インフレーション宇宙目次
インフレーション宇宙論3
インフレーション宇宙論への反論5
インフレーション宇宙論への反論 4
田 敞
インフレーション宇宙論(佐藤勝彦。BLUEBACKS)を基に考えてみます。
(以下{ }内は上記本よりの引用)
問題1
ハッブルは{光のドップラー効果である赤方偏移から、星が遠ざかっていることを見つけたのです。}
考察
今はドプラー効果によって星の光が赤方偏移しているという考えを否定している科学者がかなりいます。その人たちは、銀河の光が赤方偏移しているのは宇宙空間の膨張によって光が引き伸ばされることによって起こっていると述べています。佐藤氏の考えとは違うようです。
問題2
{ハッブルはケファイド変光星を丹念に調べることで、本当の明るさと、みかけの明るさとの違いに気付き宇宙が膨張していることを発見したのです。}
考察
変光星の明るさからハッブルが見つけたのは、アンドロメダ銀河までの距離です。それまでアンドロメダ銀河は銀河系の中の星雲か、それとも外にある銀河かということで判断が分かれていました。実証がなかったからです。この変光星の観測で、アンドロメダ銀河が銀河系の外にあることが分かって、宇宙は銀河系でできているのではなく、多くの銀河があってそれによってできているということが分かったのです。ハッブルが変光星で計ったのはアンドロメダ銀河までの距離であって、アンドロメダ銀河との間の空間膨張ではありません。ましてアンドロメダ銀河の後退速度ではありません。アンドロメダ銀河は近づいてきているのですから。
ハブルが発見して宇宙膨張理論の発端となったのは、銀河の光が遠い銀河ほど赤方偏移しているということからです。
佐藤氏の勘違いではないでしょうか。
問題3
銀河の赤方偏移は何から起こっているのだろうか。
考察
銀河の赤方偏移の理由について、よくいわれているのは上に書いたようにドプラー効果と空間膨張があります。どちらもビッグバン論の科学者が述べています。
(1)ドプラー効果説
よく、救急車のサイレンで説明されています。近づいて来る時はサイレンの音が高く、通り過ぎると音が下がるという現象からの説明です。
銀河の光も、近づいて来る時は周波数が高くなるので青色変異し、遠ざかるときは周波数が下がるので赤色偏移するということです。このことから、銀河の光が赤方偏移しているので、銀河が地球から遠ざかっていると考えたのです。
問題はなさそうですが、それでは、すべての銀河が地球から遠ざかっていることになり、宇宙の中心が地球になってしまうことになります。地球中心説に戻ってしまっては天動説の復活になってしまいます。それは困まりものです。
また、ハッブルの観測した銀河は銀河系の属する銀河群の中にあるものもあります。同じ銀河団に属する銀河もあります。今の考えでは、銀河群や、銀河団はその重力で膨張しないという説が有力です。するとハッブルの観測した銀河は離れていっていないのに、赤方偏移していることになります。ドプラー効果は起こっていないはずです。矛盾が生じます。
なにかが変だ。ということで、空間膨張論が生まれました。
(2)宇宙空間膨張説
空間が膨張することにすると、すべての星が対等になります。地球から見れば地球が中心だけれど、火星から見れば火星が中心になります。どの星から見ても、見た星が中心になったように見えます。空間がどこも均等に膨張しているから、どこもが中心になったように見えるということです。
これで、赤方偏移の原因が宇宙空間膨張であるということで矛盾なく解けたということになりそうです。今はだいたいこちらの考えが大勢を占めています。
しかし、問題がないわけではありません。
空間がなにでできているかとか、その構造はどのようになっているのかとか、空間が膨張するというのは空間がどのようになることなのか、とか、空間を膨張させるエネルギーは何なのかとかが今の物理学では一切わかっていません。空気や水の膨張の原理は分かっているのですが、宇宙空間の膨張は{地上で確かめられた物理学の法則だけを使って}説明することはまるでできません。どちらかといえば説明できないことだけでできています。
例えば、空気の膨張を考えてみます。空気に熱エネルギーを加えると分子が振動を強めます。この振動により空気分子間の距離が大きくなります。そのために空気が膨張します。では空間はどのように膨張するのでしょう。どのようなエネルギーが加わると、空間はどのように変化して膨張するのでしょう。その仕組みはどうなっているのでしょう。空気なら分子の振動ですが、空間にはそれに対応するようなものはありません。空間はなにもないのですから。そのあたりの説明はありません。
ビッグバン論者は空間膨張で十分説明できると考えているようですが、あまりにも謎が多すぎます。
ではビッグバン論者以外のもうひとつの考えで考えてみます。
(3)赤方偏移のそれ以外の原因の考え
光は原子や分子に当たるとエネルギーを奪われます。すなわち赤方偏移するということです。これはアインシュタインが実験したコンプトン効果で証明されています。
また、日常でも普通に見られる現象です。部屋の明かりを消すと部屋は瞬時に暗くなります。電灯の光が壁などに当たり、壁の熱を上げることでエネルギーを奪われ、赤方偏移するからです。光は光速だから、1秒間に、壁に跳ね返りながら1億回ほど衝突します。そのために瞬時にエネルギーを失って赤方偏移し電波になってしまうのです。
宇宙には、水素原子や分子、そのほかの様々な原子や分子が漂っています。銀河の光がこれらに当たるとエネルギーを奪われ赤方偏移します。距離が大きくなると衝突する原子や分子は多くなります。遠い銀河の光ほど衝突が増え、赤方偏移が大きくなります。この考えでも、遠い銀河ほど大きく赤方偏移している観測の説明ができます。
これなら、{地上で確かめられた物理学の法則だけを使って}説明することができます。また、近くで離れていっていないのに銀河が赤方偏移する原因も説明できます。
困ることは一つです。これでは宇宙が膨張しているといえないことです。ビッグバン論もインフレーション宇宙論も否定されてしまいます。問題はそこだけです。
残念ながら、宇宙は膨張していないのです。光あれの神様はいないのです。