御意見を
「重力とは何か」について目次
重力とは何か6 時間と時計は同じか
重力とは何か8 相対性は正しいか
重力とは何か(大栗博司・幻冬舎新書)について7
著者 田 敞
(以下{ }内は上記本からの引用)
光時計の思考実験
問題1
光時計の思考実験は定説になれるか
考察
これは実際に実験されていないので、証明されたとはいえません。これが定説になるためには、実証実験が必要です。したがって、これはアインシュタインの仮説にしかすぎません。
片道15万キロメートルになるので、実際に作るには不可能だから実証は免除できる、ということはありません。どんな理由があれ、実証実験がないということは、実証がないということです。思考実験は実証実験に変わるものだというようなニュアンスで言う人がいますが、思考実験は実証実験ではありません。ただ、頭の中でごちゃごちゃ考えただけのものです。普通の理論と何ら変わりはありません。実証実験をやらなくてもいいようにアインシュタインが言いだしたうまい方法、あるいはずるい方法です。実際、相対論では彼はなに一つ自分で実証していません。たぶんできなかったのでしょう。(他の人がおこなったものでも科学の方法論をクリアーできる実証されたものはありません。これについては後述)
問題2
{列車に乗っている人から見れば、この時計は、図11左のように垂直に行ったり来たりします。それは、動いている列車の中でジャンプしても、飛び上がった地点より後ろに着地しないことを考えれば分かるでしょう。空中にいる間も列車と一緒に動くので、同じ所に着地します。}
考察
特殊相対性理論の光は光時計を載せた列車と共に動いていくということです。天井から発射された光は、光時計と共に天井と床の鏡の間を垂直に往復しながら列車と共に横滑りして移動していきます。列車が時速100キロメートルで走ると、光時計の光は、天井と床の鏡の間を往復しながら列車の速度、時速100キロメートルで列車と共に移動します。列車が時速180キロメートルで走ると、光時計の光は、天井と床の鏡の間を往復しながら列車の速度、時速180キロメートルで列車と共に移動します。列車が242.035キロメートルで走ると、光時計の光は、やはり列車の速度、時速242.035キロメートルで横に移動します。光は列車とともにすすみます。まるで、おしどり夫婦のようです。
問題は、光はどのような方法で、列車の速度を取り入れているのかということです。
天井と床を往復する光が列車と共に走って行く仕組みについて大栗博司氏は、{それは、動いている列車の中でジャンプしても、飛び上がった地点より後ろに着地しないことを考えれば分かるでしょう。空中にいる間も列車と一緒に動くので、同じ所に着地します。}と説明しています。そうでしょうか。
ジャンプした人が{空中にいる間も列車と一緒に動く}のは、ジャンプした人に列車からもらった速度(運動エネルギー)が保存(足し算)されているからです。光にこの原理は適用されるのでしょうか。マイケルソン・モーリーの実験を取り上げたところで、光には{秒速30キロメートルという地球の速度は、「足し算」されなかったのです。}と述べています。光に地球の速度は足し算されていません。けれど列車の速度は足し算されるということになります。矛盾しています。
走行中の列車内でジャンプした人が元の位置に降りるのはニュートンの慣性の法則です。慣性の法則は慣性質量のある物質にあてはまる理論です。おそらく小学校か遅くても中学校で習うことですから説明することもないのですが、一応説明してみます。
列車に乗っている人は、列車と共に走っています。人はその運動エネルギーを体に保存します。体は慣性質量を持っているから、速度に応じた運動エネルギーを保存できるのです。式でいえば、E=mv2÷2です。だからジャンプしても、{空中にいる間も列車と一緒に動くので、同じ所に着地します。}本当は{列車と一緒に動くのです}ではありません。体が保存していた運動エネルギーで空中でも自分で進んでいるのです。列車に押されているとか、列車を見てそれに合わせてとかではありません。列車と同じ速度で進んでいるだけです。物質は、他からエネルギーが加わらない限り、等速直線運動をするのです。これが慣性の法則です。
この速度はその人が自分で走ったことから生まれたのではありません。列車からもらったのです。駅で列車に乗ったときの体の速度に、加速していく列車の速度が「足し算」されたのです。その足し算された速度を体が保存しているのです。
問題は、光には慣性質量がないことです。したがって、人の体のように光は列車の速度を保存することはできません。式でいえば、E=mc2÷2です。このとき、光の質量mは0だから、E=0×c2÷2になり、E=0になってしまいます。運動エネルギーEが0だから{空中にいる間も列車と一緒に動く}ことはできません。天井から発射された光は、真下の地点より後ろに当たることになります。ジャンプした人と違って、光は列車に取り残されてしまいます。
これを、「光は光源の速度に影響されない」という原理、「光速度不変の原理」と言います。これはP62でマイケルソンモーリーの実験を取り上げたところで、光は{秒速30キロメートルという地球の速度は足し算されなかったのです。}と筆者も述べています。光時計の速度は光に「足し算」されるという考えは間違っています。
マイケルソン=モーリーの実験では地球の速度が足し算されないのに、光時計ではなぜ列車の速度が足し算されたのでしょう。62ページから、70ページとページが8ページ進むと理屈が反対になります。どちらかが間違っています。あるいはどちらも間違っています。どちらも正しいということはありません。
上に書いたように、光時計の光は列車の速度に影響されないので、光は光時計の列車の速度とは関係なく発射された最初の方向に直進します。
結論
慣性の法則を、慣性質量を持たない光に当てはめたところが間違いの根源です。
光時計の光が上下しながら光時計と共に動いていく理由を、列車で飛びあがった人が同じ所に着地するという理由以外で説明する必要があります。もちろん実証と共にです。
光時計は間違った思考実験です。20世紀最大の天才も、今小学生でも分かる慣性の法則の仕組みを知らなかったのですね。科学は進歩しますから。今は小学生でも天動説が間違っていると知っているのに、昔は、偉い科学者がみんな天動説を信じていたようなものですか。