「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論21

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

ハッブル定数

 

問題

{現在の宇宙では、1メガパーセク(326万光年)のかなたの銀河の後退速度(宇宙の膨張速度)が、だいたい72キロメートル毎秒ということだ。}

考察

上のことから、2メガパーセクでは144km/秒、3メガパーセクでは216km/秒と考えられる。

このことから、ハッブル定数は距離が離れると速度が速くなるということが分かる。

A、B二つの星があったとする。最初、宇宙が小さかった頃に二つは近くにあったとする。空間膨張で宇宙が膨張することで両者が1メガパーセク離れたとする。すると両者は72km/秒で離れていく。時間がたつと空間膨張で両者の距離はさらに離れ2メガパーセクになったとする。すると、両者は144km/秒で離れていく。この順で行くと、100メガパーセクまで離れると、7200km/秒になり、1000メガパーセク(32億6000万光年)まで離れると、72000km/秒の速度になると考えられる。

 A、B二つの星は、時間とともに、離れる速度は加速度的に大きくなるということだ。宇宙が膨張していれば、これは星ばかりではなく、星間雲でも、銀河間でも、銀河団間でも同じように起こると考えられる。すなわち、宇宙空間は、時間とともに膨張速度を上げていくということになる。それも、加速度的に速度は上がっていく。

 この本では、宇宙の晴れ上がり前は光速の125倍の速度で宇宙空間が広がったと書いてある。加速度的に速度を上げてきた宇宙の今は光速の何千倍あるいは何億倍になっているのだろうか。

結論

天文学的数字ということだ。

 ハッブル定数が空間膨張であるという考え方が間違っているからこういうことが起こる。単に、光が宇宙間物質に衝突して、エネルギーを減じるとすると、天文学的数字も、今の物理学で何一つ説明できない現象(空間膨張)もなくなる。

 

問題

ハッブル定数が当てはまるのは、宇宙のどのあたりからだろう。

考察

ビッグバン論では、宇宙ができてすぐのときは、宇宙は1mmとか10cmとか小さかったはずだ。ハッブル定数では膨張速度はほぼ0になる。宇宙の直径が326万光年になってやっと秒速72kmになるのだから。

ところで、宇宙の初めからハッブル定数で膨張するとすると1メガパーセクの大きさまで宇宙が大きくなるにはいったいどれくらいの時間がかかるだろう。ところが、この本では、40万年で直径1億光年に大きくなったといっている。ハッブル定数などまるっきり無視した数字だ。

結論 

宇宙はハッブル定数による膨張と、それとはまるで違う膨張の二通りがあるようだ。

最初は超速度で爆発し、重力で速度が落ちたという意見もどこかで見たが、それでは宇宙に定まった速度はなくなる。特に、観測している宇宙はすべて異なる時間の過去の状態なのだから一定の結果が出ることはなくなる。観測する銀河によって速度は違ってくるはずだ。ハッブル定数は決められないはずだ。

まあ、矛盾の上に矛盾を重ねていくと、どれが矛盾かわからなくなるからうまくいくのかもしれない。矛盾×矛盾=正常とか。

矛盾と荒唐無稽意外に何もないのがビッグバン論だからそれも有りかも。なんにしろ、今信じられている物理学に一致するものなどなにもないのがビッグバン論だから。

問題

宇宙初期の物質と重力

考察

230万光年先のアンドロメダ銀河は、銀河系と引き合って接近しているという観測がある。空間は膨張しているのだが、重力が強くて、空間膨張に打ち勝って固有運動をしているという説明があった。

すると、ビッグバンで生まれて、直径230万光年まで大きくなった宇宙に、今あるすべての物質が詰まっていたら、空間は膨張しても、物質は重力で潰れてしまいそうだ。たった二つの銀河でさえ宇宙膨張に打ち勝って接近しているのだから、直径230万光年の宇宙にこの宇宙のすべての銀河を作っている物質が詰まったら、完全に重力で潰れてしまうだろう。

結論

宇宙にどれだけの物質があるかはまるでわかっていない。それがミクロの真空から一瞬で生まれたというのだが、生まれたとたんに、つぶれてブラックホールになってしまわないのかしら。まあ、そんなことを考える人はいないようだ。それではビッグバンが成立しないから無視するに限るのでしょう。

問題

具体的に考えてみる。

アンドロメダ銀河と、銀河系の関係

考察

アンドロメダ銀河と銀河系は現在接近しているということだ。すると、時間をさかのぼると、二つの銀河は離れていく。互いにおよぼす重力は小さくなり、ハッブル定数(斥力)は大きくなる。

