がんばれ小保方晴子さん15


     


 {一般国民に大きな期待を抱かせた}(朝日新聞6/13

({ }内は上記新聞の引用)

著者 高田敞

 

問題

笹井氏が{「STAP細胞は有力な仮説である」}と述べたことに対して、改革委は{「一般国民に、特に再生医療への応用を期待した難病患者に大きな期待を抱かせた」と指摘。「笹井氏の行動は、理研CDBの成果主義の負の側面を端的に表している」と強く非難した。}

考察

これには大きく二つの問題がある。

1 {「STAP細胞は有力な仮説である」}に対して、改革委は何も述べていないこと。

2 {難病患者に大きな期待を抱かせた」}ということである。

 これにも二つの問題がある。

 

1 {「STAP細胞は有力な仮説である」}に対して、改革委は何も述べていないこと。

 改革委はSTAP細胞の有無について、直接には言及していない。ここにあるように、何となくSTAP細胞がないようなニュアンスで述べているだけだ。これは後で、STAP細胞が再現されたとき、「いやわれわれはSTAP細胞が存在しないとはいっていない」と言い逃れをすることができる。そしてそのつもりだ。そのくせ、彼らの言う、{一般国民}にはSTAP細胞は存在しないというイメージを抱かせることができる。改革委は小保方氏やその協力者たちが不正をしたと思わせようとして、このような言い方をしているとしたら、かなりひどいやり方だ。

 改革委は、小保方氏が不正をしたという見解を持っているのなら、はっきりSTAP細胞は存在しないといい切り、その証拠を提出しなくてはならない。単にイメージだけを作り上げて、小保方氏とともに研究してきた人たちを悪者にし、CDBから追い出す口実にする改革を任命者である理研に提言するのは、有識者としてどのように考えているのだろう。

 

2 {難病患者に大きな期待を抱かせた」}ということである、1。

 理研は小保方氏の不正を言いたてることで、STAP細胞の論文を取り下げさせた。

 理研の横やりがなければ、小保方氏と、その協力者が研究を進めていただろう。研究は進んでいることになる。しかし、理研が論文を取り下げさせたことで、研究は止まり、今後秋ごろに論文再提出をし、更にスタッフを変えることで、研究は少なくとも1年半は遅れるだろう。それ以上に小保方氏や若山氏や笹井氏がいなくなったことでさらに研究は遅れることが考えられる。

 期待を抱かせて裏切った(本当は、期待は裏切られていない。STAP細胞はネイチャーも理研も、ひょっとして、改革委の有識者もあると思っている)ということと、実質的に研究が大幅に遅れることと、どちらが、良くないことだろうか。改革委はどのように考えているのだろうか。

 また、STAP細胞が存在するときは期待は裏切られていないということになる。期待をしぼませたのは、理研の不正騒ぎであるし、この改革委の提言である。STAP細胞がある場合、理研が無理やり論文を取り下げさせたことや、改革委の提言が、難病患者に実質的な損害と失望をもたらしたことになる。責任を取らなければならないのはいちゃもんをつけた理研の人たちや、改革委の外部の有識者たちである。

 小保方氏と、理研と理研に任命された改革委のどちらが正しいのかどちらが不正をしているのかはひとえにSTAP細胞の有無にかかっているといえる。どちらが正しいか黒白をつけるべきである。 

3 {難病患者に大きな期待を抱かせた」}ということである2。

製薬会社ノバ社の元社員の不正事件がある。朝日新聞7月23日の記事に、{東京地検特捜部は22日、京都府立医大の論文を改ざんしたとして、同社と元社員を薬事法違反の罪で追起訴した。}

{5大学の研究にはノバ社から02〜12年に総額11億円の奨学寄付金が支払われた。}

 これは京都府立医大がノバ社のディオバンが他社の薬に比べ脳卒中の予防などに効くという論文を出したが、この論文にデーターの偽りがあったということで、起訴されている。

ノバ社はこの論文などを宣伝に利用して、1兆2000億円以上もこの薬を売り上げている。

 このことから、かなりの高血圧の患者がこの薬を処方されて飲んだということがわかる。

 医者が薬を出すのだから、薬がないと病気が悪化するか回復しないという人が大半だと思われる。すると、効かない薬を飲んだ人は、病気が悪化した可能性がある。また本来回復していく人も回復しなかった可能性がある。実害が出ているはずだ。

 小保方氏のは、期待を抱かせたという、気持ちだけの問題だ。実際の金銭的な負担もしていない。

 しかし、ノバ社の不正は実害があるそれも日本中に広範囲に広がるはずだ。

 製薬会社が大学などの研究機関に寄付をする、研究機関は製薬会社に有利になるような論文などを作る。この構図はどうなのだろう。

 改革委の有識者はこれをどのように考えるか聞きたいものだ。もちろん、CDB改革(本当は何が正しいのかを突き止めるのではなく、まず改革ありき。そして改革以外になし)のためにつくられた改革委なのだから、ノバ社の問題は関係ないということなのであると思う。起訴もされていることだし。しかし外部の有識者に考えを聞いてみたいものだ。正義とは何かを。