インフレーション宇宙目次
インフレーション宇宙論への反論7
インフレーション宇宙論への反論9

インフレーション宇宙論への反論 8

 

田 敞

 

インフレーション宇宙論(佐藤勝彦。BLUEBACKS)を基に考えてみます。

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

 

 インフレーションの経過

@ 宇宙は真空のエネルギーが高い状態で誕生

A 最初の相転移。10のマイナス44乗秒後頃。重力が分離

B 2回目の相転移。10のマイナス36乗秒後頃。強い力が分離

C 急激な加速膨張。10のマイナス35乗秒からマイナス34乗秒の間に、10の43乗倍という膨張。1ナノメートルが{私たちの宇宙よりずっと大きくなることができる。

D 火の玉が生まれる

{宇宙が最初から火の玉として生まれ、そのエネルギーによって爆発的に膨張したのではなく、真空のエネルギーが宇宙を急激に押し広げるとともに相転移によって熱エネルギーに変わり、そのときに火の玉になったということだったのです。}

{急激な加速膨張によって、宇宙のエネルギー密度は急激に減少し、宇宙の温度も急激に低下します。しかし、それによってすぐにまた真空の相転移が起こるため、前に説明した潜熱がでてきて、宇宙は熱い火の玉となるのです。}

 これがインフレーション宇宙のでき方ということです。

問題1

@ 宇宙は真空のエネルギーが高い状態で誕生

 

考察1

 この本では、先に書いたように、宇宙は{エネルギー的にいちばん低い基底状態}の真空から生まれたといっていました。

 いつの間に、{宇宙は真空のエネルギーが高い状態で誕生}になったのでしょう。誕生したときはまだインフレーションは起こっていないのですから、それ以外のことが原因でエネルギーが高くなったということなのでしょう。{エネルギー的にいちばん低い基底状態}の真空ではさすがにインフレーションは起こせないと考えたのでしょう。

これについては項を改めて書きます。

 このエネルギーが元手になって、全宇宙の物質と、ダークマターと、ダークエネルギーと、位置エネルギーを作ったのですから、すごいエネルギーだったことでしょう。アインシュタインが言うにはE=mcですから、全宇宙の物質が持つエネルギーはとてつもなく大きいのですから、それを{エネルギー的にいちばん低い基底状態}の真空から{宇宙は真空のエネルギーが高い状態で誕生}つくりだし、そこからこの宇宙を作り出したということのようです。すごい魔法です。ところが、それで作りだした中の通常の物質と通常のエネルギーの総和が全宇宙の4%しか占めてないというのがビッグバン論です。宇宙全体のエネルギーは、観測されている宇宙の物質とエネルギーの25倍もあることになります。さすがの神様もそれほどのエネルギーを作るには予算が足りなかったことでしょう。それができるのはインフレーション宇宙論者だけです。言うだけならただですから。

 

問題2

A 最初の相転移。10のマイナス44乗秒後頃。重力が分離

考察1

 「頃」とは何でしょう。10のマイナス44乗秒なんて、人間には測ることができない、いや認識することさえできないくらい短い時間です。一瞬でさえ、その10の43乗倍ほど長い時間です。「頃」などと言える時間ではありません。44乗なんて言葉が出てくるから、「頃」もありそうに思ったのかもしれませんが、マイナス44乗秒なんて無いに等しい時間です。「頃」なんて、3時頃というと、3時7分とか2時49分とかそんなふうに使うのです。3時000000000000000001分なんて「頃」とは言いません。まして0が44個もつくのですから3時との差を計ることなどできません。3時です。こんなことを言うのは現実を考えず、机上の数字だけを見ているからです。このように、インフレーション理論が現実と乖離しているのは数字だけで考えているからです。

 

考察2

このとき重力が分離したということです。相対論によると、重力は物質が空間を曲げることから生じるということです。

 ということはこのときすでに物質と、空間ができていたということです。このときヒッグス粒子はあったのでしょうか。ヒッグス粒子は物質に質量を与えたということですからすでに存在していたのかもしれません。その点は書いてないから不明です。ヒッグス粒子は質量だけ与えたのだから重力とは別だというのかもしれません。とにかく不明です。

 その小さな宇宙に、宇宙の物質のどのくらいが詰まっていたのでしょう。全物質でしょうか。それとも、2回目、3回目のインフレーションで次々に物質は生まれてきたのでしょうか。それとも、あとのビッグバンのときにも生まれたのでしょうか。

