相対性理論と,そこから生まれた現代物理学(Newton6,2016)について3

 

著者 田 敞

2016年7月12日

相対性理論と,そこから生まれた現代物理学について   相対性理論と現代物理学2  相対性理論と現代物理学4  メッセージ

 

(以下{ }内は、上記本よりの引用)


この本の記述

ニュートンは{「なぜ重力が生じるのか」,という根本的な問題については何も説明していませんでした。}

{一般相対性理論では,重力を「時空(時間と空間)のゆがみ」だと説明します。そして、この時空のゆがみに従って,光さえも曲がってすすむといいます}

{地球は太陽がつくりだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲を回ります。}

問題1

アインシュタインは

{物体があるとその周囲の時空が「ゆがむ」と考えました。}

{このゆがむ影響が,重力として、観測されるというのです}

考察

・ 物体が時空をゆがませる仕組みがこの本にはなにも書かれていない。

・ 時空のゆがみとはどのようになっているのかが書かれていない。太陽を中心とした、お椀の形に描かれているが、それは本当なのだろうか。

・ {ゆがむ影響が}、何にどのように影響しているのか、その仕組みはどのようなものなのか、ということも何も書かれていない。

・ この本の時空のゆがみはお椀のように書かれているが、時空のゆがみがお椀のような形になるという仕組みは書かれていない。

 このことから、引力の原因や生まれる仕組みについてニュートンがなにも言っていないように、アインシュタインも、時空のゆがみの仕組みや、ゆがみが重力になる仕組みについてはなにも言っていないようだ。

結論

 ニュートンは万有引力の{“正体”についてはなにも説明を行いませんでした。}が、同じように、アインシュタインも、時空のゆがみの“正体”についてと、ゆがみが重力になる仕組みについてはなにも説明を行いませんでした、となるようです。

 

問題2

{時空のゆがみ}は、重力が生じる{根本的な問題について}説明できているか。

太陽の何が時空のどこに作用して、時空をゆがませるのか

{お椀の側面に沿って勢いよくビー玉を投げ入れると,ビー玉はお椀の底に落ちずに,しばらくの間,側面を回り続けます。}

考察

 P44,45のイラストから考えてみます。

 太陽が作る時空のゆがみが、お椀の様にへこんで書かれてあります。

 このことから、ビー玉は重いからお椀の底に落ちる。地球も重いから太陽のつくったへこみの底に落ちる。これが重力だ、ということのようです。ただし、これは私の憶測です。この本には説明はありません。説明ができないから説明を書いていないのでしょう。

疑問1 時空がへこむ原理。

太陽が、時空をへこますということのようです。では太陽の何が、時空にどのように作用して時空をへこませたのでしょう。時空の構造が、太陽によってどのように変化したからへこんだのでしょうか。それが書かれてありません。書かれてないのは、それがわからないからではないのでしょうか。

 万有引力がなぜ生じるかについては何も説明しなかったのと同じように、アインシュタインも、時空のゆがみの構造的変化の仕組みについては何も説明していません。

疑問2 時空はなぜへこむのか

時空はなぜへこむのでしょうか。盛り上がってはだめなのでしょうか。その理由はあるのでしょうか。もちろんないと思われます。

太陽は重いから、時空の中で沈むというのはだめです。もっともらしいけど、科学的理論もないし、実証もできていません。ニュートン以前の、物は重いから落ちるのだ、それに理由などいるか、という考えに戻っただけです。エネルギーがあれば盛り上がってもいいはずです。ロケットが飛びあがるように。大きいエネルギーを持った粒子が、星から飛び出るように。

(重力と万有引力の違い:万有引力は引き合う力。重力は重い力。重力は、物は重いから落ちるという、ニュートン以前の常識に戻ったということです)

疑問3 ゆがみが重力になる仕組みはあるのでしょうか

時空のゆがみがなぜ重力になるのでしょう。

この本ではその理由が{お椀の側面に沿って勢いよくビー玉を投げ入れると、しばらくの間,側面をまわり続けます。これに似て,地球は太陽が作りだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲をまわります。ビー玉はお椀との摩擦によりすぐ底に落ちてしまいますが,地球はほとんど真空の宇宙空間を公転するため止まることはありません。}と思わせるように書いてあります。それが理由になるのでしょうか。考えてみます。

考察

 ビー玉がお椀の底に落ちるのは、ビー玉と地球が万有引力で引き合っているからだというのがニュートンの考えです。地球の公転も、地球と太陽が万有引力で引き合っているからだということです。

@ ビー玉が{しばらくの間,側面をまわり続けます。}の原因

これはお椀が外に向かって開いているからです。{お椀の側面に沿って勢いよくビー玉を投げ入れ}ると、直進しようとする(慣性の法則)ビー玉はお椀の縁を登ろうとします。それを地球の引力が引っ張るから、外に飛び出さずにまわります。引力がなければ外に飛び出します。遠心力と、万有引力の関係です。お椀でなく、地球に垂直な円筒なら、勢いに関係なくビー玉は落ちます。水平に投げたビー玉と、そのまま落としたビー玉が同時に地面に落ちるのと同じです。

