「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論20

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

3K宇宙背景放射

問題

{宇宙の晴れ上がりのときには約3000Kであったものが、現在では絶対温度で約3Kの黒体放射になったのである。これが、現在観測される3K宇宙背景放射にほかならないのだ。}

考察

{宇宙背景放射は、文字どおり、火の玉宇宙の残照なのである。}は正しいか。

@ 証拠はあるか。

A 現在の物理学で説明できるか。

B 他の原因はないか。(ビッグバン論者が知りながら無視している宇宙の塵説。これは重要である)

1 証拠はあるか。

ビッグバン論者の希望的見解にすぎない。彼らは、137億年前に起こった宇宙の{晴れ上がり}の光だと述べているが、その科学的証拠は何一つ提出していない。せいぜいガモフの予言通りだということくらいだ。神の予言のように。

2 現在の物理学で説明できるか

 {宇宙の晴れ上がり以降、物質と光は袂を分かち、それぞれの道を歩むことになる。物質は…複雑の度合いをますます深めていった。…宇宙初期の光(放射)は、一様で均質なまま、宇宙が膨張するにつれ希薄になって温度が下がっていったのだ。}とある。

ア 証拠はあるか

 もちろんこれも科学的な証拠はない。

・ 宇宙の晴れ上がりの証拠も科学的な根拠もない。

・ 宇宙膨張も、現代まで分かっている物理学では何ひとつ説明も証明もできない。

・ 宇宙初期の光は、ビッグバンがあったということからくる。ビッグバンは、今の物理学では何一つ説明できない現象である。

 すなわち、すべてが今の解明されている物理学では説明できない現象であるから、すべては憶測の域を出ない。

イ ビッグバン説を考えてみる

 これでは光は宇宙の中で停滞していることになる。

 宇宙の晴れ上がりを考えてみよう。光は、その時から直進することになる。すなわち、光速度で、まっすぐどこまでも進むのだ。

 ではその時の地球の状態を考えてみよう。ビッグバン説から考えると、地球は、ビッグバンとともに生まれ、それまでプラズマ状態であったのが、それが再結合し、水素原子になったところだと考えられる。まだ、さまざまな元素にはなっていなかった。この後、地球になる水素は、恒星の一部になり、超新星になり、また恒星になりを繰り返しさまざまな元素になり、やがて、今から46億年前に今の地球の形になる。ビッグバン説では、宇宙誕生後91億年後だ。

 そこで考える。

 宇宙の晴れ上がりのとき、地球になる水素は光と袂を分かつ。地球のまわりにあった光は光速で直進し一瞬で地球から離れる。遠くにあった光も次々と地球を通りぬけていく。一番遠い光も、{宇宙が約1億光年まで広がったとき}とあるから、地球から一番遠い光は最大で1億光年(地球と、その光が宇宙の端と端にあったとして)あったと考えられるから、1億年後には地球を通り抜ける。その後は、宇宙初期の光を地球からは見ることはできない。

 これは普通の物理学の考え方だ。

 ビッグバン説では、そうはいかない。今まで解明されている物理学とはまるで違う不可思議な物理学でビッグバンは成り立っているのだから普通に考えては矛盾しか生まれない。

たとえば、普通の世界は4つの力だけでできている。しかし、ビッグバンは、空間を膨張させる謎の力がすべてを支配している。この力は謎以外には解明されていないから、ビッグバン論者のいいなりにどのような無理難題だって何なくこなすことができる何でもありの力だ。謎だから反論の手がかりもないのである。素晴らしく便利な使い勝手のとてもいい力である。

また、空間が膨張するという現象も現在までの物理学では説明できない。空間は謎だし、それが膨張するという仕組みも謎以外の何ものでもない。

 謎が謎を生むという仕組みですべてが成り立っているのがビッグバン理論であり、宇宙空間の膨張である。

それでもビッグバンを考えてみる。

宇宙の晴れ上がりは{宇宙が誕生して約40万年後、宇宙が約1億光年まで広がったとき}とあるから、宇宙は、40万年で1億光年広がったということだ。半径5000万光年だから、宇宙の端は40万年で1点から5000万光年進んだことになる。光速の125倍の速度で広がったことになる(光速の125倍の速度というものは、やはり今までの物理学では解けない謎だ)。これくらい朝飯前なのがビッグバンだ。なんせあらゆる物理学をはるかに超えた素晴らしい理屈なのだから。

