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「重力とは何か」について目次
重力とは何か8 相対性は正しいか
重力とは何か10 時間と空間
重力とは何か(大栗博司・幻冬舎新書)について9
著者 田 敞
(以下{ }内は上記本からの引用)
{まずは次元の低い話をしよう}P86
問題
{二次元空間に「球」が現れたらどう見えるか}
4次元空間について{3次元で暮らすわたしたちには想像の難しい話ですが、それを考える上で参考になる小説があります。19世紀イギリスの作家エドウィン・A・アボットの『フラットランド』(日経BP社)という不思議な小説です。}
考察
3次元の立体が2次元の世界に現れたらどのように見えるかを述べています。
たしかにそのとおりです。しかし、問題は、2次元世界は我々の住むこの3次元世界には存在しないということです。思考実験やSF小説の中には存在しても現実世界には存在しません。
いや、そんなことはない、2次元世界はある、というなら、実際に2次元世界が現実にあることを示さなくてはなりません。思考実験や数式の中では示せても、現実に2次元を作った人はいません。
例えば、紙を考えてみます。紙は一見2次元のようです。しかし、厚みを持っています。高さです。ただ高さが短いだけです。紙の表面はどうでしょう。顕微鏡で見ればでこぼこしています。高さがあるためです。究極滑らかな表面とします。しかしそれは、その下に、物体がなければ存在できません。物体があっての表面です。この世界の物体はすべて3次元です。2次元だけの物体は存在していません。
現実に存在する例がないので、上記の『フラットランド』という小説を持ちだすしかなかったのでしょう。小説はフィクションです。日本語でいえば作りばなしです。嘘ばなしです。
したがって、この『フラットランド』を使って説明する2次元は嘘の証言によって説明されているということができます。科学は実証しなければなりません。実際に存在するものや、実際の現象についての法則を見つけるのが科学です。実際の現象がないから、不思議な小説を持ちだしてきたのでしょうけど、小説を持ちだしたこと自体が、この証明はSF世界の話で、実際の世界のことではないということを証明しているということです。
では4次元はどうでしょう。やはり4次元もこの世界にはありません。4次元世界を、あるいは4次元の物体を見た人も触った人も作った人も今のところいません。空想の産物といえます。だから『フラットランド』という架空の話を持ちだすしかないのでしょう。
そんなことはない、立派な科学者が何人もそう言っているというなら、4次元世界の現物を示す必要があります。科学は、仮説をたてたら実証しなければなりません。今のところ4次元も実証はされていません。これからもないでしょう。そんなものはこの世界にはないからです。魔法の世界とか、あの世とか、神の世界とか、思考実験の観念の世界にはあるかもしれませんが、それはこの世界のことではありません。
2次元をフィクションの『フラットランド』という嘘ばなしで説明し、その2次元を使って4次元を説明するのは現実にそれがないからです。フィクション(嘘ばなし)から始まる証明は科学ではありません。
{ともあれ、ゼロ次元(点)、一次元(線)、二次元(面)、三次元(立体)・・・と空間の方向が増やせる以上、四次元、五次元、六次元・・・の空間が絶対にあり得ないとはいえません。事実、本書の後半では「一〇次元の時空」が登場しますので、}
{と空間の方向が増やせる以上、}とあたかも、0次元や、1次元や、2次元があるように述べていますが、実際に0次元や1次元や2次元はこの世界には存在していません。言葉巧みに、{増やせる以上}と断定していますが、断定する実証はありません。言葉だけです。言葉の魔術にしかすぎません。
ゼロ次元から、三次元までは、(点)とか(線)とか(立体)とか( )
書きで補説が書いてあります。ところが、四次元になると、( )書きの補説がありません。四次元を表す言葉がないのです。勿論具体的にその形を説明することもできないでしょう。あるのは数字の言葉だけです。言葉なら簡単です。一億次元や、1兆3千9百億23次元{の空間が絶対にあり得ないとはいえません}とわたしでも言えます。言うのは簡単です。ものの1分とかかりません。でもそれを実証することはできません。{本書の後半では「一〇次元の時空」が登場しますので、}といっても、本の中で{「一〇次元の時空」が登場し}てもそれが実証されてはいないのですから、それで4次元があることの証明ができたことにはなりません。科学は偉い人が言ったら事実であるということにはなりません。科学なら実際の4次元を示さなければなりません。{絶対にないとはいえない}という言葉ではなく、これが4次元ですと、実物を示さなければ科学の証明にはなりません。
結論
『フラットランド』の話と同じで、4次元世界の話は、実証がないので、フィクションです。科学ではなくSFの世界です。このことで、科学の理論を説明したり、証明することはできません。科学は事実をもとにしなければならないからです。事実を持ちだせないからといって不思議な小説を証明に持ち出すしかないのは科学の敗北でしょう。
思考実験で仮説を立てることはできても、その説が事実であることを証明するためには、実証が必要です。大栗博司氏も4次元があるということを実証しなければなりません。できないでしょう。そんなものはこの宇宙には存在しないからです。どこにありますか。今のところ言葉と数字の中だけでしょう。
相対論には、フラットランドという虚構が必要なようです。