 これも不明です。

 もし、このとき宇宙の全物質が生まれていたのなら、重力ができたときに、宇宙はつぶれてしまったことでしょう。地球だって、9ミリに縮めるとブラックホールになって果てしなくつぶれていくというのですから。

 

問題3

B 2回目の相転移。10のマイナス36乗秒後頃。強い力が分離

C 急激な加速膨張。10のマイナス35乗秒からマイナス34乗秒の間に、10の43乗倍という膨張。

考察

 この段階で4つの力が現れています。この4つの力は物質の持っている力です。すると、このときすでに、宇宙の全物質はできていたと考えられます。

 その全物質が{10のマイナス35乗秒からマイナス34乗秒の間に、10の43乗倍という膨張}をしたというのです。どうやって加速させたのでしょう。

ロケットの打ち上げを見ていると、初めはゆっくり上がっていきます。ロケットエンジンは目いっぱい噴射しています。すごい炎です。それでも、なかなか加速されません。地球に比べれば無きに等しい質量のロケットでさえそうなのです。そのロケットの加速度で地球を加速させるのは今のところ人間にはできません。それを一瞬より短い時間で光速の何千億倍もの速度に加速するのです。神様でも無理でしょう。そればかりではありません。地球の1000兆の1000億倍もある全宇宙の物質を一瞬の10の43乗分の1秒で宇宙のかなたにまで吹き飛ばすのです。それも、ブラックホールどころではない全宇宙の巨大な重力に逆らってです。やはり神様にも無理でしょう。これも、やはり、できるのはインフレーション宇宙論者しかいません。パソコンの中の数字だけを操っているからできることです。

 

問題4

{真空のエネルギーが宇宙を急激に押し広げるとともに相転移によって熱エネルギーに変わり、そのときに火の玉になったということだったのです。}

考察

 上のように、真空のエネルギーは宇宙を広げることに使われました、それでも余っていたようです。それも大量にです。宇宙を火の玉にしたのですから。

 真空のエネルギーは無尽蔵ですね。なぜ無尽蔵なのでしょう。簡単です。物理学者が言うだけだからいくらでも出てくるのです。いやそれは、真空の相転移から出てきた潜熱だからだ、ということだそうです。水が氷になったとき、潜熱が出るのと同じだということです。でも、これは違います。水が氷になるときに出る潜熱はもともと水が持っていた熱です。この熱が他に奪われることで水の熱が下がり氷になるのです。水が氷になる潜熱はなにもないところから勝手に生まれたのではありません。水の熱は、太陽に温められたとか、火によって暖められたとか、いろいろな原因で、他からもらった熱です。勿論真空からもらった熱はありません。エネルギー保存則です。

 真空が相転移したとき出る熱は、水が氷になるときに出る潜熱の仕組みだと、真空がもともと持っている熱しか出てきません。その熱は、{エネルギー的にいちばん低い基底状態}の真空ですから、大した熱ではありません。水の方がはるかに大きい熱を持っています。

 また、水の熱は水の分子の振動です。それが潜熱の元です。熱が出るということはその振動で他の物質の分子を振動させるために振動がゆるくなたり、電磁波を出すことで振動がゆるくなることです。それが熱です。水の相転移は、水の分子の振動が、空気の分子をゆすることでゆるくなり、水から氷になる現象です。

 では真空の相転移は真空の何がどこに熱を放出して温度が下がったのでしょう。真空は分子がないから、分子の振動が真空の熱ではありません。真空の熱とは何なのでしょう。どこに熱を蓄えているのでしょう。分かることは真空の熱は物質の熱とは根本的に違うものだということです。

 ということは、水とは違うシステムで真空の相転移は潜熱を出しているということになります。しかし、真空の相転移で出てくる潜熱は水が氷になるときと同じ仕組みだと述べています。どこが同じなのでしょう。

現在、真空の熱を人間は測ることができていません。これは、真空に熱がないということを示しています。もし真空に熱があったとしたら、それは今まで分かっている物理学では分かっていない熱のはずです。相転移の仕組みも、水が氷になる相転移とはまるで違っているはずです。

 このことから、真空の相転移は、すべてが今までに証明されている物理学では説明できない現象だということが分かります。

 