もっとずっとさかのぼってみよう。宇宙はどんどん小さくなる。物質はどんどん接近する。しかし、アンドロメダ銀河と、銀河系はどんどん離れていく。すると、銀河系と、アンドロメダ銀河は小さな宇宙空間からはみ出してしまう。それでは困るから、やはりアンドロメダ銀河も銀河系も、小さな宇宙に入るだけ接近していなくてはならない。

過去の宇宙では、銀河系とアンドロメダ銀河も空間膨張で離れていく時代があるということなのだろう。その転回点を考えてみる。

約100億年前、銀河系と、アンドロメダ銀河が生まれたとする。宇宙誕生から37億年後だ。だから宇宙は今よりはるかに小さかったはずだ。単純に考えると、137分の37になる。アンドロメダ銀河と銀河系の間も、今の137分の37の距離になるはずだ。およそ62万光年になる。

そこから、宇宙膨張に伴って、今の230万光年まで広がって行ったと考えられる。そこから最近になって、両銀河は重力が空間膨張の力に打ち勝て、接近し始めたということになる。

考えてみよう。距離が近いと空間膨張の速度は遅くなる。斥力が小さいということだ。距離が小さいと、重力は強くなる。こちらは距離の2乗に反比例するのだから、離れると重力は極端に弱くなる。

両銀河ができたとき、距離は近いから、斥力は弱い、反対に重力は強い。現在、距離が離れているから、斥力は強くなり、重力は弱くいなっている。

それなのに、両銀河ができたとき両者は離れていき、今近づいている。まるで反対の現象だ。

二つの銀河が今のような形になった100億年前、できたとたんに接近し始めたとしよう。すると100億年間接近したことになる、かなり近づいたはずだ。あと数10億年で両銀河は衝突するというのだから、100億年前の両銀河の距離は今の倍以上あってもおかしくない。そんなに離れていては、空間膨張の方が勝ってしまいそうだ。

宇宙は、ビッグバンで、アンドロメダや銀河系になる物質を生成し、空間膨張とともに、それらを膨張させてきた。両銀河になる物質は、バラバラに飛び散ってきたはずだ。

それが宇宙誕生後なぜか収縮し銀河になる。バラバラになるということは、斥力が増え、重力が減るということだ。宇宙誕生に近いほど斥力が少なく、重力が大きい。その時は離れていき、斥力が増え、重力が小さくなると、今度は接近する。力関係と現象が反対になる。不思議な現象だ。

 

二つの銀河が周りの物質を集めて重力が大きくなって、やがて重力が空間膨張に打ち勝ったという設定もある。しかし、どのような小さな物質も、空間膨張によって離れていくはずだ。宇宙の晴れ上がりのときには宇宙はたった1億光年だったという。そこに全宇宙の物質が詰まっていたのだから。物質は、ぎゅうぎゅう詰めだったはずだ。宇宙全体が今の銀河よりはるかに物質で詰まっていたはずだ。そこから物質が空間膨張によって離れていくのだから、空間膨張の力は巨大なはずだ。その後も、距離が大きくなるとともに斥力は増えつづけ、引き付けあう重力は減り続ける。宇宙の晴れ上がり以降、近づく物質はなくなるはすだ。

そこでダークマターなどが出てくるのだろうが、宇宙の晴れ上がりのときに、すでにダークマターも存在していたのだろうから、そのダークマターがあっても宇宙は平気で膨張しているのだから、ダークマターの重力も宇宙の空間膨張には勝てないということなのだから、それ以降は勝ちようがないはずだ。

ダークマターなど登場させたとしても。どのよう小さな物質も、離れる速度は時間とともに大きくなり、及ぼす重力は距離に反比例して小さくなっていくはずだから、いったん離れ出すと、2度と接近することはないはずだ。

結論

今銀河系と、アンドロメダ銀河が接近しているのはビッグバン論からすると不思議な現象であるといえる。宇宙初期の揺らぎが原因ということかもしれないが、宇宙初期の濃くなっているところも、宇宙膨張とともに広がっていくとすると、空間膨張の斥力は時間とともに大きくなり、重力は、時間とともに小さくなるのだから、力関係からすると、最接近することは不可能である。

ハッブル定数(斥力)が小さくて、重力(引力)が大きいときに離れ、宇宙が大きくなって、互いに離れ、ハッブル定数が大きくなって重力が小さくなったときに接近するというのはあきらかな矛盾である。