「重力とは何か」について目次
ブラックホールと光の脱出速度
普通に進む時間

「重力とは何か」(大栗博司・幻冬舎新書)について23


 著者 田 敞


(以下、{ }内は、上記本よりの引用)

 

問題

{一般相対論によると、重力が強いほど、外から見た私の時間はゆっくり進む。私自身は時間が普通に進むので、}

考察

1 外から見た時間と私自身の時間の矛盾

 外から見た時間の進み方と、実際の私の時間の進み方は異なるということのようです。遅れるのは外から見た、見てくれの時間で、実際の時間は{普通に進む}ということだから遅れないということのようです。

 ところがP125では{一般相対論によれば重力が強いほど時間はゆっくり進みます。}とあります。この表現は見てくれではありません。重力が強いところでは実際に時間がゆっくり進んでいるといっています。{普通に進ん}ではいません。述べている現象が違っています。

 また、同じページに、特殊相対性理論によると{人工衛星に搭載された時計は1日に七マイクロ秒、地上の時計よりも遅れるのです。}とあります。これも実際の人工衛星の時計がゆっくり進んでいるということです。なぜ時計がゆっくり進むのかというと、特殊相対論では速度によって時間がゆっくり進むからです。

 一般相対論と、合わせて{一日三九マイクロ秒だけ人工衛星の時計は進んでしまうのです。}ともあります。やはり重力差によっても実際の時間が速く進むといっています。{外から見た私の時間はゆっくり進む。私自身は時間が普通に進むので、}ということなら、地上から見たら時間は1日39マイクロ秒だけ進むように見えるのでしょうが、人工衛星の時間は普通に進むのだから、地上と同じになって、時計の遅速はないはずです。

{時間が普通に進むの}だったら人工衛星の時間は普通に進むので、{一日三九マイクロ秒だけ}地上の時間より進むことはないはずです。矛盾があります。

 また、P71には{線路脇で二秒が経つあいだに列車の中では一秒しか経過していないので、列車の中の人にとっては標識の間の距離は「列車の速さ×一秒」のはずです。}とあります。やはり、列車の中の時間は遅れています。普通に進んでいません。

 

2 相対論による重力で時間が遅れる仕組み

 一般相対論では、空間は星があるとそれによって曲がる。光はその曲がりに沿って飛ぶ。光は重力で曲がる。曲がると、光の外側と内側では距離が異なる。すると、内側の光の速度が遅くなる。ところが光は絶対速度だから、内側の光の速度が遅くなることはない。そこで内側の光が光速度であるためには内側の時間がゆっくり進む必要がある。光が曲がった原因は重力であったのだから、重力によって時間はゆっくり進む、という理論です。これは、外から光を見た状態ではなく、実際に光の内側の距離が短くなるために実際の時間が遅くなるという理論です。

 (注;同じように、水や空気による光の屈折現象がありますが、この場合光が曲がっても時間の遅速はないようです。この場合は、曲がった光の内側の光の速度が遅くなるからということです)

 

 このことから、相対論では、時間は外から見た時間だけではなく、人工衛星やロケットの中の人の時間が実際にゆっくり進んだり速く進んだりしていることが分かります。しかし、{私自身は時間が普通に進むので、}というのも相対論です。矛盾しています。(注;適用する現象によって理屈を使い分けるというのも相対論の特徴の一つです)

 

3 列車の中の時間

 {私自身は時間が普通に進むので、}から考えると、{線路脇で二秒が経つあいだに}列車の中では、普通に時間が進んでいるので、列車の中でも、時間は二秒経っているはずです。外から見るとそれが一秒に見えたとしても中の時計は普通に二秒経っているはずです。すると、{列車の中の人にとっては標識の間の距離は「列車の速さ×一秒」}ではなく、やはり「列車の速さ×二秒」になるはずです。

「列車の速さ×一秒」は、列車の時間の進み方が普通ではなく、遅くなっているときの現象です。{私自身は時間が普通に進むので、}はどこに消えたのでしょう。

 

4 普通に進む時間

ブラックホールの中でも、時間は普通に進むようです。ブラックホールの中でも外から入ってきた物質は中心に向かって落ちていくといわれています。時間が止まったら物質は動けません。秒速30万キロメートルの光でも、0秒間には0mしか動けません。ブラックホールの近くでは{私自身は時間が普通に進むので、}と言っているので、ブラックホールの中でも時間は普通に進むのでしょう。ブラックホールの中では時間が止まるというンはどこに行ったのでしょう。

ところで、普通に進むとはどの速度なのでしょう。地球の表面の速度なのでしょうか。それとも、太陽の表面の速度なのでしょうか。あるいは、重力の小さい、宇宙空間の速度なのでしょうか。相対論では、時間は重力や速度によって進む速度は変化すると述べています。普通の時間というのはないはずです。もし、普通に進むというのが、宇宙のすべてに共通した時間の進み方なのだとしたら、宇宙にはたった一つの普通の時間の速度が存在することになります。ニュートンの絶対時間と同じになってしまいます。特殊相対論や一般相対論で、外から見たら時間が遅く見えても、宇宙全体は普通の時間、すなわち絶対時間で進んでいるということなのでしょうか。ニュートンの考えた絶対時間が基本にあって、それに対して、見え方だけが異なるというのが、相対論になってしまいます。(注:相対論はニュートン力学が基本のようです。普通の状態ではニュートン力学で十分だと述べています。いわゆる近似値であると)そもそも相対時間であるというのが相対論の真髄であるはずなのに、絶対時間(普通の時間)を持ち出すのはおかしなことです。

