン力学の威力}

{「座標系の返還に関して力学の法則は変わらない」(P44)

 

問題

{たとえば、地球の地面に静止していた座標系から、新幹線と共に動く座標系にかえる、という意味です。そういうふうに変換しても、運動の法則は変わらない。だからこそ、新幹線の中でも10円玉は下に落ち、地面の上でも10円玉は下に落ちるわけです。}

考察

新幹線の中で10円玉が下に落ちるのは座標系を変えたからではありません。ニュートンの運動の法則の中の慣性の法則にいわれている物質の運動の性質からです。

(注:この本では慣性の法則は言葉さへ出てきません。触れたくないのでしょう。慣性の法則は、慣性質量のある物質にしか作用しません。だから、慣性質量のない光には作用しません。{「座標系の返還に関して力学の法則は変わらない」}というのは慣性の法則内の物質運動に関してのことです。だから、慣性の法則外の光はこれに当てはまりせん。光も、座標系が変わっても光速であるという相対論のためには、座標系で押し通すことが必要なのでしょう。座標系という言葉なら慣性の法則はカヤの外に置いておけるとでも考えているのでしょう。不利なことは無視するという相対論者の特徴がここでもよく出ています。ちなみに、新幹線の座標系という場合には、その座標系に含まれるものは、新幹線の速度のエネルギーを受けている物質に限ります。すなわち新幹線と共に動いている中の人や10円玉やボールや、販売ワゴンなどです。外のものは関係なくなります。光も関係ありません。といっても、外に落とした10円玉は関係します。新幹線の力をもらっていたからです。反対に外から飛び込んできた鳥や虫や、あるいは、架線から落下してきた物質や踏切で止まっていた車は関係しません。それらは真っすぐ落ちずに、時速300kmで激突します)

座標系で言うならば、地上の座標系の中で、新幹線が時速300kmで動いています。中の10円玉も、時速300kmで動いています。地上の10円玉は地表に対して真っすぐ下に落ちるが、新幹線の中の10円玉は、地表に対して放物線を描いて落下します。なぜなら、新幹線の中の10円玉は、手にあるときに新幹線に押されて前方へ時速300kmで動いているからです。この動くエネルギーは新幹線のモーターが回転するエネルギーからもらっています。そして手から離れても、10円玉はこの前方への運動エネルギーを保存しています。運動エネルギー保存則です。これを慣性の法則といいます。保存するのは物質が持つ慣性質量です。下方へ動く速度は引力による落下速度です。この二つの運動エネルギーで、新幹線の中の10円玉は、新幹線の床に対して真っすぐ落ち、地表に対して放物線を描いて落下します。

地上の人が持っている10円玉が、地上に対して真っすぐ落ちるのもこの仕組みです。地上の人の持つ10円玉は地球の速度と同じ速度で動いています。手から離してもその速度を保存しています。地球と同じ速度で動くから、地上に対して真っすぐ落ちるのです。

これが慣性の法則での仕組みです。{「座標系の返還に関して力学の法則は変わらない」}からではありません。座標系は関係なく慣性の法則で説明できます。

 

問題

{運動を記述する際の座標系は、お互いに一定の速さで動いている座標系同士では、どれが優位な系ということはないということです。どれもみな対等であるということです。まったく相対的であるということです。}

考察

 次に、座標が対等ではないことを考えてみます。

上の新幹線の座標と、地球に固定した座標で考えてみます。

地球に固定した座標では新幹線は時速300kmで動いています。中の10円玉も時速300kmで動いています。手から離れた10円玉は地表に対して放物線を描いて、落下します。窓から外に落としても同じです。放物線を描いて落下します。ただ、空気抵抗が大きくなるので、一気に前方に進む速度は落ちるから、そんなには遠くへは飛ばないだけです。空気にぶつかって空気を押すから運動エネルギーを空気に受け渡すから10円玉の前方へ進むエネルギーが減じるからです。