問題5

{急激な加速膨張によって、宇宙のエネルギー密度は急激に減少し、宇宙の温度も急激に低下します。しかし、それによってすぐにまた真空の相転移が起こるため、前に説明した潜熱がでてきて、宇宙は熱い火の玉となるのです。}

考察

 これが上の答えです。なにもない真空から、インフレーション宇宙論者が欲しいものは何でも出てくるのです。まるっきりドラえもんのポケットです。エネルギー不変則はどうなっているのでしょう。

(1)物質密度

{急激な加速膨張によって、宇宙のエネルギー密度は急激に減少し}ということです。1点から{10のマイナス35乗秒からマイナス34乗秒の間に、10の43乗倍という膨張}をしたのですから、密度が急激に減少するのは当たり前です。1ナノメートルが、1000億光年まで広がるのですから、急激なんて言葉では追いつかないでしょう。新幹線をカタツムリが追いかけているより10の30乗倍くらい違うでしょう。

 1立方センチの空気が入った風船を地球ほどに大きくしたら中はほぼ真空になるでしょう。銀河系ほどの大きさにしたら、今の宇宙の真空よりはるかに物質が少ない真空になるでしょう。なんせ1ナノメートルが1000億光年まで広がるのですから。1000億光年の先まで広がったら、なにもないに等しくなります。

 インフレーションで広がった宇宙は、今、銀河や銀河間ガスが浮かんでいる宇宙に比べて、10の44乗分の1くらいの密度の物質しかない宇宙になったはずです。

 ところで、{宇宙のエネルギー密度}とは何でしょう。通常の物質とエネルギー以外のダークエネルギーのことでしょうか。それはどこにどのように存在しているのでしょうか。通常のエネルギーは、物質や、物質の振動や電磁波として存在しています。真空のエネルギーはどのようなものなのでしょうか。実質なにもないけれどエネルギーだけはあるようです。謎、神秘、それとも、頭の中だけ。実際に観測されていないのですから、ないということを表しているようです

 

(2)火の玉問題

{前に説明した潜熱がでてきて、宇宙は熱い火の玉となるのです。}ということです。ビッグバンが火の玉で始まったという説ですから、どうしても火の玉にならなければならいようです。

 太陽を考えます。火の玉です。これは物質が高温になることによって電磁波を放出しているから火の玉に見えるのです。物質はその温度に見合った黒体放射をすることから起こる現象です。

 では、インフレーションで巨大に膨張した宇宙は、何が高温になって光って火の玉になっているのでしょう。おそらく物質はまばらです。まばらにある物質が、潜熱をもらって高温になって光っているのでしょうか。それとも潜熱自体が光っているのでしょうか。もしそうなら、潜熱自体が光る仕組みの理論が新たに必要です。幽霊が従えている火の玉でさえ、リンが燃えているということですから物質が出す光です。真空の潜熱が光る仕組みを述べる必要があります。

 宇宙にある物質が光を出しているという方がまだ可能性があります。しかし、今見える銀河は、星が核融合で光っている光です。何千億個の星が核融合で紅蓮の炎で光り、その銀河が数千億個もあるのに、夜空はとても暗いです。核融合の強烈な熱で光を出しても夜空を明るくすることはできていません。

ところが、真空の潜熱で、夜空を明るくするどころか、宇宙全体を火の玉にするというのです。どのようなエネルギーなのでしょう。真空の潜熱はすごい熱だということです。その熱を真空はどのようにしてたくわえているのでしょう。これも不明です。

 星だけではなく宇宙全体が燃えていたということかもしれません。しかし、銀河の間にある真空は光りません。真空が光る理論は今のところ分かっている物理理論にはありません。

 インフレーションがあるなら、宇宙は火の玉で始まったという考えは捨ててもいいのではないでしょうか。そもそも、ビッグバンの始まりが火の玉であったというのは、物質が集まると高圧になるから温度が上がり集まった物質が火の玉になるという考えなのですから。インフレーションの熱は、物質の圧力ではなく真空の潜熱なのですから、火の玉になる必要はないと思います。

結論

 神様より、魔法よりすごいのが真空のエネルギーです。

 

