「重力とは何か」について目次
普通に進む時間
宇宙の始まりと重力

「重力とは何か」(大栗博司・幻冬舎新書)について24


 著者 田 敞


(以下、{ }内は、上記本よりの引用)

 

宇宙の膨張は本当に実証されているか


ハッブルの法則

問題1 ビッグバン論者の、ハッブルの発見した銀河の赤方偏移の解釈は正しいか

(解釈なので一つの考え方にすぎません。それが本当かどうかは未定です。ビッグバン論者は決定だといっていますが、そうでしょうか)

ハッブルが、銀河の光が距離に比例して赤方偏移していることを観測した。

 この解釈が以下です。

{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっていることを明らかにしたのです}

{あくまでも、銀河が距離に比例する速さで遠ざかっていると言っただけです。}

考察

1 解釈の手前みそ

 ハッブルは{銀河が距離に比例する速さで遠ざかっていると言っただけです。}とは言っていません。彼は、銀河の赤方偏移が距離に比例して、大きくなっていることを述べただけです。彼は赤方偏移の単位がm/sであることから、これが、銀河の後退速度であると勘違いしないように、とまで赤方偏移を述べた著書に書いています。

 ところが、多くの宇宙科学者は、銀河の赤方偏移の原因が銀河の後退速度によると考えたのです。ハッブルの注意を完全無視しています。大栗博司氏も同じです。今ではこの解釈が定説のように流布しています。ハッブルが間違っていたのでしょうか。しかし、初めの頃は赤方偏移の原因は、違う解釈も存在しました(後述)。それは完全に無視されています。そして、ビッグバン論者も、赤方偏移の解釈を、銀河の後退速度による赤方偏移から空間膨張による赤方偏移へと解釈を変えています。後退速度によるドプラー効果では距離に比例することが説明できなかったからです。ところが、今も銀河の赤方偏移の原因は後退速度であるとして、ドプラー効果で説明している本をよくみかけます。この本でも{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっている}と後退速度によって赤方偏移しているかのように述べています。空間膨張で光が赤方偏移しているとは述べていません。今。学者が信じている考え(空間膨張が原因説)と、実際に言っていること(銀河の後退速度による赤方偏移)は違っています。科学者も結構適当なのです。

 想像ですが、後退速度によるドプラー効果で赤方偏移することは、理論も、実証もありますが、空間膨張による赤方偏移となると、科学的理論もないし、実証もないからではないでしょうか。あるのは、空間が膨張すると、光も引き延ばされる。光が伸びると、波長が長くなり赤方偏移するという説明くらいです。しかし、空間が膨張すると光が伸びるという科学的理論と実証はありません。もちろん空間が膨張する仕組みの科学的理論も実証もありません。銀河の赤方偏移がその実証だというかもしれませんが、それは間違いです。銀河の赤方偏移の原因は空間膨張といって、空間膨張の証拠は銀河の赤方偏移だということはできません。原因と結果を取り変えて互いに証明し合うことはできません。それに加えて、他の理由で銀河の光が赤方偏移している可能性もあります。

2 空間は3次元で膨張し、光は1次元だけで膨張する理由はすべて謎

また、銀河の光が伸びる仕組みを述べている内容にも不備があります。膨張と、伸びるとは違います。膨張は3次元です。伸びるは1次元です。光の波の他の2次元(上下と横)はなぜ伸びないのかの説明もできていません。ビッグバンに都合のいい前後に伸びることだけ取り上げて、都合の悪い上下に伸びるや、横に伸びるや斜めに伸びるということは無視しています。なぜ無視しているかというと、光が縦や横に伸びると困るからです。距離に比例して光が強くなっていくことになるからです。遠い銀河ほど明るく輝いているなんてことになってしまいます。

空間膨張が3次元で起こっているといっているのに、進行方向以外は伸びないというのは、説明のしようがないから、無視しているのでしょう。

科学は一番都合の悪いことを真っ先に取り上げなくてはならないという方法論があります。ところが、都合が悪いから知らんふりしろ、と、真逆のことをやっています。困ったものです。

また、光が赤方偏移するということは、光のエネルギーが減少したということです。その減少したエネルギーはどこにいったのでしょう。不明です。エネルギー不変則に反しています。

 

問題2 空間膨張

{1次元のゴムひもが一様に伸びると、離れた点ほど速く遠ざかっていく}

 

