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「アインシュタイン相対性理論」

(内山龍雄・解説)「岩波文庫」

 の考察8 

  著者 田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

相対性原理と光速度不変の原理の矛盾(P15)

 

@ 相対性原理

{座標系のどれから眺めても,電気力学の法則および光学の法則はまったく同じであるという推論である.}

A 光速度不変の原理

{光は真空中を,光源の運動状態に無関係な,一つの定まった速さcをもって伝播するという主張である.}

 

アインシュタインは、@に対して{これと一見矛盾しているように見える次の前提も導入しよう.}として、Aが導入いる。

 

考察

先に書いたように、@はまったくの推論である。Aは論理的にも実証においても、定説となるような、裏付けがある。

問題

矛盾は解消されているか。

考察1

運動している物体に対する光の速度を考えてみよう。

1 Aの法則だけで考える

{光は真空中を,光源の運動状態に無関係な,一つの定まった速さcをもって伝播する}

 物体は、真空中を光速の0,5倍で進んでいるとする。

 物体と同じ方向に進む光は、光速の0,5倍の相対速度で追突する。

 物体と反対方向に進む光は、光速の1,5倍の相対速度で正面衝突する。

 このことから、運動している物体に対する光の相対速度は物体の速度によって変化するといえる。

 これは、先に書いたように、宇宙背景放射観測衛星で実証されている。

2 1の法則だけで考える

{座標系のどれから眺めても,電気力学の法則および光学の法則はまったく同じであるという推論である.}

物体は、真空中を光速の0,5倍で進んでいるとする。

 物体と同じ方向に進む光は光速度で追突する

 物体と反対方向に進む光も光速度で正面衝突する。

 このように、@とAでは、光と物体の相対速度は異なる。これが矛盾点であるというのだろう。

3 矛盾点の解消

{座標系のどれから眺めても,電気力学の法則および光学の法則はまったく同じであるという推論である.}ということだ。この仮説は推論であるということだ。

 そこで、この仮説が定理になるかを考えてみる。

 光は、何ものにも光速であるということは実証されていない。今まで書いたように光と人工衛星は相対速度を持っているのが測られている。事実ではないということだ。

 では、物体ではなく座標系ではどうなのだろう。{座標系とは、どちらも,それぞれ1点から突き出した,互いに直交する3本の剛体製の棒からできていると考える.}とあるから、この剛体製の棒は架空のものであるが、普通の物質と同じと考えることができる。すると、1と同じ現象が起こると考えられる。宇宙背景放射観測衛星に対して正面からの光は青色偏移し、後ろから来る光は赤方偏移したように、この剛体製の棒に対しても光は相対速度を持つ、といえる。2の現象は起こらないといえる。

 したがって、剛体制の棒の座標系に対しても光は相対速度を持つことが分かる。

1の{座標系のどれから眺めても,電気力学の法則および光学の法則はまったく同じであるという推論である.}という推論は、事実と異なるといえる。

結論

 {光は真空中を,光源の運動状態に無関係な,一つの定まった速さcをもって伝播する}ということと、光は、真空中を動く物質に対して、その物質の速度に応じた相対速度を持つという二つのことがいえる。これは互いに矛盾しない。

{座標系のどれから眺めても,電気力学の法則および光学の法則はまったく同じであるという推論である.}という推論は間違いである。