インフレーション宇宙への疑問目次
インフレーション宇宙論への疑問2
インフレーション宇宙論への疑問4

インフレーション宇宙論への疑問V

著者 田 敞

(以下{ }内は「インフレーション宇宙論」佐藤勝彦著、BLUEBACKSから)の引用)

 

1 ビッグバン理論が解けない難問

 ビッグバン理論では解けない難問がいくつかあるということです。インフレーション理論ではその難問が解けるということです。どちらかというと、その難問を解くために考えだされたのがインフレーション理論のようです。だから、実際の観測から出てきた理論ではないので、実証はないようです。ビッグバン理論には、これが実証だ、というような現象が少しはあるのですが、インフレーション理論にはそれがまったくありません。理屈だけです。宇宙論の特徴の一つです。実証はいらないのです。理論だけで正しいとされるのです。そこが他の科学との大きな違いです。

1 モノポール問題

 ビッグバン論では、宇宙の始まりにはモノポールができることになる。しかし、今の宇宙には存在しないという問題がある、ということだそうです。

モノポールができた宇宙に{インフレーションが起きて、たとえばモノポールを含むわずかな空間が1000億光年の彼方に押しやられたとします。すると、1000億光年の彼方には確かにモノポールは存在することになります。しかし、そんな場所と、われわれの知る宇宙には、直接の関係がありません}{そのようなはるか遠くの宇宙に押しやられたモノポールがわれわれの知りえる宇宙の中にないのは、当然ということになります}

問題

{たとえばモノポールを含むわずかな空間}には他に何があったのでしょう。

考察

{10のマイナス44乗秒後に最初の相転移によって重力が他の3つの力と枝別れをします}とあります。

 するとモノポールができたときには4つの力(重力と、他の3つが一緒になったひとつ、の2つ)が既に存在していたということになります。これらの力は物質と関連した力です。すると、物質も既に存在していたことになります。

 その直後に起こった2回目の相転移でインフレーションが起こったということです。すると、インフレーションは、モノポールと一緒にこれらの物質も{1000億光年の彼方}まで吹き飛ばすことでしょう。れわれの宇宙には物質が存在しないことになります。われわれは何からできているのでしょう。地球や太陽は何からできているのでしょう。

では1000億光年先に吹き飛ばされた物質の中でわれわれの宇宙ができたとします。するとモノポールも一緒に吹き飛ばされてきたので、モノポールも傍にあることになります。モノポール問題の解決にはなりません。

 いやモノポールができたときにはまだ物質はなかった、とします。すると、4つの力はあったのだから、4つの力が吹き飛ばされてしまうことになります。その後物質ができたとしても、4つの力は1000億光年彼方です。4つの力がない物質でわれわれの宇宙ができたことになります。現在の宇宙の現実や物理理論とは合いません。

 いずれにしろ、すべてが1000億光年の彼方に吹き飛ばされてしまうのですから、宇宙の中は空っぽになってしまいます。すべては直径1000億光年の球の表面に存在することになります。

 いや4つの力は吹き飛ばされなかった、吹き飛ばされたのはモノポールだけだ、ということなのでしょうか。

結論

{「困ったものはすべて宇宙の彼方に押しやることができる」という大変都合のいい話なのです}ということです。そして、必要なものは宇宙の彼方には押しやらずに手元に置いておくようです。ほんと、何と都合のいい話でしょう。なぜそんな都合のいいことが起こるのでしょう。簡単です。机上の空論だからです。インフレーションを実際に調べることが不可能だから、それをいいことに自分の思いどおりの宇宙を造っているのです。宇宙の創造主です。

 

問題

 ビッグバン理論では、宇宙の始まりは1点だということになっています。ハッブル定数(宇宙の膨張速度)から考えると、時間をさかのぼると、137億年前には宇宙は1点になってしまうということです。すると特異点になってしまい。物理理論が破たんしてしまうという困った問題が起きるということです。

考察

 これを解決するために、一瞬よりはるかに短い時間で宇宙を膨張させて、その後に火の玉ができたとすれば特異点になることはないということのようです。

 めでたしめでたしのようですが、インフレーション宇宙の始まりの1点は何もないから特異点はできない、でいいのでしょうか。真空のエネルギーがあったということなのでしょうが都合がよすぎはしないでしょうか。

 ハッブルの法則では、137億年過去には宇宙は1点に集まるということですが、インフレーション宇宙論では、137億年前には宇宙はすでに直径1000億光年以上の大きさになっていたということです。今観測できる宇宙の直径(どの方向にも120億光年先に銀河が観測される。これは120億年前に宇宙はすでに半径120億光年より大きくなっていたということを示しています。これもハッブルの法則とは合いません)の4倍の大きさです。137億年前の宇宙は今までに観測できた宇宙よりはるかに大きかったのです。ビッグバン論とはまるっきり反対です。ハッブルの発見した銀河の赤方偏移は何だったのでしょう。

問題

{ビッグバン理論では特異点から始まった宇宙がなぜ火の玉になったかを、説明することができなかったのです}

考察

4へ