考察

1 ゴムひもの比喩は空間膨張に使えるか、という問題です。

・ ゴムひもは物質です。空間はなにもありません。だから、ゴムひもは伸ばせても、空間は伸ばせません。

・ ゴムひもの構造は分かっています。空間の構造は分かっていません。

・ ゴムひもを伸ばすのは人の力です。空間を伸ばす力はダークエネルギーという謎のエネルギーです。

・ ゴムひもを伸ばす仕組みは科学的に理論も実証もされています。しかし、空間を膨張させる仕組みは分かっていないし、実証もされていません。

 このように、ゴムひもと空間はまるで違うものです。それを伸ばす仕組みもまるっきり違う仕組みです。ふたつはまるっきり違うのですから、ゴムひもを伸ばす仕組みで、空間膨張を説明することはできないといえます。科学なら、説明は、空間が膨張する仕組みを直接述べなければなりません。比喩は比喩にしかすぎません。そのものではないのでごまかしです。それなのに、ゴムひもで説明するのは、直接空間膨張を説明できないからです。空間はなにで出来ているのか、空間の構造はどのようになっているのか、空間にどのようなエネルギーがどのように作用すると空間が膨張するのかとかは何一つ分かっていません。だから、ゴムひもで説明するしかないのでしょう。ようするにごまかしです。ごまかしているかぎり、本当のことは分からないでしょう。ごまかしはごまかしを必要とします。ごまかしが膨れ上がって、にっちもさっちもいかなくなるでしょう。その結果ビッグバン宇宙は、96%もの謎でできていることになってしまいました。実際は、99,9%謎でできているようです。

2 ゴムひもは伸ばせるか

ゴムひもを一様に伸ばすことはできるのでしょうか。1メートルの長さのゴムひもの両端を持って引っ張ってみます。各点間は一様に伸びるでしょうか。いいえ、伸びるには時間差が出ます。1メートルでもそうなります。百メートルではどうでしょう。かなり時間差が出るでしょう。

では地球太陽間の長さのゴムひもではどうでしょう。一様に伸ばすのは不可能でしょう。いくら頑張っても均一にはならないでしょう。宇宙は広大です。地球太陽間の距離は、あってなきがごとくといえるほど短い距離です。それでさえできないことが宇宙全体でできるわけがありません。空間膨張は宇宙全体が外に向かって何の軋轢もなくきれいに膨張しているというのです。そのようなことが可能なのでしょうか。少なくともゴムひもでは不可能です。

架空のゴムひもの思考実験ではできても、実際のゴムひもではできません。なぜなら、思考実験は、思考する人の望みどおりになる実験ですから、結果は最初から思考実験をする人の考えた通りになるのは決まっています。実際の実験ではそうは問屋がおろしません。アインシュタインの思考実験で予想に反した結果が出たことはないでしょう。100%仮説通りになるのがアインシュタインの思考実験です。アインシュタインは天才ですから、実験どころか、思考実験もいりません。やるまえから結果は決まっているのですから。

思考実験は実験にはなりません。たんなる予想です。科学では予想をたてたら、実際に実験をしてその結果と予想を比べます。そして違いから真実を考えていきます。思考実験は、本当の実験をしていません。もちろん検証実験もしていません。予想が正しいと最初から決定しています。科学の方法論に反しています。

3 空間膨張の仕組みは分かっているか

 これは不明です。ビッグバン論者も、空間が膨張するとは空間の何がどのようになるかを科学的に理論化し、実証した人はいません。

 そこで現象として考えてみます。

 ゴムひもの両端を持って伸ばしたから、ゴムひもは均一には伸びなかった。空間は部分部分がそれぞれに膨張するから均一に膨張すると考えられます。

 そこで、ゴムひもの代わりに鉄道線路を考えてみます。鉄道線路は、太陽熱で膨張します。その仕組みは鉄分子が熱で振動し、互いに押し合って離れるので、全体が膨張します(ゴムひもと違って縦横高さの3次元で膨張するので光とはちょっと違った伸び方ですが、空間膨張も3次元で膨張すると述べているので似ているといえます)。分子レベルの膨張ですので均一に膨張しそうです。そうなるでしょう。しかし、昔の鉄道線路はグニャリと曲がったりしました。膨張で押し合うと、長い線路は、端の方が伸びて移動する距離が大きくなるので止めてある犬釘や摩擦でうまく伸びなかったりするので、途中で曲がってしまうのです。今は、ボルトでしっかり固定して伸びないようにしているので曲がらないようです。

