「重力とは何か」について目次
重力とは何か15 ローレンツ収縮が縮めるもの
重力とは何か17 重力の正体

重力とは何か(大栗博司・幻冬舎新書)について16


著者 田 敞


(以下{ }内は上記本からの引用)

 

フラットランドと「欠損角」「余剰角」

 

問題1

 フラットランドとは

考察

フラットランドとは、{19世紀イギリスの作家エドウィン・A・アボットの『フラットランド』という風刺小説です。}とあります。

小説ですから、フィクションです。科学の証拠にはなりません。だから、フラットランドから考えたことは、SF小説には使えても、科学には使えません。

魔法の世界を書いた小説を科学の証明に使うのと同じです。魔法の世界は無いけれど、フラットランドはある、ということなら、まず最初にフラットランドがあることを実証しなければなりません。できますか。できないでしょう。そんな世界は無いからです。魔法の国がないのと同じです。

これに付きますが、もう少し話を続けます。

問題2

{フラットランド上に点が一つあると思ってください。それを中心に円を描くと、当然ながら中心角は1周360度です。しかし、その点に何か重たいものを置くと、その質量によってこの角度が減る、「欠損角」が生じるとアインシュタインは考えました。}

考察

{その点に何か重たいものを置くと}とあります。フラットランドは2次元ということだから平面です。したがって{その点に何か重たいものを置く}ことはできません。2次元には垂直方向はないはずですから上に物を置くことはできません。平面の上は立体ですから、3次元です。また、フラットランドをへこませても3次元世界になってしまいます。フラットランドの意味がなくなってしまいます。それなら、よく言われている、最初から、ゴム膜の上に鉄球を乗せるとへこみます、とすればいいのです。普通の現象です。なにも架空の世界を持ちだして証明する必要はありません。それでは欠損角が出てこなくなるので困るのでしょう。

問題3

 この「欠損角」が生じるしくみを、紙を使って説明しています。

 まず紙に円を描いて、その円から扇形に、紙を切り取ります。{仮にその扇形の中心角が60度だとすれば残った「円」の中心角は300度です。}

考察1

{のこった「円」}は扇形です。円ではありません。この本でもはっきり{その扇形}と書いてあります。ハサミで切り取ったのだから、その分の角度が減るのは当然です。不思議なことではありません。それを円だと主張しているのが変なのです。半月を満月だと主張しているようなものです。ここでもアインシュタインは、自分の主張(相対論)に都合のいいように言葉の定義をかってに変えています。得意のやり方です。

 そこで、{それを円にするには、端と端をくっつける必要があります。すると、紙は平らではいられません。魔法使いの帽子のように、とんがった形になってしまいます。}

これも普通の現象です。クリスマスなどで子どもたちが作ります。

{それが「円」と呼べるのか?と思うかもしれません。}。思います。それは円錐という名前です。それを円だと主張するのが間違いです。円錐にある円は円錐の底面です。底面の中心角は360度です。あとは頂角と底角があります。どこにも欠損角はありません。もう一度、小学校の算数を復習してみてください。相対論は算数と違って高等な数学だから扇形も、円錐も円なのでしょうか。定義を自分たちの都合がいいように変えたら何だって可能です。先ほどの円を書いた紙をぐしゃぐしゃに丸めて、屑籠の中にポイと入れてみましょう。ぐしゃぐしゃにした紙の中の線は、円といえるでしょうか。書いたときは円だったから、今も円だ、といえるでしょうか。そんなことはありません。もはや円ではありません。物質は力を加えると変化するのです。しかも元の水にはあらず、ではないけれど、もはや元の円ではないのです。円は円です。扇形は扇形、円錐は円錐です。

 {残った円}を{円にするには、端と端をくっつけ}てもだめです。それでは上に書いたように円錐になってしまって円になりません。扇形を円にするには、切り取った扇形をまたくっつけるしかありません。円錐を円だと言い張るならそれも仕方がありませんが。それなら四角も三角もみな円だと言い張ればいいのですから、何だって可能です。

