メッセージ | 石が真下に落ちると相対論 | AとBの時刻を合わせるには |
「アインシュタインが考えたこと」について1−3
(「アインシュタインが考えたこと」佐藤文隆、岩波ジュニア新書31)
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本からの引用です)
問題
座標の対比
考察
1−2でみたように、歩いている人の座標から見ると、全宇宙が動いていることになります。列車に固定した座標から見ると、やはり全宇宙が動くことになります。地球に固定した座標から見ると、やはり全宇宙が動くことになります。
これは、飛行機に座標を固定しても、太陽に座標を固定しても、銀河系に座標を固定しても、必ず全宇宙が動くことになります。
すべての個々の動きに座標を固定すると、必ず全宇宙が動くことになるのです。そしてそれは現実にはおこりえない現象です。新幹線のモーターが回ると、全宇宙が動きだすということは実際には起こっていないし、運動エネルギーの法則から見ても不可能なことです。
反対に、全宇宙に座標を固定すると、個々の動きはそれ固有の動きになります。そして、実際の運動としても、理論としても矛盾はありません。
{あちらに動いている人}を例に考えてみます。
全宇宙に座標を固定します。すると、その座標に対して、銀河系が動いています。その中を太陽が公転しています。その太陽の周りを地球が公転しています。そして地球は自転しています。その地表で{あちらで動いている人がいる}となります。動いている人は、このすべての動きを加算した動きになっています。複雑そうだがこれは可能な動きです。ニュートン力学にも反しません。
こちらでそれをベンチに座って見ている人の動きは、同じように、上の、銀河から、地球の自転までの動きをしています。ベンチに座っているのだから、そこまでの動きだけです。あちらで動いているヒトとの動きの差は、あちらの人が歩いている速度の差になります。
しかし、反対はあり得ません。全宇宙の星や銀河や、宇宙に漂うガスや、塵や、宇宙中を光速で飛ぶニュートリノや、ヒッグス粒子や、ビッグバン説が正しければ、その5,6倍もあるダークマターが、地球の自転と反対まわりに回り、地球の公転と反対まわりに回り、太陽の公転と反対まわりに回り、銀河系の公転と反対まわりに回り、銀河の動きと反対まわりに回るなどということはおこり得ません。全宇宙がそんな動きをしたら、すべての銀河は、光速の数兆倍の速度で吹き飛ぶしかなくなります。宇宙の見える物質やエネルギーを合わせた量の数十倍はあると言われている、ダークエネルギーよりはるかに大きな運動エネルギーになります。
座標は、全宇宙に固定した座標でなくてはこの宇宙の動きを表せません。宇宙の動いているものに固定したどのような座標から見ても、ただ一つ、全宇宙の座標が対立して現れます。すなわち、すべての動きに対立する全宇宙の座標こそ、唯一の座標であるといえます。それがニュートンの考えた絶対静止空間です。宇宙のすべての動きを矛盾なく表すことができるのは、その座標しかありません。他の座標はすべて、事実とは相いれない現象があると考えるしかなくなります。
結論
全宇宙を包含した静止空間こそ、宇宙のすべての動きを矛盾なく表すことができる唯一の座標になるといえます。