 すべて万有引力の力が働いているからです。万有引力がなければビー玉は地球に向かって落ちません。お椀の中のビー玉も、円筒形の中のビー玉も、水平に投げたビー玉も、落としたビー玉も、すべて落ちません。宇宙ステーションの中で試すとわかります。お椀の中のビー玉は外に飛び出すでしょう、円筒形の中のビー玉は同じところを回るでしょう。投げたビー玉は真っすぐ飛ぶでしょう。離したビー玉はその場に浮かんでいるでしょう。

ビー玉がお椀の底に落ちるのは、万有引力があるからです。お椀が凹んでいるからではありません。お椀の真ん中が底か頂点かは、万有引力があるから現れる現象です。同じように、太陽で凹んだ時空に地球が落ちるとしたら、それはへこみとは関係がありません、何らかの力が、太陽に向かって働いているからです。それが重力なら、へこんでいるから重力が現れるのではなく、重力があるから、へこみになるということです。へこみが重力を生むのではなく、重力がへこみを生むのです。

その力をニュートンは万有引力と考えました。アインシュタインは時空のゆがみと考えました。万有引力は、へこみとは関係ありません。へこみがなくても引力だけでりんごは落ちます。月は公転します。もし、時空がへこんでいるから、リンゴが落ち、月が公転すると考えるなら、それは、物は重いからへこみに落ちるというニュートン以前の考えに戻っただけです。なぜ重いと落ちるのかという理由を述べなくてはなりません。それがお椀の比喩で代用されています。これは科学の方法ではありません。科学は比喩で代用してはならないはずです。それも一番肝心なことを説明せずに、比喩でごまかしています。早い話いんちきです。

@ 地球の公転軌道の仕組みとお椀の比喩

お椀は壁があるからビー玉が外に飛び出しません。塵紙で作ったお椀ならビー玉は紙を破って外に飛び出します。ところが地球の外には壁はありません。どのような原理で、地球は曲がるのでしょう。

ニュートンでは万有引力で引き合っているからだということです。アインシュタインは{地球は太陽がつくりだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲を回ります。}ということです。ではアインシュタインの時空の曲がりは、どのような原理で地球の進路を曲げているのでしょうか。ここにはその説明はありません。一番肝心なことが書いてありません。一番肝心なことをお椀で代用しています。なぜでしょう。わからないからです。

 お椀の比喩はだめです。お椀の側面をビー玉が回るのは、慣性の法則で直進しようとするビー玉の進路にお椀の側面があって、それを曲げているからです。万有引力や重力とは関係はありません。慣性の法則と、作用反作用の原理です。慣性質量と、電磁気力が源です。

 時空の曲がりが曲がりだけとすると、エネルギーは生まれません。

慣性の法則からすると、地球が実際に動いているような楕円軌道を取るためには、何らかのエネルギーがつねに加わっていなくてはなりません。それでないと、直線運動に変わってしまいます。

お椀ならお椀の壁の反作用のエネルギーです。ニュートンなら、万有引力です。

時空のゆがみはどのようなエネルギーで地球の進路を曲げているのでしょうか。説明がありません。

A 地球は時空のくぼみに落ちる

お椀の説明から考えてみます。ビー玉がお椀の底に落ちることから類推して、地球も、太陽の作ったへこみの底に落ちるというのでしょうか。

どうも、そのへこみに、地球は重いから落ち込むということのようです。時空の曲がりはへこみのようです。へこんでいるから物が転がり落ちる。それが重力ということなのでしょうか。「物は重いからへこみに落ちる」というのはニュートン以前の考えに戻ったということです。

引力がなかったなら、へこみに上下はありません。お椀の中のビー玉も人工衛星の中では底に落ちません。無重力状態だからです。へこみだけではだめだということです。お椀の底にビー玉を落とすには、お椀の底に向かって引っ張る力が必ず必要です。

ということは、太陽が作った時空のへこみは、最初から別に引っ張る力を持っていなければなりません。

また、ビー玉が落ちるにはお椀は必要かというと、お椀がなくてもビー玉は地球に落下します。ビー玉の落下にお椀は必要ないということです。地球の公転に時空の曲がりは必要ないということです。実際、万有引力だけで地球の公転軌道は説明がついています。{地球は太陽がつくりだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲を回ります。}ということではありません。慣性の法則で直進しようとする地球を太陽と地球の万有引力で引き合うことで、進路が曲げられて楕円軌道を描いて公転しているのです。もちろん、太陽も地球によってかすかに楕円軌道を描いています。それは、太陽が地球のつくりだした時空のゆがみに沿って動いているためではありません。万有引力のためです。万有引力で十分公転軌道は説明が付きます。

時空のゆがみに沿って地球が公転する時、どのようにして、公転軌道を計算するのでしょう。まさか、ニュートンの万有引力で計算するのではないでしょうね。

B 

お椀の中をビー玉が落ちずにまわる仕組みと、地球が太陽を公転する仕組みはなんの関係もありません。グルグル周る形が似ているだけの話です。肝心の原理は完全に異なります。似て非なるものです。