 では太陽地球間にレールを浮かせたらどうなるでしょう。摩擦がないから均一に伸びそうです。しかし、それぞれの分子の膨張が押しあって端の方では急速に伸びなければならないので、やはり質量の抵抗があるので途中で曲がってしまうでしょう。これが宇宙空間の端から端までのレールならどうでしょう。端の方は瞬時に光速を超えて加速して伸びなければなりません。そうしないと途中で曲がってしまいます。ほかにも問題があります。部分部分の膨張が離れたところに届くのに時間がかかることです。1光年離れたところには、光速でも、膨張が伝わるのに1年かかってしまいます。1億光年では1億年かかってしまいます。今、120億光年ほど先に銀河が観測されています。地球のある場所の線路の膨張がその銀河に到達するのに、光速でも120億年かかるということです。

 では空間ならどうでしょう。宇宙空間に線路と同じように伸びた空間のレールです。やはり鉄と同じように、分子レベルの小さな空間がそれぞれに膨張するとします。すると、それぞれの小さな空間は互いに押し合って、全体が膨張します。空間は鉄と違って質量はないようですので、抵抗なく伸びていきそうです。端の方はやはり瞬時に光速に加速して伸びます。そうしないと途中で伸びがダブって曲がってしまいます。しかし、やはり地球の傍の空間が膨張しても、120億光年先の銀河を動かすまでには、120億年先のことになります。今その銀河が地球から離れていっているのは、地球の近くの空間が120億年前に膨張した力が伝わったからです。光速でもです。もちろんその銀河の空間膨張が、地球を押しているのは、120億年前のその銀河の空間の膨張です。膨張が光速で伝わるなら、今120億年前にその銀河を出た光と共に、その銀河の空間の膨張も届いて、地球を押していることでしょう。太陽のある場所の空間膨張は8分後に、地球に届いて、地球を押しているのでしょう。(注:空間膨張によって地球が押されている現象は観測されていません。むしろその現象はないというのが一般的です。せっかく120億光年先から、120億年かけて膨張を地球まで伝えてきたのに、地球を動かせないなんて、残念なんことでしょう)

空間膨張が伝わる仕組みはどうなのでしょう。鉄なら分子同士が押し合うということで膨張します。しかし、空間にはなにもありません。隣の空間を押すということができません。

 考えやすくするために、分子ではなくもう少し大きいものを考えてみます。AさんとBさんとCさんが並んでいます。するとAさんとBさんの間の空間が膨張します。BさんとCさんの間の空間も膨張します。それぞれの膨張する空間はまん中のBさんを前後から押します。その結果、AさんとCさんは後ろに下がります。(何もない空間がどのようにしてAさんやBさんを押すのかは不明です。しかし、空間の膨張が銀河を押しているというのがビッグバン論ですから、人も押すでしょう)

3人ならそれもありそうです。しかし地球上には70億人の人がいるといいます。銀河も1千億あるとかいいます。{空間の膨張とは「二点間の距離が広がる」ことですから、必ずしもその空間の「外側」は必要ありません。}とありますが、ご近所さんはどうすればいいのでしょう。前後左右上下に必ずご近所さんはいます。

 ご近所さんを考えてみます。Aさんの後にDさん、CさんのうしろにEさんがいるとします。AさんとDさん、CさんとEさんの間の空間も膨張しています。後ろから、AさんとCさんを押しています。押し合いへしあいです。それぞれの間が広がるためにはDさんとEさんはAさんやCさんの2倍下がらなければなりません。たぶんこれが、遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっているということの理由でしょう。

 ではそれぞれのうしろに100人ずつの人が並んでいるときはどうでしょう。最後の人は100倍の距離離れなくてはなりません。どの人の空間も一斉に膨張しているのですから、端の人は一瞬でAさんBさんの間が広がる距離の100倍の距離を移動しなければなりません。かなり大変です。AさんBさんの広がる距離が1mとすると、最後の人は100m下がらなければなりません。

 70億の人が並んでいたらどうなるでしょう。端の人はAさんBさんの離れる距離の35億倍を一瞬で離れなくてはなりません。一人ひとりが1mだと35億mです。350万キロです。一人ひとりが0.1mmでは、35000kmです。地球1周になります。

ビッグバン宇宙論では、{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかって}おり、遠い銀河は光速を超える速度で離れていっているといっているのはこのことでしょう。私のいる空間がほんの少し膨張します。それが遠く離れた銀河団を高速であちらに押すことになっているというのです。地球の空間が膨張する力、火星の空間が膨張する力、太陽系の空間が膨張する力、銀河系が膨張する力、アンドロメダ銀河が膨張する力、その他の多くの銀河の空間が膨張する力、そしてその間の無数の空間が膨張する力が、押し合いへしあいして遠く離れた銀河を光速を超える速度にしているというのです。お前はあっちに行け、おまえこそあっちに行けと、よく喧嘩しないこと。