宇宙の時間が重力や速度によって速くなったり遅くなったりすると、困ったことが起こります。話している相手が未来の時刻にいる人だったり、過去の時刻にいる人になってしまいます。太陽は重力が強いので、過去の時刻にあることになります。

宇宙のすべての物質は、異なる時刻に存在していることになります。ところが、地球上の人はみんな同一時刻にいます。地球上の時計はさまざまな時刻をさしていますが(我が家の時計のように時計が狂っている人や、国によって基準の時刻が異なるので時計の指す時刻が異なっている人など)時刻は地球上ですべて同一です。昨日の時刻の人や、明日の時刻の人や、21年前の時刻の人や、2時間32分未来の時刻の人が今同時刻に地球上に一緒にいることはありません。聖徳太子と徳川家康とまだ生まれてもいない私のひ孫が私と一緒にお茶を飲みながら話しているということになります。そんなことがあるわけはないと思うでしょうが、それが相対論の日常です。時間に大きな違いはないから大丈夫ということでしょうか。実際、上に紹介した人工衛星の時間は、1日39マイクロ秒地上より進むということです。1年で14235マイクロ秒です。10年飛行したとしても、0.14235秒にしかなりません。気にする必要はないかもしれません。でも100メートル走では0,1秒はとても大きな違いです。もっと大きな違いが出る場合もあります。相対論者は相対性理論によると太陽の時間は1年で1分地球より遅れると述べています。太陽系ができてから46億年経過しています。すると、現在、太陽の時間は、地球より46億分遅れていることになります。太陽は、約8752年前の時刻に存在することになります。紀元前6732年です。紀元前6732年に太陽を出た光が、8光分の距離を8分かけて現在の地球に届いているということです。これが相対論の日常です。常識ではありえない現象です。相対性理論の時刻は現実とは合わないのです。もちろん上に書いた人工衛星の時刻だって、短いからいいということではありません。異なる時刻のものが、同一時刻に出現することはありません。たとえ0.14235秒の違いであってもです。

 

5 相対的な時間

 相対的で考えてみます。

 重力で時間が遅く見えるロケットの中の人に流れる時間はすべて同じ速度でゆっくり流れています。すると相対的には時間は遅くは感じません。地球は秒速数百キロで飛んでいるのにその速度を感じないのと同じようなものです。だから、ロケットの内部の時計の進み方が普通に見えるというのかもしれません。

 これはロケットの中だけに通用する普通の時間です。地球の人に対してはロケットの時間は非常に遅くなっています。地球時間の2秒に対して、ロケットの時間は1秒しか経っていなければロケットの進む距離は半分になります。だからロケットはゆっくり進むことになります。これは宇宙に対しても同じです。太陽や、銀河系の星の動きに対して非常にゆっくり動いていることになります。ロケットがゆっくり飛ぶと特殊相対性理論から時間が早く進むことになります。時間が早くなると、ロケットの地球に対する速度が上がります。地球に対してロケットが速く飛ぶとロケットの時間が遅くなります。するとまたロケットは地球に対して速度が遅くなります。ロケットの速度は目まぐるしく変わることになります。困ったことです。これも相対論の日常です。

6 ブラックホール

ブラックホールは重力のために時間が止まるということです。すると、時間が止まったブラックホールは動くことができないはずです。「進んだ距離=速度×時間」なのですから、時間が0秒しか進まないなら、進んだ距離も0になります。

これでは実際のブラックホールの現象と合わなくなります。銀河系の中心にあるブラックホールは、銀河系ができてから100億年の間、銀河系の移動に合わせてちゃんと中心にあって動いてきたからです。そのほかにも、銀河系の中にあるブラックホールも、できたとたんに時間が止まって動かなくなるということはありません。銀河系の回転に合わせて他の星と同じように、ニュートンとケプラーの法則どおりに動いています。流れの中の岩のように、そこにとどまって、銀河系の回転と共にやってくる星や星間雲と衝突しているということはありません。

ブラックホールの時間が止まると実際の宇宙の現象と合わなくなります。そこで、ブラックホールの場合は、時間が止まるのは見てくれだけで、実際の時間は普通に進むことにしたのでしょう。理論に合わなくなる現象が出てくると、それに合わせて理論を変更するというやり方です。ご都合主義です。だから矛盾が出てきます。

結論

見てくれと、実際の現象とを理論に合わせて都合よく変えています。

物理は見てくれではなく実際の現象で考えるのが筋ではないでしょうか。見てくれで判断すると詐欺師に騙されますよ。

 相対論には普通の時間など存在しないはずです。すべての時間が相対的なのですから。なのに、普通の時間を登場させているのは、相対論をそのまま当てはめると現実と合わなくなってしまうので、都合によって理論を適当に修正するということです。いわゆるご都合主義です。