B ビー玉を落とす

 ビー玉を落とします。ほぼ真っすぐ地上に落ちます。ニュートンはこの理由を万有引力だと考えました。アインシュタインは{地球は太陽がつくりだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲を回ります。}このことから、ビー玉の落下も{時空のゆがみに沿って}落ちていると考えられます。

 ニュートンは、リンゴの落下も、月の公転も同じ万有引力で説明しました。これに従うと、アインシュタインも、地球の公転も、ビー玉の落下も同じ原理(時空の曲がりに沿って動く)で説明できるはずです。

 時空は真っすぐ地球に向かって曲がっているのでしょうか。実証されたのでしょうか。

 落ちるビー玉は加速します。万有引力だと、常に引き合う力がかかっているので、加速するのは当然です。では、時空のゆがみはどのような力をかけているのでしょう。「重力」はだめです。{このゆがむ影響が,重力として、観測されるというのです}とありますから、ゆがみが何らかの力をビー玉に与えているのが、重力と観測されるのですから、ゆがみ自体に何らかの力がなくてはなりません。ゆがみの見え方が重力なのですから。

結論

ニュートンは{「なぜ重力が生じるのか」,という根本的な問題については何も説明していませんでした。}とあります。そのとおりだと思います。しかし、相対性理論も、根本的な問題について、何一つ説明できていません。お椀の比喩は、科学ではありません。子供だましです。

 

問題3

{この時空のゆがみに従って,光さえも曲がってすすむといいます}

{地球は太陽がつくりだした時空のゆがみに沿って太陽の周囲を回ります。}

考察

地球も、光も時空のゆがみに沿って動くようです。

地球の公転軌道は時空のゆがみに沿っているということです。ということはそれが時空のゆがみということです。すると、光はそのゆがみに沿って動くということになります。

 光は、地球の公転軌道上を回るということになります。地球の公転軌道は光輝いていることでしょう。ところがそんな観測はありません。

 また月の公転も時空のゆがみに沿っていることになります。人工衛星の軌道も時空のゆがみに沿っているということです。時空はかなりゆがんでいるようです。

 月の軌道も人工衛星の軌道も光輝いていそうです。

結論

時空の曲がりに沿って地球も光も動いているなら、地球も月も人工衛星も光も同じ軌道を通らなければなりません。そんなことはありません。

 

問題4

{時空のゆがみによって生じる「重力レンズ効果」のメカニズムを示しました。}

{重力レンズのメカニズム}として、銀河団の重力で光が曲がったと述べています。そうでしょうか。考えてみます。

考察

最近の観測では、銀河団がガスで満たされているのが観測されています。銀河団の内部だけでなく、外側にも大きくガスが広がっているのが観測されています。アインシュタインの時代には想像もできなかったことです。天才なら想像できたでしょうが。

ニュートンの研究では気体も光を曲げます。地球大気が光を曲げるのが日常的に観測されています(蜃気楼、逃げ水、星のまたたき、等)。

 だから銀河団の中や傍を通る光は銀河団のガス(気体)によって必ず曲がっているはずです。

 銀河団の近傍で曲がった光が、銀河団の重力で曲がったのか銀河団を満たしているガスで曲がったのかを相対論者は考えていません。20世紀最大の天才アインシュタインの予言通りだとして、最初から重力が原因だと決めつけています。ガスが原因だとは考慮もしていません。いえ考えてもおくびにも出しません。科学者なら、あらゆる可能性のある考えを検討して、科学的に検討しなくてはならないということに反しています。

 これは単なる権威主義にしかすぎません。

 エディントンの太陽近辺の星の光が曲がる現象も同じです。太陽大気による屈折という考えを最初から無視しています。エディントンの観測した星はコロナ(太陽大気)の中に写っています。そして、観測値は、大気のまたたき現象と考えられる変動をしています。太陽の重力が観測値に現れた変動を起こすほど大きく変化することはありません。

 このように、重力で光が曲がると言われている現象の現場には、必ずその場所にガスが存在します。謎の物質ダークマターがその重力で光を曲げているというところも同じです。

 なぜガスを無視するのか。ガスが光を曲げる現象は、地球上で日常的に観測されています。原理も分かっています。反対に、重力が光を曲げる現象は、地球上では観測されていません。エディントンの観測と、重力レンズ以外にはありません。

解明されている原理で説明できる現象は、他の新たな原理の証拠にはできないという科学の方法論があります。これだと、エディントンの観測も、重力レンズも、ガスによる屈折現象になってしまって、相対論の証拠にはならなくなってしまいます。すると、重力で空間が曲がるという理論の証拠が一つもなくなってしまいます。だからといって、ガスで光が曲がったということを科学的に否定することはできません。だから無視するしかないのではないでしょうか。 

結論

空間がゆがむということの実証は今のところないといえます。