私のいる空間の膨張を空間の何がそんなに遠くまで伝えているのでしょう。なにもない空間がどのようにして伝えているのでしょう。押し合いへしあいなのですから、鉄道線路のように圧縮されたり、曲がったり、くいこんだりしないのでしょうか。空間はなにもないようですから、抵抗なく互いに相手の空間に潜り込んでもよさそうな気がしますが。潜り込んでも何もないのですから、結局何の不都合なことも起こらない気がしますが。0が0に重なっても、0が0の内部に入っても、結局0は0なのですから。ところが0が0を押して遠くの銀河を高速で押しているというのです。

私の占めている空間が昼夜休みなく膨張して、100億光年離れた銀河を押しているというのですからとてもロマンチックな考えです。でもその反対に、その銀河の占めている空間の膨張が100億光年の距離を超えて、私たちの銀河や、太陽や、地球や、私を押しているはずです。わたしたちが宇宙の中心ではないのですから、そちらの銀河から見れば私たちは非常に高速度で押されているはずです。でも、その圧力や速度は観測されていません。なぜでしょう。いや、周りの空間に対する速度だから、ということかもしれません。でもそれでは空間の速度が絶対速度になってしまいます。ニュートンです。アインシュタインの言い分は、空間は絶対静止ではないから、空間からは測れないということになっています。

 

問題

作用反作用の問題。

ニュートン理論は相対論の近似値だと相対論者は云っています。すると、作用反作用の理論も近似値が出るはずです。

考察

ビッグバン宇宙論者は、すべての銀河は距離に比例して地球から遠ざかっているといっています。それは、空間が、巨大な銀河団をひとつ残らず地球から全方向に遠ざかるように押しているということです。その巨大な力の反作用は全方向から地球に向かっているでしょう。空間が地球と反対方向に膨張しているのですから、地球に向けても空間は膨張して地球を押しているはずです。どちらかに動ければいいのでしょうが、先ほどのBさんと同じように全方向から押されているので動くに動けません。銀河を遠ざけるのと同じ膨張力が全方向から地球に向かっているはずです。地球は押しつぶされてしまうでしょう。少なくとも1千億の銀河を押す力なのですからものすごい力の反作用です。地球はブラックホールより小さく押し縮められるでしょう。

 1億個の風船を集めて置いておきます。それを一斉に膨らませます。一番外側の風船はやすやすと膨らむでしょう。まん中の風船はどうでしょう。ちゃんと膨らむでしょうか。周りからの圧力で、ちゃんと膨らむことはできません。押しつぶされるでしょう。

ところが、地球は空間の膨張の影響を一つも受けていません。そこに住むわたしも、空間の圧力は一つも受けていません。すべての銀河を押しやって、宇宙の果てでは、巨大な銀河を光速でぶっ飛ばしているという空間膨張の反作用が地球になに一つ圧力をかけていないのです。私に何一つ影響していないのです。不思議なことです。

いや宇宙に中心はないから、地球も動いていると云うのでしょうけれど、実際の観測では、地球から全方向に銀河が遠ざかっているというのが観測されているというのですから、地球はすべての銀河から空間膨張を通して反作用を受けているはずです。

結論

地球は光速で飛んでいることもないし、空間膨張の影響も受けていないようです。空間膨張というのは地球には一切手を出していないということが分かります。

宇宙空間の膨張は、観測が一番正確にできる地球や太陽系には一切現れていないけれど、遠くて、よく観測できない銀河ほどしっかり現れる現象のようです。

 明るい昼間には出てこないけれど、暗い夜道には現れる幽霊とよく似た現象です。

 

問題

空間膨張の仕組みと位置エネルギー

考察

何もない空間が押し合う仕組みは不明です。風船を膨らまして、その表面が伸びていくのと同じだという説明をしているのもあります。ぶどうパンが膨らむ様子を使って説明している人もいます。しかし、どれも比喩にしかすぎません。科学の説明ではありません。どちらも、物質の膨らみ方です。なにもない空間の膨らみとは原理は完全に異なるはずです。しかも、パンも、風船も人間より小さなものです。人間なんか点にもならない巨大な宇宙の膨張に使えるわけはありません。