問題4 

 {ともあれ、先ほど紙で作ったフラットランドは、円の中心角が300度になるような歪み方をしています。質量が欠損角を作ることによって、2次元空間がゆがんでしまったのです。}

考察 円錐のどこが300度

 {円の中心が300度になるような歪み方をしています。}とありますが、できた円錐のどこが300度なのでしょう。どこを計れば300度になるのでしょう。そんなところはありません。そのかわり、新たに、頂角や底角ができています。これは新たに増えた角ですから、何といえばいいのでしょう。また底面の円の中心角は360度になります。この角はどのように扱うのでしょう。物は動かしたら形が変わります。角度も変わります。それだけのことです。作った円錐には円の中心角が300度になる場所もないし、欠損角もゆがみもありません。新しい形になっただけです。

問題5{先ほど紙で作ったフラットランドは}

考察

 フラットランドを紙で作れるのでしょうか。紙は切りとれます。フラットランドは切り取れるのでしょうか。切り取った紙はごみ箱に捨てられます。切り取ったフラットランドはどうするのでしょう。やはりごみ箱に捨てますか。切り取られた部分はなにになるのでしょう。フラットランドには切り取られた扇形の空間ができます。それは何なのでしょう。無ですか。

 おなじように3次元のこの世界は切りとれますか。2次元世界は切りとれても3次元世界は切りとれないということなのでしょうか。もし切り取るとしたら、切りとった部分は何になるのでしょう。持ち去られた空間の後はなんになるのでしょう。

考察2{先ほど紙で作ったフラットランドは、円の中心角が300度になるような歪み方をしています。}

{円の中心角が300度になるような歪み方をしています。}という円はどこにあるのでしょう。どのような歪み方なのでしょう。たんに髪を曲げて円錐にしただけです。先に書いたように300度はどこにもありません。

円錐は曲面があります。だからゆがみといえなくもありません。だからどうなのでしょう。紙を曲げて円錐を作ったからといって、世界が変わるわけはありません。四角の紙を折って鶴にしたら、世界はもっとゆがむことでしょう。千羽鶴などはもってのほかす。世界がめちゃくちゃになってしまいます。

ところで、フラットランドは2次元です。フラットランドが曲げられて円錐になったら、それはもう3次元です。紙を扇形に切って曲げて円錐を作るのは3次元世界のことです。高さの無いフラットランドをどのように曲げるのでしょう。

紙を切って円錐を作ったら{2次元空間がゆがんでしまった}ということになるようです。とても便利な2次元です。フラットランドという架空の世界を、紙に置き換えて自分たちの論理に都合のいいようにすり替えています。得意の言葉巧みに誘導するというやり方です。

問題

{質量が欠損角を作ることによって、2次元空間がゆがんでしまったのです。}とありますが、これには問題がいくつかつあります。

 

ア 欠損角はどのようにしてできたかの問題

 紙で作ったフラットランドとは、まず紙に円を描いて、その円から扇形に、紙を切り取ります。{仮にその扇形の中心角が60度だとすれば残った「円」の中心角は300度です。}の切りとられた60度が欠損角なのでしょう。この欠損角は紙をハサミで切りとることでできています。質量が欠損角を作っているわけではありません。ハサミで紙を切り取ることと、質量で欠損角が生じることとが同じであるという証明がいります。それがありません。たとえ話は事実の証明には使えません。

イ 円錐の欠損角はどこを計った角か

 円から一部を切り取って、扇形にすると、切り取られた部分が欠損角になるということです。これは、切り取ったのだから、その部分がなくなるから欠損といえるでしょう。ではそれで作った円錐形は、どこの角が欠損しているのでしょう。円錐のどこの角が300度になっているのでしょう。其の説明がありません。扇形と、円錐は違う形です。円錐に欠損角はありません。勿論扇形にも欠損角はありません。円は円です。扇形は扇形です。円錐は円錐です。それぞれ独立した形です。