 この後もその速度で広がっていくとすると、地球が進む方向の光は、光速より速くやってくるが、後方の光は地球から遅れる。地球には届かない。

 現在、背景放射が全方向から均等にやってくることから(地球の速度による、背景放射の波長の変化は観測されているが、それは空間膨張ではなく、地球の現実の速度によるから、宇宙膨張とは無関係と考えてよい)宇宙膨張の影響はないと考えられる。すなわち光も空間膨張に乗って進んでいるか、あるいは空間膨張がないと考えられる。ビッグバンは、空間膨張に乗って光も進むと考えているようだ。その説明はここではない。

 5000万光年離れると、光速の125倍の速度になるとすると、単純に考えると40万光年ごとに光速になる計算だ(この本で紹介されているハッブル定数326万光年で72km/秒とはまるで異なる)。すると、地球から40万光年先の光は、光速で地球に向かっても、地球との間の空間が、光速で広がるから、地球にやってくることはできないことになる。すると地球にやってくることのできる光は、半径40万光年以内の光になる。この光が、137億年かけて地球に順番にやってきているのだろうか。まあ、この本ではその説明はないから何とも言えない。何らかの方法でそうなっているというのだろう。

 この距離は、宇宙から見ると、目と鼻の先のことだ。アンドロメダ銀河でさえ、230万光年先なのだから。

今は120億光年先の銀河さへ見えているというのに不思議なことだ。120億光年先の銀河が見えるということは、地球とその銀河の間の空間は光速以下で広がったということだ。昔、同じ所でビッグバンから生まれたはずの地球とその銀河は今120億光年まで離れているが、それの光が届いているということは、上の考えだと、120億年前には地球(まだ、水素の形であったが)と、その銀河は40万光年以内にあったということになる。それ以上離れると、間は光速を越えて広がるから、光が光速で飛んでも地球との距離は離れていくはずだ。

もう一つ考えられるのは、最初の、40万年では光速の125倍の速度があったのが、いつの間にか膨張速度が落ちたということなのだろう。もちろん空間膨張が起こる仕組みも謎だから、空間膨張の速度が落ちる仕組みも謎なのだろう。重力でというけれど、重力で空間が引っ張られるというのはアインシュタインが言っているが、それは空間がゆがむということで、引っ張るということではない。太陽が空間を引き寄せているという観測はない。ブラックホールが、周りの空間を引きずりこんでいるという理論も観測もない。そんなことになったら、銀河系の空間は中心のブラックホールにみんな吸い込まれてしまう。そんなことは起こっていない。

したがって、空間が重力で引き戻されるということはん謎の原理で起こっているとしか言いようがない。

ビッグバン論は適当なのだ。その時その場の都合のいいように決めるのだろう。まともに取り合っていては混乱するだけだ。

 

137億年前の背景放射が現在の地球にやってきた理由

3K宇宙背景放射の図(P96)

問題

 地球が図の中心にある。一番外側をビッグバンが取り巻いている。その内側に、宇宙の晴れ上がりが取り巻いている。その内側に銀河がある。その晴れ上がりから、中心の地球に向かって背景放射がやってきている。

考察

不思議な図だ。

不可思議1

 ビッグバンは137億年前1点から始まったとビッグバン論者はいう。この本では40万年後、宇宙は晴れ上がったということだから、その時点でビッグバンは終わっていると考えられる。ではなぜ現在の宇宙の一番外側がまだビッグバンなのだろう。

不可思議2

 ビッグバン後、宇宙は晴れ上がり{物質と光は袂を分かち、それぞれの道を歩むことになる。}{物質は、超銀河団}等になる。{宇宙初期の光は、一様で均質なまま}現在観測されている、宇宙背景放射になった、ということだ。

 したがって、ビッグバンのすべては現在、銀河(地球を含む)と、背景放射になっているということだ。すると、この図の宇宙を取り巻いているビッグバンは何からできているのか疑問である。宇宙が二つあることになる。ビッグバンからできたとされる地球や銀河や背景放射の宇宙と、ビッグバンで混沌とした宇宙と。

 137億年前1点で始りそこでビッグバンは終わっている。今ビッグバンは存在しない。

不可思議3

 この本では宇宙の晴れ上がりのときの宇宙は1億光年の大きさだと書いてある。すると、ビッグバンの大きさは1億光年より小さかったということがわかる。ではなぜ今この宇宙を取り巻いているほど大きくなっているのだろう。少なくとも半径120億光年はある。いつの間に成長したのだろう。