ビッグバン論では空間が膨張しているということです。そこで空間が膨張していると、どのようなことが起こるかを考えてみます。

ある人はぶどうパンを焼くときに膨らんでいくのを比喩として宇宙膨張を説明しています。ぶどうパンは中でガスが発生してそれが泡を作りパン全体が膨らんでいきます。パンは小さいから、その小さな泡が膨らんで押し合う力で全体が膨らむことができます。しかし、これが地球ほどの大きさのパンになると全体がうまく膨らむとは限りません。太陽系ほどの大きさになったら、全体が均等に膨らむのは不可能でしょう。物質の持つ引力で潰れてしまうことでしょう。宇宙全体の大きさのパンとなるとこれはとても無理です。このように、パンの比喩は、パンの大きさだからできることですから、宇宙には適用できません。

また、パンは物質です。泡も、中に物質である気体が入っています。物質だからパンは膨らみ、物質だから大きくなるとつぶれるのです。物質だから理論も分かっているのです。

では宇宙空間はどうでしょう。物質ではないので引力もありません。引力で潰れることはないので、うまく膨らむかもしれません。

 パンの一つの泡のように、地球のある空間が膨張していることを考えます。月のある空間も泡の一つとして膨張しています。膨張してきた空間は間で衝突します。空間はどちらに移動するでしょう。銀河系のある空間は膨張しています。アンドロメダ銀河の空間も膨張しています。巨大な空間どうしの膨張が間でぶつかります。どのようにして互いの空間は膨張で移動するのでしょう。

 数千万光年の大きさの銀河団と銀河団の空間が膨張してぶつかります。ものすごい空間同士の衝突になることでしょう。どちらが下がるのでしょう。質量に比例して、互いに下がるのでしょうか。でも空間には質量はありません。ほかの仕組みで下がる割合を決めるのでしょうか。それとも、地球から見るとすべての銀河が遠ざかる方向に動いているということから、地球から遠ざかる方向に、すべての空間が移動するのでしょうか。実際の観測では赤方偏移からすべての銀河が地球から遠ざかっていることになっています。これでは地球が中心になっていることになってしまいます。空間膨張はどこから見ても観測者からすべてのものが遠ざかるように見えるということです。地球も実際に動かなくてはなりませんが、地球が空間膨張で動いているという観測はありません。たとえば、光速の10分の1で遠ざかっている遠くの銀河と地球の間には、それだけの速度で膨張している空間があります。すると、その空間は地球を押しているはずです。互いに速度の半分ずつを受け持つとしてその速度は光速の20分の1になります。地球のそのような速度は観測されていません。どうしてでしょう。

また、巨大な銀河が数百数千集まった銀河団が空間膨張によって動くというのです。空間はどのようにして巨大な質量のある銀河団を動かしているのでしょう。一切不明です。

また、それにはすさまじいエネルギーが必要なはずです。それは、ダークエネルギーが受け持っているということのようです。アインシュタインが付け加えたという宇宙項だというのです。ないと困るからというだけの理由で付け加えたらしいです。根拠はそれだけです。だから出したり引っ込めたりと、右往左往しています。

1トンの石を地球から1メートル持ち上げるのも人の力ではとてもできません。クレーンがいります。人工衛星を地球から数百キロ打ち上げるのにも、大きな力がいります。打ち上げロケットのほとんどは燃料です。月を地球から遠ざけるのは人間の手ではできません。

ビッグバン宇宙論では、宇宙のすべての物質は元々1点にあったということです。そこからビッグバンで空間膨張と共に、広がって行ったということです。したがって月と地球の前駆物質も、同じ1点から離れていったことが分かります。今、月と地球は巨大な位置エネルギーを持っています。もし月と地球が衝突すれば地球はドロドロの火の玉(ビッグバンみたいですね)にできるほどの巨大な位置エネルギーです。このエネルギーは宇宙空間の膨張で生まれたということになります。このエネルギーはどこから生まれたのでしょう。もちろんダークエネルギーですよね。ダークと付ければなんでもありなのですからビッグバン論は便利なものです。

銀河系の星もビッグバンの始まりには1点にあったということです。月の何千億倍の何千億倍の質量を持つ星の位置エネルギーを生み出したのですからとてつもないエネルギーが働いたということです。そのエネルギーはどこから湧いたのでしょう。

それが宇宙に散らばるすべての恒星の持つ位置エネルギーとなると、それこそ天文学的数字になるでしょう。その位置エネルギーを作ったのがダークエネルギーということです。当然謎のエネルギーになりますよね。こんな巨大なエネルギーがなにもない空間からコンコンと湧いてくるのですから説明不可能になるのは当然です。

便利なものです。ないと困るからといって、宇宙項を式に入れ、ないと困るからといって、謎のエネルギーを言いだす。なぜ、それらがなくても大丈夫な宇宙を考えないのでしょう。いつまでも宇宙膨張にこだわっていると、謎は謎を生み、宇宙の99.99%は謎でできているということになりかねません。今でも、すでに宇宙は95%は謎のエネルギーと、謎の物質でできているということになっているのですから。実際、インフレーションは仕組みもエネルギーも生まれ方も謎しかありません。100%謎の現象です。ビッグバンしかりです。ビッグバン宇宙論は、今でも、99.99%は謎でできているといえます。