問題6

C 急激な加速膨張。10のマイナス35乗秒からマイナス34乗秒の間に、10の43乗倍という膨張。

考察

この間に、宇宙が今の宇宙より大きくなったということです。

考えてみます。1億分の1秒で、光は3mm進みます。これは10のマイナス8乗秒です。1億分の1秒は人間には測れないほど短い時間です。その1億分の1はどうでしょう。光は3ナノmm進みます。この距離はちょっと測れないでしょう。これでも、まだ、10のマイナス16乗秒です。さらに1億分の1だと、光は、0.00000003ナノmm進みます。それでも、まだ、10のマイナス24乗秒です。さらに、1億分の1だと、光は0.0000000000000003ナノmm進みます。これで、やっと、10のマイナス32乗秒です。その100分の1から1000分の1秒で、宇宙がこの宇宙より大きく広がったというのです。光だって全く進めないというくらい短い時間に宇宙が半径130億光年以上のかなたに広がったのがインフレーションです。すごいですね。

 逆さまに考えてみます。

 1秒で光は30万km飛びます。1秒間に1000億光年飛ぶには、光の、100000000000×365×24×60×60倍の速度がいります。10のマイナス35乗秒でこの距離を飛ぶには、光の、100000000000×365×24×60×60×1035倍の速度にならなければなりません。光速の315360000000000000000000000000000000000000000000000000倍の速度です。この速度に10−35秒で加速したというのです。こんなことが起こったというのがインフレーションです。すごいですねえ!!

口ではなんとでも言えます。10のマイナス34乗なんてあっさり書けます。宇宙が1000億光年かなたまで吹っ飛ぶなんて簡単に書けます。でも実際にそんな現象が起こるとなると、至難の業です。これはもう奇想天外、いや、ありえないとしか言えません。現象ではなく、幻想、いや妄想でしょう。

 

問題7

1日1円、二日目は2円、3日目は4円、と倍々ゲームをすると、31日経つと10億円を超えるということです。

{このような倍々ゲームを100回も繰り返せば、素粒子のような小さな宇宙でも、何億光年もの宇宙にすることができます。}

考察

 なるほどそんな素晴らしいやり方があったとは考えもしなかったです。そこで私も、倍々貯金をしてみます。まず今日の1円からです。ひと月たつと私は億万長者になってます。ひと月後が待ち遠しいです。ひと月と言わず、毎月やると、1年で百億円を超える貯金ができます。年金じいさんの私にはとてもありがたいことです。

 でも、なれませんよね。理屈どおりに行かないのはなぜでしょう。あたりまえでしょう。貯金する金を持っていないからです。お金がないのに貯金はできません。

 理屈では、ひと月後億万長者です。理屈では素粒子は100日後何千億光年もの宇宙に満ちていることでしょう。理屈はそうでも、そうは問屋がおろしません。金がないと貯金できないように、増やしていく素粒子がないと、増やすことはできません。1日に10の30乗個の素粒子をポンと足すというのです。どこからその素粒子を持ってくるのでしょう。エネルギーも同じです。インフレーション宇宙は、エネルギー不変則を完全無視して、真空のエネルギーなるものを無尽蔵に増やしていく必要があります。真空のエネルギーはどんどん増えていくと言っています。いくらでも金の出てくる打ち出の小づちを待っているようなものです。

理論に必要なものは、いくらでも増えていく。全く都合がいい理論です。

 この理屈には、無からいくらでも素粒子が出てくるという魔法が必要です。億万長者になるために、毎日、貯金する金が出てくる打ち出の小づちがいるのと同じです。

 この理屈が現実になるためには、必要な素粒子がいくらでも出てくる魔法の小づちがいります。

 この本ではそういっています。{実際、インフレーションは「ただ」で物質やエネルギーを作ったと言えるのです。}

 その仕組みを、真空の密度は、真空が大きくなってもエネルギーの密度は変わらないということから生まれていると言っています。真空が大きくなった分真空のエネルイギーが増えるのだそうです。だから、真空が膨張すると、その分エネルギーが増えていくというのです。真空は、インフレーション理論家にはとても使い勝手のいい便利なものですね。真空はどうやって膨張するのでしょう。そのエネルギーはどこから出てくるのでしょう。

 エネルギーが湧いてくる仕組みについて述べています。

{真空のエネルギーがある宇宙を、ゴムのようなものと考えるとわかりやすいでしょう。ゴムが引き伸ばされると、ゴムの中の縮もうとするエネルギーが増加しますね。これと同じように、宇宙が引き伸ばされる(膨張する)と、宇宙の中のエネルギーは収縮しようとして増加するのです。}