では、新幹線に固定した座標系から見てみましょう。すると、地球が時速300kmで新幹線の後方へ動いていくように見えます。地上の人が手に持っている十円玉も時速300kmで後方へ動いているように見えます。落とした、10円玉は、放物線を描いて新幹線の後方へ向かって落下していくように見えます。

{お互いに一定の速さで動いている座標系同士では、どれが優位な系ということはないということです。どれもみな対等であるということです。まったく相対的であるということです。}と述べているように、このどちらもが本当に動いているというのが相対論です。

ここで考えてみます。地球が時速300kmで動くでしょうか。地球が動くということは、月も動くということです。地球と月の距離が、新幹線が動いたことで変化するということは今まで観測されたことがありません。だから、地球が動くと月も同じ距離を保って動かなければなりません。同じように、太陽も、時速300kmで新幹線の後方へ動いているということになります。すなわち全宇宙が、時速300kmで新幹線の後方に動くことになります。

新幹線のモーターが回転すると、全宇宙にどのようなシステムでエネルギーを伝えているのでしょうか。

また、これは、ニュートンの運動エネルギーの法則に反します。新幹線のモーターで地球を動かすことはできません。まして、全宇宙を動かすことなど出来っこありません。エネルギーの大きさが違います。新幹線のモーターの出力は新幹線の動いているエネルギーに一致しています。動きは新幹線だけと決まっています。したがって、新幹線の座標系は新幹線と共に動いている物質に限られます。したがって、それ以外のものは範疇外ですから、地上の人の手の10円玉も関係なくなります。{どの座標系も対等なのです。}とあるが、そうではありません。

(注;動いている新幹線が止まっているとすると、地球の自転のために、宇宙が1日1回新幹線を回る運動をすることになります)

上の場合は、新幹線の座標系に地球の座標系を組み込んだから間違ったのです。

地球の座標系の中では新幹線は時速300kmで動いていても、エネルギーの法則に反しません。それは、新幹線は地球の自転や公転、その他の地球のすべての運動エネルギーを受けて地球と共に動いているからです。地球の慣性運動の中に新幹線の運動があるからです。しかし、新幹線の座標系に地球をいれることはできません、地球は新幹線の慣性運動の中にはないからです。新幹線と共には動いてはいないからです。慣性系は対等ではありません。

相対論で新幹線の座標系に地球を入れると、地球が時速300kmで動くことになります。ところが新幹線のモーターでは地球は動かせません。この矛盾は、そのことから生まれます。新幹線は地球と共に動いているけれど、地球は新幹線と共には動いていないからです。

(注:運動する物体のエネルギー=1/2mvです。時速300kmで走る新幹線の運動エネルギーは1/2(新幹線の質量)×時速300kmです。一方地球の運動エネルギーは1/2(地球の質量)×時速300kmです。エネルギーが違いすぎます。)

座標系から考えてみます。

地球の座標系に新幹線の座標系をいれても矛盾は生じませんが、新幹線の座標系に地球の座標系を入れると、上に書いたような実際にはあり得ない現象が生じます。

座標系には優劣があり、対等ではないといえます。

座標系に優劣があるということをもう少し見てみます。

たとえば、相対論によると、地球の座標系から見れば、動いているのは太陽になります。天動説です。実際、地球上の人から見れば太陽が動いているように見えます。新幹線から見たら、景色が動いているように見えるのと同じ現象です。しかしこれは錯覚であることがガリレオによって発見されました。

なぜ、見えるとおりに太陽が動いていないのでしょう。それは、新幹線は地表の動きをすべて伝えられています。地表の速度と同じ速度を持っています。それプラス、モータ−のエネルギーです。しかし、太陽は地表の動きからのエネルギーを何一つ伝えられていません。地球の慣性系とは無関係です。だから地球の自転とは無関係な動きをしているのです。それなのに新幹線の慣性系に入っていない地球を新幹線の座標系という名で無理やり入っているとしたとき、地球が動きだしたように、地球表面の慣性系に入っていない太陽を地球の座標系という名で無理やり地球表面の慣性系に入れたから、太陽が動きだしたのです。