また、膨張の仕組みはどうなっているのでしょう。今分かっている物理学ではできません。なぜなら空間はなにでできているか分かっていないからです。今のところ、空間の実態は何もない以外に観測されていません。何もないものを膨張させることは非常に困難です。そこで謎の力を借りてきます。ダークエネルギーです。謎のエネルギーですから何でもできます。そのために考え出したのですから、科学者の考え通りに、なにもないものを膨張させることができるのでしょう。なにもないものを膨張させるために、なにもないものの、どこにどのようなエネルギーを作用させるのでしょうね。魔法使いだってできないでしょうね。だから、ダークエネルギーはどういうものかは分かっていません。なんせ空間を膨張させるために杖を一振りして呼び出したのですから科学的根拠はありません。現実離れしたエネルギーなのですから。だから、ダークエネルギーが空間のどこにどのように作用すると空間の何がどのように変化して空間が膨張するのかはもちろん不明です。そんなことはどうでもいいのです。空間は膨張しているのだから、そのエネルギーは存在するというのが固定観念ですから。空間膨張も、仕組みが謎、それを起こしているエネルギーも謎。そこまで謎しかないのに、さかのぼって、空間膨張は間違っているとは考えないのでしょうかね。考えないんでしょうね。そして謎は謎を生んでいます。それがビッグバン宇宙論が謎に満ちている原因です。宇宙は謎と神秘に満ちている。なんとロマンチックなことでしょう。宇宙はそうでなくっちゃ。

 

まとめ

空間膨張の仕組みは、ダークエネルギーを始めすべて謎です。ダーク以外はありません。あるのはインフレーションビッグバンというキャッチフレーズだけです。だから、人が観測でき、現在分かっている物理理論で説明できる宇宙は5パーセント(4%という意見もあります)で、見えない物質(ダークマター)と、出所も原理も分からないエネルギー(ダークエネルギー)とで95%(96%という意見もあります)も占めている宇宙ができ上ったのです。謎が95%も占めている宇宙です。謎が謎を次々と呼び、謎だらけになっているのがビッグバン宇宙です。

(注:5%と4%はたいした違いではないように思えます。1%なんてたいしたことはないですから。しかし、その1%で、全宇宙の星や銀河の20%が消えてしまいます。ビッグバン論者はとても太っ腹な人たちのようです)

謎なのだから、これから究明すればいいということなのでしょうか。

ダークマターもいくら観測しても見つからないから、ダークマターは、見えない、触れない、重力だけある未知の粒子だと悦に入っていますが、観測しても観測できないのは、それがないことの証明でもあります。

これは物理学ではありません。今のところ信じきっているだけですから、信仰です。学問的にいえば、神学になります。

 

もちろん、太陽系の空間がどのようにして膨張しているのかは不明です。太陽系の空間の膨張も直接観測できていませんし、太陽系ができてから46億年間(宇宙の年齢の3分の1)太陽系が膨張したという形跡もありません。宇宙はしっかり膨張していたというのにです。一番観測が正確にできる、私たちの周りの空間の膨張も観測できていません。非常にゆっくりの膨張だから観測できないということかもしれません。そのほかの理由もあるのでしょう。しかし、観測できていないということは事実です。観測がないということは、空間膨張が実証されていないということになります。実証がない理論は定説ではなく仮説です。

 

「いや証拠がある」ということでしょう。そこで言われている証拠について考えてみます。

 

問題3

宇宙膨張の証拠といわれている現象は証拠たり得るか

1 銀河の赤方偏移

{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっている}

2 宇宙背景放射

{{ビッグバンのときの光が空間の膨張と共に宇宙全体に引き伸ばされ、それが現在の地球にも降り注いでいる。}

この二つが、宇宙膨張の2大証拠であるということです。そうでしょうか。考えてみます。

考察

1 銀河の赤方偏移

(1)赤方偏移の原因

ア{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっている}

現在では、インフレーションビッグバンの考えでは{遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっている}すなわち後退していることで銀河の光が赤方偏移しているという考えは否定されています。赤方偏移の原因は、空間が膨張するから光も引き延ばされる(何故か膨張ではありません。同じように物質も膨張はしないで移動するだけです)という考えです。宇宙論者が最初に考えていた、銀河の後退速度による赤方偏移は否定しています。