考察

間違いは、ビッグバンがまだあるとしたことだ。そこから背景放射が出ているとしたことだ。背景放射は、晴れ上がりのあと、背景放射になって宇宙に満ちているといっているから、宇宙の果てからやってくる必要はない。背景放射がビッグバンのなれの果てだから。銀河や地球がビッグバンの申し子であるように。背景放射が温度の下がったビッグバンの本体なのだから、もう一つのビッグバンを宇宙の果てに持ってくる必要はない。

おそらく、地球に全方向から背景放射がやってくるから宇宙の全方向に背景放射を出す源、(ビッグバン)があると考えたのだろう。矛盾が矛盾を生むというサイクルにそっくりだ。

ビッグバン論者は、なぜ球状の宇宙の果てをビッグバンがぐるっと取り巻いていることができるのかを説明する必要がある。

 

 何が間違ったのか。今、137億年前の宇宙の晴れ上がりが見えるとしたことが間違いである。なぜ間違ったか。遠くを見ることは、過去を見ることである、という考えを、拡大解釈したからだ。地球からみえる過去は決められている。地球から8分光年の距離があると、8分前の物質が見える。太陽がその例だ。したがって、10分前の太陽は見えない、5分前の太陽も見えない。100億年前の銀河が見えたら、地球とその銀河はちょうど、100億光年離れているから見えたということだ。では、宇宙の晴れ上がりのとき、地球とビッグバンの距離はどれだけあったろうか。137億光年離れていたろうか。離れていない。地球はビッグバンの真っただ中にあった。したがって、距離は1億光年以内だ。だから、137億年前のことは見えないはずだ。その後、地球は、光速をこえる速度で飛んで、光を置いてけぼりにしたなら別だ。しかし、地球は46億年前から、背景放射に対しておそらく数100km/秒でしか飛んでいない。その間46億光年分光は飛んでいる。その前、宇宙初期に地球は恒星になっていたということだ。するとその時も、速度は、おそらく、背景放射に対して数100km/秒だったろう。宇宙初期から、光は光速で地球になる物質を追い抜いていたはずだ。空間が膨張するとしても地球近辺の光はすべて飛び去って、今は見えない。もし先に述べたように、宇宙が光速の数百倍で広がったとしたら、それがなぜ止まってしまったのか明確にしなければならない。光速の数百倍、あるいは数億倍の速度で宇宙が爆発したり、それが忽然と数100kmになったり、あまりにも都合がよすぎる。それらはまるっきり根拠がないのだ。

根本的間違いは、地球は46億年前にこの位置に忽然と現れ、どんな過去も見えると考えていることだ。

結論

光速の125倍もの速度で、宇宙が膨張したというのは、今の物理学では、あり得ない現象だ。もちろん、観測もされていない。そのような非科学な現象を前提としなければ何らないビッグバンは科学ではないといえる。

 

背景放射の他の理由宇宙の塵が出す光

宇宙には塵があるのが観測されている。銀河系の中は水素を中心とした、ガスで満たされている。それらの温度は、2.7Kであるというのが、ビッグバン以前から言われていた。銀河系の中の平均温度である。

 物質は、その温度に応じた黒体放射をする。したがって、地球から観測している宇宙は、この塵などから出る2.7Kの光が飛びかっている。これが宇宙背景放射である。もし、ビッグバンの光があるとしても、銀河系内に浮かぶ塵がある以上、その塵から出る光が必ずあるはずだ。

 137億年前の光を見るためには宇宙は、宇宙も地球も光速を越えて飛ぶしかない。今の物理学では説明できない現象である。

それに対して、背景放射が宇宙の塵が出す光だとしたら、今までの物理学ですべて過不足なく説明できる。

結論

背景放射は宇宙の塵の出す光であるといえる。ビッグバンの光では、今の物理学では何一つ説明できない。新しい物理学を作る必要がある。背景放射は既存の物理学ですべて説明できるのだから、それを持って新しい理論(ビッグバンバンの光)の証拠にはできない。

 ビッグバン論者は、宇宙科学者なのだから、宇宙の塵と、それが光を出すことくらい知っているはずだ。その理論もあるというのを知っているはずだ。ビッグバン論者は、不利なことは無視という態度をここでも取っている。科学者の方法論からも間違っている。