 先ほどのぐしゃぐしゃに丸めた円を書いた紙はどうでしょう。切り取っていないので欠損角は無いということでしょうか。

 フラットランドで、紙に円を書いて折り鶴を折ってみましょう。この場合は、最初の円を切り取っていないので360度のままだから、出来上がった折り鶴は欠損角は無いということなのでしょうか。欠損角がないから、折り鶴では空間がゆがまないということでしょうか。円錐では空間が歪んで、折り鶴やぐしゃぐしゃに丸めた紙では空間は歪まないということでしょうか。円錐も、丸めた紙も、折り鶴も、立体です。フラットランドで許されるのは、円錐だけなのでしょうか。フラットランドには立体は存在しないはずです。

ところで、折り鶴のどこを計れば360度が出てくるのでしょう。

問題

 {2次元空間がゆがんでしまったのです。}の問題

考察

 {先ほど紙で作ったフラットランドは}人が、円の一部を切り取って、作った扇形を、人が、端をくっつけて円錐にしました。すべて人の力でできています。これが{2次元空間が歪んでしまったのです。}と同じだという主張です。すると、人がハサミや指で紙に細工することと、フラットランドの空間の歪みは同じということになります。「2次元空間の歪み=人の手で作った紙細工」になります。2次元空間の歪みを人の力で作ることができるというのが、相対論の主張のようです。では3次元世界はだれの手でゆがませるのでしょう。

 (この考えは、特殊相対論の時にもありました。相対論で進んでしまうGPS衛星の時間を機械仕掛けで時計の針を動かして合わせていました。「相対論で速くなった時間」=「機械仕掛けで時計を遅らせた時間」です。時間を人が動かしていました。GPS衛星の時計はタイムマシーンになっていました。相対論では時計はタイムマシーンです。そんなことはあり得ません。あるのは巧みな言葉で言いくるめる、です)

 重たいもので、欠損角ができるか

@ 重たいもので紙はへこむか

紙に円を書いてその中心に{何か重たいものを置くと、その質量によってこの角度が減る、「欠損角」が生じるとアインシュタインは考えました。}ということです。

 紙がへこむのは{何か重たいもの}の質量が作ったのではありません。地球の万有引力が、紙の上の物体と引き合ってへこませたのです。質量といえば質量ですが、へこませた大半の原因は、地球の万有引力です。紙の上に置いた物体の質量ではありません。宇宙空間で紙に重たい物質を置いても、紙はへこみません。物質がいくら重たくても落ちません。動くには引き合う相手がいります。

重たいものにも少しは万有引力があります。だから目に見えて紙を引きつけることはできないけれど、長い時間をかければ紙が物体にまとわりついていくことでしょう。

ここで出てきたのは、物は重たいから落ちるという、ニュートン以前の考え方です。

A へこみは欠損角を生むか

紙がへこむと、余ったところが出てきて皺になります。では欠損角はどこなのしょう。物を曲げると形が変わります。片一方が180度から小さくなります、すると反対側は180度より大きくなります。これは、物質の形が変わったために、角度が変化しただけです。角がどこかに飛んでいったわけではありません。

紙の上に物を乗せて紙がへこむと紙がへこんだだけです。角がどこかに消えたり、空間がどこかに消えるわけはありません。
結論

 円を書いた紙に物を乗せたら欠損角が生じるなんてことはありません。紙の形が変わっただけです。もちろん円錐を作っても、ぐしゃぐしゃに丸めても、それで欠損角なるものができることはありません。たんに紙の形が変わっただけです。それでこの世界がどうにかなるわけはありません。紙を円錐にしたら欠損角ができて世界が変わるなら、鶴を折ったら、この世界が折りたたまれてしまいます。

 空想のフラットランドからは、空想の世界しか出てきません。相対論とはそういうものです。