銀河が後退しているといっているのですから、後退速度による赤方偏移もありそうなものですが、それは否定しています。それでは、どの銀河も、地球から後退していることや、遠い銀河ほど速い速度で地球から遠ざかっているという、速度が距離に比例していることの説明ができないからのようです。

では、赤方偏移の原因は空間膨張であるという、ビッグバン論者の考えは証明されているのでしょうか。

いいえ、証明されていません。

・ 空間膨張の直接の現象は観測されていません。

・ 空間が膨張する仕組みも理論化されていません。

・ 空間が銀河を動かす仕組みも解明されていません。

・ 空間を膨張させるエネルギーも謎のままです。

このように、空間膨張は、科学的理論も実証もありません。赤方偏移が観測されたから宇宙空間は膨張しているといっているだけです。証拠といっているのは赤方偏移だけです。しかし、光が赤方偏移を起こす原因は他にも有ります。ここに書いたビッグバン論者が否定した後退速度によるドプラー効果も一つですが、そのほかにもあります。それも、日常的に目にするありふれた現象です。

 

イ 光は物質に衝突すると赤方偏移する

@ 日常的な例

光は物質に衝突すると赤方偏移します。電気を消すと部屋は瞬時に真っ暗になります。これは、電灯の光が壁に衝突してエネルギーを失い、赤方偏移して、赤外線になり、マイクロ波になり、人間には見えなくなったり、壁を通りぬけていったりするからです。光は光速なので、一瞬で壁に跳ね返りながら何万回も衝突するので、一瞬でエネルギーを失います。この光のエネルギーは壁の熱を少し上げます。

 電灯をつけっぱなしにしても光が溜まって部屋の中がだんだん明るくなっていったりしないのも、このためです。

A コンプトン散乱

これの科学的な実験は、1923年コンプトンがおこなった、コンプトン散乱でも見られます。

 この実験は電子にX線を衝突させると電子がはじき飛ばされるという実験です。これは光が粒子性を持つということを確かめる実験ですが、このとき、電子に衝突したX線は、エネルギーを電子に受け渡し、エネルギーを失ったX線は周波数が低くなっているのが確認されています。赤方偏移したのです。これは、電磁波は物質に衝突すると、エネルギーを奪われて赤方偏移するということを示唆しています。

 では銀河の光はどうでしょう。部屋のように壁はないけれど、宇宙には、塵が存在します。星間塵や、銀河間塵です。また、水素原子や分子を主としたガスもあります。宇宙には、希薄ですがこれらが散らばっています。これらに銀河の光が衝突すると、光は少しずつエネルギーを失っていきます。これが、銀河の赤方偏移の原因とも考えられます。それらに光が衝突する回数はおおよそ距離に比例します。銀河の光が距離に比例して赤方偏移することに矛盾しません。

ビッグバン論者はこの考えを無視しています。なぜ無視しているかというと、これを否定することができないからです。なぜ否定することができないかというと、この現象は仕組みも分かっているし、地球上で観察もできている(実証)からです。宇宙空間に水素ガスや塵があるのも観測されています。銀河の光が物質と衝突して、暗線を作っているのも観測されています。

理論と実証があるものを否定することはできません。だから無視するしかないのです。

もし、銀河の光が空間膨張で赤方偏移するとすると、距離と赤方偏移の値は完全に一致するはずです。宇宙空間の膨張は均一のはずですから。これが、宇宙に散らばる、水素などの原子や分子に衝突することで赤方偏移するなら、この値は距離には完全に一致しません。水素などの分子や原子の散らばり方は、偏りがあるからです。星間雲などの密度が高いところもあれば、ほとんどないところもあるからです。

ハッブルの観測では、銀河の赤方偏移は、距離に完全には一致していません。ばらつきがあります。これは、赤方偏移の原因が、宇宙空間に浮かぶ水素を中心とした、原子や分子に光が衝突したことで起こっているということの証拠にもなります。

まとめ

 このように、銀河の光が赤方偏移している原因を、空間膨張とすると、理論も実証もなに一つないことになります。また、ハッブルの観測結果と理論とが合いません。一方、宇宙に漂っている水素分子や、塵に衝突して赤方偏移する、とすると、理論も実証もあり、ハッブルの観測とも一致します。

 当然、理論も実証もある、宇宙に漂う水素分子や塵に衝突して赤方偏移する、という考えの方が正しいことになります。

 