 これには2点不都合なことがあります。

1点は、ゴムが収縮しようとするエネルギーは、ゴムを引き伸ばした人の力が加わったからです。ゴムの収縮のエネルギーは無から湧いたものではありません。人の力です。人の力は食べ物から作られています。食べ物の力は、太陽光が作っています。太陽光は、核融合反応からです。

では、真空が収縮しようとするエネルギーはどこから湧いたのでしょう。それは、真空が引き伸ばされたからだということなのでしょう。ではその真空を引き伸ばしたエネルギーはどこから湧いたのでしょう。神様が引っ張ったのでしょうか。それとも物理学者が引っ張ったのでしょうか。引き伸ばす力は真空から湧いてきたようです。エネルギー不変則に反しています。

2点目は、膨張した真空はどうして収縮しようとするのでしょう。ゴムの場合は、弾性があるからです。では真空はなぜ収縮しようとするのでしょう。その仕組みはどうなっているのでしょう。真空にも弾性はあるのでしょうか。

真空はなんにもないけれど、真空のエネルギーを持っているということです。ところが、これは斥力だとこの本では述べています。広がる力であって、収縮する力ではありません。ところがここでは収縮する力だと言っています。

真空は、広がろうとする力と収縮しようとする力の二つを持っていて、現象によって都合のいい方で作用するようです。それとも物理学者の都合によって変化するということなのでしょうか。 

パソコンの中の理屈です。現実に即してはいません。こういうのを昔の人は机上の空論と言いました。

 真空から、理屈に必要なものは何でも出てくるというのは、あまりにもご都合主義でしょう。

 同じご都合主義がモノポール問題です。

 

問題8 モノポール問題

{実は宇宙の始まりには実際に、多くのモノポールができていたと考えてもよいのです。そこへインフレーションが起きて、たとえばモノポールを含むわずかな空間が1000億光年の彼方に押しやられたとします。すると、1000億光年のかなたには、確かにモノポールは存在することになります。しかし、そんな場所と、われわれの知る宇宙には、直接の因果関係がありません。われわれの知りえる観測可能な宇宙は、せいぜい100億光年とか200億光ほどの大きさです。}

考察

 モノポールは宇宙の始まりにできていたのだけれど、インフレーションで、1000億光年かなたに飛ばされたということです。そのとき、重力も、強い力も、弱い力も、電磁気力もできていたということです。まだ、弱い力と電磁気力が一緒で電弱力であったかも知れませんが。すると、モノポールが吹き飛ばされたのだから、この4つの力も一緒に吹き飛ばされて、今は1000億光年かなたにあるはずです。ところが、吹き飛ばされたのはモノポールだけです。

{実は、指数関数的な膨張とはこのように、「困ったものはすべて宇宙の彼方に押しやることができる」という大変都合のいい話なのです。}

 本当に都合がいいですね。誰の都合なのでしょう。インフレーション論者の都合でしょう。宇宙の都合ではありません。

 宇宙創造に都合が悪いものは吹き飛ばされ、必要なものは何の影響もなく残っている、というのは、あまりにもご都合主義でしょう。

 しかも上に書いたように、10のマイナス35乗秒なんていう短い時間に、1000億光年も吹っ飛ぶのです。全宇宙のモノポールをどのようにしてそんな高速に加速したのでしょう。

 この加速は今分かっている物理学では説明できません。

 

結論

 このとてつもない数字は、実際の宇宙を見ずに、パソコンの中だけを見ているから出てくるのです。まったくの机上の空論です。

 インフレーションは、今までに分かっている物理理論の原則ともいえる、エネルギー不変則や、光速を超えるものはないということを完全に無視しています。それなりの理屈は付けていても、それは理屈であって、証明された理論ではありません。どれも理屈のための理屈です。実際にそのような奇想天外な現象が起こるはずはありません。まだ、UFOの方が現実味がありそうです。

 奇想天外な現象(幻想?)が基本とならなければ成立しない宇宙論は「間違っているのでは」とは考えないのですかね。もっと単純な、今までに分かっている物理理論だけで説明できる宇宙論はできないのですかね。それについては後ほど述べてみます。