では実際の現象はどうなのでしょう。太陽と、地球は両方の重心のまわりを楕円運動をしています。どちらが止まりどちらが動いているということではありません。地球から見たら太陽が動き、太陽から見たら地球が動くということでもありません。どちらも、それぞれの慣性運動の中にはないからです。

ところが、相対論ではどちらの座標系でも正しいというのです。でも地球の座標系では地球が停止してしまいます。太陽の座標系では太陽が停止してしまいます。どちらも、ケプラーが発見し、ニュートンがその理論を考え出した、ともに二つの重心のまわりを楕円運動しているという、実際の運動を表すことはできません。その上、どちらの座標系でも、全宇宙が超光速回転を始めることになるのですから、地球の座標系にしろ、太陽の座標系にしろ、事実と完全にかけ離れているといえます。

そして、今の宇宙の観測では、太陽も銀河系の星と共に銀河系の中心のまわりを公転しているということです。これも、座標系とは関係ありません。太陽から見たら、銀河系の星が太陽を中心に回転し、銀河系の中心から見たら太陽が公転しているということではありません。銀河系が回転しているという観測事実です。地球の座標系から見た見かけの運動ではありません。地球や太陽の座標とは関係ない、客観的運動です。

それだけではありません。銀河系は、秒速数百kmで、おとめ座銀河団の方向に動いているということが観測されています。これもおとめ座銀河団の座標系から見たら、銀河系が、動いている。銀河系の座標系から見たらおとめ座銀河団が動いているということではありません。このあたり一帯の、銀河や銀河団などの質量が持つ引力によって、引きつけ合っておこっている現象です。座標系をどこに置くかによる見かけではありません。

ではその動きは何によって客観的になるのかということが生まれます。ニュートンの絶対静止空間です。座標系でいえば、宇宙全体の座標系です。宇宙全体の座標系(宇宙全体に対して停止している座標系)の中では、銀河系は、時速数百kmで動いています。回転しています。太陽系もニュートンの法則でそれぞれ動いています。すべての星も、すべての銀河もそれぞれの速度で動いています。新幹線も矛盾なく動いています。

すべての動きを含むことができるのは宇宙全体の座標系しかありません。新幹線の座標系では、新幹線からエネルギーを受け取っている物質の動きしか表すことができません。そのほかは範囲外です。地球の座標系は地球の慣性系以外のものは表すことができません。太陽の座標系は太陽の慣性系(太陽にくっついて太陽の運動エネルギーを受け取っている物質)以外のものは表すことができません。銀河系の座標は銀河系の慣性系以外のものは表すことはできません。

(新幹線の座標系)<(地球の座標系)<(太陽の座標系)<(銀河系の座標系)<(宇宙全体の座標系)

とうことになります。

座標系には優劣があるのです。下の座標系には上の座標系の物質の運動を入れることはできないのです。 

地球の中に新幹線は入れられるが、新幹線の中に、地球を入れることができないのと同じです。

結論

座標系は優位性があるといえます。決して対等ではありません。

最終的に、全宇宙を包む座標系が最優位の座標系になります。それが、ニュートンの考えた、絶対静止空間です。そして宇宙はこの座標系以外では表すことはできません。新幹線から100億光年いやその先までの銀河の動きまでニュートン力学で表すことができます。

 絶対静止空間は座標系でもあります。新幹線の座標系がエーテルを必要としないように、宇宙全体の座標系にもエーテルの必要はありません。

絶対静止空間をもとにニュートンの運動の法則は成り立っています。絶対静止空間を否定した相対論は、新たな運動の法則を組み立てなくてはなりません。新幹線の座標系から見たら全宇宙が動く、というときの運動エネルギーの法則です。新幹線のモーターが回転すると全宇宙が動くという仕組みです。ニュートンの運動法則と似ているはずはありません。