考察2 宇宙背景放射

{{ビッグバンのときの光が空間の膨張と共に宇宙全体に引き伸ばされ、それが現在の地球にも降り注いでいる。}

 そうでしょうか。この現象も、他のことで起こっている可能性があります。

(1)他の原因

 宇宙には塵があります。塵は温度があります。物質はその温度に応じた光を出します。黒体放射といいます。以上は証明されています。

 ということは宇宙には塵の出す光が飛びかっているということです。塵は宇宙全体に散らばっています。するとその光は地球のどの方角からも降り注いでいることになります。

 宇宙には光が飛び交っています。その光は塵を温めます、塵は光を出してエネルギーを失います。そしてまた光を受けてエネルギーを得ます。宇宙の物質どうしは光でエネルギーを交換し、平均の温度になります。

 ビッグバン論がでる以前には、この塵の出す光の温度が予想されていました。2.7kです。ガモフが予想したビッグバンの名残の光は70kほどでした。どちらが当たっていたでしょう。

(2) 宇宙背景放射はビッグバン名残の光だろうか

 ビッグバン論が正しいとすると、ビッグバンのとき、地球もその火の玉の中で生まれたことになります。もちろん今の形ではありませんが。宇宙は火の玉とともに生まれたということですから、その時、その後地球の形になる物質のすべてが生まれていたはずです。まだ水素であったろうけど、ビッグバン論が正しければその時生まれていたのは確かです。

 問題はここからです。

光は光速で直進します。したがってビッグバンの光は宇宙の晴れ上がりのときから光速で直進していったことでしょう。ビッグバン論者もそう言っています。すると、現在はビッグバンの始まった場所(1点から始まったということです)から137億光年離れたところを、宇宙の外側に向かって光速で飛び続けていることでしょう。ビッグバンは数10万年で終わったということですから、ビッグバンの最初に出た光と、ビッグバンの最後にでた光は数10万光年の距離前後しています。膨張している宇宙の一番外の殻を数10万光年の厚さで覆っていることでしょう。

(ビッグバン論では空間は距離に比例して速く膨張するということから、宇宙はある距離から遠くは光速を超える速度で膨張していることになるそうですから、宇宙の膨張の一番外側は、光も置いて、なにもない空間だけが吹っ飛んでいるかもしれません。光も空間膨張によって膨張するということですから、光は光速で離れる空間と共に飛びながら、その空間に対して光速で飛んでいるのでしょうか。空間は銀河団も引き連れて膨張するということですから、地球に対して、光速以上で飛び去っている空間の中でも、光は空間に対して光速で飛んでいるのでしょう。その時は光は空間の外に飛びだしてしまいそうですが。まあ、ビッグバン宇宙の果ての向こうはどうなっているのかとか、周りはどうなっているのかとか、矛盾があるのは無限がかかわっているから仕方がないのでしょう)

 では地球の前駆物質はどうなったでしょう。地球は物質ですからビッグバンのエネルギーがいかに強くても光速にはなれません。実際今の地球は秒速3百キロメートルほどだということです。

 すると、地球の前駆物質はビッグバンの光に置いていかれてしまったはずです。現在の地球にビッグバンの光が降り注ぐことはありません。

 地球から光速で離れていったビッグバンの光が、今なぜ地球に降り注いでいるのでしょう。しかも全方向から降り注いでいるのでしょう。なぜ終わらないのでしょう。

(注;地球の速度。相対論では、観測者に対する速度ということになるのでしょうが、実際は観測者ではなく宇宙背景放射に対する速度で測っています。すなわち絶対速度です。相対論では光は何ものにも絶対速度だから、本来光に対する相対速度は存在しないのだけれど、宇宙背景放射に対する地球の相対速度は測れたようです。そして宇宙背景放射は宇宙空間に対して光速度です。したがって地球の速度は宇宙空間に対しての絶対速度になります。観測者によって速度が変わることはありません。地球上の人から見れば地球は停止していると見えます。これだと星や太陽が動いて、天動説になってしまいます。また、地球の速度が相対的では太陽に落ちてしまいます)

結論

 銀河の赤方偏移も、宇宙背景放射も宇宙に散らばっている水素分子を中心とした様々な分子や塵による現象といえます。これなら今までで分かっている物理学で簡単に証明できます。しかし、この二つが宇宙の膨張を証明するものであるとすると、謎のエネルギーや、謎の仕組みが出てこなければなりません。そのほとんどが今分かっている物理学では証明できないことばかりです。もちろん直接観測はされていないことです。このことから、銀河の赤方偏移も、宇宙背景放射もビッグバン宇宙論の証拠ではないと言えます。ビッグバン論の証拠がないということは、ビッグバン論に根拠がないということ、すなわちビッグバン論が間違いであるということになります。